睡眠コラム by 田中かつら2026年7月2日読了目安時間: 6

眠りさそう料理 2026夏

田中かつら

辻日本料理専門学校を卒業後、懐石料理、エスニック、ビストロ等で経験を積み、2013年に東京・池尻大橋に《季節料理・酒処さそう》をオープン。季節の食材に、ハーブやスパイスを取り入れた料理を得意とする。NHKラジオや「dancyu」「和樂」など数多くの雑誌でレシピを提供するほか、料理教室を主宰。現在は夫の転勤に伴い、福岡県に暮らしている。

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季節は夏

夏の夜は、日が暮れても気温が25℃を下回らず、湿度も高く寝苦しい夜が続きます。

深部体温が熱帯夜で阻害され、寝付きが悪く途中で目が覚めてしまったり、日照時間が長くなり生活リズムが崩れがちに…。

そんな時は、日々の料理に眠りさそう食材を取り入れてより良い眠りにつなげましょう。

眠りに大切な栄養素「トリプトファン」

「トリプトファン」は脳をリラックスさせる睡眠ホルモン「セロトニン」を作る必須アミノ酸のひとつで、私達の身近にあるタンパク質を多く含む食材から摂取出来ます。

乳製品や大豆製品、卵やバナナが多くあげられ、一番身近なお米や醤油、味噌に鰹節や煮干し、海苔やワカメにも「トリプトファン」は多く含まれています。

そんな「トリプトファン」を含む食材にプラス「梅干し」を合わせることで、次のような効果が期待できます。

 

◎梅特有の酸味成分である有機酸(クエン酸)が日中に蓄積した疲労物質(乳酸)の分解をサポートします。

疲れが取れることで神経の緊張が和らぎ、心身がリラックス状態に切り替わりやすくなり、眠りの質を高めます。

 

◎梅干しを加熱することで生成される成分「ムメフラーム」には、血流をスムーズにする働きがあります。

スムーズな入眠に必要な深部体温の低下を促します。

 

そこで今回は、この暑い夏にぴったりな食材《梅干し》を使った眠りさそう料理をご紹介します。

《梅干し》は、熱中症対策と夏バテ予防にも最適です。夏、そのままはもちろんのこと、叩いて潰しておくと、調味料として普段のお料理の味付けに使えるのでとても便利です。↓

↑残った種は、白湯に入れたり、お魚やお肉を煮る際に入れたり、ご飯に入れて炊いたり、種だけでも使い道は色々あります。

 

我が家では、暑い日が続き、さっぱりした料理が食べたくなる時もあれば、ガッツリと揚げ物が食べたくなる時もあります。どちらの料理にもこの潰した梅干しを入れて酸味を加えてあげると、食した後のさっぱり感に身体が喜ぶのを感じます。

また、暑いからといって冷たい料理や飲み物ばかりを口にするのは避け、バランス良く、意識的に温かい料理や飲み物も口にすることも大切です。内臓を温め胃腸の動きを良くすることで、睡眠の質が上がります。

 

*今回使用する《梅干し》は梅と塩のみで作ったものを使用してます。はちみつ漬けなどの甘みのある梅干しを使う際には味醂の量を調整して下さい。

(梅干しを入れて甘味があるようでしたら、味醂は入れないようにして下さい。)

 

【パイナップルと三つ葉の梅マリネ】

(材料 二人前)

・パイナップル 150g

・三つ葉 3〜4本

a

・梅干し 小さじ1〜2

・味醂   小さじ1

・オリーブオイル  小さじ1

☆お好みで

黒胡椒、ピンクペッパー 少々

*パイナップルは缶詰ではなく、フレッシュなパイナップルを使い作ります。

(作り方)

①パイナップル→一口サイズにカットします。

 三つ葉→葉と茎を分け、茎は1cm位の長さにカットします。

②ボールにaと三つ葉の茎を入れよく混ぜます。

☆梅干しは、使う梅干しによって塩分濃度が変わるので、最初は少量混ぜ、工程③で味をみて薄いようでしたら足すようにしてください。

③パイナップルを加え全体が馴染むように混ぜ、葉を加えてさっくりと混ぜます。

④器に盛りつけて黒胡椒やピンクペッパーを振りかけて出来上がりです。

◎パイナップルの特徴

「睡眠ホルモン」と呼ばれるメラトニンや、その生成を促す成分が豊富に含まれています。

また、パイナップルに含まれる酵素「ブロメライン」が、タンパク質の消化を促進するため、夕食時に食べることで寝る前の胃の負担を軽くし、快適な睡眠をサポートします。

パイナップルの代わりに桃やすもも、ブドウやキウイと和えても美味しいです。

◎三つ葉の特徴

アロマベジタブルと呼ばれ、爽やかな香り成分が神経の興奮を鎮め、脳の緊張をほぐすため、心身がリラックスし、スムーズな入眠につながります。

三つ葉の香り成分は揮発性があり熱に弱いため、料理の仕上げに添えたり、生のまま食べるのが効果的です。

 

◎オリーブオイルの特徴

抗酸化作用による脳のストレス軽減や、腸内環境の改善(脳腸相関)を通じて睡眠の質を向上させる効果が期待できます。

 

【鯵とズッキーニのポキ】

(材料 二人前)

・刺身用鯵 2枚

・ズッキーニ 小さめ½本

・アボカド ½個

・赤玉葱 ⅛個

・おろし生姜 少々

 

・梅干し 小さじ1

・胡麻油 小さじ2

・味噌 小さじ1/2

 

・カット海苔 適量

・大葉 適量

 

☆お好みで

プチトマト、ミョウガ、三つ葉、すり胡麻

(作り方)

①刺身用鯵→1cm位にカットします。

 ズッキーニ→鯵と同じサイズにカットします。

 赤玉葱→粗みじん切りにカットします。

 アボカド→鯵と同じサイズにカットします。

②ボールにズッキーニ・赤玉葱・おろし生姜を入れ、梅干しと胡麻油を加えてしっかりと混ぜ→鯵を加えて混ぜ→味噌とアボカドを加えて混ぜます。

③器にカット海苔と大葉と一緒に盛りつけます。お好みでプチトマトやミョウガ、すり胡麻を添えて下さい。

◎鯵の特徴

睡眠の質を高める成分(トリプトファン、DHA、EPA、ビタミンB12など)が豊富に含まれています。これらの栄養素が自律神経を整え、脳内でメラトニンの生成を促し自然な眠気を誘います。

鯵は1日あたり1尾食べるだけで、これらの栄養素を効率よく摂取できます。

初夏から夏(5月〜8月)にかけて、産卵前の時期の脂がのった鯵のもっとも美味しい季節です。

鯵の代わりにサーモンやマグロもおすすめです。

 

◎ズッキーニの特徴

夏バテ予防や疲労回復に役立つビタミンCやカリウムが豊富です。

身体の疲れを和らぎ、体内の余分なナトリウムや水分の排出を促し、身体の熱を逃し、夏場の寝苦しさを和らげる効果があります。

ズッキーニの代わりに鯵との相性が良い胡瓜を入れても美味しく召しあがれます。

 

◎海苔の特徴

睡眠を促すメラトニンの元になるトリプトファンと、リラックス効果のあるマグネシウムが豊富に含まれてます。

 

☆「ポキ」とは?

ハワイの伝統的なローカルフードで、新鮮な魚介類を一口大の角切りにし、醤油や胡麻油などの調味料で和えた料理です。厳格な決まりはなく、好みの組み合わせで楽しむことができる料理です。

そのままおつまみとして、お豆腐にのせて。

ポキ丼として、海苔も大葉もちぎって全部一緒に混ぜて、ご飯の上にのせて召し上がっていただいても美味しいです。

【豚スペアリブと夏野菜の梅煮込み】

(材料 二〜三人前)

a

・豚スペアリブ 400g

・玉葱   150g(大½個)

・トマト 230〜250g(大1個)

・にんにく(潰し)一片

・水 300g

b

・夏野菜(2~3種類)300g

ナス、ズッキーニ、オクラ、セロリ、シシトウなど

c

・梅干し 大さじ1〜2

・味醂   大さじ1

d

・ハーブ 適量

(バジル、ディル、オレガノ、パクチー)   

・醤油 小さじ1

 

☆お好みで

黒胡椒、チリパウダー

(作り方)

①鍋にaを入れ、蓋をして強火にかけます。沸いてきたら弱火にします。蓋をしたままコトコトと30分火にかけます。

②bの夏野菜を加え(ここで加える夏野菜は、火が入るまで少し時間のかかるナスやズッキーニなどを入れます。早く火が入るオクラやシシトウを入れる時には、工程③で加えて下さい)蓋をして弱めな中火で20分煮込みます。

③ cを加えて、蓋を取った状態で10~20分煮込みます。水分を少し飛ばしながら煮込みたいので、火加減は中火にします。

④水分が具材ヒタヒタくらいになったら、dを加えてサッと混ぜます。

⑤器に盛りつけ、お好みで黒胡椒とチリパウダーを振りかけて出来上がりです。

◎豚肉の特徴

質の高い睡眠を促す脳内物質「セロトニン」の材料となる「トリプトファン」や、自律神経の乱れやストレスを和らげる「ビタミンB群」が豊富に含まれます。

特に夏バテ防止に豚肉は最強の食材です。疲労回復のビタミンとも呼ばれる「ビタミンB1」が糖質をエネルギーに変え、蓄積された疲労物質(乳酸)を分解する働きがあります。

この「ビタミンB1」は、ニンニクや玉葱、ニラなどに含まれる「アリシン」と一緒に摂ることで、吸収率が約10倍にアップします。

今回の煮込みのように一緒に煮込むことで、スープまで身体に効率よく摂り入れることができ、夏の冷房で冷えた身体にはぴったりです。

 

◎ハーブの種類

この煮込み料理にはバジル・ディル・パクチーが合いますが、梅干しを使っていることで、大葉・三つ葉・芹などの和のハーブも合います。

 

◎チリパウダーとは?

唐辛子をベースにクミン・オレガノ・パプリカ・ガーリックなどの香辛料をブレンドしたミックススパイスです。

タコスやチリコンカンには欠かせない調味料で、柔らかい辛みに豊かな香りと旨みを料理にプラスできます。

*チリペッパー(カイエンペッパー)と間違われやすいのですが、こちらの原料は唐辛子が100%で、強い辛味があります。

◎夏野菜には

豊富な水分とカリウムを含む野菜が多くあります。

内側からクールダウンさせ、汗で失われたミネラルを補給するのにも最適です。

・トマト・ズッキーニ・ナス・ゴーヤ・とうもろこし・夏南瓜・オクラ・ししとう…

☆煮込み料理は一度冷ましてから、再度温めて頂くと味が中まで染み込み美味しさが増します。

☆次の日は、残った煮込みにパスタを絡めてチーズを振りかけて食べて頂くとまた前日とは違う一品をお愉しみ頂けます。

 

料理を口にして美味しいという感覚は生活の質を高める上でとても大切なことです。

栄養バランスの取れた食事は体調を整え、健康の維持を助けます。ひとつの食材に意識しすぎず、さまざまな食材を組み合わせてバランスをとるように心がけましょう。

 

むしむしと暑さ厳しい夏、《梅干し》の香りを感じながら、眠りさそう料理をゆったりと愉しみ、眠りの質を高めましょう。

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