目次
監修者

後平 泰信
医療法人徳洲会札幌もいわ徳洲会病院(名称変更) 病院長 現職。
【研究分野】睡眠全般、睡眠時無呼吸症候群、内科全般、循環器内科、スポーツ医学、遠隔医療、地域医療
明るくハキハキとした話し方で、専門的な内容もわかりやすく伝える。特に睡眠医療の分野で多数の講演・メディア出演歴があり、CPAP治療やいびき・睡眠負債など、広く深い見識から生活に密着したあらゆる話題にも柔軟に対応。寝具などスリープテック領域の開発や監修にも多数関わった実績あり。
朝目覚ましが鳴ってもなかなか起きられない、日中に強い眠気に襲われて集中できない、そんな時は「質の良い覚醒」ができていないかもしれません。
覚醒とは、単に目が覚めることではなく、脳と身体が活動状態へ移行する重要なプロセスです。国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センター(NCNP)他の研究では、朝の「睡眠休養感」が、健康維持や寿命にも関係することが明らかになっています。1)
わかりやすく言うと、朝目覚めたときに「ああよく眠った、疲れがとれた、起きた瞬間からとっても元気!」と感じるような睡眠がとれているかどうかで、健康状態や寿命が変わってくるということです。なかなか衝撃的ですよね。
そこでこの記事では上級睡眠健康指導士でコアラマットレス社員の石川が、睡眠と覚醒のメカニズムを科学的に解説。生活習慣や寝具選びによって質の良い目覚めを実現する具体的な方法を、最新の研究データとともに紹介します。
覚醒とは?睡眠との関係をわかりやすく解説
まず、「覚醒」とは身体のどんな状態を指すのか、改めてはっきりさせておきましょう。
デジタル大辞泉によると、「覚醒」とは「目を覚ますこと」「意識や感覚がはっきりと働きはじめること」と定義されています。つまり、眠っていた状態から目が覚め、周囲の状況を認識できるようになることです。しかしただ目が開いたというだけでは、十分な覚醒とは言えません。頭がぼんやりしていたり、身体がだるかったりする状態では、活動的な一日を始める準備が整っていないからです。
「質の良い覚醒」とは、脳と身体がスムーズに活動モードへ移行し、集中力や判断力が十分に発揮できる状態を指します。このような覚醒を実現するには、前提として「質の良い睡眠」が不可欠です。睡眠と覚醒は切り離されたものではなく、互いに影響し合う表裏一体の関係にあります。夜の睡眠の質が低ければ、朝の覚醒も不完全になり、日中のパフォーマンスに支障をきたすという悪循環に陥る可能性が高いでしょう。
覚醒の科学的な定義と身体の状態
覚醒状態とは、脳と身体が睡眠から活動モードへと移行した状態を指します。脳波の観点では、覚醒時には高周波・低振幅のベータ波やアルファ波が優勢となり、脳が外界の刺激に反応できる状態にあることを示します。これは、レム睡眠やノンレム睡眠時に見られる脳波とは明確に異なります。
この覚醒状態を維持するうえで重要な役割を果たす脳内物質「オレキシン(ヒポクレチン)」を発見したのが筑波大学国際統合睡眠医科学研究機構(WPI-IIIS)機構長の柳沢正史氏です。2)
この物質オレキシンは、脳の視床下部で産生され、覚醒を促進する神経系を活性化することで、眠気を抑え、意識を安定させる働きを持ちます。「オレキシンは“睡眠”と“覚醒”という状態を切り替えるスイッチの一部を担っており、覚醒状態の維持に不可欠な物質」なのだとか。
覚醒時には、身体にもさまざまな生理的変化が起こります。体温は上昇し、心拍数や血圧も活動レベルに応じて高まります。これらの変化は、交感神経系の活性化によって引き起こされ、身体が外的環境に適応しやすい状態へと整えられていきます。
「質の良い覚醒」とは、こうした脳と身体の準備がスムーズに整い、日中の活動に支障なく移行できる状態を指します。
睡眠と覚醒のリズム:体内時計の仕組み
「質の良い覚醒」ができるかどうかには、体内時計のリズムも関係しています。厚生労働省の「健康づくりのための睡眠ガイド2023」によると、体内時計の乱れは睡眠の質を低下させ、覚醒にも悪影響を及ぼすのだとか。3)
人間の睡眠と覚醒は、体内時計によって調整されています。体内時計は「概日リズム(サーカディアンリズム)」と呼ばれ、約24時間周期で体温やホルモン分泌、血圧、睡眠・覚醒などの生理機能を制御する機能です。脳の視交叉上核(SCN)に存在し、朝の光刺激によってリセットされ、日中の活動と夜間の休息を自然に切り替える役割を果たします。
体内時計のリズムを維持するうえで重要な働きをするのが「メラトニン」というホルモンです。メラトニンは夜間に分泌が高まり、眠気を促すことで睡眠の導入を助けます。朝になって光を浴びると、分泌が抑制されて覚醒が促されます。つまり、メラトニンの分泌タイミングが整っていることが、自然な眠りとすっきりした目覚めの鍵なのです。
体内時計を調整するためには、朝の光をしっかり浴びること、夜間の強い光(特にスマートフォンやPCのブルーライト)を避けることが重要です。
理想的な覚醒を妨げる要因と日本人の睡眠実態

実のところ、日本人の多くが理想的な覚醒を妨げる要因を日常的に抱えています。特に睡眠不足は深刻な問題であり、覚醒の質に直接的な影響を及ぼしています。
日本全国で睡眠偏差値®調査を行うブレインスリープの2024年の報告によると、日本人の平均睡眠時間は6時間50分と、OECD加盟国平均の8時間28分よりも1時間38分短く、世界的にも最短レベルなのだそうです。4)
睡眠不足は、朝の目覚めを鈍らせるだけでなく、日中の集中力や判断力の低下にもつながります。また、夜中に何度も目が覚める「中途覚醒」や、予定よりも早く目が覚めてしまう「早朝覚醒」など、睡眠の途中で覚醒してしまう問題も深刻です。睡眠の連続性を損なうため、深い眠りを妨げて翌朝の覚醒を不完全なものにしてしまいます。
こうした睡眠の質の低下は、覚醒の質低下だけでなく、日中のパフォーマンスや健康にも影響を及ぼしかねません。
日本人の4人に1人が抱える慢性的な不眠
慢性的な不眠に悩む人、実はとても多いのです。日本生活習慣病予防協会によると、成人の約21.4%が「睡眠に関する問題を抱えている」と回答しているのだとか。5)
つまり日本での約4人に1人は何らかの形で睡眠障害を経験していることになります。
「日本人女性の睡眠時間は世界最短」という話もあります。仕事だけではなく、家事、育児、介護などの主な担い手となっているため、物理的に時間がない上に心理的ストレスが多く、不眠症になりやすい環境ともいえます。
過去記事「日本人の平均睡眠時間は本当に短い?世界と比較しながら徹底解説」
年代による睡眠時間の差もあります。令和元年の「国民健康・栄養調査」によると、1日の平均睡眠時間が「6時間未満」の割合は、男性では30〜50代で37.5%、女性では40〜50代で40.6%と、働き盛りの世代で顕著に短くなっています。仕事・育児・介護などの負荷が重なる時期にあたるため、睡眠の量・質ともに低下しやすい傾向を示している、といえるでしょう。6)
睡眠の質が悪いと起こる覚醒時の問題
睡眠の質が悪いと、覚醒直後だけでなく日中にもさまざまな問題が現れます。最も顕著なのは「眠気」「集中力の低下」「判断力の鈍化」といった認知機能の障害です。深いノンレム睡眠が不足した場合や、睡眠が断続的であった場合に起こりやすく、脳が十分に回復できていないことを示す症状です。
こうした状態になると仕事や学習におけるパフォーマンスは著しく低下します。たとえば、注意力の欠如によるミスの増加、意思決定の遅延、対人対応の質の低下などが起こりやすいです。睡眠不足が続くとこうした影響が蓄積され、慢性的な生産性低下につながりかねません。
実際に、睡眠の質が悪いことによる経済的損失は無視できないのです。睡眠の質に課題がある人は、そうでない人に比べて年間最大165万円もの経済損失を被っていることが明らかになりました。睡眠の質が高い人の損失額(年間89万円)と比較して、76万円もの差がある計算です。4)
睡眠の質の改善はもはや個人の問題ではなく、組織、ひいては国全体のパフォーマンス向上にも直結しているといえるでしょう。
朝なかなか起きられない、日中ぼんやりしてしまう…。そんな状態が続くとき、「性格の問題」や「年のせい」で片づけていませんか。質の良い覚醒には、前夜の深く途切れない睡眠と整った体内時計が欠かせません。睡眠の乱れは、高血圧や糖尿病、心血管疾患、うつ病などとも関係すると報告されています。
まずは毎朝同じ時間に起きて朝日を浴びる、就寝前のスマホを控える、寝室の温度・湿度・光を見直すなど、睡眠のリズムと体内時計を整えるための小さな一歩から始めてみましょう。
それでも「疲れが取れない」「強い眠気で生活に支障がある」場合は、睡眠障害が隠れていることもあります。無理に我慢せず、内科や睡眠専門医に相談して、ご自分に合った対策を一緒に考えていきましょう。
睡眠休養感を高めて質の良い覚醒を実現する方法

理想的な覚醒を得るためには、単に睡眠時間を確保するだけでは不十分です。近年、厚生労働省が重視しているのが「睡眠休養感」という概念です。これは睡眠によって心身の疲労が回復し、目覚めたときに「よく休めた」と実感できるかどうかを示す主観的な指標です。
「睡眠休養感」があるかどうかは、高血圧やメタボリックシンドローム、うつ病などの発症リスクと関連することが明らかになっていて、健康寿命を左右する重要な要素として位置づけられています。「睡眠休養感」がない睡眠では、健康への効果は限定的というのは少しショックな考察ですね。3)
では、健康や寿命にとってそれほど大事な「睡眠休養感」を高めるにはどうすればいいのでしょうか。次に挙げるのは、効果がある具体的な行動の例です。
- 就寝前のリラックス習慣:ストレッチや読書、温かい飲み物の摂取など、交感神経を鎮める行動を取り入れる。
- 寝室環境の最適化:温度(18〜22℃)、湿度(40〜60%)、光(暗め)を整えることで、深い眠りを促進する。
- 生活リズムの安定化:毎日同じ時間に起床・就寝することで、体内時計が整い、自然な眠気と覚醒が得られる。
- 寝具の見直し:体圧分散性や通気性に優れた寝具を選ぶことで、睡眠中の不快感を軽減し、熟眠感を高める。
これらの内容をもっと具体的に見ていきましょう。
睡眠環境を整える:温度・湿度・光の管理
睡眠の質を左右する要因として、寝室の「温度」「湿度」「光」は極めて重要です。睡眠環境の3要素の解説を表にまとめてみました。3)7)
| 要素 | 推奨範囲・条件 | 睡眠への影響 | 生理的・専門的解説 |
| 温度 | 18〜22℃ | 深部体温の低下を促し、入眠しやすくなる。高すぎると入眠困難、低すぎると浅眠の原因に。 | 就寝前に手足の皮膚血流が増加することで体温が外部に放散され、深部体温が低下し、入眠しやすい状態になる |
| 湿度 | 40〜60% | 粘膜の乾燥や蒸れを防ぎ、快適な睡眠を維持。低すぎると覚醒頻度が増加、高すぎると寝具内の不快感が増す。 | 加湿器・除湿機の活用により、安定した湿度環境を保つことが推奨される |
| 光 | 暗めの環境(遮光カーテン・アイマスク等) | メラトニン分泌を促進し、自然な眠気を誘導。強い光は分泌を抑制し、入眠を妨げる。 | 就寝の2時間前からメラトニンの分泌が始まり、強い光を浴びるとその分泌が抑制され、入眠が妨げられる |
生活習慣の改善:運動・食事・入浴のタイミング
質の高い睡眠を得るためには、日中の活動や食事、入浴のタイミングを整えることが重要です。睡眠ガイド2023では、以下の生活習慣改善が推奨されています。3)
| 項目 | 目的 | 具体的な方法 |
| 適度な運動習慣の確立 | 夜間の入眠を促進し、深い睡眠を得る | ・日中にウォーキングや軽いジョギングなどの有酸素運動を行う
・1日60分程度を目安に継続 ・運動は夕方までに済ませ、就寝直前は避ける |
| 朝食の重要性と体内時計の調整 | 睡眠・覚醒リズムの安定化 | ・炭水化物+たんぱく質を含むバランスの良い朝食を摂る
・朝の光を浴びながら食事をすることで体内時計をリセット |
| 就寝前の食事制限 | 睡眠の質の低下を防ぐ | ・夕食は就寝の3時間前までに済ませる
・脂質の多い食事やアルコールは控える ・就寝直前の間食は避ける |
| 入浴のタイミングと深部体温の調整 | 入眠を促す体温変化を活用 | ・就寝の90〜120分前に入浴
・38〜40℃のぬるめのお湯に15〜20分浸かる ・入浴後は照明を落とし、静かな環境で過ごす |
体に合った寝具選びが覚醒の質を左右する
睡眠の質は、単に「眠る」だけでなく、「どう眠るか」によって大きく左右されます。身体に合った寝具を選ぶことは、入眠のしやすさや睡眠の持続性、そして翌朝の覚醒感に直結する重要な要素だというのが、ある研究によってわかっています。
大阪市立大学大学院医学研究科と企業の共同研究では、18名の成人男女を対象に、身体に合わせた寝具(オーダーメイドマットレス+オーダーメイド枕)と、一般的な既製寝具との比較試験が実施されました。その結果、以下の改善効果が確認されています。8)
- 睡眠の質が向上:身体に合った寝具群は一般的な規制寝具よりも高評価を獲得。入眠しやすく、睡眠が中断されにくい傾向が見られた。
- 覚醒時の満足度が高い:起床時の眠気残存感が少なく、熟睡感や爽快感が高まる傾向が確認された。
- 理想的な寝姿勢の保持:身体に合った寝具は理想的な寝姿勢を無理なく保持できるよう設計。これにより、体圧が分散され、筋肉や関節への負担が軽減されている。
理想的な寝姿勢を保てると、睡眠中の身体の回復効率を高めるだけでなく、翌日の活動性や集中力の向上にもいい影響を与えます。特に腰や肩など、寝ているときに痛くなりがちな身体の部位を適切に支持できる寝具を使うと、身体がリラックスして「眠りに入りやすい体温」に下がるとともに副交感神経の優位化が促され、睡眠の質が向上しやすいです。
身体に合った寝具を選ぶことは、寝心地のよさだけではなく、科学的に裏付けられた睡眠改善方法といえるのです。
コアラマットレスで実現する理想的な睡眠と覚醒

では、理想的な睡眠環境を叶える寝具には、どういった条件があるのでしょうか。
- 体圧分散性
- 通気性
- 静かな寝心地(振動吸収性)
この3つを高水準で実現しているマットレスのひとつがコアラマットレスです。独自のクラウドセル™技術により、体圧を均等に分散し、筋肉や関節への負担を軽減します。さらに、オープンセル構造が熱を効率よく逃がし、快適な温度を保ちます。振動吸収性にも優れ、夜間の覚醒を防ぎ、朝の爽快感を高めてくれます。
クラウドセル™が実現する理想的な寝姿勢
コアラマットレス独自のクラウドセル™技術は、高反発と低反発のバランスにより、自然な寝姿勢を保ちつつ、寝返りをスムーズにサポートします。柔らかさと支持力を両立するフォーム構造が、背中や腰をやさしく包み込みながら、必要な部位にはしっかりと反発力を提供。これにより身体の緊張が緩和され、深い睡眠へと導かれます。振動吸収性にも優れ、夜間の覚醒を防ぐ設計です。
120日間トライアルで自分に合った睡眠を見つける
睡眠の質や寝具の相性には個人差があります。コアラマットレスでは、購入後120日間のトライアル期間を設け、自宅でじっくり寝心地を確かめることが可能です。実際の生活リズムの中で使うことで、体圧分散性や通気性の効果を実感しやすく、睡眠の質の変化にも気づきやすいでしょう。万が一合わない場合は返品・返金も可能なため、安心してお試しできます。
120日間トライアルについてまとめた記事も参考にしてみてください。
質の良い覚醒は質の良い睡眠から始まる

覚醒のメカニズムから睡眠の質を高める方法まで、科学的根拠に基づいて解説しました。脳と身体がスムーズに活動モードへ移行する「質の良い覚醒」は、前夜の深く持続的な睡眠によって支えられます。そのためには、生活習慣の見直しと寝具環境の最適化が欠かせません。
今日から始められる行動としては、
- 毎朝同じ時間に起床し、朝日を浴びる
- 就寝前2時間は強い光(スマホ・PC)を避ける
- 寝室の温度(18〜22℃)・湿度(40〜60%)を整える
- 軽い運動や入浴で深部体温を調整する
- 自分に合った寝具を選び、体圧分散性・通気性を重視する
睡眠の質は、覚醒の質に直結します。まずは自分の睡眠環境を見直すため、本当に自分の睡眠を支えてくれるマットレスを120日間トライアルで試してみませんか。コアラマットレスなら、理想的な寝姿勢と快適な温度管理ができるので、朝の目覚めをきっと変えてくれるはずです。
参考
1)国立精神・神経医療研究センター 睡眠休養感がカギを握る:健康維持・増進に役立つ新規睡眠指標の開発
https://www.ncnp.go.jp/topics/2022/20220224p.html
2)Orexins and Orexin Receptors: A Family of Hypothalamic Neuropeptides and G Protein-Coupled Receptors that Regulate Feeding Behavior
3)2023年改訂 厚生労働省「健康づくりのための睡眠ガイド」
4)ブレインスリープ 2024年版有職者10,000人の睡眠調査結果報告(プレスリリース)
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000193.000046684.html
5)日本生活習慣予防協会
https://seikatsusyukanbyo.com/statistics/2024/010828.php
6)令和元年 国民健康・栄養調査 1日の平均睡眠時間別、睡眠の質の状況
https://www.e-stat.go.jp/dbview?sid=0003224305
7)塩野義製薬 ぐっすりコンパス
https://wellness.shionogi.co.jp/insomnia/understanding/understanding1.html
8)日本睡眠科学研究所 共同研究










