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監修者
松本 恭
「健康の秘訣はぐっすり眠ること」がモットーで、これまでウォーターベッド、ウッドスプリングベッド、西式健康枕、ハンモックなどさまざまな寝具の寝心地を追求してきた睡眠マニア。偶然出会ったコアラマットレス®︎の快適さに感銘を受け、メンバーとして参加。上級睡眠健康指導士としての知識を通して、より多くの人に快眠を届けたいと願っている。
「最近なかなか寝つけない…」「朝起きても疲れが取れない…」なんて感じていませんか?さらに「便秘がちでお腹もスッキリしない」といった状態だと、健康のために何か始めたい、けれど運動は続かないしサプリメントはお金がかかるのが悩ましいですね。そんなとき、「寝る前にヨーグルトを食べるといいらしい」なんて話に興味を持った人も多いのではないでしょうか。
「本当に効果あるの?」「太らないかな?」「虫歯は大丈夫?」など、色々な疑問や不安があるかもしれませんが、実は寝る前のヨーグルトには、科学的に証明されたすごい効果がたくさんあるんです。正しい食べ方を知れば、睡眠の質がグッと上がるだけでなく、便秘解消、美肌、ダイエット、さらには骨の健康までサポートしてくれます。
さあ、一緒にその秘密を覗いてみましょう!この記事では、夜にヨーグルトを食べることで得られる嬉しい効果と、その効果を最大限に引き出すための食べ方についてご紹介します。どんなヨーグルトを選べばいいのか、いつ、どのくらい食べればいいのかなど、今日からすぐに始められるヒントが満載です。科学的な根拠に基づいた情報を分かりやすく解説しているので、ぜひ参考にしてみてください。
寝る前にヨーグルトを食べることで得られる3つの睡眠改善効果

腸内環境が整い、睡眠をサポートするホルモンを増強
腸内には、幸福感や精神の安定に関わる神経伝達物質・セロトニンがおよそ90%も存在しています。セロトニンは、腸内細菌が作る「短鎖脂肪酸」という物質によって生成されます。短鎖脂肪酸は、腸の働きを活発にするだけでなく、腸内の環境を良好に保つ役割も担っているため、腸内環境が乱れてせっかく作られたセロトニンが腸内で消費されてしまうと、脳へ届きにくくなってしまうのです。しかも、セロトニンは睡眠ホルモンであるメラトニンの材料となります。日中にセロトニンが十分に生成されていれば、夜になってメラトニンに変換され、質の高い睡眠につながるのです。
つまり、腸内環境を整えることは、セロトニンとメラトニンの両方を増やすカギです。加えて、ヨーグルトなどに含まれる乳酸菌は腸内細菌のエサとなり、善玉菌を増やして腸内環境を改善してくれます。腸内環境を整えれば、幸せホルモンが作られ、睡眠の質を高めてくれるのです。
カルシウムは夜に摂取するのが良い可能性
カルシウムは、骨や歯を強くし、神経や筋肉の働きを正常に保つために欠かせないミネラルです。しかし、せっかく摂取しても半分以上は体外に排出されます。特に高齢になると吸収率はさらに下がり、骨粗鬆症や骨折のリスクを高めるため、効率よくカルシウムを摂取する方法を知っておくことが大切なのです。
最近の研究では、時間栄養学の観点から、カルシウムの吸収効率に最適な時間帯がある可能性が示唆されています。マウスを使った動物実験では、小腸のカルシウム吸収機能が体内時計によって調節されており、朝よりも夜の方が吸収率が高いという結果が出ています。夜間に摂取することで、骨への定着も促されやすくなると考えられているのです。1)
たんぱく質による睡眠中の体の修復をサポート
ヨーグルトは、カルシウムや乳酸菌だけでなく、良質なタンパク質も豊富に含んでいます。タンパク質は睡眠の質向上に重要な役割を果たします。
私たちの体は、睡眠中に日中活動したことによって生じた筋肉や組織のダメージを修復しています。この修復作業に欠かせないのが、タンパク質を構成するアミノ酸です。しかし、体はタンパク質を長期間貯蔵しておくことができないため、食事などで定期的に補給しなければいけません。
夜間にタンパク質を摂取すると、睡眠中の修復作業に必要な材料を供給できるため、効率的な体の回復を促すことができます。ヨーグルトは消化吸収が比較的ゆるやかなため、睡眠中にアミノ酸が安定して供給されやすいという利点もあり、朝起きたときの疲労感の軽減や翌日のパフォーマンス向上につながるのです。

ヨーグルトに含まれる乳酸菌と睡眠の研究

良質な睡眠に乳製品摂取が有効
米コロンビア大学の研究者による大規模なレビュー(総説)において、乳製品の摂取が睡眠の質に与える影響について多くの研究結果がまとめられました。この研究は、日本や欧米を含む50万人規模の観察研究から少人数の介入試験まで、様々なデータを体系的に整理しています。その結果、乳製品を日常的に摂取している人は、良好な睡眠指標と関連があることが示されました。特に、特定の成分を含む飲料は、睡眠時間の延長や睡眠効率の向上に効果があることがわかっています。また、発酵乳は睡眠効率を高め、夜間の途中で目が覚める回数を減らす効果も報告されています。
これらの効果は、乳製品に豊富に含まれる睡眠ホルモンの材料となるトリプトファンや、その働きをサポートするマグネシウム・亜鉛・ビタミンB6などの栄養素によるものと考えられています。さらに、発酵乳が腸内環境を改善し、間接的に睡眠の質を向上させている可能性も示唆されているのです。2)
ストレスが高い成人の睡眠の改善が期待できる
日本の研究機関による臨床試験で、特定の乳酸菌がストレスを感じやすい成人の睡眠の質を改善する可能性があると示されました。健康な男女を対象に、乳酸菌を4週間摂取するグループとプラセボ(偽薬)を摂取するグループに分けて比較した結果、乳酸菌を摂取したグループは脳波の測定で総睡眠時間が有意に延長していることが確認されたのです。
特に、ストレスを強く感じている人々ではこの効果がより顕著で、起床時の眠気や爽快感も改善されました。また、気分の評価指標でも、乳酸菌摂取グループで気分の改善が見られました。この研究において、4週間の摂取期間中に安全性の問題が起きた報告はありません。
しかし、乳酸菌がどのようなメカニズムで睡眠の質を改善するのか、その詳細な仕組みはまだ明らかになっていません。今後、より広範な年齢層や状況の人々を対象にした研究を通じて、効果の一般化やメカニズムの解明が期待されています。この研究は、日々のストレスによって睡眠の質が低下しがちな現代人にとって、乳酸菌の摂取が有効な対策の一つとなりうる可能性を示唆しているといえるでしょう。3)
効果を最大化する寝る前ヨーグルトの正しい食べ方

就寝2〜3時間前がベストなタイミング!
就寝直前の食事は、胃が動き続けるため入眠の質が下がりやすいです。就寝2〜3時間前なら消化に余裕が生まれ、逆流や胸やけの予防にもつながります。ヨーグルトは軽食で負担が小さいのも好相性で、夕食→入浴→ヨーグルト→就寝と並べると習慣化しやすく、血糖の乱高下や夜間覚醒のリスクも下げられます。まずは同じ時刻で1〜2週間試しましょう。
適切な量は100g〜200g!食べ過ぎは注意!
摂取量の目安は100〜200gです。夜でも重くなりにくい範囲で、乳酸菌とたんぱく質をしっかり補えます。食べ過ぎはカロリー過多や胃もたれを招き、夜間の逆流やトイレ覚醒の一因になるため、乳糖不耐が気になる方は少量から始めましょう。同じ銘柄で2週間ほど続け、体調と眠気の変化をメモに残します。合わなければ量や時間を微調整してください。
無糖・低脂肪ヨーグルトを選ぶのも大切!
夜は血糖の急な上下を避けたい時間です。加糖タイプは高GIになりやすく、眠りを乱す要因になる一方、無糖プレーンは余分な糖を足さずに済みます。低脂肪なら消化が軽く、就寝前でももたれにくいうえにカロリーを抑えられる点もメリットです。甘みが欲しい時は成分表示で糖類と脂質を確認し、果物を少量、もしくははちみつ小さじ1を加えてみましょう。
寝る前ヨーグルトと合わせて実践したい睡眠の質を高める3つの習慣

まずはメリハリのある生活を!適度な運動もポイント!
質の良い睡眠には、日々の生活にメリハリをつけることが非常に重要です。私たちの体には体内時計が備わっており、このリズムを整えることがスムーズな眠りにつながります。
最初のステップは、毎朝決まった時間に起きて日光を浴びることです。太陽の光を浴びると体内時計がリセットされ、活動モードに切り替わります。夜になると、そのリズムに合わせて自然と眠気が訪れます。
日中に適度な運動を取り入れることも効果的です。軽いウォーキングやジョギング、ストレッチなど、無理のない範囲で体を動かしてみましょう。ほどよい疲労感が生まれ、寝つきが良くなります。ただし、就寝前の激しい運動は体を興奮させてしまうため避けましょう。規則正しい生活と適度な運動を組み合わせることで、睡眠の質は格段に向上します。
規則正しい生活リズムで体内時計を整える
日光を浴びることも大切ですが、あわせて非常に重要なのが「光を浴びない」ことです。真逆のことをいっているように聞こえますが、朝は光を浴びて、夜は光を浴びないという意味です。メラトニンはよく誤解されますが、睡眠ではなく光環境に依存するホルモンで、明るい環境では分泌が抑制される点に注意しましょう。部屋の蛍光灯などは一般家庭でもメラトニンの分泌を抑制するには十分な明るさがあるため、夜はなるべく暗い環境で生活すると体内時計を整えやすくなります。
光環境と合わせて寝室環境を整える
夜の室内を暗くするのに合わせて寝室環境を整えることも大切です。寝室環境には光以外に音環境、温湿度、寝具などがあります。環境は暗く静かで、涼しい環境を維持しつつ、マットレスなどの寝具は自分の合ったものや好みのものを選びましょう。
寝る前のヨーグルトと良質な睡眠環境で理想の睡眠を実現しよう

この記事では、単にヨーグルトが「良い」という情報だけでなく、カルシウムの吸収率が夜に高まる理由や、睡眠に関するホルモンとの関係など、納得できる科学的な根拠をわかりやすく解説しました。
夜にヨーグルトを食べることは、睡眠の質を高めるための要素が詰まっています。乳酸菌が腸内環境を整えるだけでなく、タンパク質が睡眠中の体の修復を助け、翌朝の疲労感の軽減が期待できます。また、睡眠以外の注意点に目を向けると、およそ就寝の2〜3時間前に100〜200gの無糖・低脂肪ヨーグルトを食べるのが理想的と言えるでしょう。
自分の悩みに合わせて最適なヨーグルトの選び方や食べ方がわかるため、今日からすぐに実践することも可能です。今日から「夜ヨーグルト習慣」を始めて、心も体もリフレッシュした状態ですっきり目覚められる朝を迎えてみませんか?
参考
1)Kawai et al., 2019, JCI Insight
Kawai M, Kinoshita S, Yamazaki M, et al. (2019). Intestinal clock system regulates skeletal homeostasis. JCI Insight, 4(5):e121798. https://doi.org/10.1172/jci.insight.121798
2)St-Onge et al., 2023, Advances in Nutrition
St-Onge M-P, Zuraikat FM, Neilson M. (2023). Exploring the Role of Dairy Products In Sleep Quality: From Population Studies to Mechanistic Evaluations. Advances in Nutrition, 14:283–294.
https://doi.org/10.1016/j.advnut.2023.01.004
3)Murakami et al., 2024, Nutrients
Murakami H, Ko T, Ouchi H, Namba T, Ebihara S, Kobayashi S. (2024). Bifidobacterium adolescentis SBT2786 Improves Sleep Quality in Japanese Adults with Relatively High Levels of Stress: A Randomized, Double-Blind, Placebo-Controlled Study. Nutrients, 16(11):1702.










