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監修者

田中 貫平
医師・メンター・タッチベースドマインドフルネス/shinsetsu-tion考案者・Gallup認定ストレングスコーチ・インド中央政府公認ヨガインストラクター
2013年英国シェフィールド大学医学部卒。
手稲渓仁会病院にて初期研修後、2020年九州大学病院心療内科に入局。国際医療福祉大学成田病院では緩和ケアチームにも所属。2024年からはフリーランスの医師として活動している。一般の方から学生、経営者、スポーツ選手など幅広い層のクライアントに対して傾聴およびマインドフルネスの実践指導や心理療法を提供、あらゆる病気や未病(不眠症も含む)の治療や予防改善に取り組んでいる。
「ほうじ茶は香ばしくて美味しいし、他の飲み物と比べてカフェインが少ないって言われるけど、実際にはカフェインはどのくらい入っているの?」と気になったことはありませんか。ほうじ茶のカフェイン量が睡眠にどんな影響を与えるのか、不安に思う読者の皆様もいるでしょう。
この記事では、ほうじ茶のカフェイン含有量とその他の飲み物との比較から睡眠への影響、適切な飲み方まで、国民生活センターの実測データや厚生労働省の摂取目安に基づき、詳しく解説します。
ほうじ茶のカフェイン含有量はどれくらい?実測データで検証
ほうじ茶のカフェイン量がどのくらいなのかは、意外と知られていません。市販品の実測値、その他の飲み物との比較など詳しく解説します。
日本食品標準成分表vs市販品の実測値
日本食品標準成分表によると、ほうじ茶のカフェイン含有量は滲出液100gに対して20mg、実は緑茶であるせん茶と同程度(100mlあたり20mg)とされています。*1
この値は、ほうじ茶15g、90℃の湯650ml、0.5分という測定条件で抽出されたものです。
国民生活センターの調査では、市販のほうじ茶飲料は成分表の値より実測値のほうが少ない傾向でした。これは成分表は一定の抽出条件で測定しますが、市販品では独自の方法で抽出します。この違いが、カフェイン含有量にも影響しているようです。
コーヒー・紅茶・緑茶との比較
ほうじ茶のカフェイン含有量を他の飲み物と比較してみましょう。
| 飲み物 | カフェイン含有量(mg/100ml) | ほうじ茶との比較 |
|---|---|---|
| ほうじ茶 | 20mg | – |
| 麦茶 | 0mg | カフェインフリー |
| ウーロン茶 | 20mg | 同程度 |
| 緑茶(せん茶) | 20mg | 同程度 |
| 紅茶 | 30mg | 1.5倍 |
| コーヒー | 60mg | 3倍 |
| 緑茶(玉露) | 160mg | 8倍 |
ほうじ茶はせん茶と同量のカフェインを含みます。コーヒーの約1/3、紅茶の約2/3程度のカフェイン量です。意外かもしれませんが、緑茶でも玉露の場合、カフェイン含有量はほうじ茶のなんと8倍、コーヒーと比べても2.5倍以上となります。
ほうじ茶の渋味成分タンニンはカフェインの作用を緩やかにする効果があるため、カフェインの作用を抑えたい時は、コーヒーよりほうじ茶を選ぶとよいかもしれません。
ペットボトルサイズ別のカフェイン量
ペットボトルのほうじ茶のカフェイン含有量は以下の通りです。
– 350mlボトル:70mg
– 500mlボトル:100mg
– 2Lボトル:400mg
健康な成人の1日のカフェイン摂取目安量は400mgとされているため、ほうじ茶だと500mlボトル4本、または2Lボトル1本となります。
食事中にほうじ茶を飲まれる方は、摂取量やコーヒーなど他の飲料との飲み合わせに注意が必要です。一度、毎日の飲み物の種類や量を振り返ってみてください。
関連記事:睡眠の質を上げる飲み物なんてあるの?おすすめ10選を紹介
睡眠と食事・飲み物の関係について網羅的に知りたい方はこちら→「睡眠と食事・飲み物の関係|寝る前に避けるべきもの・積極的に摂りたいもの」
ほうじ茶のカフェインが睡眠に与える影響と適切な飲用時間
健康のために睡眠の質はとても大切です。カフェイン摂取のタイミングは、睡眠に影響があるといわれています。カフェインの睡眠への影響と仕組みを解説し、夜間の代替飲料もご紹介します。
カフェインの半減期と睡眠への影響メカニズム
私たちの体には、神経を落ち着かせるアデノシンという物質があります。日中の活動で徐々に私たちの脳内にアデノシンが自然と溜まっていくことで眠気を感じるのですが、カフェインにはアデノシンの働きを妨げ脳を覚醒させ、眠気を覚ます作用があります。
摂取した物質が、体内で半分の濃度になるまでの時間を半減期と言います。日本人のカフェインの半減期は3〜7 時間と個人差があります。*2
また、半減期を迎えてもカフェインの効果が続くかどうかについても個人差があります。
就寝前の適切な飲用タイミング
カフェインは摂取後、半減期の影響で私たちの体内で長時間影響が続くことがあります。研究の結果から、就寝の遅くとも8.8時間前から107mgを超えるカフェイン摂取を控えることが推奨されています。*3
つまり、 夕方以降のカフェイン摂取は睡眠の悪影響となる可能性が非常に高くなるのです。
ほうじ茶(100mlあたり20mg)はコーヒー(100mlあたり60mg)ほどカフェインは含まれませんが、それでもカフェインは入っていますから、就寝4〜5時間前以降はほうじ茶ではなくカフェインレスやノンカフェインの飲み物を選んでみてはいかがでしょうか。特にカフェインに敏感な人は、さらに早い時間からカフェインを控えてみましょう。
夜におすすめの代替飲料
睡眠をさまたげず、ほっと一息つける飲み物を紹介します。ほうじ茶の代替飲料や就寝前のリラックスタイムにおすすめです。
麦茶
焙煎大麦ならではの香ばしい香りと軽い後味が特長です。冷やしても雑味が出にくく、ごくごく飲めるので夏場の水分補給に向いています。温めると香りが立ち、就寝前でも楽しめます。
ルイボスティー
南アフリカ原産で赤褐色の茶液と甘いバニラの香りが魅力です。渋みがほとんどなく、飲みやすいのでファンが多いお茶の一つです。
グリーンルイボスティー
発酵工程を省いた緑色のルイボスティーです。淡い黄金色で、爽やかな香りと甘みが特徴です。口当たりも軽く、発酵タイプよりポリフェノールが多いとされます。温かくても冷たくてもすっきりして飲みやすいです。
カフェインレスほうじ茶
強めに焙煎し、カフェインを大幅にカットしたほうじ茶です。香ばしい焙煎香と緑茶の旨味があり、渋みは控えめです。ほうじ茶の香りで、くつろぎたい夜におすすめです。
カモミールティー
リンゴに似た甘い香りとリラックス効果が有名なハーブです。湯気を深く吸い込むと副交感神経が優位になり、リラックスできるといわれます。ミルクを入れて飲むのもおすすめです。
ラベンダーティー
フローラルな香りと鎮静作用で人気が高いハーブです。華やかなアロマで、気分を落ち着かせたいときに向いています。
レモンバームティー
ノンカフェインで安眠効果があるといわれています。消化を助ける効果もあるので、夕食後のお茶にぴったりです。レモンのような爽やかな香りとほのかな甘味をお楽しみください。
ほうじ茶の適切な摂取量ガイド

ここでは、厚生労働省のHPで喚起している基準に基づき、健康な成人、妊婦、子どもの適切な摂取量を具体的に解説します。*4
健康な成人
カナダ保健省では、健康な成人で400 mg、ほうじ茶20杯としています(100ml/20mgで計算)。
妊婦・授乳中の方の摂取目安
英国食品基準庁(FSA)は1日200mg、カナダ保健省は1日300mgと、WHOより厳しい基準を設けています。ほうじ茶10杯〜15杯に相当する量です。妊婦の過剰なカフェイン摂取は出生児の低体重のリスクや自然流産のリスクの指摘もあるため、1日200mg以下が望ましいです(ほうじ茶10杯以下)。*5
コーヒーや紅茶、ココア、チョコレートなど、ほうじ茶以外の他にもカフェインをとる場合、その量も合計して気をつけましょう。
子どもの年齢別摂取ガイドライン
カナダ保健省は、年齢別に子どもの1日のカフェイン摂取量を以下のように定めています。
| 年齢 | 摂取上限 | ほうじ茶の杯数 |
|---|---|---|
| 4~6歳 | 最大45mg | 約2杯まで |
| 7~9歳 | 最大62.5mg | 約3杯まで |
| 10~12歳 | 最大85mg | 約4杯まで |
子供はカフェインに対する感受性が大人より高いため、摂取は朝に限るなど注意が必要です。
カフェイン感受性が高い方への配慮
カフェインの感受性は個人差が大きく、健康への影響を評価することは困難です。人によっては、1杯のコーヒーでもめまいや動悸、不眠、頭痛などが生じることがあります。
急なカフェイン断ちによって頭痛や倦怠感が起こる場合も少なくありません。その場合、段階的に量を減らしましょう。
カフェインを控えたい時の賢いほうじ茶の楽しみ方

続いてカフェインを控えながらほうじ茶を楽しむ実践的な方法をご紹介します。
水出しほうじ茶でカフェイン半減
農林水産省の研究で、カフェインの量を約半分にする方法として冷たい水で緑茶を淹れるという方法が紹介されています。*6
それだけでいいの?と驚きますよね。しかも苦味成分のカフェインが減り、うま味を感じやすくなる効果まであるそうです。10℃前後の冷水で緑茶を淹れると、熱いお湯で入れた場合の約半分のカフェイン量になるそうです。この方法で、ほうじ茶のカフェインも同様に減らすことができます。
水出しほうじ茶の作り方:
- ほうじ茶葉10gに対し、冷水500mlを用意
- 茶葉を水に入れ、冷蔵庫で8時間以上抽出
- 茶こしで茶葉を取り除いて完成
夜寝る前に茶葉とお水を入れて冷蔵庫に入れておけば、翌朝には美味しい水出しほうじ茶が完成します。
カフェインレスほうじ茶の選び方
続いて、特殊な製法でカフェインを取り除いたカフェインレスほうじ茶のご紹介です。「水抽出法」や「二酸化炭素抽出法」といった薬品を使わない方法でカフェインを除去します。これらは安全性が高い方法で、薬品の残留などの心配がありません。
カフェインを90%以上除去しているものは「カフェインレス」や「デカフェ」と表示されるのが一般的です。完全にゼロを求める場合は「ノンカフェイン」や「カフェインゼロ」と表示された製品を選ぶとよいでしょう。
時間帯別の飲み分けテクニック
最後にカフェインを意識して、1日の時間帯に合わせたほうじ茶の飲み方を紹介します。
朝(6:00-10:00):通常のほうじ茶
朝の1杯は、通常のほうじ茶を楽しみます。お茶を淹れる動作と適度なカフェインが目覚めを助けてくれます。
午後(14:00-17:00):水出しほうじ茶
午後は水出しで、カフェイン量を抑えながら、お茶を楽しんでください。ほうじ茶はどんな食べ物にも合うので、おやつのおともにも最適です。
夜(19:00以降):カフェインレスほうじ茶やノンカフェインティー
夜のカフェインは、質の良い睡眠には禁物です。夕方以降は、カフェインレスのほうじ茶やノンカフェインティーなど先ほど紹介したお茶を選んでみましょう。心地よい睡眠に向かう準備のお茶で心と体が潤されます。
このように飲まれてみると、カフェイン量をコントロールしながら、1日を通してほうじ茶を楽しむことができます。読者の皆様の生活に合わせてアレンジしてみてくださいね。
まとめ:良質な睡眠のために知っておきたいほうじ茶との付き合い方
この記事では、ほうじ茶のカフェイン量と睡眠への影響について詳しく解説してきました。覚えておきたい大切なポイントをまとめます。
ほうじ茶と良質な睡眠のための3つの基本
– ほうじ茶のカフェイン量は100ml中20mg(緑茶のせん茶と同量)
– 健康な成人は1日20杯を目安にする(カフェイン 1日400mg)
– 妊婦は1日10杯以下、子どもは年齢に応じて2~4杯を目安にとどめる
– 就寝5時間前までの飲用に留めることで良質な睡眠を守る
カフェインが気になる方は、水出しやカフェインレス茶を活用しましょう。
よくある質問
Q1. ほうじ茶はなぜ他のお茶よりカフェインが少ないと言われるのですか?
理由は主に2つあります。1つ目は使われる茶葉の収穫時期です。ほうじ茶には新芽(一番茶)ではなく二番茶・三番茶以降の葉が使われることが多く、成長した茶葉はカフェイン量が少ない傾向があります。2つ目は焙煎の工程です。高温で茶葉を炒る際に一部のカフェインが昇華(気化)して失われます。この2つの要因が重なり、「ほうじ茶はカフェインが少ない」というイメージが生まれています。
Q2. 茎ほうじ茶(棒茶)は通常のほうじ茶よりカフェインが少ないですか?
はい、少ない傾向があります。カフェインは茶葉の「葉」よりも「茎」の部分に少なく含まれています。茎ほうじ茶(棒茶)は煎茶や玉露の製造過程で出た茎を焙じたものなので、葉を使ったほうじ茶より苦みや渋みが少なく、カフェインも控えめです。カフェインをより抑えたい方は、茎ほうじ茶を選ぶのも一つの方法です。
Q3. 深煎りほうじ茶は浅煎りよりカフェインが少ないですか?
少ない傾向があります。焙煎の度合いが強いほど、カフェインが昇華する量が多くなります。そのため、じっくり深く焙煎された深煎りほうじ茶は、通常の焙煎のものよりカフェイン量が少なくなりやすいです。ただし商品によって差があるため、パッケージの表示やメーカーの情報を確認するのがより確実です。
Q4. ほうじ茶の2煎目はカフェインが減りますか?
はい、減ります。同じ茶葉でお湯を注ぐと、1煎目で多くのカフェインが溶け出すため、2煎目のカフェイン量は1煎目のおよそ半分程度になると言われています。カフェインを抑えながらほうじ茶の香りや味わいを楽しみたい場合は、意識的に2煎目以降を飲むのも効果的な方法です。
Q5. ほうじ茶の香りにはリラックス効果がありますか?
あるとされています。ほうじ茶の焙煎時に生まれる「ピラジン」という香り成分には、血行促進や自律神経のリラックスを助ける効果があるとされています。また緑茶と同じくテアニンというアミノ酸も含まれており、こちらもリラックスをうながす働きが知られています。カフェインの覚醒作用がある一方で、香り成分がリラックスにも働きかけるというのがほうじ茶の特徴的なバランスです。
Q6. ほうじ茶ラテにするとカフェイン量は変わりますか?
ほうじ茶自体のカフェイン量は変わりません。ミルクを加えてもほうじ茶のカフェインが薄まるわけではなく、使うほうじ茶の量(茶葉・濃度)によって決まります。ただし市販のほうじ茶ラテ製品は砂糖や香料が加わっており、カフェイン量は商品ごとに異なるため、パッケージを確認するのがおすすめです。
参考
- 飲料のカフェイン含有量に関する調査 | 国民生活センター
- 健康づくりのための睡眠ガイド 2023
- The effect of caffeine on subsequent sleep: A systematic review and meta-analysis
- 食品に含まれるカフェインの過剰摂取についてQ&A | 厚生労働省
- Pregnant women advised to limit caffeine consumption
- 緑茶の美味しさと機能性を両立する「水出し緑茶」 | 農林水産省




