生理前に寝つきが悪いのはなぜ?起こる原因と今日からできる対処法を解説
睡眠コラム by 石川 恭子2026年5月26日読了目安時間: 7

生理前に寝つきが悪いのはなぜ?起こる原因と今日からできる対処法を解説

石川 恭子
リテールスペシャリスト / 上級睡眠健康指導士

コアラマットレス®︎のショールームで、お客様が「運命のマットレス」に巡り合えるようお手伝いしているカリスマコンシェルジュ。お客様の眠りの悩みに耳を傾ける中で、今すぐ活用できる睡眠の知識を届けたいと上級睡眠健康指導士の資格を取得。コアラ®︎のマットレスを通じて、毎日眠ることが待ち遠しくなるワクワク感を提供したい。

生理前になると、布団に入ってもなかなか眠れないことや、やっと寝つけても眠りが浅くて何度も目が覚めてしまうことはありませんか。私自身も、普段は布団に入って5分で眠れるタイプなのに、生理の1週間前になると急に目が冴えてしまい、真夜中に天井を見つめながら「明日も仕事なのに」と焦る夜を何度も経験してきました。日中はぼんやりと眠くてたまらないのに夜は眠れず、翌日の仕事や家事に響くと本当につらいものです。しかも毎月くり返すと、体質だから仕方ないと諦めつつも、何かおかしいのではないかと不安になることもあるでしょう。

生理前の不眠は、多くの女性が経験しやすい睡眠トラブルのひとつです。

本記事では、上級睡眠健康指導士の資格を持つコアラマットレス社員の石川が、生理前に寝つきが悪くなる背景として、女性ホルモンの変化や体温リズムの乱れ、さらにPMSによる心身の不調という3つのポイントを整理しながら、睡眠トラブルが起こる理由をわかりやすく解説します。そのうえで、就寝前の過ごし方や日中の活動、入浴やストレッチの方法、スマホとの付き合い方など、今日から実践しやすい具体的な改善策を紹介するほか、セルフケアで様子を見てよいケースと、受診を検討したいケースの目安もお伝えします。

生理前に寝つきが悪くなる主な原因

石川 恭子
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「生理前になると眠れない」という悩みは、気のせいでも根性の問題でもありません。

女性の身体は月経周期に合わせてホルモンバランスが大きく揺れ動き、その変化が睡眠の質に直接影響を及ぼすことがわかっています。生理前の寝つきの悪さを引き起こす主な3つの要因を順に解説します。

1. 女性ホルモンが変化する

月経周期はおおよそ28日を1サイクルとして、卵胞期・排卵期・黄体期・月経期という4つのフェーズで成り立っています。排卵後から生理直前にあたる黄体期には、「プロゲステロン(黄体ホルモン)」と呼ばれる女性ホルモンの分泌量が増加します。※1

プロゲステロンには眠気をもたらす作用があるため、日中はぼんやりとした眠気を感じやすくなります。一方で、黄体期の後半になると睡眠が浅くなり、夜は入眠しにくくなるという、一見矛盾した状態が起こることがあります。※1

こうしたホルモン変化が重なることで、「眠くなるタイミングがいつもとずれてしまう」という感覚が生じるのです。

2. 体温が下がりにくくなる

人が自然に眠りに就くためには、身体の芯の温度である深部体温の低下が不可欠です。皮膚から熱が放散されて深部体温が下がると、自然な眠気が訪れて入眠しやすくなるのですが、生理前の黄体期はプロゲステロンの働きによって基礎体温が高めの状態が続くため、深部体温リズムのメリハリが失われやすいのです。

夜になっても深部体温が十分に下がらないと、眠気が生じにくく、目が冴えてしまいます。大塚製薬PMS Laboの情報によると、良好な睡眠には日中の体温上昇と夜間の低下というメリハリが必要ですが、月経前はそのリズムが崩れやすい時期に該当するそうです。※2

睡眠の問題を「気持ちの問題」として片づけずに、「体温のリズムが乱れている状態」として理解することが、正しい対策への第一歩です。

3. PMSの症状が不眠を悪化させることもある

生理前の不眠には、ホルモンや体温の変化だけでなく、PMS(月経前症候群)の症状が複合的に絡むケースも少なくありません。PMSとは月経の3〜10日前から始まり、生理開始とともに軽快する身体的・精神的症状の総称です。イライラ、不安感、腹痛、頭痛、むくみ、だるさといった複数の症状が同時に現れることが多く、これらが重なることで寝つきの悪さや中途覚醒につながります。※3

PMSの中でも症状が特に強いのがPMDD(月経前不快気分障害)です。PMDDは激しいイライラや怒り、強い不安感、深い抑うつ状態、集中力の低下などが見られることが多く、睡眠への影響もより深刻になりやすいです。生理前の不眠を睡眠単体の問題として切り分けず、心身全体の不調の一部として捉えましょう。

関連記事:【医師監修】生理前に眠れない原因と今夜から試せる7つの対処法|ホルモンバランスと睡眠の関係を解説

生理前の睡眠トラブルにはどんな症状があるか

石川 恭子
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生理前の睡眠トラブルは入眠の問題だけではありません。

健康な成人女性の約4割が月経に関連した睡眠の変化を経験し、そのうちの約9割は月経前から月経開始時にかけて眠気が増加することが、大塚製薬PMS Laboの情報から分かります。※2

生理前の睡眠の変化は特定の人だけに起こる珍しい現象ではなく、多くの女性に共通して起こりうることなのです。代表的な3つの症状を確認してみましょう。

1. 布団に入ってもなかなか眠れない

生理前の睡眠トラブルとして最も多く訴えられるのが入眠困難です。身体は疲れているのに眠気が起きず、ベッドに入ってからも眠れないまま時間が過ぎていきます。深部体温の下がりにくさや体内時計のずれが主な要因ですが、「眠れないこと」への焦りがさらに覚醒を促してしまい、「眠ろうとするほど眠れない」という悪循環が生まれている場合もあります。

2. 眠りが浅くて途中で目が覚める

たとえ寝つけた場合でも、眠りが浅くなって夜中に何度も目が覚める中途覚醒や、朝早く目が覚めてしまう早朝覚醒が起こりやすくなります。翌朝「寝た気がしない」「疲れが取れていない」という熟睡感のなさを感じる場合も、このタイプの睡眠トラブルに当てはまります。大塚製薬PMS Laboによると、PMDDの患者では夜間のメラトニン分泌量が低いという報告もあり、睡眠の深さに影響している可能性が指摘されています。※2

寝つけたからといって睡眠の質が確保されているとは限らないため、こうした症状にも注意が必要です。

3. 日中の眠気やだるさがある

夜の睡眠トラブルは、翌日の日中のパフォーマンスにも直接影響を及ぼします。生理前には、黄体ホルモンが分解される際に生成されるアロプレグナノロンという物質が眠気を引き起こすことが知られており、日中のぼんやり感やだるさの一因と考えられています。※3

会議や授業中に眠くなる、仕事や家事に集中できない、身体が重くて動けない、といった訴えは、夜の睡眠の質の低下と密接に関連しています。

放置せず知っておきたい影響とデータ

石川 恭子
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生理前の睡眠トラブルは「毎月のことだから仕方ない」と放置されがちですが、その影響は睡眠の不快感にとどまりません。

国内の調査データからも、睡眠の質の低下と月経前症状の重さ、さらには仕事上のパフォーマンスとの関連が示されています。

睡眠の質が下がると月経前症状も重くなりやすい可能性がある

大塚製薬PMS Laboが紹介する研究によると、PMSのある大学生のうち7割超が睡眠の質に問題があると報告されています。※2

睡眠の質の悪化とPMS症状の重さの関係については、日中の体温上昇と夜間の低下のメリハリが失われることや、メラトニン分泌量の低下などが要因として挙げられます。女子大学生を対象とした国内研究においても、睡眠の質が低下した群では月経前・月経中の月経随伴症状スコアが高い傾向が示唆されました。※4

睡眠の質と月経前症状は互いに影響し合っている可能性がある以上、「どちらかが原因でどちらかが結果」と単純に割り切るのは難しい状況です。だからこそ、睡眠を整えることが生理前のつらさ全体を軽くする方法の一つになりうるのです。

翌日の集中力や仕事のパフォーマンスにも影響しうる

眠れない夜の影響は、翌日の仕事や家事にまで及びます。日本医療政策機構が全国の18〜49歳の働く女性2,000名を対象に実施した調査では、PMSや月経随伴症状によって元気なときと比較して仕事のパフォーマンスが半分以下になると感じる女性が約半数に上るという結果が出ました。※5

同調査では、ヘルスリテラシーが高い人ほどこうしたパフォーマンス低下が少ないという傾向も示されています。つまり、自分の身体の変化を知り理解することが、生理の影響を和らげることにつながるということです。生理前の睡眠トラブルを「仕方のないこと」として放置するのではなく、できる対策を積み重ねることに大きな意味があります。

今日からできるセルフケア

産婦人科診療ガイドラインでは、PMSへの対応において生活指導・運動療法・症状記録を第1選択として位置づけています。※6

石川 恭子
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薬や医療機関に頼る前に、まず生活習慣の見直しが推奨されているということです。

国立精神・神経医療研究センター病院が公開しているコラムでも、月経前の睡眠対策として朝の日光浴・夜の光回避・日中の運動・温浴・短い昼寝など、体内時計のメリハリをつける工夫が具体的に紹介されています。※7

そこで、今夜から実践できるセルフケアを4つに整理して紹介します。まずひとつ、できそうなことから取り入れてみましょう。

1. 朝の光と日中の活動で体内時計を整える

生理前の睡眠改善では、夜だけでなく朝と日中の過ごし方も重要です。起床後30分以内に日光を浴びることで体内時計がリセットされ、夜の自然な眠気が生まれやすくなります。※7

特に生理前はホルモンの影響で体内時計がずれやすいため、毎朝同じ時間に起きて外光を浴びるというシンプルな習慣が、入眠リズムを取り戻す助けになります。

日中に軽い有酸素運動(ウォーキングや軽いジョギングなど)を取り入れることも効果的です。産婦人科診療ガイドラインでも定期的な適度の運動がPMS対策として推奨されています。※6

身体を動かすことで日中の体温が上がると、夜の深部体温低下のメリハリをつくりやすくなります。ただし、就寝直前の激しい運動は逆に覚醒を促してしまうため、夕方までに終えましょう。

2. 寝る前のスマホや強い光を避ける

夜に強い光を浴びると、睡眠ホルモンであるメラトニンの分泌が抑制され、眠気が遠のいてしまいます。生理前はただでなくとも眠りにくい状態なのに、そこへスマートフォンやパソコンの画面から発せられるブルーライトが加わると、入眠はさらに難しくなります。就寝の1時間前からスマホやテレビを遠ざけ、部屋の照明も暖色系の暗めの光に切り替えることが効果的です。※3

スマホをやめた後に何をするか、あらかじめ考えておくと習慣として続けやすいでしょう。好きな音楽をかけながら軽いストレッチをする、読みかけの本を読む、アロマを焚いてゆっくり呼吸するといった代替行動を用意しておくと、就寝前のリラックスタイムとして定着しやすいかもしれません。

3. 入浴やストレッチで眠りやすい状態をつくる

深部体温を下げるためには、一度体温を上げて落差をつけることが有効です。入浴によって身体が温まると、その後熱が放散されて深部体温が下がり、自然な眠気が訪れやすくなるためです。おすすめは40度程度のぬるめのお湯に15〜20分ほどつかる方法で、就寝の1〜2時間前に入浴すると寝つきやすさにつながります。※3

生理前で身体がほてるように感じる場合でも、熱すぎないお湯に短時間つかる方が入眠への効果を得やすいでしょう。

入浴後には首や肩まわり、股関節や脚のストレッチを軽く行うと、筋肉の緊張がほぐれてリラックス状態に入りやすいです。腹痛や腰痛がある場合は、仰向けに寝て両膝を抱えるポーズや横向きに丸まるポーズなど、無理なくできる動きを選んでください。

4. 症状や睡眠を記録して自分の傾向を把握する

産婦人科診療ガイドラインでは、症状日記(月経周期と症状の記録)がPMS対応の基本として明確に位置づけられています※6。生理前の寝つきの悪さも、月経周期のどのタイミングで強くなるかを記録していくことで、「今週は黄体期後半だから眠りにくくなりやすい時期だ」と事前に予測できるようになります。

記録するのは難しく考える必要はありません。月経管理アプリに「眠れなかった」「眠りが浅かった」「だるかった」といった一言を書き添えるだけで十分です。2〜3ヶ月分のデータが集まると、自分にとって特につらい時期と、有効だったセルフケアの組み合わせが見えてきます。婦人科を受診する際に症状の記録を提示すると、医師への説明がスムーズにできます。

関連記事:【医師監修】生理中の眠気がひどい原因と今すぐできる対処法|医学的メカニズムを解説

受診を考えたいケース

セルフケアは生理前の睡眠トラブルに対する大切な第一歩ですが、すべての症状が自己対策で改善するわけではありません。

石川 恭子
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以下のような状態が続く場合は、セルフケアにとどまらず婦人科や睡眠外来への相談を検討してください。

1. 日常生活に支障が出るほどつらい

毎月の生理前に、仕事に集中できない・家事が手につかない・外出が困難になるなど、日常生活に具体的な支障が出ている場合は医療機関への相談を考えてください。「生理前だから仕方ない」と我慢して放置することで症状が慢性化したり、仕事上のパフォーマンス低下が積み重なったりすることがあります。婦人科では、症状の程度に応じた診断と、生活指導から薬物療法まで幅広い選択肢を提案してもらえます。

2. 気分の落ち込みや強い不安が続く

生理前に強い気分の落ち込み、激しいイライラ、消えない不安感、自己嫌悪などの精神的症状が繰り返し現れる場合、PMDDの可能性があります。PMDDはPMSの重症型と位置づけられており、睡眠障害や集中力の低下を伴うことが多く、一般的なPMSへの対処だけでは改善が難しい場合があります。症状が強い場合は、婦人科と併せて心療内科や精神科への相談も選択肢のひとつとして視野に入れてください。

3. 市販薬やセルフケアで改善しない

朝の日光浴、入浴、スマホの制限、運動などのセルフケアを1〜2ヶ月間継続して試みても睡眠トラブルが改善しない場合は、ほかの要因(睡眠障害・甲状腺疾患・うつ病など)が関与している可能性も考えられます。「こんなことで受診していいのか」と思わずに、まずは婦人科や内科に相談してみましょう。

生理前の寝つきに関してよくある疑問

「眠いのに眠れないのはなぜ?」「生理が来れば治る?」など、生理前の睡眠トラブルについてはさまざまな疑問が寄せられます。

本文で触れられなかった2つの疑問に、ここでまとめてお答えします。

石川 恭子
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本文で触れられなかった2つの疑問に、ここでまとめてお答えします。

Q1. 生理前は眠いのに夜だけ眠れないのはなぜ?

日中に眠気があるのに夜になると眠れないという矛盾した状態は、生理前の典型的な症状のひとつです。プロゲステロンの作用やアロプレグナノロンによって日中の眠気は強まりますが、黄体期後半になると睡眠が浅くなる作用が加わり、夜の入眠はかえって難しくなります。※1

さらに体内時計がずれることで、眠気のピークが夜中や明け方にずれてしまうケースもあります。※8

「眠いのに眠れない」という感覚はホルモンと体内時計の乱れが重なって起こる現象であり、意志の力でどうにかなるものではありません。

Q2. 生理が始まれば自然におさまる?

多くの場合、生理が始まるとプロゲステロンの分泌が急激に低下し、睡眠の乱れも徐々に改善されていきます。月経周期に連動した睡眠トラブルであれば、生理開始とともに自然と収まることが多いです。

ただし、毎月強い症状が続いている場合や、生理が始まっても睡眠トラブルが改善されない場合は、PMSやPMDD以外の要因が絡んでいる可能性も考えられます。2〜3ヶ月の記録を見て、症状が月経周期に一致して繰り返すかどうかを確認し、原因の絞り込みに役立てましょう。

まとめ:生理前の寝つきの悪さは原因を知って早めに整えることが大切

生理前に寝つきが悪くなるのは、プロゲステロンなどの女性ホルモンの変化、深部体温が下がりにくくなる体温リズムの乱れ、そしてPMSによる心身の不調が重なって起こる現象です。「気のせい」でも「根性の問題」でもなく、身体の仕組みとして起こりうることを理解しておくことが、対策の第一歩になります。

今夜から始められるセルフケアとして、(1)朝に日光を浴びて体内時計を整える、(2)就寝1時間前からスマホをやめる、(3)40度程度のぬるめの入浴を就寝1〜2時間前に取り入れる、(4)月経周期と症状を記録して自分のつらい時期を把握するという4つの行動を意識してみてください。すべてを一度にこなそうとせず、無理なく続けられるものから始めてください。

セルフケアを続けても改善が見られない場合や、日常生活に支障が出るほどの症状がある場合は、婦人科への相談を検討してください。生理前のつらさは、正しい知識と適切なケアで和らげることができます。毎月くり返す睡眠トラブルに振り回されず、自分の身体のリズムとうまく付き合えるよう、できることから取り組んでいきましょう。

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・参考

※1 女性の睡眠 | 厚生労働省 e-ヘルスネット

※2 PMSと睡眠の関係 | 大塚製薬 PMS Labo

※3 生理前に眠い・・・その原因と対策について | スマルナ

※4 睡眠の質が月経随伴症状に与える影響 | 日本理学療法士学会誌

※5 働く女性の健康増進調査2018 | 日本医療政策機構

※6 産婦人科診療ガイドライン―婦人科外来編2020 | 日本産科婦人科学会
※7 月経と睡眠 | 国立精神・神経医療研究センター病院

※8 女性特有の不眠 | 大正健康ナビ(大正製薬)