睡眠コラム by 南 茂幸2026年6月27日読了目安時間: 5

思春期の睡眠障害とは?眠れない・朝起きられない原因と家庭でできる対処法

南 茂幸
理学療法士/睡眠コンサルタント

理学療法士の資格を持つ睡眠コンサルタント。睡眠について数名から100名以上の規模でセミナー講師として登壇、他にもコンサルティング、ラジオ出演、睡眠グッズ監修等幅広く活躍。「睡眠の質が人生の質」と捉え、睡眠は自分への投資であると考え、現在出版準備中。

「夜なかなか眠れない」「朝起きられない」「休日は昼まで寝ている」「授業中に眠そうにしている」―思春期の子どもにこうした様子が見られると、「ただの夜ふかしなのか」「睡眠障害なのか」「病院に相談したほうがいいのか」と不安になる保護者は少なくありません。

実は思春期は、体内時計の変化によって睡眠リズムが乱れやすい時期です。さらに、中学生や高校生は部活動や塾、受験勉強、友人関係、スマホ利用などの影響も受けやすく、慢性的な睡眠不足に陥りやすい特徴があります。

この記事では、思春期の睡眠障害でよくみられる症状、睡眠リズムが乱れやすい理由、家庭でできる対処法、病院へ相談する目安までわかりやすく解説します。

 

思春期の睡眠障害でよくある症状

睡眠障害というと「夜眠れない状態」を想像する人が多いかもしれません。しかし、思春期の睡眠問題は単純な不眠だけではありません。夜眠れないことに加え、朝起きられない、日中も眠い、寝ても疲れが取れないなどの症状がみられます。

睡眠の量・質・タイミングのいずれかに問題が生じることで、さまざまな症状として現れます。

1. 夜眠れない

思春期の不眠では、布団に入ってもなかなか寝つけない状態がよく見られます。例えば、ベッドに入ってから1〜2時間眠れない、気づくと深夜1〜2時になっている、寝ようとすると不安や焦りが出る、休日だけ極端に夜更かしするといった状態です。

中学生や高校生では、受験勉強や部活動、友人関係の悩みなどによるストレスが影響することがあります。また、寝る直前までスマホやゲームを利用する習慣も寝つきの悪化につながります。

2. 朝起きられない

保護者が悩みやすいのが「朝起こしても起きない」という問題です。寝不足による寝坊だけでなく、睡眠リズムや体内時計そのものが後ろへずれているケースもあります。

その結果、目覚ましが聞こえない、起こしても反応しない、午前中は頭が働かない、登校準備が間に合わないなどの状態が続くことがあります。

朝起きられない状態が続くと、遅刻や欠席につながり、学校生活にも大きな影響を与えます。

3. 日中に強い眠気がある

夜は十分寝ているつもりでも、日中に強い眠気が出る場合があります。例えば、授業中に居眠りする、学校から帰ると寝てしまう、休日は半日以上寝ている、寝ても寝ても眠いといった状態です。背景には睡眠不足だけでなく、睡眠の質の低下や生活リズムの乱れが関係していることがあります。

また、起立性調節障害などの疾患が隠れている場合もあるため、長期間続く場合は注意が必要です。

 

思春期に睡眠リズムが乱れやすい理由3選

保護者としては、「もっと早く寝ればいいのに」と思うこともあるでしょう。

しかし、思春期は発達による体や心の変化だけでなく、生活環境の変化も重なりやすい時期です。睡眠の問題は必ずしも本人の意思だけで説明できるものではありません。

1. 体内時計がずれやすい

思春期になると、体内時計の働きが変化します。睡眠を促すホルモンであるメラトニンの分泌開始時刻が遅くなるため、自然と眠くなる時間も後ろへずれやすくなります(※1)。

そのため、夜になってもそもそも眠くならない、朝は強い眠気が残る、平日は睡眠不足になるという状態が起こりやすくなるのです。

これは本人の努力不足ではなく、思春期特有の生理的変化でもあります。

※1:健康づくりのための睡眠ガイド2023

2. 勉強や部活で夜の時間が圧迫される

中学生や高校生は非常に忙しい時期で、人によっては、学校が終わった後も部活動や習い事、塾、宿題、受験勉強などが続きます。

帰宅時間が遅くなると、夕食や入浴の時間も後ろ倒しになり、結果として就寝時刻も遅くなりがちです。慢性的な睡眠不足が続くと、日中の集中力や学業成績にも影響が出やすくなります。

3. スマホやゲームで寝る前の刺激が増える

スマホやゲームも大きな要因です。よくブルーライトだけが問題視されますが、それ以上に注意したいのは脳への刺激です。SNSでのやり取り、動画視聴、オンラインゲームなどにより脳が覚醒し、眠気が遠のいてしまいます。

「少しだけ見るつもり」が1時間以上続くことも珍しくありません。

 

中学生・高校生の睡眠不足はどれくらい多い?

思春期の睡眠不足は決して珍しい問題ではありません。

中高生の就寝時刻と睡眠不足感

文部科学省の調査によると、翌日に学校がある日でも午前0時以降に就寝している割合は、中学生:22.0%、高校生:47.0%となっています。また、「睡眠時間が十分ではない」と感じている割合は、中学生:24.8%、高校生:31.5%でした。

つまり、睡眠不足や夜ふかしは一部の子どもだけの問題ではなく、多くの中高生が抱えている課題といえます。

※2:睡眠を中心とした生活習慣と子供の自立等との関係性に関する調査の結果(概要)

中学・高校生に必要な睡眠時間の目安

厚生労働省の「健康づくりのための睡眠ガイド2023」では、中学生・高校生は8〜10時間の睡眠を確保することが推奨されています。例えば朝6時30分に起きる場合、8時間睡眠を確保するためには22時30分頃までに眠る必要があります。

平日は睡眠不足で、休日だけ昼まで寝る生活になっている場合は、体内時計がさらに乱れやすくなるため注意が必要です。

 

家庭でできる思春期の睡眠対策

睡眠の問題を改善する際は、「早く寝なさい」と言うだけでは根本の解決にならないことが多いです。睡眠リズムを整えることを意識しましょう。

1. 起きる時間を整える

重要なのは起床時刻です。夜の就寝時間に加えて、朝起きる時間を一定にすることも意識しましょう。

起床後は、カーテンを開ける、朝日を浴びる、朝食を食べることを習慣化すると体内時計が整いやすくなります。

また、休日も平日との差を1時間以内に抑えるのが理想的です。

関連記事:【医師監修】朝日を浴びる効果とは?朝の光が睡眠と体内時計に与える影響や正しい習慣を解説

2. 昼寝は時間とタイミングを決める

日中の眠気が強い場合でも、長時間の昼寝は避けましょう。特に夕方以降の仮眠は夜の寝つきを悪くする可能性があります。

昼寝をする場合は、20〜30分程度とし、午後3時頃までを目安にするとよいでしょう。

関連記事:【医師監修】パワーナップの効果とその正しい取り方とは?

3. 寝る前のスマホや明るい照明に注意する

睡眠環境の見直しも大切です。就寝1時間前はスマホを控える、就寝時は真っ暗にする、室温や湿度を整える、寝具の寝心地を確認するといった工夫が役立ちます。

寝具が体に合っていない場合は、枕やマットレスの見直しも検討するとよいでしょう。

関連記事:自分に合うマットレスは柔らかめ?硬め?上級睡眠健康指導士がじっくり解説!

 

病院に相談したほうがよいサイン

家庭でできる生活習慣を整えても睡眠の問題が続く場合は、家庭だけで抱え込まず専門家へ相談することも大切です。

1. 生活改善をしても数週間以上続く

起床時刻やスマホ利用、昼寝などを見直しても改善がみられない場合は、別の要因が関係している可能性があります。数週間から1か月程度改善がみられない場合は、小児科や睡眠を扱う医療機関への相談を検討しましょう。

2. 学校生活に支障が出ている

遅刻や欠席が増える、授業中の居眠りが続く、成績が低下する、部活動に参加できないなどのような症状が出ている場合は受診を検討してもいいかもしれません。

睡眠の問題は学業や社会生活全体に影響するため、必要に応じて学校とも情報共有しながら対処しましょう。

3. 気分の落ち込みや身体症状がある

頭痛、腹痛、めまい、強いだるさ、気分の落ち込み、不安感のような症状を伴う場合は、心身の不調が関係している可能性もあります。起立性調節障害や自律神経の乱れ、その他の身体的・精神的要因が関係している場合も考慮する必要があるかもしれません。

これらの不調が続いている場合は、小児科や睡眠外来、必要に応じて児童精神科などへの相談を検討しましょう。

 

思春期の睡眠障害で保護者が避けたい対応

思春期の子供達は授業や部活動、習い事、受験勉強などで夜遅くまで時間に追われる生活を強いられています、加えて、友人や恋人など人間関係、ゲーム、スマホなど現代社会による複数の原因が睡眠に影響を与えています。

そんな中、どのように接したらいいのか紹介します。

1. 怠けと決めつけない

朝起きられない子どもを見ると、「やる気がない」「怠けている」と感じてしまうことがあります。しかし、思春期には体内時計の変化や睡眠リズムの後退が起こりやすく、本人も意図せずに寝つけないことがあり、苦しんでいる場合があります。

まずは責めるのではなく、何時に寝ているか、日中の眠気はあるか、体調不良はないかなどを一緒に確認することが大切です。

2. 無理に早寝だけを強制しない

睡眠リズムが後ろへずれている状態では、「今日から22時に寝なさい」と突然言われても体内時計が遅れているため眠れない可能性が高いです。逆に無理に早寝を強制することで、布団の中で眠れない、焦りが強くなる、睡眠への苦手意識が生まれることもあります。

起床時刻、朝の光、日中の活動量を整え、少しずつ睡眠リズムを前倒しするのがおすすめです。

 

思春期の睡眠障害は原因を整理し、家庭でできることから見直そう

思春期の睡眠障害は、夜眠れない不眠だけではありません。朝起きられない、日中の眠気が強い、寝ても疲れが取れないなど、さまざまな形で現れます。その背景には、体内時計の変化や生活リズムの乱れ、勉強や部活動、スマホ利用など複数の要因が関係しています。そのため、「怠けている」と決めつけるだけでは改善が難しい場合があります。

起床時刻を一定にすること、朝の光を浴びること、昼寝を見直すこと、寝る前のスマホ利用を減らすこと、睡眠環境を整えることから始めてみましょう。それでも改善しない場合や、学校生活に支障が出ている場合、頭痛やめまいなどの体調不良を伴う場合は、早めに医療機関へ相談することをおすすめします。

 

メタディスクリプション

思春期の睡眠障害について解説します。中学生・高校生に多い不眠、朝起きられない、日中の眠気の原因や睡眠リズムの乱れを詳しく紹介。睡眠不足の影響、家庭でできる対処法、睡眠障害中学生チェックのポイント、病院へ相談する目安までわかりやすく解説します。