睡眠コラム by Koala Sleep Japan2025年6月27日読了目安時間: 8

7時間睡眠は本当に最強か?健康とパフォーマンスから考える理想の睡眠時間

”一日7時間は寝ないと身体に悪い”という説、いつの間にか常識として定着していますよね。でも「国民健康・栄養調査」によると、睡眠が6時間未満の人は、男性の30~50歳代、女性の40~60歳代でなんと4割以上にも上るのだとか。だとすると、働き盛りの世代の4割は慢性的な睡眠不足、ということなんでしょうか?

「え、昔は8時間睡眠が理想的って話じゃなかった?」とか「自分、毎日睡眠時間6時間程度で快調なんだよね……」など、”7時間睡眠最強説”に疑問を感じたりしませんか?

そこで、上級睡眠健康指導士でコアラマットレス社員の松本が科学的データに基づき、睡眠時間と健康の関連性や、自分にとって最適な睡眠時間を見つける方法を解説します。

なぜ7時間睡眠が注目されるのか

確かについ最近まで「理想的な睡眠時間は8時間」というのが不文律とされてきましたが、近年、この常識が見直されています。たとえば、アメリカ睡眠医学会および睡眠研究協会は2015年に「成人には一晩に7時間またはそれ以上の睡眠が必要」とし※1、コロナ禍の時に有名になったアメリカ公衆衛生局(CDC)も2016年に「7時間以下の睡眠は不健康な身体状態につながる」と報告書で述べています※2。

もっと厳密に「7時間が理想、睡眠不足も寝過ぎもダメ」と異論を唱えたのがケンブリッジ大学と復旦大学の研究者グループです。2024年4月、ケンブリッジ大学精神医学部のバーバラ・サハキアン教授が「中年以上の人にとって理想的な睡眠時間は7時間であり、少なすぎても多すぎても認知能力や精神状態の低下につながる」という論文を共同発表しました※3。これはエキサイティングなニュースとなって科学界のみならず世界を駆け巡り、7時間睡眠最強説が強く言われるようになったきっかけとなりました。

このように、7時間睡眠は科学的な研究データに基づき、提唱されています。とはいえ、最適な睡眠時間には個人差が大きいということも、また事実です。このことについては後半で述べていきますが、ここでもう少し詳しく「7時間睡眠」がもたらしてくれる効果について見ていきましょう。

一般的に推奨される理由と背景

睡眠研究の先進国であるアメリカを見てみましょう。全米睡眠財団によると、「18歳から64歳までの成人は、毎晩7~9時間の睡眠を目標に。65歳以上の場合は、もう少し短い睡眠時間で十分。推奨されるのは7~8時間」と、若干幅のある睡眠時間となっています。なぜ7時間程度の睡眠が推奨されるのか、というと、健康上のメリットがあるからです。米国の大規模疫学調査で7時間前後の睡眠が健康状態を安定させるという統計結果があります※4。

人が十分な睡眠時間で得られる効果のわかりやすい例として、次のことが挙げられます。

  • 死亡リスクや生活習慣病リスクの低減効果(6.5〜7.4時間の睡眠で死亡危険率が低下)
  • 日中の眠気防止と集中力維持に効果的

短時間・長時間睡眠との比較とリスク

では7時間よりも短時間、あるいは長時間の睡眠を取った場合のリスクと比較してみましょう。

短時間睡眠(6時間未満)のリスク
免疫機能低下
血圧/血糖値への悪影響
日中の疲労感/集中力低下
長時間睡眠(9時間以上)のリスク
体内リズムの乱れ
運動不足による生活習慣病リスク増加

確かに睡眠不足だとふらふらしたり、決断力が落ちたりしますよね。でもそれが免疫力の低下にまで影響しているのはびっくりです。また、仕事のあるウィークデイは常に睡眠が足りないから週末に寝だめする、という習慣の人、エネルギーを充填し健康状態を改善するために寝ているのに、生活習慣病のリスクが増えてしまうという点に、焦りを感じるかもしれませんね。

睡眠時間が脳と身体に与える影響

ここで改めて、睡眠時間と脳や身体の関係について見てみましょう。睡眠は単なる休息ではありません。私たちの体が日中の活動で消耗した心身を細胞レベルで修復し、翌日の準備を行うための極めて重要な時間です。

免疫力・生活習慣病との関連

睡眠が不足/睡眠過多の状態になると、次のような問題が起こりやすくなります。

  • 免疫力の低下と細菌への対応力の低下: 睡眠が不足すると、免疫細胞の活動が抑制され、体の外部から侵入するウイルスや細菌への対応力が著しく低下します。風邪やインフルエンザなどの感染症にかかりやすくなるだけでなく、治るのにも時間がかかるようになります。
  • ストレスホルモンの増加と体内環境の乱れ: 睡眠不足は、コルチゾールなどのストレスホルモンの分泌量を増加させます。ストレスホルモンの分泌量が多い状態が続くと、血糖値の上昇、血圧の不安定化、さらには消化器系の不調など、体内環境のバランスを大きく崩してしまいます。
  • 生活習慣病のリスク増大: 長期的な睡眠不足/睡眠過多が続くと、肥満、糖尿病、高血圧といった生活習慣病のリスクが高まってしまいます。睡眠が不足すると食欲をコントロールするホルモンのバランスが崩れやすくなり、過食につながることがあります。

逆に、7時間程度の睡眠が免疫力を適切に保持し、さらには生活習慣病の予防に効果的であることが示されています。

集中力・記憶力への影響と生産性

睡眠にはレム睡眠とノンレム睡眠の2種類があり、ノンレム睡眠が深い睡眠状態を指します。その深さは1~4段階あり、数字が大きい方がより睡眠が深いとされています。この深い睡眠が脳にとってとても重要なのです。

  • 脳の情報処理と記憶固定:日中に得られた膨大な情報は、深い睡眠中に整理され、不要なものが削除され、必要な情報が長期記憶として定着します。
  • 7時間程度の安定した睡眠で翌日の集中力と判断力が向上:これは、脳が十分に休息し、日中の活動に向けて最適な状態にリセットされるためです。「頭がよく働く」と感じる状態になります。
  • 睡眠不足は思考力の低下を招き、作業効率が著しく減少:睡眠不足は単純なミスを増加させる原因となります。脳の機能が十分に発揮されず、情報処理能力や集中力が低下するためです。

近年、企業においても従業員のパフォーマンス向上を目的として、睡眠の重要性が見直され、様々な取り組みが進行しています。企業によっては、仮眠室の設置、残業時間の見直しなど、従業員が質の高い睡眠を確保できるよう支援する動きが出ています。

7時間でも足りない?睡眠不足がもたらす悪影響

ここまで7時間睡眠について話をしてきましたが、「いや待って、自分はそもそも毎日5時間くらいしか寝てないし、週末は7時間の睡眠時間だと全然寝たりない」という人もいるのではないかと思います。なんてったって日本人は世界で一番睡眠時間が短い国民であり、最初に述べた通り、睡眠が6時間未満の人は、男性の30~50歳代、女性の40~60歳代でなんと4割以上にも上るのですから。

知るのが怖いかもしれませんが、そんな慢性的な睡眠不足が健康にどんな影響を与えているのか、見てみましょう。

慢性的な寝不足によるパフォーマンス低下

「睡眠負債」という言葉、知っていますか?「睡眠負債」とは、睡眠研究の第一人者であったWilliam C. Dement 教授によって提唱された言葉で、日々の睡眠不足が借金のように積み重なり、心身に悪影響を及ぼすおそれのある状態のことをいいます。

睡眠負債は借金と同じく時間経過とともに利子が増えていき、悪影響が拡大してしまいます。

  • 日中の集中力/判断力の低下: 睡眠不足は脳の機能を低下させ、仕事の効率低下やミスの増加に直結します。
  • 身体疲労の持続: 睡眠は体の修復と回復に不可欠です。十分な睡眠が取れないと疲れがとれず、だるさや倦怠感が持続します。
  • 事故/トラブルリスクの増加: 集中力と判断力が低下すると、交通事故や職場でのトラブルリスクが高まってしまいます。高速道路では、居眠り運転が死亡・重傷事故につながる割合が他の要因の約4倍と高いというデータもあります。

就寝/起床時刻や眠気度合いの記録をすることで、自分の睡眠負債がどのくらいか、把握することができます。そうすると次の段階である「どうやって睡眠負債をなくすか」に繋げられます。

休日の“寝だめ”が抱える問題点

平日の睡眠不足、週末にまとめて長く眠って英気を養う――残念なお知らせなのですが、実はこの方法では、十分にリカバリーできないんです。寝だめはむしろ、健康や睡眠習慣に対する悪影響が懸念されます。

  • 大幅な寝だめが体内時計を乱す:私たちの体内には約24時間周期で体の様々な生理機能をコントロールする体内時計があり、光や食事、活動時間などによって調整されています。休日に大幅に起床時間が遅れると体内時計のリズムが乱れ、海外旅行で経験する時差ボケのような状態が引き起こされます。つまり、終始けだるく、頭がぼーっとして気分が落ち込む、などです。これは、ソーシャルジェットラグとも呼ばれます。
  • 休日の長時間睡眠が遅寝の原因に:体内時計のリズムが乱れるため、平日に寝ようとしてもなかなか眠れず、就寝時間が遅くなることもあります。そうすると平日の朝起きるのが辛くなったり、日中のパフォーマンスが低下したりする原因となります。最終的には、睡眠の質が低下し、慢性的な睡眠不足に陥るリスクも高まります。

いつもと同じ睡眠習慣を続けるのが、より良い睡眠への最初の足がかりなのは平日でも同じです。就寝時間を一定に保つ方が、睡眠上も健康上もメリットが大きいです。自分の今の睡眠の質については、こちらのページに睡眠の質チェックリストがあるので、確認してみてください。

自分に合った最適な睡眠時間を見つける方法

7時間睡眠は理想として、では、何時に寝て何時に起きるか、自分に本当に合った睡眠時間を見つけるにはどうすればいいでしょうか?まずは、基準となるベースラインを作ることから始めましょう。つまり、毎日同じ時間に寝て7時間睡眠を取り、同じ時間に起きるところがスタートラインです。しばらく続けてみてそれをどう感じるかを、観察してみるのです。

生活リズムと睡眠負債の管理

実は、最適睡眠時間は個人差があり、一律ではありません。睡眠習慣って人によって大きく違います。たとえば、早寝早起きで超元気!という人もいれば、夜型のほうが脳が働く、という人もいます。「ショートスリーパー」と呼ばれる、6時間未満の睡眠時間でも日中に眠くならず仕事にも問題がないタイプの人は、遺伝的な要素や生活習慣によって短い睡眠時間でも十分に休息できているようです。とはいえ、健康リスクが低くなるのは7時間からなので、できれば7~9時間の中でぴったりくる睡眠時間を探してみましょう。

自分に合った最適な睡眠時間を見つけるには、次のことを行います。

  • 記録する:平日・休日の睡眠パターンの変化や起床時の体調・気分を記録します。
  • 同じ時刻での起床・就寝習慣を維持:こうすることで睡眠負債解消に効果的です。
  • カフェイン制限+適度な運動:コーヒーを飲むのは午後2時くらいまでにしておきましょう。寝る前にストレッチなどで身体を温め、生活習慣改善で睡眠の質を向上できます。

睡眠トラッキングツールやアプリの活用

最近はスマートウォッチ・スマートフォンアプリで睡眠の質・深い眠り時間帯を可視化できるものが増えてきました。こういったツールを積極的に活用するのはおすすめです。データを継続的に自動で記録できるため、データを確認することで平日・休日の睡眠差や生活習慣の影響を把握できるからです。スマートウォッチを使う場合、就寝起床時間や睡眠時間だけではなく、睡眠の深さ、睡眠中の安静時心拍、血中酸素濃度といった健康データもチェックできます。ただ、就寝中に時計をしたままなのが気になる人もいるかもしれません。

アプリの中には睡眠を分析してスコアを掲示してくれるものもありますが、こういったツール計測結果はあくまで目安としてください。大事なのは、自分で体調や睡眠が足りているかどうかという体感と、日常パフォーマンスであり、総合的な判断が大事です。

質の高い7時間睡眠を実現するためのポイント

同じ7時間睡眠でもより質の高い睡眠を得るにはどうすればいいのか、いくつかのコツを紹介します。

就寝前のルーティンとリラックス法

就寝前のルーティンとしておすすめしたいことが2つあります。

就寝30分前からデジタルフリー:就寝30分前からデジタルデバイスを控えましょう。ブルーライトオフの設定にしていても、デジタルデバイスは人の神経を興奮させたままにしてしまいます。読書や軽いストレッチでリラックスしましょう。

呼吸法・瞑想を行う:呼吸法、瞑想には自律神経を整え副交感神経を優位にする効果があり、より自然に眠りへと誘われます。イギリス人僧として人気のジェイ・シェッティ氏は「落ち着きとリラクゼーションをもたらす呼吸法」として、ゆっくり4カウントで鼻から息を吸い、4カウント息を止め、ゆっくり4カウントで口から息を吐くのを10回繰り返すことを奨励しています。

こういったルーティンは毎日決まった時間に行い、習慣化しましょう。そうすることで眠りへと向う体内時計を安定化できます。

寝室環境(温度・光・音・寝具)の整え方

就寝前のルーティンだけではなく、寝室の環境も質の高い睡眠を得るためにはとても重要です。清潔で落ち着いた寝室環境を整えると、心理的にも安心感が得られます。

  • 部屋の温度:18〜20度程度の少し肌寒い室温が理想
  • 光・音:部屋を暗くし、カーテン・耳栓で外部光・騒音を遮断
  • 寝具:自分に合ったマットレス/枕の選択が重要

マットレスの質はダイレクトに睡眠の質に影響します。質の高い睡眠を得るには、浅い睡眠の時(レム睡眠)にしっかり寝返りを打てることが大事であり、また腰など身体の一部分が沈み込んで痛くならないよう体重を分散してしっかりホールドできる(これを体圧分散性と言います)機能も必要です。また、日本のように湿気のある熱帯夜が続く気候では、マットレスが蒸れて早くダメになるケースもあるのですが、そういったことがないよう、通気性が高いかどうかもチェックしてみてください。

こういった懸念点をすべてクリアするのが「コアラマットレスPLUS」です。身体に沿うコンフォートレイヤーにはクラウドセル™素材、バランスの取れたサポートを実現する中間層、耐久性にすぐれたベース層の3層構造となっています。さらに、体の重みがかかる腰部は適度な硬さに、肩や脚の部分は体圧をやさしく受け止めるよう柔らかめに設計された竹炭配合の5ゾーンサポートが、心地よい眠りを届けます。中間層には通気のためのカッティングを施し、睡眠中の湿気やムレを防ぎます。

運動・食事・入浴など生活習慣の見直し

睡眠の質は、睡眠の前後だけで決まるのではありません。より睡眠の質を高めるために、次のポイントをチェックしてみてください。

  • 運動: 日中の適度な運動で身体を程よく疲労させましょう。入眠が促進できます。ただし、就寝直前の激しい運動は避けてください。
  • 食事: 就寝2〜3時間前には食事を終え、胃腸活動による睡眠質低下を防ぎましょう。睡眠の途中で目覚めるのを避けるために、水分も食事の後は摂取を控えましょう。寝酒も同様です。
  • 入浴: 就寝1〜2時間前に入浴すると、深部体温が上下することで自然な眠気を誘発できます。

まとめ

7時間睡眠は最強説の検証、実践方法、いかがでしたでしょうか。7時間睡眠についてまとめてみます。

  • 7時間睡眠は一般的に健康・パフォーマンス向上に大きく貢献する、理想的な睡眠時間(が、個人差はある)
  • 7時間睡眠は死亡リスク低減・日中集中力確保など総合的メリットがある一方、必要な睡眠時間については個人差を考慮する必要がある。一説には7~9時間の間で調整するといい、とされている
  • 睡眠不足蓄積(睡眠負債)による身体・精神への悪影響を防ぐため、毎日一定リズムでの睡眠確保が重要
  • 7時間を基準としつつ、質の高い休息のための寝室環境整備・生活習慣改善が理想的

無理に7時間の枠に自分の睡眠を当てはめようとしなくても大丈夫です。まずは、自分の就寝起床時間、睡眠時間、起床時の気分、体調を毎日記録するところから始め、自分に合う睡眠時間を見つけてください。

参考

※1:https://aasm.org/seven-or-more-hours-of-sleep-per-night-a-health-necessity-for-adults/

※2: https://www.cdc.gov/mmwr/volumes/65/wr/mm6506a1.htm

※3:https://www.cam.ac.uk/research/news/seven-hours-of-sleep-is-optimal-in-middle-and-old-age-say-researchers

※4:https://jamanetwork.com/journals/jamapsychiatry/fullarticle/206050

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