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監修者
松本 恭
「健康の秘訣はぐっすり眠ること」がモットーで、これまでウォーターベッド、ウッドスプリングベッド、西式健康枕、ハンモックなどさまざまな寝具の寝心地を追求してきた睡眠マニア。偶然出会ったコアラマットレス®︎の快適さに感銘を受け、メンバーとして参加。上級睡眠健康指導士としての知識を通して、より多くの人に快眠を届けたいと願っている。
夏の日中、ふとした瞬間に押し寄せてくる強い眠気。「しっかり寝たのに眠い」「暑いとなぜかぼんやりとする」と言った症状があると、夏バテや疲れと勘違いするケースが少なくありません。
しかし、暑い日の眠気は単純な睡眠不足や疲れ以外にも原因があります。気温や湿度が高い環境では、体温調節を担う自律神経への負担が増し、さらには夜の寝苦しさによる睡眠の質低下が翌日の眠気として現れることもあります。また、熱中症の初期サインとして眠気や倦怠感が出ることもあるため、放置すると危険な場合もあるのです。
本記事では、上級睡眠健康指導士の資格を持つコアラマットレス社員の松本が、暑いと眠くなる主な原因を3つに整理し、危険な眠気サインの見分け方から今すぐできる対処法、眠気を予防するための生活習慣まで、順を追ってわかりやすく解説します。
暑いと眠くなる主な原因
実際には、体の中でいくつかの異なるメカニズムが同時に働いており、それが眠気として現れていることがほとんどだからです。
原因を大きく分けると、①熱中症の初期サイン②体温調節の負担による疲れ③前夜の寝苦しさによる睡眠不足の3つが挙げられます。それぞれの眠気が起きるメカニズムについて見ていきましょう。
原因1. 熱中症の初期サインとして眠気が出ることがある
熱中症というと、倒れたり意識を失ったりするような深刻な状態をイメージする方が多いかもしれません。しかし、熱中症は段階的に進行するものです。環境省の熱中症環境保健マニュアルによると、初期段階においてはめまい、失神、頭痛、吐き気・嘔吐、倦怠感、虚脱感などが現れるとされています。※1
眠気やぼんやり感も、体内に熱がこもって脱水が進み、熱中症に移行している時に現れやすい状態の一つです。暑い環境で強い眠気を感じたときは、「眠いから寝れば治るだろう」と判断する前に、頭痛やめまい、吐き気などの随伴症状がないかを確認することが大切です。
原因2. 体温調節の負担で体が疲れやすくなる
人は暑い環境にいると、汗をかいたり皮膚の血流量を増やしたりすることで体温を一定に保とうとします。この体温調節のプロセスを担っているのが自律神経です。気温や湿度が高い日が続くと、自律神経は常に高い負荷がかかった状態で働き続けることになり、体に熱がこもるため日中に眠気が生じやすくなります。
その結果、しっかり眠れたはずの朝でも「なんだかだるい」「午後になると急に眠くなる」という状態になりやすいです。体が暑さと戦って消耗しているサインであり、暑さそのものが体への物理的な負荷であることを理解しておくと、自分の眠気を正しく理解できます。
原因3. 夜の寝苦しさで翌日に眠気が残る
夜間に気温や湿度が高いと、寝床に入ってもなかなか眠れなかったり、眠りが浅くなって夜中に目が覚めたりすることがあります。
環境省の熱中症環境保健マニュアルによると、快適に眠れる室温の上限は28℃、この温度を超えると寝具だけで調節するのは困難なのだそうです。また、睡眠不足が翌日の眠気や疲労増加につながるだけでなく、体温調節機能の低下を招き、夏の熱中症リスクを高める可能性があることも明記されています。※1
前夜の睡眠環境の問題が翌日の日中の眠気に直結しているということは、暑い日の眠気の原因は夜にあると言っても過言ではありません。
暑い日の危険な眠気サイン
暑い日に眠気を感じたとき、すべてが緊急事態というわけではありませんが、眠気の内容や一緒に出ている症状によっては、速やかに行動する必要があります。
様子を見るのではなく、早めに行動することを優先しなければならないサインもありますので、単なる疲れか熱中症かを見極めるためのポイントをよく理解しておきましょう。
サイン1. 眠気に加えて頭痛や吐き気がある
環境省の熱中症環境保健マニュアルでは、熱中症を疑う症状として頭痛、吐き気・嘔吐、めまい、強い倦怠感・虚脱感、意識障害などが挙げられています。※1
眠気が「単独で現れている状態」ではなく、これらの症状と重なって現れている場合は、熱中症への移行を疑う必要があります。
特に、暑い環境での活動中や外出後に症状が現れた場合は、涼しい場所に移動して体を冷やしながら、症状が改善しなければ医療機関や救急相談窓口に連絡することを検討してください。
サイン2. 反応が鈍い・水分が取れない
自分ではなく、周囲にいる人が「呼びかけても反応が薄い」「言動がおかしい」「水分を自分で取れない」という状態になっていたら、迷わず救急を呼んでください。意識障害や判断力の著しい低下は、重度の熱中症に該当する可能性があり、家庭内での対応では間に合わないことがあります。
自分自身が当事者の場合、意識が低下していると危険な状態だと気づけないこともあります。そのため、「何となくふらつく」「水を飲む気力がない」という状態になった時点で注意しなければいけません。早めに家族や職場の人に知らせましょう。
熱中症が疑われる場合の対処法
眠気や頭痛、吐き気などの症状が重なって現れている場合は、熱中症の可能性を念頭に置いた対応が必要です。環境省の熱中症警戒アラートでも、症状が出たときの基本的な行動として、涼しい環境への移動と水分・塩分の補給が推奨されています。※2
体が発するサインを早めに察知して、以下の順番で対処することを意識してください。
1. 涼しい場所に移動して体を冷やす
まず最初にすべきことは、暑い環境から離れることです。直射日光の下にいれば日陰に移動し、室内にいてもエアコンの効いた場所へ移動しましょう。外出中であれば、コンビニやショッピングモールなど冷房の効いた施設に入ってください。
体を冷やす際には、首の後ろ、脇の下、太ももの付け根(鼠径部)といった太い血管が通っている部位を集中的に冷やすと効果的です。保冷剤や冷たいペットボトル、濡れタオルなどを当てると、冷やされた血流が全身をめぐり、体内の熱を効率よく下げられます。衣服はなるべく緩め、体から熱を放散しやすい状態をつくりましょう。
2. 水分と塩分を補給する
暑い日に大量に汗をかいている状況では、水だけを飲んでいると体内の塩分(ナトリウム)が薄まって、かえって体調が悪化することがあります。水分補給の際は塩分も一緒に取ることを意識してください。
スポーツドリンクや経口補水液は、水分と塩分・糖分をバランスよく含んでいるため、熱中症が疑われる状況での水分補給に適しています。口に含む量は一度に多くせず、少量ずつこまめに飲むほうが体への吸収が穏やかで無理がありません。症状が強くて自力で飲めない場合は、無理に飲ませようとせず、医療機関への搬送を優先してください。
仕事や学校で暑い日に眠気をやわらげる方法
以下の方法は、熱中症の疑いがない場合を前提にしています。
仕事中や授業中に強い眠気が出てきたとき、すぐにまとまった休息が取れない状況でもすぐに試せる対処法を3つ紹介します。
1. 首・手首を冷やす
太い血管が皮膚の近くを通っている首や手首を冷やすと、全身の血液を効率よく冷やせます。 体温の上昇を抑えつつ、頭がすっきりするような覚醒感も得やすいのが特徴です。保冷剤、冷却スプレー、冷水で濡らしたタオルやハンカチなどが職場や学校で使いやすいでしょう。
2. 冷たい水や経口補水液を飲む
暑い日に眠気を感じる背景には、軽度の脱水が関係していることがあります。まず水分と塩分の補給を優先することが、眠気対策としても有効です。 冷たい水や経口補水液、スポーツドリンクを少しずつ飲むことを心がけてください。
眠気覚ましとしてコーヒーや緑茶などのカフェイン飲料に頼る人もいますが、カフェインには利尿作用があり、暑い日に飲み過ぎると脱水を助長しかねません。もしカフェイン飲料を飲む場合は、先に十分な水分補給を済ませた上で、補助的に活用するのが安全な使い方です。
3. 席を立って軽く動く・深呼吸する
長時間同じ姿勢でいると血流が滞り、暑さと重なって眠気が出やすくなります。5〜10分の短い休憩を使って、席を立ち、肩や首を軽くほぐしたり、廊下や階段を一往復したりすると血流が改善され頭がすっきりします。 その場で深呼吸を数回行い、酸素を体に取り込むことも効果的です。
椅子に座ったまま足を動かしたり、背伸びをしたりと簡単な動作でも血流の滞りを解消できます。短い休憩を定期的に挟む習慣をつけ、午後の眠気を解消しましょう。
関連記事:上級睡眠健康指導士監修|夏の夜に暑くて寝れないときの原因と対策について解説!
暑い日の眠気を防ぐ生活習慣
眠気が出てから対処するよりも、そもそも眠気が出にくい状態をつくっておくほうが、快適な夏を過ごす上では重要です。
複数を組み合わせることで相乗効果が出やすくなるので、実践しやすいものから試してみてください。
習慣1. 夜の室温と湿度を整える
前述のとおり、環境省の資料では快適に眠れる室温の上限は28℃とされており、これを超えると寝具だけで調節することは難しいのだそうです。※1
夏の夜はエアコンを我慢するのではなく、適切に活用して睡眠環境を整えることが熱中症予防の観点からも推奨されています。
設定温度は28℃を目安に、タイマーを活用して深夜から早朝にかけて一定の温度が保てるよう工夫しましょう。湿度は50〜60%程度に保つと快眠できる環境づくりに役立ちます。除湿モードの活用も効果的でしょう。
習慣2. 日々の睡眠時間を確保する
「暑い夜は眠れないから仕方ない」と諦めてしまう方も少なくありませんが、睡眠不足は熱中症リスクを高める可能性があります。睡眠不足だと体温調節機能が低下し、翌日の暑さへの対応力が下がるためです。
外出や運動の予定がある日ほど、前夜の睡眠をしっかり確保しましょう。夏場は体への負担が増えていることを念頭に、普段より少し多めに睡眠時間を意識することが大切です。
習慣3. 暑さの強い時間帯を避ける
日中の眠気を防ぐために、暑さのピーク時間帯に無理な活動を重ねないことも重要な習慣です。気温が最も高くなるのは一般的に午後2〜3時ごろで、この時間帯に炎天下での活動や風通しの悪い室内での長時間作業をすると、体への負担が集中します。
環境省の熱中症警戒アラートが発表された日は、屋外での活動を控え、涼しい環境で過ごすよう公的に推奨されています。※2
買い物や外出は午前中や夕方以降に済ませる、活動の合間に冷房の効いた場所で休む、こまめに日陰を利用するといった工夫で、日中の蓄積疲労を減らしましょう。
習慣4. 気温だけでなく暑さ指数(WBGT)もチェックする
「今日は32℃だから暑い」という気温だけの判断は、暑さのリスクを正確に把握する上では不十分です。同じ気温でも湿度が高ければ体感は格段に厳しくなります。
湿度・日射や輻射熱・気温の3要素を組み合わせた指標である暑さ指数(WBGT)は、熱中症予防を目的として1954年にアメリカで提案されました。※3
環境省の発表では、WBGTが28を超えると熱中症患者数が著しく増加することが、2008年〜2021年の夏季における主要都市の救急搬送データから示されています。※3
気温が30℃を超えていなくても、湿度が高ければWBGTが28を超えることは珍しくありません。毎朝の天気チェックに加えて、環境省が提供するWBGT確認サービスでWBGTのチェックを習慣化すると、体感だけに頼らない暑さの判断ができるでしょう。
関連記事:【医師監修】寝るとき足だけ暑い原因と今すぐできる5つの対処法|バーニングフィート症候群を改善する睡眠習慣
暑い日に眠くなることに関してよくある疑問
暑い日の眠気の原因と対策について、よくある疑問をQ&A形式でまとめました。
Q1. しっかり寝たのに眠いのはなぜですか?
十分な睡眠時間を確保したにもかかわらず眠気が残る場合、睡眠時間よりも睡眠の「質」に問題があるかもしれません。夜の室温や湿度が高いと、体が休もうとしても体温調節のための発汗が続き、深い眠りに入れない状態が続くことがあるのです。時間の上では十分寝ていても、体が十分に回復できていません。
また、体温調節のために体が昼間から多くのエネルギーを使っているため、睡眠だけでは回復しきれないこともあります。「寝たはずなのに眠い」という感覚は、怠けではなく、暑さという環境要因が体に負担をかけているサインです。
Q2. 家の中でも熱中症になるのですか?
なります。消防庁の令和7年(2025年)5月〜9月の確定データによると、全国の熱中症による救急搬送人員は100,510人と調査開始以降最多となりました。発生場所別では、住居(自宅)が約38%で最も多く、屋外よりも多い結果です。※4
「外に出なければ熱中症にはならない」という考えは危険です。特に換気が不十分な室内では、エアコンをつけていなければ室温も湿度も危険な水準まで上昇するため、熱中症のリスクが高まります。自宅にいるときも室温と湿度をこまめに確認し、暑さを感じたら迷わずエアコンを使用しましょう。
まとめ:暑い日の眠気は原因を切り分けて早めに対処しよう
暑い日に眠くなるのは「気のせい」でも「怠け」でもなく、体が暑さに対応しようとした結果として現れる自然な反応です。ただし、眠気の背景には熱中症の初期サイン、体温調節の負担、夜の寝苦しさによる睡眠不足という3つの異なる原因があり、それぞれへの対応も変わります。
頭痛、吐き気、めまいなどの症状を伴う眠気は、熱中症の可能性を念頭に置いて速やかに涼しい場所で休み、必要であれば医療機関への相談を検討してください。症状のない眠気であれば、水分・塩分補給、首や手首を冷やす、軽く体を動かすといった方法で和らげることができます。
長期的な予防としては、夜の室温(28℃以下)と湿度(50〜60%)の管理、十分な睡眠時間の確保、暑い時間帯の活動を控える工夫、そして気温だけでなくWBGTによる暑さ判断を習慣づけることが効果的です。
・参考
※1 熱中症環境保健マニュアル | 環境省
※2 熱中症警戒アラート | 環境省
※3 暑さ指数(WBGT)について | 環境省
※4 令和7年(5月〜9月)の熱中症による救急搬送状況(確定値)| 消防庁










