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監修者

後平 泰信
医療法人徳洲会札幌もいわ徳洲会病院(名称変更) 病院長 現職。
【研究分野】睡眠全般、睡眠時無呼吸症候群、内科全般、循環器内科、スポーツ医学、遠隔医療、地域医療
明るくハキハキとした話し方で、専門的な内容もわかりやすく伝える。特に睡眠医療の分野で多数の講演・メディア出演歴があり、CPAP治療やいびき・睡眠負債など、広く深い見識から生活に密着したあらゆる話題にも柔軟に対応。寝具などスリープテック領域の開発や監修にも多数関わった実績あり。
「なかなか寝付けない」「夜中に何度も目が覚めてしまう」「朝起きても疲れが取れていない」そんな睡眠の悩みを抱えていませんか?
現代社会のストレスや不規則な生活リズムで、多くの人が質の良い睡眠を得られずにいます。実は、日本人の平均睡眠時間はOECDが調査した国々の中で最下位です。1)

1)厚生労働省 解説書 良い目覚めは良い眠りから知っているようで知らない睡眠のことより引用 OECD, Gender data portal 2021: Time use across the world
また、日本人の4人に1人が慢性的な不眠に悩んでおり、日本人の睡眠不足による経済損失は年間20兆円にも上るといわれています。2)3)
睡眠薬には頼りたくないけど、睡眠の質を向上するために何か効果的な方法はないかとお探しの方も多いのではないでしょうか。実は、私たちの身近にある「白湯」が、そんな睡眠の悩みを自然に解決してくれる可能性があります。特に寝る前の白湯は、副交感神経に働きかけ、体を睡眠モードへと導いてくれる優れた睡眠習慣です。冷え性や便秘、自律神経の乱れといった、睡眠を妨げるさまざまな要因にもアプローチできる、まさに一石二鳥の健康法といえます。
この記事では、厚生労働省の最新ガイドラインや科学的研究をもとに、白湯の作り方から、寝る前の白湯がもたらす睡眠改善効果と、効果的な飲み方まで詳しく解説します。
さらに、白湯のみならず、睡眠の質に直結する就寝の環境整備についてもまとめています。良質な睡眠は、快適な寝具と正しい生活習慣の両輪で実現するもの。その第一歩として、ぜひ白湯習慣を始めてみませんか。
寝る前の白湯が睡眠に効果的な3つの科学的理由

白湯を飲むことには、単に体を温める以上のメリットがあります。白湯がどのように睡眠改善に効果的なのか、その理由を分かりやすく解説します。
深部体温を下げて自然な眠気を誘う
良質な睡眠を得るためには、就寝時に体の深部体温がスムーズに下がることが重要です。体温が上がると、体は熱を逃がそうと血管を拡張させて体温を低下させますが、この体温低下の過程で眠気が生じるのです。
厚生労働省の最新の健康指針によると、就寝前1〜2時間前に入浴すると深部体温の低下がスムーズになり、就寝しやすくなります。4)さらに、就寝前に体を温めることで入眠までの時間が短くなったとの研究報告もあります。5)
白湯を飲むことも、深部体温のスムーズな低下のために一度体を内側から温めることにつながるため、寝つきの改善が期待できるのです。
副交感神経を優位にしてリラックス状態へ
自律神経は、体を活動させる交感神経と、休息させる副交感神経に分けられます。睡眠時には副交感神経が優位になり、心身がリラックスモードに切り替わることで体が休まります。
実は、白湯そのものが副交感神経を優位にするリラックス効果を持つわけではありません。冷たい水や熱い湯は刺激が強く、交感神経を優位にしてしまいますが、温かい白湯はゆっくりと飲むことができるため、就寝に向けて副交感神経が優位になりやすい状態をつくるのです。就寝前に白湯を飲むことで、ゆっくりと水分を摂取しながら落ち着いた時間を過ごせるでしょう。
胃腸を温めて睡眠の質を向上
白湯は、胃腸を内側から温めて消化機能をサポートし、睡眠の質を向上させる効果も期待できます。
胃腸が冷えていると、消化活動が鈍くなります。就寝前の夜食は消化に時間がかかり、体が休息できなくなって良質な睡眠を妨げるため、厚生労働省も就寝直前の夜食を控えることの重要性を指摘しています。白湯は胃腸に負担をかけず内臓の血行を促進するため、消化機能が活発になって就寝時に体がリラックスしやすくなります。内臓の冷えが原因の便秘やダイエットの悩みにもアプローチできるため、心身ともに健康な状態での快眠につながります。
効果的な白湯の飲み方:温度・量・タイミングの黄金ルール

白湯の睡眠改善効果を最大限に引き出すためには、温度、量、タイミングに注意が必要です。科学的根拠に基づいた白湯の飲み方の黄金ルールを解説します。
最適な温度は50〜60度
白湯は熱すぎず冷たすぎない、50〜60度の適温で飲みましょう。熱すぎる飲み物は、口や喉に刺激を与えて交感神経を活発にしてしまいますし、冷たすぎる飲み物も同様に交感神経を刺激し活発化させるのに加えて体を冷やし、スムーズな入眠を妨げかねません。白湯の心地よい温かさは、身も心もリラックスさせて睡眠によい影響を及ぼすのです。
適量はコップ一杯(150〜200mL)
白湯の適切な量は、就寝前にコップ1杯(150〜200ml)が目安です。私たちは寝ている間に同程度の汗をかくとされています。国土交通省も、睡眠の前後(入浴後と起床時)にコップ一杯の水分補給を勧めています。6)
一方で、飲みすぎると夜間にトイレで目覚める夜間頻尿の原因となり、睡眠が中断されかねません。適量をゆっくり時間をかけて飲むことで、体への負担を抑えつつ、温熱効果やリラックス効果を十分に得られるのです。
ベストタイミングは就寝前約1.5時間
白湯を飲むベストなタイミングは、就寝の1.5時間前です。就寝直前に飲むと、深部体温が下がりきる前に眠りにつくことになり、快眠しにくい可能性があります。就寝の約1.5時間前(1〜2時間前)に入浴することが快眠に良いとされるメカニズムと同様に、白湯もこの時間帯に飲むことで体温が緩やかに下がり、寝つきが良くなることが期待できます。4)7)

日本人の睡眠不足を改善する白湯習慣の始め方

OECD加盟国で最も睡眠時間が短い日本において、良質な睡眠を得ることは重要です。白湯は睡眠習慣改善の第一歩として気軽に始めるとよいかもしれません。具体的な方法と注意点を解説しましょう。
白湯を作る簡単3ステップ
白湯は水を沸騰させるだけでつくれます。以下に簡単な作り方を紹介します。
- 水を沸騰させる:やかんや鍋に水を入れ、強火にかけて沸騰させます。
- 沸騰後5分以上加熱します:水道水を使う場合、5分以上沸騰させることで水道水中のトリハロメタンや塩素を取り除けます。8)
- 50〜60度まで冷ます:火を止めて50〜60度の飲みやすい温度まで冷ましてから飲みます。
水道水を沸騰させる方法以外に、電子レンジを使う方法も手軽です。耐熱容器にミネラルウォーターや浄水器の水を注ぎ、500Wで1分半を目安に加熱して温度を調整しましょう(ただし、この方法では水道水に含まれるトリハロメタンなどを取り除くことはできない点に注意)。
関連記事:睡眠の質を上げる飲み物10選と飲むタイミングについて解説!
継続のための3つのコツ
白湯習慣を毎日の生活に無理なく取り入れることが、継続のコツです。
- 毎日同じ時間に飲む:毎日のルーティーンとして、お風呂上がりなど決まった時間に白湯を飲むことを習慣化しましょう。
- 面倒でなく楽しさを感じる工夫をする:電子レンジの活用などで、心理的なハードルを下げると継続しやすいです。お気に入りのカップを使うなど、気持ちが前向きになる工夫を凝らすことも有効でしょう。
- スマホを見ないデジタルデトックスと組み合わせる:睡眠にとって良い習慣とまとめることも非常に効果的です。睡眠に良い行いをしているという認識が睡眠に前向きな気持ちを高めるとともに、白湯を味わう時間がとても貴重に感じられるようになっていくはずです。
白湯だけでは改善しない場合の対処法
白湯習慣は睡眠改善に役立ちますが、それだけで問題が解決するとは限りません。白湯を飲んでも睡眠の悩みが改善しない場合は、睡眠環境の見直しや医療機関への相談も視野に入れましょう。
特に、睡眠の質は睡眠環境、特に寝具によって大きく影響されます。寝具を整える方法のひつとして、体圧分散性に優れた通気性の良いマットレスを選ぶと、根本的な睡眠環境の改善につながりやすいです。場合によっては医療機関の受診を検討してください。日常生活に支障をきたしているかどうかが受診の目安です。例えば、不眠によって日中の眠気が生じ、仕事でミスが増えているといった場合には医療機関を受診して相談することをおすすめします。
今夜から始める白湯習慣で、質の高い睡眠を手に入れよう

この記事では、寝る前の白湯がもたらす睡眠改善効果と、効果的な飲み方について解説しました。白湯は、深部体温を調整し、副交感神経が優位な状態を妨げないことで心身をリラックスさせ、快眠を促す優れた健康法です。
白湯を飲む際の温度、量、タイミングといった黄金ルールを参考に、今夜から白湯習慣を始めてみてください。
もちろん、白湯だけでは改善しきれないこともあるため、睡眠環境の見直しも併せて行いましょう。
コアラマットレスは、優れた体圧分散性と通気性で睡眠の質を根本から改善します。体の負担を軽減し、一晩中自然で快適な寝姿勢をサポートします。白湯で寝つきを改善しつつ、コアラマットレスで良質な睡眠を維持する、この二つのアプローチで質の高い睡眠を着実に実現しましょう。
参考
1)厚生労働省 解説書 良い目覚めは良い眠りから知っているようで知らない睡眠のこと
(https://www.horiclinic.org/wp-content/uploads/2023/09/guide-sleep.pdf)
2)令和5年国民健康・栄養調査結果の概要(https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/001338334.pdf)
3)Hafner, M., Stepanek, M., Taylor, J., Troxel, W. M., & Christian, V. S. (2016, November 30). Why sleep matters ー the economic costs of insufficient sleep: A cross-country comparative analysis. (https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/28983434/)
4)厚生労働省 健康づくりのための睡眠ガイド2023(案)(https://www.mhlw.go.jp/content/10904750/001181265.pdf)
5)Haghayegh S, Khoshnevis S, Smolensky MH, Diller KR, Castriotta RJ.
Before- bedtime passive body heating by warm shower or bath to improve
sleep: A systematic review and meta-analysis. Sleep Med Rev 46: 124-135,
2019.(https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/31102877/)
6)国土交通省「健康のため水を飲もう」推進運動
7)国立精神・神経医療研究センター
(https://www.ncnp.go.jp/hospital/guide/sleep-column21.html)
8)東京都 水道局 水質〈水道水の安全性・その他〉
(https://www.waterworks.metro.tokyo.lg.jp/faq/qa-22)










