睡眠コラム by Koala Sleep Japan2026年4月3日読了目安時間: 6

【医師監修】睡眠と食事・飲み物の関係|寝る前に避けるべきもの・積極的に摂りたいもの

五藤 良将
竹内内科小児科医院 院長

千葉県立東葛飾高校卒、防衛医科大学校医学部卒。その後に自衛隊中央病院、防衛医科大学校病院、千葉中央メディカルセンターなどの勤務を経て2019年9月に継承開業に至る。

  • 免許・資格

医師免許、日本抗加齢医学会専門医、日本内科学会認定医、日本旅行医学会認定医、日本医師会産業医、スポーツドクター、日本美容内科学会評議員

「コーヒーを飲んだ夜はなぜか眠れない」「寝る前に食べたら翌朝だるかった」——そんな経験はありませんか?
実は、就寝前の食事・飲み物の選び方は、睡眠の質に少なくない影響を与える可能性があるとされています。
この記事では、カフェインと睡眠の関係、寝る前におすすめの飲み物・食べ物、食後すぐ寝ることのリスク、ダイエット中の睡眠管理まで、研究や専門機関の情報をもとに整理してお伝えします。

① カフェインと睡眠の関係|影響する時間・量・飲み物別の目安

睡眠に影響を与える飲み物として、まず知っておきたいのがカフェインです。カフェインには覚醒作用があり、摂取後しばらくの間、眠気を感じにくくなることが研究で示されています。

カフェインが体内に残る時間(半減期)

カフェインの「半減期」は、個人差がありますが一般的に4〜6時間程度とされています。半減期とは体内の濃度が半分になるまでの時間のことで、夕方17時にコーヒーを1杯飲んだ場合、深夜23時頃にはまだ半量が体内に残っている計算になります。

💡 就寝前のカフェイン摂取のめやす
  • 就寝の4〜6時間前以降のカフェイン摂取は、睡眠の質に影響する可能性があるとされています
  • カフェインへの感受性には個人差が大きく、少量でも影響を受けやすい方もいます
  • 年齢・体重・肝機能によっても代謝速度は変わります

飲み物別カフェイン量の目安(100mlあたり)

同じ「お茶系」でも、製法や茶葉の種類によってカフェイン量は大きく異なります。文部科学省の食品成分データベースなどを参考にした目安は以下のとおりです。

飲み物 カフェイン量(100mlあたり) 就寝前の目安
コーヒー(ドリップ) 約60mg NG就寝5〜6時間前から避けるのが無難
玉露 約160mg NG緑茶の中でも特に高め
煎茶・緑茶 約20mg 注意量・時間帯に注意
ほうじ茶 約20mg(※焙煎度により異なる) 注意緑茶と同程度の場合も
ココア(調整) 約10mg前後 注意砂糖・乳製品の量にも注意
ハーブティー(カモミールなど) 0mg OKカフェインフリーで就寝前に適している
麦茶 0mg OKカフェインゼロ


ほうじ茶のカフェイン量を詳しく見る|緑茶・コーヒーとの比較表つき

ココアのカフェイン量と就寝前の飲み方|種類別の比較も解説

ℹ️ ほうじ茶はカフェインが少ない?

「ほうじ茶はカフェインが少ない」というイメージをお持ちの方も多いかもしれませんが、焙煎度によっては煎茶と同程度のカフェインが含まれる場合もあります。就寝前に選ぶなら、ノンカフェインのハーブティーや麦茶のほうが安心といえそうです。詳しくは上の記事をご参照ください。

カフェインの話だけでなく、「何を飲めば眠りやすくなるか」も気になるところです。以下では、睡眠と関連があるとされる成分の観点から、就寝前に取り入れやすいものをご紹介します。ただし、いずれも「飲めば必ず眠れる」というものではなく、あくまで睡眠しやすい環境を整える補助的な役割として捉えていただくと良いでしょう。

1. 温めた牛乳(ホットミルク)

牛乳にはトリプトファンというアミノ酸が含まれています。トリプトファンは体内でセロトニンや、睡眠ホルモンと呼ばれるメラトニンに変換されるため、睡眠との関連が研究されている成分のひとつです。温めることで体が温まりやすく、リラックス効果も期待されます。

寝る前の牛乳が眠りに良い理由|飲み方・量・タイミングを解説

2. はちみつ(少量)

はちみつには糖分が含まれており、摂取後に血糖値がゆるやかに上昇することで、脳の「お腹が空いた」というアラームを一時的に抑えられる可能性があるとされています。また、グリコーゲンの補充を通じて夜間の低血糖を和らげることで、睡眠中に目が覚めにくくなるという考え方もあります。ただし、摂りすぎはかえって血糖値の急上昇につながることもあるため、小さじ1杯程度が目安です。


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3. 白湯

白湯(さゆ)はカフェインゼロで、体を内側から温めてくれます。体温がいったん上がり、その後ゆっくり下がる過程で眠気が生じやすくなるとされているため、就寝1時間前に飲むのが取り入れやすいタイミングの一つです。胃腸への負担も少ないため、食後の飲み物としても適しています。

4. ヨーグルト(少量・常温に近いもの)

ヨーグルトに含まれる乳酸菌は腸内環境を整える作用があるとされており、腸と脳は「腸脳相関」と呼ばれる経路でつながっているという研究が進んでいます。腸内でもセロトニンが生成されることから、腸内環境を整えることが間接的に睡眠に関わる可能性も指摘されています。ただし冷えたヨーグルトを大量に摂ると胃腸を冷やすこともあるため、量は少なめが無難です。


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5. カモミールティー・ハーブティー

カモミールティーはカフェインゼロで、アピゲニンという成分が神経を落ち着かせる作用を持つ可能性があるとして研究されています。香り(アロマ効果)によるリラクゼーションも期待されており、就寝前のルーティンに取り入れやすい飲み物のひとつといえます。

💡 就寝前の飲み物を選ぶポイント
  • カフェインゼロ(または極めて少量)のものを選ぶ
  • 冷たすぎるものは体を冷やす可能性があるため、常温〜温かいものが馴染みやすい
  • 糖分が多いものは、過剰摂取しないよう量に注意する
  • 就寝直前に大量に飲むと、夜中にトイレに起きやすくなることも

③ 食べてすぐ寝るとどうなる?逆流・消化・体重への影響

「夕食を食べたらすぐ眠くなる」という方も多いかもしれません。しかし、食後すぐに横になることは、いくつかの点で体に負担をかける可能性があるとされています。

胃食道逆流のリスク

食後すぐに横になると、胃の内容物が食道に逆流しやすくなる場合があります。これは胃酸逆流(逆流性食道炎)の原因のひとつとして知られており、胸焼けや違和感が続く場合は医療機関への相談が推奨されます。食後は少なくとも2〜3時間程度、上体を起こした状態でいることが望ましいとされています。

消化への影響

消化は胃が活発に動くことで進みますが、横になると重力の助けが減り、消化のペースが落ちる可能性があります。胃もたれや翌朝の食欲低下は、就寝前の食事が胃に残っていることと関連している場合もあります。

体重・脂肪への影響

「食後すぐ寝ると太る」という話はよく聞きますが、これは主に「就寝前の高カロリー摂取+活動量ゼロ」という組み合わせが問題になることが多いとされています。食事から寝るまでの時間が短いほど、余剰エネルギーが消費されにくくなる可能性があります。


→【医師監修】食べてすぐ寝ると太る・体に悪い?食後何時間で寝ればいいか解説

⚠️ 注意したいケース
  • 夕食が遅くなりがちな方(就寝2時間前以内の食事が習慣化している)
  • 胸焼けや胃もたれが繰り返し起きる方は、消化器内科への相談も検討を
  • 夜食・間食が多い方は、摂るものの種類と量の見直しが助けになることがあります

④ お腹が空いて眠れない時の対処法

ダイエット中や夕食が早かった日など、「お腹が空いて眠れない」という状況もあるかもしれません。そのまま空腹で眠ろうとすると、血糖値の低下が睡眠の質に影響する場合もあるとされており、少量だけ何かを補うことが助けになることがあります。

就寝前に食べるなら「低GI・少量」がポイント

GI値(グリセミック・インデックス)は食後の血糖値の上昇しやすさを示す指標です。GI値が低い食品は血糖値の急激な上昇・下降が起きにくいとされています。空腹で眠れない時は、消化が軽く血糖値の急上昇を避けられるものを少量摂るのが一つの選択肢です。

選びやすいもの 理由
はちみつ入り白湯(小さじ1杯程度) 血糖値をゆるやかに補えるとされる。温かく体も温まりやすい
バナナ(半分程度) トリプトファン・マグネシウムを含む。腹持ちもある程度良い
ナッツ類(少量) タンパク質・マグネシウムを含む。食べ過ぎに注意
温かいスープ(低塩) 胃に優しく、体を温める効果も期待できる
⚠️ 就寝前に避けたほうが良いもの
  • 揚げ物・脂質の多い食品(消化に時間がかかりやすい)
  • 糖分の多い菓子類・甘い飲み物(血糖値の急上昇→急低下を招きやすい)
  • アルコール(一時的に眠気を感じやすくなりますが、睡眠の質を下げる可能性があるとされています)
  • 香辛料の強い食品(胃への刺激になりやすい)


お腹が空いて眠れない時の対処法

⑤ ダイエット中の睡眠と食事管理

「ダイエット中なのになかなか体重が落ちない」という場合、睡眠不足が影響している可能性があるかもしれません。食事管理と運動だけでなく、睡眠の質もダイエットに関わる要素のひとつとして注目されています。

睡眠不足と食欲ホルモンの関係

睡眠が不足すると、食欲を増進させるホルモン(グレリン)が増加し、食欲を抑えるホルモン(レプチン)が減少するという研究結果が複数報告されています。その結果、翌日の食欲が増してカロリー過多になりやすくなる可能性があると考えられています。

また、睡眠不足の状態では基礎代謝が落ちたり、活動意欲が低下して運動量が減ったりすることも、ダイエットに悪影響を与える要因として挙げられています。

ダイエット中の夜の食事で意識したいこと

  • 就寝3時間前には夕食を終えるのが一つの目安とされています
  • どうしても遅くなる場合は、消化の良いものを少量に抑える方法があります
  • 夜の糖質・脂質の過剰摂取は体脂肪として蓄積されやすい可能性があります
  • 夜の食欲が強い場合は、昼食のボリュームを少し増やして調整する方法も取られることがあります
ℹ️ 睡眠とカロリー消費

「寝ている間もカロリーを消費する」という話を耳にすることがありますが、睡眠中の基礎代謝によるカロリー消費は体重・年齢・睡眠の深さによっても異なります。睡眠を「ダイエットのための手段」として過度に意識するよりも、「食事・運動・睡眠」の3つをバランスよく整えることが、結果的に体重管理にもつながりやすいとされています。


→ダイエットと睡眠の関係とは?痩せやすい睡眠時間の目安と質を上げる習慣

五藤良将 医師
五藤良将 医師
「夜に食べたら翌朝だるかった」「コーヒーを飲んだら眠れなかった」??こうした経験は、多くの方が一度はお持ちではないでしょうか。
この記事では、睡眠と食事・飲み物の関係について、カフェインの代謝から就寝前の食品選び、ダイエットとの関連まで幅広くまとめられています。どれも日常生活にすぐ取り入れられる内容ばかりです。
医師の立場からお伝えしたいのは、「完璧を目指しすぎない」ということです。仕事や育児で夕食が遅くなる日もあるでしょうし、付き合いでお酒を飲む夜もあるでしょう。毎日厳密に守ることよりも、「なんとなくやっていた習慣」を少しだけ意識的に変えてみることが、睡眠の質改善への第一歩になります。
たとえば、夜のコーヒーを麦茶やハーブティーに替えるだけ、食後にすぐ横にならずもう少し起きているだけ??そんな小さな積み重ねが、翌朝の目覚めの違いにつながることがあります。
もし胸焼け・胃もたれ・慢性的な不眠など、気になる症状が続く場合は、ご自身だけで抱え込まず、かかりつけ医にお気軽にご相談ください。睡眠の悩みは、生活習慣の見直しと医療的なサポートを組み合わせることで、改善できるケースが少なくありません。
皆様の毎晩の眠りが、少しでも深く、心地よいものになりますように。

まとめ:就寝前の飲食ルール一覧

ここまでの内容を、就寝前の飲食に関する行動目安として整理しました。あくまで一般的な目安であり、体質・体調・生活リズムによって合う方法は異なります。

タイミング 推奨・注意点
就寝3時間前まで できれば夕食を終える。遅くなる場合は消化の良いものを少量に
就寝4〜6時間前から カフェイン(コーヒー・緑茶・玉露・エナジードリンクなど)を避けるのが無難
就寝1〜2時間前 温かい白湯・ハーブティー・麦茶などはOK。はちみつ少量も取り入れやすい
就寝直前 大量の水分摂取は夜中のトイレの原因になることも。200ml程度が目安
空腹で眠れない時 バナナ半分・ナッツ少量・はちみつ入り白湯など低GIのものを少量

よくある質問

Q:ほうじ茶はカフェインが少ないと聞きましたが、夜に飲んでも大丈夫ですか?
A:ほうじ茶のカフェイン量は焙煎度によって異なり、必ずしも少ないとは限りません。100mlあたり煎茶と同程度(約20mg前後)含まれる場合もあります。就寝前に飲むなら、カフェインゼロの麦茶やハーブティーのほうが安心といえます。詳しくはほうじ茶のカフェイン量の記事をご覧ください。
Q:寝る前にホットミルクを飲むと本当に眠れるようになりますか?
A:牛乳に含まれるトリプトファンがメラトニンの原料になるとされているため、睡眠との関連が研究されています。ただし「飲めば必ず眠れる」というものではなく、体を温めたりリラックスしたりする効果も合わさった複合的な作用と考えるのが自然です。詳しくは寝る前の牛乳の記事をご参照ください。
Q:夕食が夜10時を過ぎてしまいます。何か気をつけることはありますか?
A:就寝前の時間が短くなる場合は、脂質・糖質の多いものを避け、消化の良いものを少量に抑えることが一つの方法です。うどん・おかゆ・豆腐・スープなど、胃への負担が比較的少ない食品が選ばれることが多いです。食べた後はすぐ横にならず、30分〜1時間程度は上体を起こしておくことも意識できると良いでしょう。
Q:ダイエット中、夜に炭水化物を食べると太りやすいですか?
A:「夜の炭水化物は太りやすい」という考え方はよく聞かれますが、1日全体の摂取カロリーとのバランスのほうが影響は大きいとされています。ただし、就寝直前に大量に食べることで消化が追いつかなかったり、睡眠の質が下がったりすることは起こり得ます。夜の食事は量を調整し、翌朝の昼食で補う方法もとられています。
Q:アルコールを飲むと眠れる気がしますが、睡眠に良いのですか?
A:アルコールは入眠を早める一方で、睡眠の後半の質(とくにレム睡眠)を低下させる可能性があるとされています。「眠れた気がする」一方で「翌朝すっきりしない」という経験がある方は、このメカニズムが関係しているかもしれません。習慣的な寝酒は睡眠障害のリスクにもなり得るとされており、専門家への相談も選択肢のひとつです。

※本記事は医師監修のもと作成した一般的な情報提供を目的としており、個別の医療上のアドバイスではありません。体調や症状に関して気になることがある場合は、医療機関へのご相談をおすすめします。