松本 恭
コピーライター / 上級睡眠健康指導士

「健康の秘訣はぐっすり眠ること」がモットーで、これまでウォーターベッド、ウッドスプリングベッド、西式健康枕、ハンモックなどさまざまな寝具の寝心地を追求してきた睡眠マニア。偶然出会ったコアラマットレス®︎の快適さに感銘を受け、メンバーとして参加。上級睡眠健康指導士としての知識を通して、より多くの人に快眠を届けたいと願っている。

仕事中にどうしても目を開けていられなくなったり、朝から頭が重くて鏡を見るのも辛かったりすると、日々の生活を楽しむ余裕がなくなってしまいますよね。

実は私自身も、数年前までは「ただの疲れだろう」と自分に言い聞かせながら、休日を寝て過ごしても一向に回復しない体調に不安を感じていた一人でした。当時は仕事のプレッシャーや不規則な生活が重なり、寝ても寝ても取れない眠気と、こめかみを締め付けるような頭痛に毎日のように悩まされていました。

「このままではいけない」と思い立ち、自分の体調と向き合ってみると、女性特有のホルモンバランスの変化や、自分では気づかなかった睡眠の質の低下が複雑に絡み合っていることが分かりました。

本記事では、上級睡眠健康指導士の資格を持つコアラマットレス社員の松本が、多くの女性が直面しやすい頭痛と眠気の原因について、睡眠の質や生活習慣の乱れ、ホルモンバランスの影響、そして注意すべき病気のサインという視点から詳しく解説します。

頭痛と眠気が一緒に起こる主な理由

松本 恭
松本 恭
頭痛と眠気が同時に起こる理由を考えるとき、多くの人はまず睡眠不足を挙げます。

確かに睡眠不足は大きな要因のひとつですが、十分な時間眠ったはずなのに日中も眠い、休日に寝だめしても回復しない、という経験がある方も多いでしょう。「寝ても眠い」状態の背景には、睡眠時間の不足だけでなく、睡眠の質の低下生活習慣の乱れ、そして女性特有の体調変化が複合的に関係していることがあります。まずは、頭痛と眠気が重なる全体像を整理してみましょう。

睡眠不足と睡眠休養感の低下

睡眠には「量」と「質」の2つの側面があります。厚生労働省の「健康づくりのための睡眠ガイド2023」では、睡眠時間が睡眠の量を反映する指標である一方、「睡眠休養感」は睡眠の質を反映する指標だと説明されています。※1

睡眠休養感とは、目覚めたときに「よく休めた」と感じられるかどうかを表すものです。同じ睡眠時間であっても睡眠が浅い、途中で何度も目が覚める、朝になっても体が重いという状態だと、睡眠休養感が低くなりやすいとされています。

睡眠不足が続くと、日中の眠気や疲労感だけでなく、頭痛などの心身の不調も引き起こしやすいです。※1

「7時間寝たのに頭が痛い」「毎日8時間眠っているのに眠くて仕方ない」という方は、睡眠時間の長さだけでなく、目覚めたときの回復感や睡眠の深さを見直すことが手がかりになるかもしれません。

生活習慣の乱れとストレス

睡眠の質は、眠っている時間だけでなく、日中の過ごし方や生活リズム全体の影響を強く受けます。就寝時間がその日によってバラバラだったり、夜遅い時間に食事をしたり、朝食を抜いたりする習慣が続くと、体内リズムが乱れやすいです。厚生労働省の睡眠ガイドでは、睡眠休養感を下げる要因として、日中のストレス・就寝直前の夕食や夜食・朝食抜き・運動不足などが挙げられています。※1

脳の覚醒を促す寝る直前までのスマートフォンの利用など、睡眠の質を落とす生活習慣が積み重なると、睡眠が浅くなって翌朝も眠気が取れなかったり、頭痛を感じやすくなったりします。「睡眠時間は確保しているのに…」という方は、眠るまでの過ごし方や食事のタイミングを振り返ってみると良いかもしれません。

女性に多い頭痛と眠気の原因

続いて、女性特有の体調変化と頭痛・眠気の関係について詳しく見ていきます。厚生労働省のe-ヘルスネットによると、女性ホルモンは日中の眠気や睡眠に影響し、月経・妊娠・出産・更年期など女性ホルモンが大きく変動するライフイベントで睡眠問題が生じることがあるのだそうです。※2

頭痛や眠気の原因を探るうえで、「いつ症状が出るか」「どんな症状を伴うか」という視点で整理すると、自分の状態を把握しやすいでしょう。

生理前のPMSによる頭痛と眠気

毎月、生理の前になると頭が痛くなったり、やたらと眠くなったりする経験がある方は、PMS(月経前症候群)が関係している可能性があります。厚生労働省の「こころの耳」では、PMSは排卵から月経までの2週間ないし1週間ほどの間に、イライラ・落ち込み・腹痛・乳房の張り・腰痛・頭痛・頭重感・眠気などが繰り返し出現し、人間関係や日常生活に支障をきたすことがあると説明されています。※3

PMSかどうかを見分けるポイントのひとつは、月経が始まると症状が軽くなるかどうか、そして毎月同じ時期に症状が繰り返されるかどうかです。生理前だけに頭痛や眠気が集中して出るようであれば、PMSの可能性として婦人科に相談することも選択肢のひとつです。生理前にはプロゲステロンの影響や深部体温リズムの変化により、睡眠が浅くなりやすかったり、日中の眠気が強まったりすることは珍しくありません。

更年期による睡眠の乱れと頭痛

40代後半から50代にかけて、生理が不規則になり始めたころから、眠れない・眠りが浅い・夜中に何度も目が覚めるといった睡眠の変化を感じる方が増えてきます。これは、女性ホルモン(エストロゲン)の急激な低下によって自律神経が乱れやすくなることが主な理由とされています。更年期障害の症状として代表的なほてり(ホットフラッシュ)や発汗、動悸などが夜中に起こると睡眠が妨げられ、朝になっても疲れが取れず、頭痛や強い眠気につながりやすいです。

ただし、眠気や頭痛があるからといって、すぐに「更年期障害だ」と決めつけるのは早計です。同じような症状でも、PMS・貧血・甲状腺の不調・睡眠時無呼吸症候群など、ほかの原因が重なっている場合もあります。症状が日常生活に支障をきたすほど強い場合や、長期間にわたって続く場合は、婦人科や内科への相談を検討してみてください。

貧血や甲状腺の不調によるだるさ

睡眠を見直しても眠気やだるさが解消されない場合、鉄欠乏性貧血甲状腺機能低下症など、内科的な原因が隠れていることがあります。貧血では、体の隅々まで酸素が届きにくくなるため、眠気・だるさ・頭痛・冷えなどが現れることがあります。女性は月経による鉄分の損失があるため、特に若い世代でも鉄欠乏性貧血になりやすいとされています。

甲状腺機能低下症については、厚生労働省の「働く女性の心とからだの応援サイト」で、甲状腺の病気は女性のほうがはるかにかかりやすく、橋本病(慢性甲状腺炎)では冷え・むくみ・体重増加・月経不順・無気力感などが現れることがあると説明されています※4。更年期症状や自律神経失調症と似た症状が出るため見逃されやすく、眠気やだるさが長引く場合には内科や内分泌科での検査も選択肢になります。

関連記事:【医師監修】枕が合わないと頭痛が起きる?原因・チェック方法・改善策を徹底解説

注意したい病気と受診を考えるサイン

松本 恭
松本 恭
頭痛と眠気の多くは生活習慣の見直しや体調変化への対応で改善が期待できますが、なかには早めに医療機関に相談したほうがよいケースもあります。

そこで、特に注意が必要な状態を整理しました。

あくまで「可能性と受診の目安」として参考にしていただき、心配な症状があれば自己判断せずに医療機関へ相談することをおすすめします。

睡眠時無呼吸症候群が疑われるケース

大きないびきをかく、睡眠中に呼吸が止まっていると家族に指摘された、夜中に何度も目が覚める、朝起きたときに頭痛がある、日中に強い眠気があってうとうとしてしまう——こうした症状が重なる場合は、睡眠時無呼吸症候群(SAS)の可能性があります。

睡眠時無呼吸症候群は男性に多いイメージがありますが、女性でも閉経後や体重増加後に発症しやすくなることがわかっています。女性の場合、いびきが目立たないケースもあり、見落とされやすいとも言われています。朝の頭痛や日中の強い眠気が慢性的に続く場合は、睡眠専門外来や呼吸器内科に相談してみてください。

うつ病や抑うつ状態が関係するケース

眠気や頭痛の背景に、うつ病や抑うつ状態が関係していることもあります。気分の落ち込みや意欲・集中力の低下、食欲の変化、不眠や過眠などの症状が2週間以上続いている場合は、心の不調としての可能性も含めて考えましょう。

うつ病では、体のだるさだけでなく頭痛や頭重感、眠気といった身体症状が前面に出て、気持ちの問題というよりも体の不調として感じている方もいます。つらさが長引いている場合は、心療内科・精神科への相談や、相談窓口の利用も選択肢のひとつです。一人で抱え込まず、専門家に話してみることも大切なケアの一歩です。

早めに相談したい頭痛と眠気のサイン

次のような症状が現れた場合は、緊急度が高い可能性があるため、早めに医療機関を受診することをおすすめします。

まず、今まで経験したことがないような突然の激しい頭痛は、くも膜下出血などの重篤な状態のサインである可能性があります。手足のしびれ・ろれつが回りにくい・視野が急に狭くなるといった神経症状を伴う頭痛も、脳梗塞や脳出血との関連が疑われるため、迅速な受診が必要です。

また、発熱や嘔吐を伴う激しい頭痛や意識の低下、反応の鈍化などの意識障害、症状が急速に悪化する場合も、様子を見ずに医療機関を受診してください。これらは日常的な頭痛や眠気とは性質が大きく異なります。「いつもの頭痛と何か違う」と感じたら、その直感を大切にしてください。

関連記事:寝起きにこめかみが痛い原因は?朝の頭痛の対処法と受診の目安を解説

自分の状態を見分けるセルフチェック

松本 恭
松本 恭
頭痛と眠気が続くとき、「何が原因なのかよくわからない」という状態で過ごしていると、対処の方向性も見えにくくなります。

自分の症状のパターンを記録として残しておくと、より正確に状態を把握しやすくなります。

日本神経学会・日本頭痛学会監修の「頭痛の診療ガイドライン2021」でも、頭痛ダイアリーから頭痛日数・服薬日数・月経との関連など多くの情報を得ることができ、問診と組み合わせて活用することが勧められていると記されています。※5

記録は診断の代わりにはなりませんが、自分の傾向を掴み、受診時に状況を伝えやすくするためにとても有効です。

月経周期と睡眠時間を記録する

頭痛や眠気が「いつ出やすいか」のパターンを把握するために、症状が出た日・睡眠時間・起床時の休養感・日中の眠気の強さ・ストレスの有無をメモする習慣をつけると役立ちます。月経周期と照らし合わせることで、生理前に集中して症状が出る(PMS)のか、特定の時期と関係なく続く(睡眠の問題や内科的要因)のかを見分ける手がかりにもなるでしょう。

更年期の年代(40代後半〜50代)の方であれば、ほてりや発汗が夜中に起きていないか、夜中に目が覚めないかなども記録しておくと、婦人科や内科での相談がスムーズです。スマートフォンの健康管理アプリを活用するのも手軽でよいでしょう。診断を急ぐよりも、まず傾向を見える化することが、自分の体と向き合う第一歩になります。

頭痛ダイアリーで受診時に伝えやすくする

頭痛の診療ガイドラインでは、「頭痛日数・服薬日数・月経との関連などの頭痛情報は、患者自身が正確に覚えていないことが多い」と指摘されています。※5

日頃から記録をつけておくことで、受診時に医師へ状況を正確に伝えることができ、より適切な診断や治療につながります。

頭痛ダイアリーに書き留めておくと役立つ内容をまとめました。

  • 頭痛が起きた日時と痛みの強さ(10段階など)
  • 痛みの場所(片側か両側か)
  • 市販薬や処方薬の服薬の有無
  • 眠気の程度
  • 睡眠時間
  • 月経との関係

2〜4週間ほど続けて記録すると頭痛のパターンが見えてきます。受診する際には記録を持参し、医師に見せるとよいでしょう。

頭痛と眠気を軽くするために今日からできる対処法

松本 恭
松本 恭
原因の見当がついたとしても、すぐに医療機関に行けない状況や、まず自分でできることを試してみたいという方も多いと思います。

そこで、頭痛と眠気に対して日常生活の中で取り組みやすい改善策を紹介します。取り組みやすいものから少しずつ始めてみてください。

睡眠リズムと寝室環境を整える

睡眠の質を上げるうえで、最も効果的なアプローチのひとつが起床時間をなるべく一定に保つことです。就寝時間よりも起床時間を固定することで、体内時計が整いやすくなると言われています。起きたらカーテンを開けて朝日を浴びることも、体内リズムのリセットに役立ちます。

また、寝る1〜2時間前からスマートフォンやパソコンの画面を見る時間を減らしましょう。入眠がスムーズになりやすいです。寝室の温度・湿度・明るさも睡眠の質に影響します。夏は26〜28℃、冬は16〜19℃程度を目安にすると快適に眠りやすくなります。体に合ったマットレスや枕など寝具を見直すことも、睡眠環境を整えるうえで大切な要素です。

食事・運動・ストレス対策を見直す

日中の眠気や頭痛の改善には、食事・運動・ストレス管理も重要です。朝食を摂ることは、体内リズムを整える「時計合わせ」の役割があります。逆に、朝食を抜くと血糖値が安定しにくく、頭痛や集中力の低下につながることもあります。また、夜遅い時間(就寝2〜3時間前以降)の食事はなるべく避け、睡眠への悪影響を減らしましょう。

運動は睡眠の質を高める効果があるとされていますが、就寝直前の激しい運動は逆に覚醒を促すことがあるため避けてください。夕方から夜の早い時間帯に、軽いウォーキングやストレッチを行うのがおすすめです。カフェインは午後3時以降の摂取を控えると、夜の睡眠への影響を抑えやすくなります。

ストレスについては、毎日少しでも「何もしない時間」「好きなことをする時間」を意識して確保することが、自律神経のバランスを保つうえで大切です。生活の中の小さな余白が、長い目で見ると体の回復力を支えてくれるでしょう。

頭痛と眠気に関するよくある質問

松本 恭
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頭痛と眠気に悩む女性から多く寄せられる疑問について、ここで整理してお答えします。

気になる項目があれば、ぜひ確認してみてください。

寝ても寝ても眠いのは更年期のせいですか?

更年期が関係している可能性はありますが、年齢だけで更年期と決めつけるのは早計です。40〜50代であっても、PMSによる月経前の眠気や鉄欠乏性貧血、甲状腺機能低下症、睡眠時無呼吸症候群、睡眠の質の低下、うつ病など感がられる原因はさまざまです。

「なんとなく更年期かも」と放置せず、症状が続く場合は婦人科や内科に相談することをおすすめします。

頭痛と眠気があるときに市販薬を飲んでもよいですか?

市販の鎮痛薬で頭痛が一時的に和らぐこともありますが、いくつか注意点があります。まず、市販の風邪薬や一部の鎮痛薬には眠気を強める成分(抗ヒスタミン薬など)が含まれているものがあり、眠気がある状態での服用には特に注意が必要です。

また、月に10日以上または週に2〜3日以上市販薬を服用している場合、薬の使いすぎによる頭痛(薬物乱用頭痛)に移行する可能性があります。頭痛の頻度が高くなったり、薬が効きにくくなってきて症状が長引くという場合は、自己判断で薬を続けず、神経内科や頭痛専門外来への相談をおすすめします。

まとめ:頭痛と眠気が続く女性は原因を記録しながら早めに整えよう

頭痛と眠気が同時に続く場合、その背景には睡眠不足だけでなく、複数の要因が関わっていることがあります。特に女性は月経周期や女性ホルモンの変化が睡眠の質や頭痛に影響しやすいため、「いつどのような症状が出るか」を記録しながら原因の傾向を掴むことが大切です。

手軽に取り組める睡眠の質向上対策として、睡眠リズムや寝室環境の見直し、夜遅い食事を避けるといった生活習慣の改善がおすすめです。改善が見られない場合や、突然の激しい頭痛・手足のしびれ・意識の変化など緊急性のある症状がある場合は、早めに医療機関へ相談してください。自分の体のサインをきちんと受け止め、無理なく整えていきましょう。

・参考

※1 健康づくりのための睡眠ガイド2023 | 厚生労働省
※2 女性の睡眠障害 | 厚生労働省
※3「こころの耳」月経前症候群(PMS)について | 厚生労働省
※4 甲状腺の病気 | 厚生労働省「働く女性の心とからだの応援サイト」
※5 頭痛の診療ガイドライン2021 | 日本神経学会・日本頭痛学会・日本神経治療学会