寝具コラム by Koala JP•2026年8月27日•読了目安時間: 6 分

【医師監修】寝苦しい夜対策グッズの選び方|涼しく眠る寝具と冷感アイテム

五藤 良将
竹内内科小児科医院 院長

千葉県立東葛飾高校卒、防衛医科大学校医学部卒。その後に自衛隊中央病院、防衛医科大学校病院、千葉中央メディカルセンターなどの勤務を経て2019年9月に継承開業に至る。

  • 免許・資格

医師免許、日本抗加齢医学会専門医、日本内科学会認定医、日本旅行医学会認定医、日本医師会産業医、スポーツドクター、日本美容内科学会評議員

「布団に入っても暑くて、なかなか寝つけない」
「夜中に汗で目が覚めて、そのまま眠れなくなる」
「寝苦しい夜対策グッズを買ったのに、思ったほど涼しくならなかった」

夏の夜は、エアコンだけでは物足りないと感じることがあります。かといって設定温度を下げすぎると、今度は体が冷えたり電気代が気になったりします。

寝苦しさをやわらげるには、体と寝床にこもった熱を逃がすことと、空気を動かして体感温度を下げることの2方向で考えるのがおすすめです。

そこで、この記事では、夏の夜が寝苦しくなる原因と対策グッズの選び方、空気の流れの整え方を順番に解説します。

対策グッズの種類が多くて悩んでいる方は、ぜひ最後までご覧ください。

夏の夜が寝苦しくなる主な理由

夏の夜に寝つけない背景には、体の熱がうまく逃げていないという共通点があります。

人は寝るとき、体の内側の温度(深部体温)が下がっていきます。手足の皮膚から熱を放ち、汗が蒸発するときに熱を奪うことで、体温が下がるためです。

ところが室温や湿度が高いと、汗が蒸発しにくくなり、寝床にも熱がこもります。深部体温が下がりきらないため、寝つきが悪くなり、夜中に目が覚めやすくなります。

厚生労働省の「健康づくりのための睡眠ガイド2023」でも、良い睡眠には光・温度・音といった環境が関わるとされています。※1

寝苦しさをより確実に解消するためには、足りていないものから逆算して考えてみましょう。

足りていないもの 候補になるグッズ
体や寝床の熱が逃げていない 接触冷感の敷きパッド、冷却枕、保冷剤
空気が動いていない 扇風機、サーキュレーター
湿気がこもっている 除湿機、エアコンの除湿機能
3種類のコアラマットレスを比較

寝苦しい夜対策グッズの選び方

対策グッズを選ぶ前にまずしておきたいのが、グッズ選択を判断する軸です。押さえておきたいのは、以下の3つです。

  1. 接触冷感はQ-max値を目安に選ぶ
  2. 通気性と吸湿性の高い素材を選ぶ
  3. 冷やしすぎない範囲で使う

1. 接触冷感はQ-max値を目安に選ぶ

接触冷感とは、肌の熱が生地側へ移ることで、触れた瞬間にひんやり感じる性質のことです。その度合いを数値にした指標を「Q-max値(キューマックス値)」と呼び、数値が大きいほど、触れた瞬間の冷たさを感じやすくなります。

Q-max値の測定方法として代表的なのは「JIS L 1927」という試験です。この試験では、室温より10℃高く加熱した測定部を生地に当てて測り、Q-max値0.100W/cm²以上であれば接触冷感性があると判定されます。※2

一方、温度差20℃で測ってQ-max値0.2以上という基準を設けている試験機関もあります。※3

試験の温度差が違うQ-max値は単純に比べられないため、数値を見るときは測定条件もあわせて確認しましょう。

また、いくらQ-max値が高くても、冷たさが一晩中続くわけではありません。肌と生地の温度差がなくなれば、ひんやり感は薄れていきます。

接触冷感の考え方をもっと詳しく知りたい方は「接触冷感とは?仕組みと選び方をわかりやすく解説」も参考にしてください。

2. 通気性と吸湿性の高い素材を選ぶ

夜通しの快適さを左右するのは、触れた瞬間の冷たさよりも「蒸れにくさ」です。

とくに、以下の生地・素材は、汗を吸って外へ逃がしやすくなっています。

  • 綿(コットン):空気をよく含み、蒸れにくい
  • 麻(リネン):シャリ感があり、熱がこもりにくい
  • ガーゼ:軽くて空気を含み、汗を吸いやすい
  • 吸水速乾繊維:汗を吸って乾きやすく、べたつきにくい

接触冷感だけにこだわらず、通気性と吸湿放湿性を合わせて見ると、朝まで快適に過ごしやすくなります。肌に長く触れる敷きパッドやシーツほど、この観点で選ぶと効果を感じやすいでしょう。

3. 冷やしすぎない範囲で使う

冷却グッズは快適ですが、体が冷えすぎると寝つきにくくなることがあります。

保冷剤や氷枕は、必ずタオルで包んでから使いましょう。直接肌に長時間当てず、心地よいと感じる範囲にとどめるのが基本です。

エアコンと冷感寝具を併用する場合も、明け方に肌寒く感じることがあります。冷えすぎたときに調整できるよう、薄手のタオルケットなどを1枚用意しておくと安心です。

五藤良将 医師
五藤良将 医師
夏の寝苦しさは、根性で乗り切るものではなく、生理学的な理由がある問題です。入眠時には深部体温が低下することで自然な眠気が生じますが、室温・湿度が高いと熱放散が妨げられ、寝つきの悪さや中途覚醒の原因になります。今回紹介されている接触冷感寝具や冷却グッズは、この体温調節を補助する合理的な対策です。

診療の現場でも、夏場は睡眠不足や体調不良を訴える方が増えます。良質な睡眠は日中のパフォーマンスや健康管理の基盤ですから、寝苦しさを我慢せず、寝具や室内環境の見直しを積極的に行っていただきたいと思います。

医療者として一点付け加えるなら、冷却の使い方です。保冷剤や氷枕は直接肌に当てず布で包む、送風は体に当て続けないなど、急激な体温低下を避ける工夫が必要です。過度な冷却は血行不良や体調不良の一因にもなりますので、「冷やしすぎない涼しさ」を意識することが、結果的に良眠への近道になります。

涼しく眠るための寝具グッズ

寝具は体が長時間触れる部分のため、涼しく眠るためにはこだわりたいですね。おすすめのグッズをタイプ別に、4種類紹介します。

  1. 接触冷感の敷きパッド・シーツ
  2. 麻・ガーゼなど通気性のよいかけ寝具
  3. ひんやり感が続く冷感まくら・枕パッド
  4. 吸水速乾のパジャマ

1. 接触冷感の敷きパッド・シーツ

体がもっとも長く触れる敷き寝具を冷感タイプに変えると、涼しさを実感しやすくなります。特に、背中や腰は寝床の熱がこもりやすい部分です。

  • Q-max値の高い接触冷感パッド:触れた瞬間のひんやり感を重視したい方向け
  • 麻・い草などのシーツ:通気性を重視し、蒸れを抑えたい方向け

寝返りのたびに冷たい面に触れられるよう、体より少し大きめのサイズを選ぶと快適に使えます。

2. 麻・ガーゼなど通気性のよいかけ寝具

夏は薄手のタオルケットや、麻・ガーゼのケットがおすすめです。汗を吸いながら、熱をこもらせない効果が期待できます。

汗をかいた肌にエアコンの風が直接当たると、汗が蒸発する際に体温を奪い、肌寒さを感じます。通気性と吸湿性のある薄手のかけ寝具があれば、汗を吸いながら風の当たりをやわらげてくれるでしょう。

エアコンを使う夜は肌掛け布団やガーゼケット、扇風機だけの夜は吸水性の高いタオルケット、と使い分けると迷いにくいです。

3. ひんやり感が続く冷感まくら・枕パッド

頭部は熱がこもりやすく、顔に近いので寝苦しさを感じやすい部分です。対策として、冷感まくらや枕パッドで頭と首まわりを涼しく保つと、寝つきが改善されやすくなります。

頭周りに使うグッズは、以下2つの観点で選ぶとよいでしょう。

  • 敷くだけで熱を吸うタイプ:手軽で、冷やしすぎになりにくい
  • 冷蔵庫で冷やして使うタイプ:ひんやり感が強く、寝入りのほてりを取りやすい

冷やしすぎが心配な方には、常温で使える接触冷感タイプが向いています。いずれを使う場合でも、製品の説明に従い、必要に応じてタオルで包んで冷たさを調整してください。

4. 吸水速乾のパジャマ

吸水速乾や麻・ガーゼ生地のパジャマは、汗を素早く逃がして肌離れがよいのがメリットです。寝汗のべたつきが気になる方は、薄手で通気性のあるパジャマから試してみてください。

とくに夏用のパジャマは、薄手から中厚手で肌当たりのよいものを選びましょう。

なお、ここまでの寝具を見直しても寝苦しさが残る場合は、以下の記事も参考に、マットレスの通気性や体に合った寝具かどうかも確認してみてください。

関連記事:夏の寝具は何がいい?掛け寝具・敷きパッドの種類と選び方

体の熱を逃がす冷却グッズ

首や脇の下、足の付け根には太い血管が通っているため、これらの部分を冷やすと体の熱が早く下がります。おでこを冷やすのも有効な手段です。

効率よく身体の熱を逃がせるグッズとして、以下の4タイプについて解説します。

  1. 冷却枕・氷枕
  2. 保冷剤・凍らせたペットボトル
  3. 冷却シート・冷感ボディシート
  4. 目元を冷やす冷感アイマスク

1. 冷却枕・氷枕

冷却枕や氷枕は、頭や首の後ろを冷やす定番のアイテムです。寝入りのタイミングで頭部や首元の熱が取れると、眠りに入りやすくなります。

保冷力の穏やかなジェルタイプは冷やしすぎになりにくく、毎晩使いやすいタイプです。より温度が低い氷枕を使う場合は、タオルを一枚挟むと冷えすぎを防げます。

ただし、夜間も室温が高い場合は、寝室そのものを涼しく保つことも合わせて行いましょう。

2. 保冷剤・凍らせたペットボトル

専用グッズを買わなくても、手持ちの保冷剤や凍らせたペットボトルで代用する方法もおすすめです。保冷剤やペットボトルをタオルで包んで、首元や脇の下、足元に置くのがポイントです。

凍らせたペットボトルを扇風機の前に置き、冷風を送る使い方もおすすめです。エアコンが使えない夜の補助策として試してみてください。

3. 冷却シート・冷感ボディシート

就寝前に冷感ボディシートで汗を拭くと、清涼感が得られます。おでこに貼るタイプの冷却シートは、寝入りのほてりをやわらげるのに向いています。

ただし、効果は一時的ですから、寝入りのクールダウン向きです。また、肌が弱い方は貼る時間を短めにするか、目立たない場所で試してから使ってください。

4. 目元を冷やす冷感アイマスク

冷感アイマスクは、目元のほてりを取りながら、光をさえぎって眠りに入りやすくするアイテムです。夏は日の出が早く、朝の光で目が覚めやすくなるため、光と熱を同時に抑えられる点が、夏の利用に向いているといえるでしょう。

冷やすタイプのアイマスクは、あらかじめ冷蔵庫で冷やしておくと使いやすいですが、冷やしすぎると目元が痛くなることがあるため、説明書の冷却時間を守りましょう。

エアコン・扇風機で寝室の温度と湿度を整える

グッズの効果は、寝室の温度と湿度が適正になっているほど高まります。

室内の環境を整える目安のひとつが、環境省が熱中症予防として示している「室温が28℃を超えないようにする」という考え方です。※4

寝室のための基準ではありませんが、暑い時期に室温を判断する基準にしてください。

厚生労働省も、屋内ではエアコンで温度を調節し、室温をこまめに確認するよう呼びかけています。※5

温度計と湿度計を寝室に置いて、以下3つのポイントを参考に、実数値を見ながら調整しましょう。

  1. エアコンは温度と風向きを調整する
  2. 扇風機・サーキュレーターで空気を動かす
  3. エアコンを使わないときは通風と冷却グッズで補う

1. エアコンは温度と風向きを調整する

エアコンを使うときは「設定温度」と「風向き」の2点を調整してください。体に直接風が当たらない向きにすると、冷えすぎを防ぎながら室温を下げられます。風向きは水平よりやや上向きにして風を天井や壁に当てるようにすると、冷気が部屋全体に回りやすくなるでしょう。

タイマーで途中に切れるように設定するのは避けましょう。室温が上がって目が覚めやすくなるため、3〜4時間以上に設定するか、思い切って朝まで弱運転で回すようにしましょう。

なお、28℃は室温の目安であり、エアコンの設定温度とは異なります。温度計で寝室の室温を確かめながら設定温度を決めてください。

2. 扇風機・サーキュレーターで空気を動かす

扇風機やサーキュレーターで空気を回すと、同じ室温でも涼しく感じられます。使い方のコツは、以下のとおりです。

  • 壁や天井に向けて風を当て、部屋の空気を循環させる
  • 体に当てる場合は、足元からゆるく送る
  • エアコンと併用し、冷気を部屋全体に行き渡らせる

体に強い風を直接当て続けると、体温が奪われすぎて寝冷えにつながります。首振り機能やリズム風を使い、当たり続けない工夫をしましょう。

3. エアコンを使わないときは通風と冷却グッズで補う

エアコンを使わない夜は、窓を活用して風の通り道をつくりましょう。窓の数ごとに、以下のように調整するのがおすすめです。

  • 部屋の対角線上に窓が2ヶ所あるときは、両方を開ける
  • 窓が1ヶ所しかないときは扇風機を外に向けて置き、室内の熱気を押し出す(20分程度)

日中の対策としては、遮光カーテンや厚手のカーテンで日差しを遮り、室内の気温上昇を抑えると、夜の暑さがやわらぎます。ただし熱帯夜は、通風だけでは室温が下がりきりませんので、我慢せずにエアコンを使うか、涼しい場所へ移動することも考えてください。

関連記事:暑くて寝れない時のためのグッズ5選|体を冷やす方法と寝室環境の整え方

寝苦しい夜は冷感グッズと空気の流れで乗り切ろう

夏の夜などの寝苦しさの正体は、体と寝床にこもった熱です。熱を逃がす方向で考えると、選ぶグッズが決まります。

とくに以下の3点を覚えておくと、寝苦しい夜も快適に過ごしやすいでしょう。

  • 肌に長く触れる敷きパッド・シーツを冷感や麻に変える
  • 首・脇の下・足の付け根を保冷剤や氷枕で冷やす
  • エアコンと扇風機で空気を動かし、湿度も下げる

グッズを選ぶときは、Q-max値だけでなく、通気性と吸湿性もあわせて確認し、冷やしすぎないことが快眠のポイントです。

まずは今夜、敷きパッドと空気の流れから見直してみてください。

それでも寝苦しさが残るなら、マットレスなど寝具そのものが体に合っていない可能性もあります。

コアラマットレス公式サイトでは、マットレスなど対象商品には120日間のトライアル制度があるので、自宅で寝心地を確かめてから判断できます。

寝苦しい夜を快適に過ごしたい方は、ぜひチェックしてみてください。

・参考

※1 厚生労働省「健康づくりのための睡眠ガイド2023」
※2 一般財団法人カケンテストセンター「
接触冷感性試験(JIS L 1927)」
※3 一般財団法人日本繊維製品品質技術センター(QTEC)「
接触冷感性」
※4 環境省「
熱中症環境保健マニュアル」
※5 厚生労働省「
熱中症を防ぎましょう」