睡眠コラム by Koala Sleep Japan2026年3月25日読了目安時間: 4

【医師監修】春に眠いのはなぜ?体のメカニズムと今日からできる対策まとめ

佐々木 健也 医師
日本内科学会認定内科医

<経歴>

高知医科大学医学部卒業。現在はフリーランス。専門は消化器内科(肝・胆・膵)。
消化器内科医として10年以上の経験があり、これまで大学病院などで、肝炎や脂肪肝、肝臓がんといった専門的な治療に携わってきた。最新の医療知識に基づく高度な治療から、地域に根ざした身近な診療まで、幅広くわかりやすいアドバイスを提供可能。

<研究分野>

消化器内科医10年以上の臨床経験を有する。大学病院および基幹病院において、肝胆膵領域、特にウイルス性肝炎、NASH/MASH、肝細胞がんの高度専門医療に従事。

「春眠暁を覚えず」という言葉があるように、春はどうしても眠くなりやすい季節です。目覚ましが鳴っても起きられない、昼間もウトウトしてしまう、何時間寝ても眠い…そんな経験をしている方は少なくないのではないでしょうか。

この記事では、春に眠くなる理由を体のメカニズムから丁寧に解説するとともに、今日から取り入れられる実践的な対策もご紹介します。「もしかして病気?」という不安を感じている方向けの情報もまとめていますので、ぜひ参考にしてみてください。

春に眠いのはなぜ?4つのメカニズム

春に眠くなる原因は、まだはっきり解明されていませんが、いくつかの有力な説が複合的に重なり合って眠気を引き起こしていると考えられています。

1. 自律神経のバランスが乱れやすい

自律神経とは、体の活動をコントロールする神経で、活動時に働く「交感神経」と休息時に働く「副交感神経」の2種類があります。

冬は体が緊張する寒さによって交感神経が優位に働きますが、暖かい日が増える季節の変わり目になると副交感神経が刺激されてリラックスモードになり、眠くなってしまうというメカニズムがあります。

さらに、春は気温の変化が激しく寒暖差が大きいため、体は自律神経を活発に働かせて体温調節を行います。しかし頻繁な気温変動によって自律神経のバランスが崩れやすくなり、疲労感や眠気を感じることがあります。

2. 体内時計と日照時間のズレ

体内時計のマスタークロックは脳の視床下部の視交叉上核というところにあり、光刺激とメラトニンと呼ばれるホルモンが連動して睡眠と覚醒をコントロールしています。夜暗くなると松果体からメラトニンが分泌されて眠くなり、朝光を浴びるとメラトニンの血中濃度が下がり、活動に向いた交感神経が優勢な状態に切り替わります。

ところが春になると、冬に分泌された睡眠ホルモンのメラトニンが体内に残っている一方で、朝の日照時間が急に長くなり体内時計がずれていることが眠気の原因になります。また、春は朝に副交感神経から交感神経優位な状態に切り替わりにくいことが「春眠、暁を覚えず」の理由だと考えられます。

3. 気圧の変化による影響

低気圧と高気圧の入れ替わりが頻繁に起こる春は、自律神経の切り替えをうまくコントロールできなくなります。低気圧になると血液中の酸素濃度が下がり、体がだるさを感じたり日中に眠くなったりします。

4. 環境変化によるストレス

春は入学や就職、異動などで生活環境が大きく変わる時期です。新しい環境に適応するためのストレスや緊張感が自律神経のバランスを乱し、睡眠の質の低下や疲労感を引き起こすことがあります。夜なかなか眠れず、昼間に眠気が出るというサイクルに陥りやすいのも春ならではの特徴です。

春の眠気対策:今日からできる5つの習慣

1. 朝起きたらすぐ日光を浴びる

起床後すぐにカーテンを開けて太陽の光を全身に浴びることで、体内時計がリセットされ、自律神経の切り替えがスムーズになります。曇りの日でも光は届いているので、できるだけ窓の近くに移動するだけでも効果が期待できます。

2. 規則正しい起床・就寝時間を守る

休日であっても起床・就寝時間や食事の回数を変えないようにすると自律神経は整いやすく、五月病の予防にもなります。週末に「寝だめ」をしたくなる気持ちはよくわかりますが、それが体内時計のズレをさらに広げてしまうこともあります。

3. 昼寝は15〜20分以内に

どうしても眠い場合は、短時間の昼寝が有効です。仮眠の時間は15〜20分が最適とされています。睡眠時間が20分を超えると眠りが深くなり熟睡状態に入るため、無理に起きると頭や身体がかえってだるくなってしまいます。午後3時より前に、座ったままでもよいので仮眠をとるのがおすすめです。

4. ぬるめのお風呂でリラックス

ストレスが溜まると自律神経が乱れ、夜になっても交感神経が優位になり眠りが浅くなってしまいます。リラックスするためには、ぬるめのお風呂にゆっくり浸かる、アロマを活用する、軽いストレッチや深呼吸をするなどの方法が効果的です。

5. 朝食と適度な運動を取り入れる

バランスのよい朝食をとることで体温が上がり、体内時計が整います。また、朝に軽いストレッチやウォーキングを行うことで血流がよくなり、すっきりと目覚められます。

佐々木 健也 医師
佐々木 健也 医師
春は気候や日照時間が変わり、進学や異動など生活環境も大きく変化するため、体と心が気づかないうちに多くのエネルギーを使っている季節です。日中の眠気やだるさは、体が一生懸命に新しい環境に適応しようと頑張っているサインでもあります。

記事の中で紹介されている「起床時に朝日をしっかり浴びる」ことや、「日中の仮眠を15~20分以内に留める」といった工夫は、医学的な睡眠ケアの観点からも理にかなったよい習慣であると考えられます。

まずは、無理のないペースで、できることをまず取り入れてみてください。皆さんの毎日が、健やかで充実した春になりますように。

何時間寝ても眠い場合は要注意

「しっかり寝たのになぜか眠い」「何時間寝ても眠気が取れない」という場合、春特有の一時的な眠気とは別の原因が隠れていることがあります。

花粉症薬の影響

見落とされがちですが、花粉症の治療で服用する抗アレルギー薬による眠気も要因の一つです。花粉症患者の25%に日中の眠気がみられ、症状が重くいびきを伴う場合に日中の眠気が多いという報告があります。

睡眠不足症候群

睡眠不足が長期間続くと、慢性的な眠気や認知パフォーマンスの低下、気分の不安定さなど、生活にさまざまな支障が出てきます。この状態は睡眠不足症候群と呼ばれています。週末の寝だめで一時的に解消されても、根本的な解決にはなりません。

医療機関への受診が必要なケース

以下の状況に該当する場合は、医療機関への受診を検討することをおすすめします。

  • 夜間に十分な睡眠をとっても日中の眠気が改善しない
  • 日常生活に支障をきたすほどの眠気や集中力の低下がある
  • 気分の落ち込みや興味の喪失などの精神的な症状が2週間以上続く
  • 睡眠中のいびきや無呼吸が観察される

まとめ

春の眠気は、自律神経の乱れ・体内時計のズレ・気圧の変化・生活環境の変化など、複数の要因が重なって起こるものです。「春眠暁を覚えず」という言葉が昔からあるほど、多くの人が経験することでもあります。

まずは朝の光を意識的に浴び、規則正しい生活リズムを守ることからはじめてみましょう。それでも「何時間寝ても眠い」「日常生活に支障が出るほどの眠気が続く」という場合は、体からのサインとして受け止め、専門家に相談することも大切な一歩です。

よくある質問(FAQ)

Q. 春に眠くなるのはいつ頃まで続く?

A. 多くの場合、気候が安定してくる5月頃には自然と落ち着いてきます。ただし、新生活のストレスが続く場合は五月病と重なることもあります。

Q. 春の眠気に効くカフェインはとってもいい?

A. 短時間の覚醒には役立ちますが、過剰摂取は睡眠の質を下げる原因になります。午後2時以降はなるべく控えるのが無難です。

Q. 子どもも春に眠くなりやすい?

A. はい、大人と同様に体内時計の乱れや気候の変化の影響を受けます。新学年の環境変化によるストレスが重なることもあるため、生活リズムを整えてあげることが大切です。

参考文献

  1. 養命酒製造株式会社「春の朝はなぜ眠い?体内時計リセットのメカニズムと眠気対策2選」 https://www.yomeishu.co.jp/health/3645/
  2. 日本橋西川「なぜ春は眠いの?3月・4月に眠くなる理由や起きられないときの対策について解説」 https://www.nihonbashi-nishikawa.com/column/bed/why-sleepy-in-spring/
  3. 城東病院 カラダ思い「だるい、眠い・・春の体調不良の原因と対策」 https://karadaomoi.jyoto-hospital.net/seasonal-topics/だるい、眠い・・春の体調不良の原因と対策/
  4. 大正製薬 大正健康ナビ「自律神経の乱れが原因?春の疲れは”ゆっくり”で解消」 https://www.taisho-kenko.com/column/76/
  5. 日本気象協会 tenki.jp「春はなぜ眠い?その原因は自律神経の乱れだった!」 https://tenki.jp/suppl/y_matsuda/2016/03/14/10811.html
  6. つながる薬局ナビ「春の眠気を徹底改善!効果的な対策と眠くなったときの対処法」 https://psft.co.jp/navi/health-prevention/1283/
  7. 済生会「しっかり寝ても眠い……これって過眠症?」 https://www.saiseikai.or.jp/medical/column/hypersomnia/
  8. 厚生労働省 e-ヘルスネット「昼間の眠気 – 睡眠不足だけではなく睡眠・覚醒障害にも注意が必要」 https://kennet.mhlw.go.jp/information/information/heart/k-02-002.html
  9. アリナミン製薬「寝ても寝ても眠いときに考えられる原因と予防法を解説」 https://alinamin.jp/tired/still-sleepy.html

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