睡眠コラム by 松岡 雄治2026年7月21日読了目安時間: 6

熟睡する方法とは?朝までぐっすり眠るための習慣と寝室環境の整え方

「寝たはずなのに疲れが取れない」「朝起きてもすっきりしない」と感じることはないでしょうか。熟睡とは、必要な睡眠時間が確保されたうえで、朝に休養感を得られている状態を指します。熟睡には睡眠時間だけでなく、睡眠休養感や寝室環境も深く関わっています。

この記事では、熟睡できない主な原因から、今日からできる具体的な方法、寝室環境の整え方までを順番に解説します。朝までぐっすり眠るためのヒントを知りたい方は、ぜひ最後までご覧ください。

熟睡とはどんな状態?

熟睡とは単に「長く寝ること」ではありません。

  • 熟睡=「必要な睡眠時間の確保」+「起床時の休養感」

この観点から考えると、自分の眠りのどこを見直せばよいかがはっきりしてきます。あわせて、熟睡につながる眠りのしくみをみていきましょう。

睡眠時間だけでなく睡眠休養感も大切

熟睡できているかどうかは、「何時間寝たか」だけでは測れません。同じ睡眠時間でも、朝に「よく休めた」と感じられるかどうかは人によって異なります。厚生労働省でも、睡眠時間とあわせて、朝の休養感(睡眠休養感)が大切な指標として位置づけられています。

厚生労働省の令和6年の国民健康・栄養調査では、20歳以上で1日の睡眠時間が6時間未満の人は、全体の約4割(37.6%)にのぼります。睡眠で十分に休養がとれていないと感じる人は、全体の約2割(21.5%)と報告されています。

睡眠時間を確保しているのに疲れが取れない場合は、生活習慣や寝室環境に原因が隠れているサインです。、睡眠の質が下がった状態が続くと、日中の集中力や注意力、体調にも影響が及ぶ可能性があると指摘されています。

よく「8時間寝ないとダメですよね?」とお悩みの患者さんがいらっしゃいます。しかし、必要な睡眠時間は年齢とともに短くなるものです。6〜8時間は一つの目安ですが、長さにこだわることで、かえってよく寝られないこともあります。

「日中に強い眠気を感じないか」を目安にしてみましょう。普段の生活に困らなかったり、朝気持ちよく目覚めることができていれば問題ありません。

※出典:厚生労働省「令和6年国民健康・栄養調査結果の概要」

眠りはじめの深い眠りが重要

入眠直後の睡眠が深くなるほど、朝のすっきり感が高まります。
睡眠には、次の2つの状態があり、これらが交互に繰り返されます。

  • ノンレム睡眠:脳・体が休息する深い睡眠
  • レム睡眠:脳が活発に活動し夢を見やすい睡眠

特に眠りについてから最初のノンレム睡眠が最も深くなりやすいため、このタイミングの環境を整えることが眠りの質を左右します。

ただし、大切なのは眠りはじめだけではありません。寝る前の習慣や寝室環境を整えることが、ひと晩を通した睡眠の質を支えます。

 

熟睡できない主な原因

熟睡できないとき、その背景に原因が隠れていることもあります。原因が曖昧なままでは、誤った対策をしがちです。まずは代表的な3つの原因について、自分に当てはまるものがないか見ていきましょう。

1. 寝る前に脳が覚醒している

布団に入っても、仕事や考えごとが続いていると、脳が休息モードに切り替わりにくくなります。就寝前のスマートフォン操作や、明るい照明も、脳を活動的にしやすい要因です。

寝る前は、情報や刺激を意識的に減らし、心身を落ち着ける時間をつくることが大切です。

2. 体温変化による眠気を活用できていない

眠気は、体の内側の温度(深部体温)が下がっていくタイミングで強まります。就寝直前の入浴や、激しい運動は、体温低下を妨げて、寝付きが悪くなるおそれがあります

また、手足の冷えで体温がうまく放散されない場合も、寝つきに影響することがあります。深部体温が下がるリズムに合わせて就寝することが、スムーズな入眠の鍵です。

3. 寝室環境が眠りを妨げている

部屋の明るさや外からの音、不快な室温や湿度は、眠りを浅くします。寝具の蒸れや圧迫感が気になって、寝返りがしづらいことも途中で目覚めてしまう一因です。

こうした寝室環境は、自分では気づきにくいまま睡眠の質に影響していることがあります。客観的に見直してみることで、改善が期待できます。

 

今日からできる熟睡する方法

熟睡の準備は、寝る前だけでなく、朝目覚めた瞬間から始まっています生活の中で取り入れやすい5つの方法を紹介します。

1. 朝は太陽の光を浴びる

朝に太陽の光を浴びると、その時間を起点として15時間前後でメラトニンという睡眠を促すホルモンが分泌されます。こうして体内時計が整い、夜の自然な眠気につながりやすくなります。起床後はまずカーテンを開けて、部屋に光を取り込むことから始めてみましょう。

通勤や散歩などで短時間でも外に出ると、より光を浴びやすくなります。曇りの日でも屋外の明るさは室内より十分に強いため、天気に関わらず光を意識することがおすすめです。

2. 日中は適度に体を動かす

日中の活動量が少ないと、夜になっても眠気が起こりにくくなります。しかし、激しい運動は必要ありません。散歩や軽いストレッチなど、無理のない範囲で体を動かす習慣を取り入れてみましょう。

日常のなかで歩く時間を少し増やすだけでも、心地よい疲れが夜の眠りを後押ししてくれるでしょう。

3. 夕食とカフェインの時間を見直す

就寝直前の食事は、消化活動が続いたまま眠りに入ることになり、眠りが浅くなる可能性があります。夕食はできるだけ就寝の2〜3時間前までにすませるとよいでしょう。

また、コーヒーや緑茶、エナジードリンクに含まれるカフェインには、目を覚ます作用があります。夕方以降はこれらの飲み物を控えめにすると、寝つきへの影響を抑えやすくなります。

カフェインの影響は、個人差が大きいことが知られています。

普段からコーヒーなどを愛飲されている場合には、「カフェインの摂取タイミングと睡眠への影響」に注目してみてください。次第に自分にあった適切な距離感がわかってきます。

4. 入浴は寝る少し前に済ませる

入浴で体を温めると、その後に体温が下がっていく流れが生まれ、自然な眠気を促すことができます。就寝の1〜2時間ほど前に入浴を済ませておくとよいでしょう。

熱すぎるお湯や、寝る直前の入浴は交感神経を刺激し、かえって寝つきを妨げることがあります。38〜40℃程度のぬるめのお湯にゆっくりつかると、心身のリラックスにもつながります。

忙しくてもっぱらシャワーだけという方も多いですが、湯船に浸かることで深部体温を上げることができ、眠気を促しやすくなります。寝付きの悪さにお悩みの場合は、湯船に浸かる習慣が入眠を助けてくれることが多いです。

5. 寝る前はスマホと強い光を避ける

就寝前のスマートフォンやパソコン、テレビの強い光は、脳を覚醒させ、入眠を妨げる可能性があります。

まずは使う時間を少し減らす、部屋の照明を暗めにする、通知をオフにするなど、できることから取り入れてみましょう。画面の明るさを下げるだけでも、目や脳への刺激をやわらげられます。

 

寝室環境の整え方

生活習慣を見直したら、次は寝室環境にも目を向けてみましょう。光・音・温度と湿度・寝具の4つのポイントを解説します。

1. 光は暗めで暖色寄りにする

寝る前の部屋は、明るすぎないよう調整し、可能であれば、暖色寄りのやわらかい光にします。

真っ暗にすると落ち着く人もいれば、わずかな明かりがあるほうが安心できる人もいます。真っ暗な状況が苦手な場合は、直接目に入らない足元灯など弱い光を取り入れるのもよいでしょう。

2. 音が気になる場合は遮音や環境音を使う

外の物音や生活音が気になって眠れないときは、遮音カーテンや耳栓を活用するのがおすすめです。また、家電の配置を見直して、動作音が枕元に届きにくくする工夫も効果的です。

一方で、無音だと落ち着かないという人もいます。その場合は、川のせせらぎや雨音などの環境音(ホワイトノイズ)をタイマーで短時間流すのもひとつの方法です。心地よいと感じる音環境を探してみましょう。

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3. 温度と湿度を季節に合わせて調整する

夏は暑さや蒸れ、冬は冷えや乾燥が、睡眠を妨げる要因になります。エアコンや加湿器を活用し、季節に合わせて寝室の温度と湿度を調整しましょう。心地よいと感じる温度には個人差があります。具体的な数値にこだわりすぎる必要はありません。

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4. 寝具は寝返りと体圧分散を意識する

体に合わない寝具は、寝返りのしづらさや違和感につながり、眠りの質に影響することがあります。寝具を選ぶときは、寝返りのしやすさ、体圧分散、通気性、寝姿勢といった視点で見直してみましょう。

マットレスや枕が体格や寝姿勢に合っていると、自然な寝返りがしやすくなります。今の寝具で朝に体のこわばりを感じる場合は、これらの観点から見直してみるのもよいでしょう。

見落とされがちですが、体を直接あずける寝具こそが睡眠に直結しています。例えば、室温と湿度を適切に調節していても、寝具内の環境がよくないと、寝苦しかったり、蒸れたりしてしまいます。

厚生労働省も寝具内の環境を整えることが快眠のコツとしています。どうもうまくいかないな、と思ったらあらためて寝具を見直してみましょう。

なお、マットレスの選び方については以下の記事も参考にしてください。

マットレスの種類や選び方のポイントを徹底解説!自分に合うマットレスはどれか探してみよう

 

熟睡のために避けたい寝る前の行動

熟睡のためには、「何をするか」だけでなく「何をしないか」も大切な視点です。

よかれと思って続けている習慣が、実は眠りを浅くしていることもあります。無意識にやりがちな寝る前の3つの行動を、心当たりがないか見直してみましょう。

1. 寝酒をする

眠るためにお酒を飲む寝酒は、熟睡の妨げになりやすい習慣です。アルコールには一時的に眠気を感じさせる作用がありますが、睡眠の後半では眠りが浅くなり、夜中に目が覚めやすくなる可能性があります。「寝つけないからお酒を飲む」という人は少なくありませんが、習慣になるとかえって睡眠の質を下げてしまうことも考えられます。

眠るための手段としての飲酒は、避けたほうが安心です。寝つきが気になるときは、ノンカフェインの飲み物を飲む、ぬるめの入浴をする、ゆったりした呼吸を試すなど、体をリラックスさせる方法に置き換えてみましょう。

疲れて夜遅く帰宅したらお風呂上がりに一杯飲んで気持ちよく寝たいですよね(明日も仕事、私は一体いつ飲めばいいんだ、と言いたいお気持ちも痛いほどわかります)。

実は、アルコールは睡眠前半に深い睡眠を増やします。しかし、後半の眠りが大幅に低下してしまってトータルで見るとやはりマイナスなのです。飲酒量が増えると中途覚醒も増加します。尿意だけでなく、アルコールの代謝産物であるアセトアルデヒドが強い交感神経刺激作用を持つことが影響すると考えられます。

「酒は百薬の長」と言われた時代も終わり、今ではお酒は飲まない方が体に良いと言われています。実に耳が痛い話ですが、美味しいお酒を飲む幸せは確かにあります。タイミングを意識して、ぜひ上手に付き合っていきましょう。

関連記事:【医師監修】寝酒とは?寝る前のお酒のメリットデメリットを解説

2. スマホを見続ける

眠れないときにスマートフォンを見続けるのは、避けたい行動のひとつです。画面の光や情報の刺激は目や脳を冴えさせ、かえって眠りを遠ざけてしまいます。なかなか寝つけない焦りから、つい布団のなかで手に取ってしまう人も多いでしょう。

眠れないときは、一度ベッドを離れるのも手です。読書をする、軽くストレッチをする、ゆっくり呼吸を整えるなど、心身をゆるめる行動に切り替えるのがおすすめです。

3. 休日に寝だめする

平日の睡眠不足を補おうと、休日に昼まで寝てしまうと、睡眠のリズムが乱れやすくなります。起床時刻が大きくずれると、夜の寝つきにも影響が出ることがあります。

寝だめを完全に禁止する必要はありません。休日でも起床時刻のずれをできるだけ小さく保つ、昼寝をする場合は短めにするなど、リズムを崩しすぎない工夫を意識してみましょう。

厚生労働省に依ると、平日に最低限の睡眠時間(6時間程度)を確保したうえで、休日に1時間程度の寝溜めをすることで寿命が延びるとの報告があります。一方で、2時間以上の寝溜め、平日の睡眠時間が極端に短い場合では寿命を延ばす効果はないとされています。

→基本的に、寝溜めは睡眠不足のサインだと考えて、平日の睡眠時間と睡眠の質を高めていきましょう。

 

熟睡できない状態が続くときの対処法

生活習慣や寝室環境を整えても、なかなか改善しないと感じることもあります。熟睡できない状態が長く続くときは、背景に別の原因が隠れている場合もあります。

ここでは、自分で原因を探る方法と、専門機関への相談を検討すべき目安を解説します。

1. 睡眠日誌で原因を探す

熟睡できない原因を見つけるには、日々の記録が役立ちます。たとえば、以下のような点を数日から1週間ほどメモしてみましょう。

  • 就寝と起床の時刻
  • 夜中に目が覚めた回数
  • カフェインや飲酒の有無
  • 運動やスマートフォンの利用状況など

感覚だけで判断すると、原因を見落としがちです。記録として書き出すことで、改善のヒントが見えてくることがあります。まずは気軽にメモを取ることから始めてみるとよいでしょう。

2. いびきや日中の眠気が気になる場合は医師に相談する

強いいびきがある、眠っているあいだに呼吸が止まっていると指摘された場合や、日中に強い眠気が続く場合は注意が必要です。このような状態が続くときは、生活習慣の見直しだけで解決しようとせず、専門機関に相談することをおすすめします。

また、なかなか眠れない状態が続くときも、一度医師に相談してみると安心です。専門家の視点から原因を探ることで、適切な対応につながることがあります。

睡眠時無呼吸症候群をはじめとした睡眠障害は、「いびき」の自覚などがなく、「単に疲れが取れない」「日中眠い」といった症状で受診されて検査で発覚することもあります。日中に影響がある、というのはひとつの大事なサインと知っておきましょう。

 

まとめ:熟睡する方法は寝る前の習慣と寝室環境の見直しから始めよう

熟睡できているかどうかは、睡眠時間だけでなく、朝の休養感(睡眠休養感)が目安となります。また、よい睡眠をとるには、朝から夜までの生活習慣、そして寝室環境が大切です。

具体的には、朝は太陽の光を浴び、日中は適度に体を動かし、夕食とカフェインの時間に気をつけることから始めてみるとよいでしょう。あわせて、入浴のタイミングやスマートフォンとの付き合い方、寝室の光・音・温度、体に合った寝具を見直していくと、少しずつ睡眠の質は変わっていくでしょう。

ただし、一度にすべての習慣を変える必要はありません。続けやすいものからひとつずつ取り入れてみてください。なお、いびきや日中の強い眠気、長引く不眠が気になる場合は、専門機関への相談も検討しましょう。