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監修者

松岡 雄治
地方国立大学医学部卒業後、横浜市内で初期臨床研修を経て、関東の基幹病院で勤務中。
資格:医師国家試験合格、睡眠コンサルタント、睡眠検定1級
寝る姿勢だけで、体重が大きく変わるとは限りません。ただし、睡眠の質を整えることは、太りにくい生活習慣につながります。とはいえ、寝る姿勢や睡眠の質をどう整えればよいのか、気になる人もいるでしょう。
この記事では、睡眠とエネルギー消費の関係や寝る姿勢ごとの特徴、やせやすい体をつくるための睡眠の整え方を解説します。寝方と睡眠を見直したい方は、ぜひ最後までご覧ください。
睡眠中もエネルギーは消費される
太りやすさに関わるのは、寝方そのものよりも、睡眠が足りているかどうかです。睡眠中にもエネルギー(基礎代謝)は消費されますが、それによって体重が大きく減るわけではありません。
太りやすさに深く関わるのは、「成長ホルモン」と「食欲のホルモン」という2種類のホルモンです。
成長ホルモンは、体の修復や新陳代謝を促す働きがあり、主に深いノンレム睡眠中に多く分泌されます。そのため、しっかりと眠れているほど、成長ホルモンが正常に分泌されやすくなります。
一方で、食欲のホルモンは「レプチン」と「グレリン」という2つのホルモンによって調節されています。睡眠が不足している場合、満腹感を伝えるレプチンが減少し、食欲を高めるグレリンが増加します。そのため、睡眠不足によって間食や甘いものが欲しくなることがあります。
体重管理や太りにくい体づくりのためには、寝方よりも睡眠時間や睡眠の質を整えることが効果的です。睡眠習慣を見直し、十分な睡眠を確保することが、健康維持や肥満予防につながります。
残念ながら寝るだけで痩せる夢のような姿勢はありません。一方で、寝不足は太りやすいというのは医学的に妥当なため、きちんと良い睡眠をとることが「痩せ」への近道になるかもしれません。
睡眠不足による影響は、「レプチン分泌低下+グレリン分泌増加」による食欲増大だけではありません。
実は、膵臓から分泌されるインスリンの作用も現れにくくなってしまいます。つまり同じ食事をとった場合でも、より高血糖になりやすくなってしまうのです。ダイエットの観点からも、生活習慣予防の観点からも睡眠はとても大切ということですね。
※出典:厚生労働省 e-ヘルスネット「睡眠と生活習慣病との深い関係」
やせるにはどの体勢で寝るといい?
寝姿勢で痩せやすさが大きく変わるものではありませんが、睡眠の質を高めるため、自分に合った姿勢を知ることは重要です。
寝るときの体勢には、大きく分けて仰向け・横向き・うつ伏せの3つがあります。各体勢が体への負担や呼吸のしやすさにどう関わるかを知っておくと、自分に合う寝方を選びやすくなります。
また寝具は、姿勢を保ったり体圧を分散したり、寝返りをしやすくしたりすることで、睡眠に影響します。「やせる向き」を探すよりも、体圧分散と寝やすさを軸に考えるのがおすすめです。
1. 仰向け
仰向けは、多くの人にとって体への負担が分散しやすい姿勢です。背中全体で体を支えるため、一部に体圧が集中しにくく、呼吸も妨げられにくい点が特徴です。腰や骨盤への負担が気になる人にとっても、姿勢が安定しやすいでしょう。
ただし、枕が高すぎたり、マットレスが体に合っていなかったりすると、仰向けでも寝苦しくなることがあります。首や腰に違和感が出る場合は、枕の高さや寝具の相性を見直しましょう。腰が浮いて反りが気になるときは、膝の下に薄いクッションを入れると、腰まわりの負担がやわらぎやすくなります。
2. 横向き
横向きは、いびきが気になる人に向いています。気道が確保されやすく、仰向けよりも呼吸が楽になることがあります。とくに、いびきや無呼吸が気になる人には、横向きが選択肢のひとつになります。
一方で、横向きは肩や骨盤の一点に体圧が集中しやすい姿勢でもあります。朝起きたときに肩や腰に違和感がある場合は、枕の高さやマットレスの反発力が体に合っているかを確認しましょう。抱き枕を使って上側の脚を支えると、腰のねじれをやわらげやすくなります。
仰向けで寝ると、重力によって舌の付け根が喉の奥に落ち込み、空気の通り道が狭くなるため、いびきが発生しやすくなります。横向き寝はこれを防ぐ上で合理的なアプローチで、実際に睡眠医療の現場でも指導される方法です。
※出典:口腔・咽頭科「閉塞性睡眠時無呼吸症患者における睡眠中の体位変換に関する検討」
3. うつ伏せ
うつ伏せは、安心して眠れると感じる人もいますが、首を左右どちらかにひねった状態が続きやすく、胸やおなかが圧迫されやすい姿勢です。腰が反りやすく、腰まわりに負担がかかることもあります。
うつ伏せでないと眠れない場合は、低めの枕を使う、腰の下に薄いクッションを敷いて反りを抑えるなど、負担を減らす工夫がおすすめです。呼吸がしづらいと感じるときは、無理をせず楽な姿勢に変えることが大切です。
寝る向きごとの体への影響をもっと詳しく知りたい方は、以下の記事もあわせてご覧ください。
【関連記事】
【医師監修】寝る向き/姿勢の正解は?仰向け・横向き・うつ伏せ別の健康への影響と最適な寝方
【上級睡眠健康指導士監修】理想的な寝姿勢・仰向けとは?メリットとデメリットを徹底解説
基本的には、「理想的な寝姿勢」=「立ち姿勢に近い自然な体勢」というのが原則です。
仰向けに寝た時に後頭部から肩や首にかけてのすき間をきれいに埋めてくれる枕を利用してみましょう。首が不自然に曲がっていたり、首や肩に力が入っていたりといったことがないように意識すると良い姿勢が探しやすいです。
※出典:厚生労働省 e-ヘルスネット「快眠のためのテクニック―よく眠るために必要な寝具の条件と寝相・寝返りとの関係」
痩せやすい体をつくるための睡眠の整え方
やせやすい体づくりでは、睡眠の質を整えることも大切です。睡眠が整うことで、食欲のコントロールや日中の活動量にもよい影響が期待できます。ここでは、今日から取り入れやすい4つの整え方を紹介します。
1. 自分に合った睡眠時間を確保する
まずは、自分に合った睡眠時間を確保することから始めましょう。必要な睡眠時間には個人差があり、年齢によっても変わるため、「何時間眠れば正解」と一律に決めることはできません。
睡眠時間の短さは、体重にも関わることがわかっています。日本人男性労働者4万人を7年間追跡した大規模な調査では、睡眠時間が1日5時間未満の人は、5時間以上の人と比べて肥満になるリスクが1.13倍に上昇したと報告されています。厚生労働省でも、成人は6時間以上を目安に必要な睡眠時間を確保することがすすめられています。
※出典:厚生労働科学研究成果データベース「総括研究報告書(202209018A)」
※出典:厚生労働省「健康づくりのための睡眠ガイド2023」
2. 就寝前の食事は早めに済ませる
夕食は、就寝の2〜3時間前までに済ませておくと安心です。就寝の直前に食事をとると、消化活動が続いたまま眠りに入ることになり、眠りが浅くなる可能性があります。
夜遅い時間の食事や夜食が習慣になっている場合は、食べる時間を少しずつ早めるとよいでしょう。睡眠不足は食欲を高めるホルモンの変化にもつながるため、夜更かしと遅い食事が重なると太りやすい行動を招きやすくなります。どうしても夕食が遅くなるときは、消化のよいものを軽めにとどめると、眠りへの影響を抑えやすくなります。
3. 入浴は就寝1〜2時間前にする
入浴は、就寝の1〜2時間前に済ませておくのがおすすめです。人の眠気は、入浴などで上がった深部体温(体の内側の温度)が下がっていくタイミングで強まると考えられています。
38〜40℃程度のぬるめのお湯にゆっくりつかると、心身のリラックスにもつながります。一方で、熱すぎるお湯や寝る直前の入浴は、かえって寝つきを妨げることがあるため、時間に余裕を持って入浴するのがよいでしょう。
※出典:厚生労働省「健康づくりのための睡眠ガイド2023」
4. 寝具・寝室環境を整える
体に合った寝具と寝室環境は、睡眠の質を保つうえで大切です。マットレスや枕が寝姿勢を支えていると、自然な寝返りがしやすくなり、眠りが安定しやすくなります。
寝具を選ぶときは、次のような視点で見直すとよいでしょう。
- 寝返りのしやすさ
- 体圧分散
- 通気性
- 寝姿勢の保ちやすさ
あわせて、寝室の明るさや室温、湿度を心地よく整えることも、深い眠りを妨げないために役立ちます。
やせる寝方に関してよくある質問
やせる寝方について、多く寄せられる質問に回答します。
Q1. 寝るだけでやせることはある?
寝るだけで体重が落ちるわけではありません。睡眠中もエネルギーは消費されますが、その量で大きくやせることは難しいでしょう。
ただし、睡眠は食事や運動とあわせて、太りにくい体づくりを支えます。睡眠が足りていると食欲のコントロールがしやすくなり、日中の活動量も保ちやすくなります。
一方で、睡眠不足が続くと、食欲が増えたり活動量が落ちたりして、太りやすい生活になりがちです。寝方だけに期待せず、睡眠・食事・運動を組み合わせて考えることが大切です。
Q2. 足や顔のむくみが気になるときの寝方は?
むくみが気になるときは、寝方を工夫してみましょう。足のむくみが気になる場合は、クッションなどで足を少し高くして眠ると、血流が促されやすくなります。また、顔のむくみは使用する枕の高さによって変化することがあります。
ただし、これらの方法は脂肪を減らすものではなく、あくまでむくみ対策です。むくみが長く続く場合や、痛みをともなう場合は、不調のサインである可能性もあるため、医療機関への相談を検討しましょう。
足を高くして眠る方法や、むくみと睡眠の関係については、以下の記事も参考にしてください。
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【上級睡眠健康指導士監修】足を上げて寝ると気持ちいい!楽なのはなぜ?効果やデメリットも解説
【医師監修】むくみと寝不足は関係ある?顔や脚がむくむ原因と朝にできる対策を解説
足のむくみは、多くの場合、日中に重力で下半身に溜まった水分が原因です。寝るときに足を心臓より「10〜15cm程度」高くすると、重力によって水分が戻りやすくなります。あまりに高くすると寝苦しくなってしまうこともあります。快適であることを目安に行いましょう。
Q3. 寝る時間帯は関係ある?
特定の時間帯にこだわる必要はありません。現在は、決まった時間帯よりも、十分な睡眠時間を確保できているかどうかが大切だと考えられています。
ただし、生活リズムに合わせて、毎日できるだけ同じ時刻に眠り、同じ時刻に起きることを意識することが大切です。とくに起床時刻をそろえると、夜の寝つきが安定し、睡眠時間も確保しやすくなります。
まとめ:寝方だけに頼らず、睡眠の質と生活全体で整えよう
やせやすい体づくりは、寝方だけで決まるわけではありません。仰向け、横向き、うつ伏せといった寝姿勢には、それぞれ体への負担や呼吸のしやすさなどに違いがあり、自分が深く眠れる姿勢を選ぶことが大切です。
さらに、次のような生活習慣を整えていくことで、睡眠の質は徐々に向上していくでしょう。
- 自分に合った睡眠時間を確保する
- 就寝前の食事や入浴の時間を見直す
- 寝具や寝室環境を整える
こうした工夫で睡眠のリズムが整うと、食欲や日中の活動にも良い影響を与え、太りにくい生活習慣へとつながります。一度に全部を変えようとせず、無理なく続けられることから少しずつ取り入れてみてください。










