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監修者

五藤 良将
千葉県立東葛飾高校卒、防衛医科大学校医学部卒。その後に自衛隊中央病院、防衛医科大学校病院、千葉中央メディカルセンターなどの勤務を経て2019年9月に継承開業に至る。
- 免許・資格
医師免許、日本抗加齢医学会専門医、日本内科学会認定医、日本旅行医学会認定医、日本医師会産業医、スポーツドクター、日本美容内科学会評議員
朝はすっきり目が覚めたのに、仕事を始めて2〜3時間経つころ、突然まぶたが重くなってくるといった経験はありませんか。私もかつては「朝型タイプだから午前中は絶好調なはず」と思い込んでいましたが、いつの間にかデスクでボーッとしてしまい、コーヒーを飲んでも効かないことがありました。
前夜の睡眠不足や睡眠の質の低下が重なると眠気が増幅し、集中力や作業効率を大きく下げてしまうこともあります。※1
本記事では、上級睡眠健康指導士でコアラマットレス社員の松本が、なぜ10時頃に眠くなるのかという科学的な背景をやさしく解説し、オフィスでもすぐ実践できる眠気対策のコツと、根本的な睡眠リズムの整え方を紹介します。
朝10時に眠くなるのはなぜ?体内時計が関係する3つの理由

朝の眠気は必ずしも体調不良のサインではありません。実は、人の体の中に備わった体内時計(概日リズム)が深く関係していると考えられています。
起床後すぐは調子が良かったのに、仕事を始めて2〜3時間後にまぶたが重くなるといった現象も、生理的なリズムの一部として説明がつきます。ここでは、午前10時に眠気を感じやすくなる3つの科学的理由を見ていきましょう。
1. 体内時計による覚醒力の自然な低下
人の覚醒度は1日中一定ではなく、体内時計の働きによって波のように変動します。杏林大学の研究では、起床からおよそ4時間後、つまり午前10時前後に覚醒力が一時的に低下する生理的な谷が確認されています。※2
特に、朝の光を十分に浴びていなかったり、起床直後に静かな環境で過ごしたりすると、この谷がより深く出やすくなります。活動のリズムを作るには、朝の刺激(光・会話・軽い動作など)をうまく取り入れることが効果的です。
2. 睡眠不足による睡眠負債の蓄積
次に、慢性的な睡眠不足(睡眠負債)が眠気を増幅させるケースです。厚生労働省のガイドラインでは、成人の推奨睡眠時間を6〜8時間としています。※3 しかし日本では、国民健康・栄養調査のデータから男女とも約4割の人が「6時間未満」という実態が明らかになっています。※4
このように日々の眠りが足りていない状態では、朝の「一時的な覚醒力の低下」がより強く表れやすくなります。たとえ目が覚めて活動できていても、起床から2〜3時間後に集中力が落ちるようなら、それは睡眠負債のサインかもしれません。小さな不足が積み重なることで、午前中のパフォーマンスに影響を及ぼすのです。
3. 朝のメラトニン分泌の影響
もうひとつの要因として注目されるのが、睡眠ホルモン「メラトニン」の残存です。メラトニンは本来、夜になると分泌されて眠気を誘い、朝の光を浴びることで分泌が止まります。※5
しかし、前夜の就寝が遅くなったり、朝に十分な光を浴びなかったりすると、体内時計が「まだ夜」と錯覚し、メラトニンの影響が続くことがあります。
その結果、目は覚めていても脳がまだ夜モードのままで、頭がぼんやりとした状態になりやすいのです。起床後はできるだけ自然光の下に身を置き、体内時計を「朝」に切り替えることが、10時前後の眠気を防ぐ第一歩になります。
今すぐできる!朝10時の眠気を解消する5つの即効対策

朝10時の眠気は、誰にでも起こり得る自然な生理現象ですが、放置すれば集中力や生産性を下げてしまいます。そこで、オフィスでも自宅でもすぐに実践できる「短時間×低コスト」のリセット法を紹介します。いずれも科学的根拠に基づいた方法ですので、意識を「ブレーキ」から「アクセル」へと切り替えるヒントにしてください。
1. 15分以内のパワーナップ(仮眠)を取る
わずか10〜15分の短時間仮眠でも、午後まで集中力を持続しやすくなることが知られています。※6
仮眠には、脳の情報整理やストレス軽減の働きがあり、特にオフィスワーカーのパフォーマンス向上に効果的です。
ただし、30分以上眠ってしまうと深い睡眠段階に入り、起きた直後に頭がぼんやりしてしまうこともあります。タイマーを使い、椅子に浅く腰掛けて目を閉じるだけでも十分です。15分の「リセットタイム」を1日の習慣に取り入れることで、眠気の波を穏やかに乗り越えられます。
2. 明るい光を浴びて体内時計をリセット
光は、私たちの体内時計を「朝モード」に切り替えるスイッチです。※1
起床後や午前の作業前に窓際で自然光を浴びる、あるいはデスクライトを少し明るめに設定するだけでも、脳が覚醒方向に動き始めます。
特に、前夜に就寝が遅れた日や外光の少ない部屋では、光刺激がメラトニン(睡眠ホルモン)の抑制を助ける重要な役割を果たします。数分間の光浴でも効果を感じる人が多く、朝10時の眠気対策として非常に手軽で持続性の高い方法です。
3. 軽い運動やストレッチで血流を促進
もし座りっぱなしで体が重いと感じたら、軽く体を動かすのが一番です。肩を回す、首をほぐす、つま先立ちを数回繰り返す、あるいは1〜2階分だけ階段を上り下りするなど、たった数分の動作でも血流が促進され、脳へ酸素が行き渡ります。
運動によって交感神経が穏やかに刺激されると、体温が上がり、自然に覚醒感が増していきます。デスクワークの合間に「軽く動く時間」を挟むことで、午前の眠気を効率よくリセットできます。
4. 戦略的なカフェイン摂取のタイミング
コーヒーやお茶で眠気を吹き飛ばすのは定番ですが、摂取のタイミングを誤ると効果が半減してしまいます。ポイントは、「起床から90分以降」に飲むことです。
なぜなら、起床直後30~60分は体内で覚醒ホルモンのコルチゾールが自然に分泌されるため、この時間帯にカフェインを摂っても効果が感じにくい場合があるからです。
逆に、10時前後に摂ると覚醒リズムに重なり、効き方が安定しやすくなります。午後2時以降は睡眠の質を下げる恐れがあるため、午前中で切り上げるのが理想です。※3
5. 午前10時の間食で血糖値を安定させる
早稲田大学の時間栄養学研究によると、この時間帯は脂肪が蓄積しにくく、血糖値も安定しやすいと報告されています。※7「おやつ」と聞くとつい罪悪感を抱きがちですが、午前10時の軽い間食は体内時計の観点から理にかなっているのです。
ナッツやヨーグルト、バナナなど、糖質が急上昇しにくい軽食を選ぶことで、血糖値の乱高下を防ぎ、眠気の谷を緩やかにします。少しの補給で頭が冴え、気分も安定しやすくなります。
朝10時の眠気は、意思の弱さではなく「体の自然なリズム」の表れです。短時間の仮眠や光、軽い運動、タイミングを意識したカフェイン摂取、そして賢い間食の活用で、眠気を味方に変えることができます。
自分のリズムを理解し、少しずつ整えていけば、午前のパフォーマンスが確実に変わっていくはずです。
・短時間の仮眠
・光を浴びる工夫
・軽い運動
・カフェインの“タイミング”
・血糖値を安定させる間食
といった小さな対策を組み合わせるだけで、午前中のパフォーマンスは確実に変わります。
そして何より大切なのは、「眠気を敵としないこと」。自分の体のリズムを理解し、無理に逆らうのではなく、上手に付き合う視点を持つことが、仕事の質・集中力・そして長期的な健康を守る近道です。
もし眠気が慢性的に続いたり、日常生活に支障をきたしている場合は、睡眠障害や自律神経の不調が隠れている可能性もあります。その際は、我慢せず病院、クリニックに相談してください。
「朝の数時間」を整えることは、「一日全体の質」を底上げすることにつながります。今日からできる小さな習慣が、あなたの午前中を、そして毎日を、より快適で生産的なものに変えてくれるはずです。
根本改善!午前中の眠気を防ぐ生活習慣の見直し方

即効対策で眠気をやわらげるだけでなく、生活リズムそのものを整えることで、午前中のパフォーマンスを根本から底上げできます。
睡眠時間・リズム・朝の過ごし方という3つの柱を見直すことで、体内時計が安定し、自然に眠気の波が穏やかになります。ここでは、その具体的なポイントを順に整理します。
最低6時間の睡眠時間を確保する
成人では、1日6〜8時間の睡眠が目安とされ、厚生労働省のガイドラインでも「休養感(睡眠休養感)を得られること」が重視されています。研究では、睡眠が6時間未満の層で心血管疾患の発症リスクが約5倍に高まるとの報告もあり、慢性的な寝不足が健康に大きな影響を及ぼすことが示唆されています。※3
睡眠時間を確保するだけでなく、質の向上にも目を向けたいところです。就寝1〜2時間前のスマートフォンやパソコンによる強いブルーライトを控え、室温や湿度を快適に保つことで、眠りが深まりやすくなります。※3
また、自分の体圧分散に合う寝具を選ぶことも、睡眠の質を底上げする鍵です。寝具選びのポイントについては、社内の関連記事もあわせて参考にしてみてください。
毎日同じ時間に就寝・起床する
次に重要なのが、睡眠リズムの一貫性です。体内時計は規則性を好む性質があり、平日と週末で就寝・起床時刻が2時間以上ずれると、「ソーシャルジェットラグ」と呼ばれる軽い時差ボケのような状態を引き起こします。このズレが続くと、集中力が落ちやすくなることが報告されています。※8
週末の夜更かしや寝だめを避け、平日と同じリズムを保つことが体内時計の安定につながります。朝の光を浴びる時間や食事のタイミングもできるだけ一定にすることで、日中の眠気を自然に抑えられるようになります。
朝食をしっかり摂って体内時計を整える
生活リズムを整えるうえで、朝食の役割も欠かせません。時間栄養学の研究では、朝食が末梢の体内時計(肝臓や筋肉など)をリセットし、代謝やホルモン分泌のリズムを整える働きを持つことが明らかになっています。
特に、タンパク質と糖質を少量ずつ組み合わせる食事が理想的とされ、血糖値の急上昇を防ぎながら安定したエネルギー供給を促します。たとえば、ごはんやパンに卵・納豆・ヨーグルトを合わせると、午前中の集中力維持に効果的です。
朝食を抜いてしまうと、体内時計のリセットが遅れ、眠気やだるさを感じやすくなるため、「朝はしっかり・夜は軽め」を意識した食習慣が、午前中のパフォーマンスを支える基盤になります。
こんな症状があれば要注意!医療機関受診の目安
「ただの寝不足」と思っていても、実は体のサインを見逃している場合があります。慢性的な眠気や朝のだるさが続くとき、生活リズムの乱れだけでなく、睡眠障害や自律神経の不調、メンタル面の不調が関係していることもあります。ここでは、医療機関への受診を検討すべき代表的な3つのケースを紹介します。
睡眠時無呼吸症候群の可能性
大きないびきが続く、いびきが途中で止まる、朝起きたときに頭痛や強い疲労感がある、日中に強い眠気が襲うといった症状が重なっている場合、睡眠時無呼吸症候群(SAS)の可能性があります。
SASは、睡眠中に呼吸が何度も止まることで酸素不足を起こし、心血管疾患のリスクを高めることが知られています。本人が自覚しにくい病気のため、家族やパートナーから「いびきが途切れていた」と指摘されたことがある人は注意が必要です。早期の検査・治療によって、集中力の低下や日中の眠気が改善する例も多く、まずは睡眠外来・耳鼻咽喉科・呼吸器内科などでの相談が推奨されます。※9
起立性調節障害のチェックポイント
「午前中に体が動かない」「立ち上がるとめまいや動悸がする」「午前中はずっとだるいのに、午後になると少し楽になる」といった症状が見られる場合は、起立性調節障害(OD)の可能性があります。※10
これは、自律神経のバランスが崩れ、血圧や心拍の調整がうまくいかなくなることで起こる症状です。特に中高生など若年層に多く、朝起きられない、午前中に授業へ集中できないなどの形で現れやすいといわれています。生活リズムの乱れやストレスが背景にあることも多く、循環器科・小児科・心療内科などでの評価を受けることで、適切な治療や生活指導を受けやすくなります。
うつ病など精神疾患の初期症状
2週間以上、寝つきの悪さや途中で目が覚める「中途覚醒」、朝早く目が覚めてしまう「早朝覚醒」が続く場合は、メンタル面の不調が隠れていることもあります。興味や意欲の低下、気分の落ち込み、食欲や体重の変化などを伴う場合は、うつ病の初期サインである可能性も否定できません。※11
睡眠は心のコンディションを映す“バロメーター”でもあります。眠れない日が続くときは我慢せず、精神科・心療内科など専門の医療機関で相談することが回復への近道です。薬物療法だけでなく、認知行動療法や生活習慣の調整など、非薬物的アプローチで改善を図るケースもあります。
まとめ|朝10時の眠気を改善して午前中のパフォーマンスを向上させよう

午前10時の眠気は、多くの場合「体内時計の波」と「睡眠負債」「光不足」などが重なって起こります。根本的な改善を目指すなら、まずは(1)10〜15分の仮眠、(2)光を浴びる、(3)軽いストレッチ、(4)カフェインを取るタイミングの調整、(5)10時の軽い間食を組み合わせてみてください。
さらに、6時間以上の睡眠を毎日確保し、平日と週末の就寝・起床時間をそろえることで、体内時計の安定を図れます。朝食でエネルギーを補い、光を取り入れることも眠気の波をやわらげる助けになります。
また、寝室の環境を整えることも忘れてはいけません。遮光カーテン、適切な温湿度、体圧分散性の高い寝具など、快眠環境を整えるだけで睡眠の質がぐっと変わります。小さな習慣の積み重ねが、午前中のパフォーマンスを確実に引き上げていくはずです。
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https://jp.koala.com/pages/120-night-trial?utm_source=blog
・参考
※1 午前中に眠気がひどい原因とは?対処法や考えられる病気を解説 | 一般社団法人起立性調節障害改善協会
※2 睡眠障害の基礎と職場における指導の留意点(杏林大学医学部精神神経科) | 産業保健21
※3 健康づくりのための睡眠ガイド 2023 | 厚生労働省
※4 令和5年国民健康・栄養調査(睡眠)まとめ | 生活習慣病オンライン
※6 『パワーナップ』昼寝効果で疲労回復する方法 | 大正製薬
※7 時間栄養学:10時の間食の意義 | 早稲田ウィークリー
※8 ソーシャル・ジェットラグ(社会的時差ぼけ)とは?寝だめによる体内リズムの乱れ | 睡眠リズムラボ
※9 睡眠時無呼吸症候群(SAS)と日中の眠気 | ながらクリニック










