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監修者

松岡 雄治
地方国立大学医学部卒業後、横浜市内で初期臨床研修を経て、関東の基幹病院で勤務中。
資格:医師国家試験合格、睡眠コンサルタント、睡眠検定1級
暑いのに寒いと感じるときは、冷房や汗による冷えだけでなく、発熱を伴う感染症、熱中症、更年期などの可能性が考えられます。また、対応にも迷います。例えば、暑い場所で体調が悪くなったときは、寒く感じても体を温めず、熱中症を疑うべきケースもあります。
実際に「冷えと悪寒をどう見分け、何をすればよいか」が気になる人もいるでしょう。
この記事では、夏に寒気を感じる原因と対処法、医療機関へ相談する目安を解説します。避けたい対処もあわせて詳しく紹介します。体温やほかの症状を確認し、状態に合う対応を選びたい方は、ぜひ最後までご覧ください。
悪寒と冷房による冷えの違い
悪寒は、体温を上げようとする反応に伴う寒気です。冷房による冷えは、冷風や汗でぬれた衣服によって、皮膚表面から熱を奪われたときに起こります。
主な違いは、次のとおりです。
| 悪寒 | 冷房などによる冷え | |
| 感じ方 | ゾクゾクする、震える | 手足や皮膚が冷たい |
| 環境を変えた後 | 暖かい場所でも続くことがある | 冷風を避けると軽くなる傾向がある |
| 伴う症状 | 発熱、だるさ、頭痛、のどの痛みなど | ふるえなど |
感じ方だけで、悪寒と冷房による冷えを完全に区別することはできません。体温を測るとともに、直前までいた環境や、頭痛・吐き気などの症状がないかを確認してください。
また、暑い場所で体調が悪くなった場合は、寒気があっても熱中症の可能性があります。厚着をせず、涼しい場所へ移りましょう。
夏に寒気を感じる主な原因
前述のように、夏に「暑いのに寒い」と感じる場合、大きく分けて、冷房などによる物理的な「冷え」と、体の内側からゾクゾクする「悪寒(寒気)」の2つのパターンがあります。
冷房から離れても寒気が続く場合や、そもそも暑い場所にいるのに寒気を感じる場合は、体の中で何らかの異常が起きています。ここでは、夏に寒気を感じる主な3つの原因を解説します。
1. 発熱を伴う風邪などの感染症
夏風邪や新型コロナウイルスなどの感染症で熱が出るとき、周囲が暑くても強い寒気(悪寒)を感じます。
これは、ウイルスと戦うために脳が「もっと体温を上げろ」と指令を出しているためです。目標とする体温まで熱を上げようとして筋肉を震わせるため、脳が「今は寒い」と錯覚して悪寒を感じます。体温を測るとともに、次の症状がないか確認してください。
- せきやのどの痛み
- 鼻水
- 頭痛や全身のだるさ
- 下痢や嘔吐
感染症の種類は症状だけでは判断できません。強い寒気や発熱が続く場合、息苦しさなどを伴う場合は医療機関へ相談しましょう。周囲に同じ症状の人がいるかも、受診時に伝えてください。
「悪寒(おかん)」は、細菌やウイルスと戦うために、脳が「もっと体温を上げて白血球を活発にしてください」と指令を出しているサインです。脳が目標とする体温(例えば39℃)に対し、現在の体温(37℃など)が低いため、脳が「まだ寒い」と判断し、筋肉を震わせ(シバリング)、強引に熱を生み出そうとします。これが、病気の時にゾクゾクと震えるメカニズムのひとつです。
※出典:社会福祉法人恩賜財団済生会「発熱」
2. 暑い環境で起こる熱中症
「暑い場所にいたのに、急に寒気を感じてゾクゾクする」という場合は、熱中症が重症化している危険なサインの可能性があります。
熱中症が進行すると、脳の体温調節中枢が正常に働かなくなります。その結果、体に危険なほど熱がこもっているのに、脳が「寒い」と異常な錯覚を起こして悪寒を感じることがあると考えられています。
併せて起こる症状を確認しましょう。
- めまいや立ちくらみ
- 頭痛
- 吐き気や嘔吐
- 強いだるさ
- 反応がおかしい、意識がぼんやりする
暑い環境にいた後に寒気を感じ、さらに以下の症状がある場合は、風邪だと思って体を温めるのは状態が悪化する可能性があるため避けましょう。涼しい場所へ移り、衣服をゆるめて体を冷やしてください。水分を飲めるかどうかも重要な確認点です。
暑い場所を離れた後、時間が経ってから症状が現れる場合については、以下の記事もあわせてご覧ください。
関連記事:熱中症は夜になってから症状が出る?時間差で現れる危険サインと対処法
実は、「寒気と熱中症」には明確なエビデンスがあるわけではないのですが、臨床現場では寒気を訴える熱中症患者さんは確かにいらっしゃいます。熱中症によって、体内で炎症物質が多量に放出され、体温調節中枢などに影響が及ぶことによって寒気が起こっている可能性も考えられています。
※出典:日本救急医学会 熱中症および低体温症に関する委員会「Active Cooling実践的手引き」
3. 冷房や汗による一時的な体の冷え
冷房の風が直接当たる、薄着で長時間過ごす、汗でぬれた衣服を着続けるといった状態では、暑い季節でも寒く感じることがあります。汗などの水分が蒸発するときに皮膚から熱が奪われることで、冷えを感じるためです。
まずは冷風から離れ、汗を拭いて乾いた衣服へ着替えましょう。それによって寒さが軽くなるなら、環境による一時的な冷えが考えられます。
ただし、「冷房病」や「自律神経の乱れ」と誤認すると、発熱や熱中症を見逃すおそれがあります。体温とほかの症状も確認し、寒気が続く場合は内科へ相談してください。
4. 更年期などによるほてり・発汗と冷え
更年期には、女性ホルモンの一種であるエストロゲンの揺らぎや減少による自律神経の乱れを背景に、ほてり、のぼせ、発汗、冷えなどが現れることがあります。急に暑くなって汗をかき、その後に冷える場合もあります。
日本産科婦人科学会は、更年期障害の症状として、ほてりやのぼせ、発汗、冷えなどを挙げています。ただし、これら更年期だけに特有の症状ではありません。年齢や性別だけで判断しないようにしましょう。
日常生活や睡眠に支障が出る場合は、婦人科へ相談してください。動悸や頭痛など、冷え以外の症状も伝えましょう。
※出典:厚生労働省 働く女性の心とからだの応援サイト「女性は一生にわたって女性ホルモンに影響を受ける?!」
※出典:日本産科婦人科学会「更年期障害」
暑いのに寒いときの対処法
暑いのに寒いときは、一律に体を温めないことが重要です。まずは暑い環境で体調を崩したのか、発熱や冷房の影響があるのかを確認します。
体温を測り、暑い場所にいたか、冷風に当たっていたかを振り返ってから対応を選んでください。ここからは、原因に応じた4つの対処法を紹介します。
1. 暑い場所で体調が悪いときは涼しい場所へ移る
暑い場所にいたときに頭痛や吐き気などが現れた場合は、寒気があっても熱中症の可能性があります。まずは冷房の効いた室内や風通しのよい日陰へ移動してください。
涼しい場所へ移ったら、衣服をゆるめ、首の周りや脇の下、脚の付け根などを冷やします。意識がはっきりしていて自力で飲める場合は、水分と塩分を補給しましょう。
一方、吐き気が強い、自力で飲めない、呼びかけへの反応がおかしいといった場合は、無理に水分を飲ませると誤嚥するおそれがあるため無理に飲ませないようにしましょう。救急車を呼ぶなどして、速やかに医療機関を受診しましょう。
症状が改善したあとも、すぐに暑い環境へ戻ると再び体調を崩すおそれがあります。その日は涼しい場所で休みましょう。また、意識を失ってしまうこともあるため、ひとりでいる場合は、家族や周囲の人に体調が悪いことを伝えておくと安心です。
2. 冷房が原因なら風向きと衣服を調整する
冷房の風に当たって寒気を感じる場合は、次の方法で体の冷えを防ぎましょう。
- 冷風が直接当たらないよう、風向きや座る位置を変える
- 風を避けられない場合は、カーディガンなどで冷えた部分を覆う
- 汗で衣服がぬれている場合は、乾いたものに着替える
- 就寝中は、冷風が体に直接当たらないよう風向きを調整する
室温は一律の基準に合わせるのではなく、そのときの体調や過ごし方に応じて、暑くも寒くもない範囲に調整してください。ただし、全身を厚着にすると暑くなりすぎることがあるため、冷えている部分だけを覆いましょう。
こうした対策をしても寒気が続く場合は、冷房以外の原因も考えられます。体温を測り、発熱や頭痛など、ほかの症状がないか確認してください。
就寝中の冷房の設定については、こちらの記事も参考にしてください。
関連記事:寝る時のエアコン設定はどうする?|適正温度と電気代を抑える使い方
3. 発熱がある場合は水分を補給して休む
発熱や風邪症状がある場合は、無理に活動せず休みましょう。自力で水分を摂れる状態なら、一度に多く飲まず、水分を少量ずつ補給してください。
寒気がある間は心地よい範囲で衣服や掛け物を調整するのがおすすめです。ただし、厚着や重い寝具で汗を出せば治るわけではありません。暑くなってきたら、衣服や掛け物を減らしましょう。
同様に、体を温めようとして熱い風呂に入ることも避けてください。体力を消耗したり、脱水が進んだりするおそれがあります。体調が悪いときは入浴を控え、必要に応じて体を拭く程度にしましょう。
なお、休養や水分補給をしても発熱や強い寒気が続く場合や、息苦しさ・強い痛みを伴う場合は、医療機関へ相談してください。
4. ほてりと冷えを繰り返す場合は記録をつける
一時的な発熱や冷房による冷えではなく、ほてりや発汗に続いて寒気を繰り返す場合は、症状の現れ方を記録しておきましょう。症状が起こった時刻や頻度に加えて、体温や月経周期、動悸・頭痛の有無、睡眠への影響なども記録すると、傾向を振り返りやすくなります。
症状が現れたときに調整しやすいよう、普段から着脱しやすい衣服を選ぶのもひとつの方法です。汗をかいた場合は、体が冷えないように乾いた衣服へ着替えてください。
就寝中にほてりと冷えを繰り返す場合は、薄い寝具を重ねておくと、体感に合わせて調整しやすくなります。それでも症状が繰り返され、仕事や睡眠などに支障が出ている場合は、記録した内容を持参して婦人科へ相談しましょう。
ほてりや冷えで夜の眠りが妨げられて悩んでいる方は、以下の記事も参考にしてください。
関連記事:【医師監修】更年期で眠れない女性へ|不眠症状の原因と今夜からできる5つの改善法
寒気があるときに避けたい対処
原因を確認せず、寒気を「自律神経の乱れ」や「冷えのぼせ」と決めつけるのは避けましょう。暑い場所で体調不良が起きた場合、厚着や熱い飲み物、入浴で温めると、熱中症による体温上昇を助長するおそれがあります。
また、首、手首、足首など特定の部位を温めれば、寒気が改善するとは限りません。発熱時に汗を出そうとして、布団を重ねすぎる方法も控えてください。
一方、冷房による一時的な冷えなら、冷風を避けて衣服を調整できます。冷やすか温めるかは、直前の環境、体温、一緒に現れた症状から判断しましょう。
判断に迷う場合や症状が続く場合は、自己判断せず、医療機関へ相談してください。
※冷えのぼせとは、上半身は暑くのぼせた感じがするのに下半身が冷えを感じるような状態です。更年期症状などで起こることがあります。
医療機関へ相談したい目安
暑い場所にいた後に、頭痛や吐き気をはじめとする熱中症が疑われる症状が現れた場合は、医療機関へ相談しましょう。たとえば、次のような状態では、すぐに救急車を呼びましょう。
- 呼びかけへの反応がおかしい、意識がない
- けいれんがある
自力で水分を飲めない場合や、体を冷やしても症状が改善しない場合は、速やかに医療機関を受診してください。
発熱や寒気が続く、息苦しさや強い痛みを伴う場合も受診を検討します。原因のわからない寒気は内科へ相談し、体温と症状の経過を伝えてください。
ほてり、発汗、冷えを繰り返し、仕事や睡眠など日常生活に支障がある場合は、婦人科で相談できます。症状が始まった時期と月経周期の記録が役立ちます。
高齢者や持病のある人は重症化するリスクが高いため、早めに周囲へ体調を伝えましょう。
※出典:環境省「熱中症環境保健マニュアル2022 Ⅱ-3 熱中症を疑ったときには何をするべきか」
まとめ:暑いのに寒いときは体温とほかの症状を確認しよう
周囲が暑いのに寒気を感じる場合は、冷房や汗による冷えのほか、発熱を伴う感染症、熱中症、更年期などが考えられます。まず体温を測り、直前にいた環境と、現れている症状を確認してください。
冷房による冷えなら、風向きや衣服を調整します。発熱時は水分を少量ずつ補給して休み、強い寒気や息苦しさが続く場合は医療機関へ相談しましょう。
暑い場所で熱中症が疑われる症状がある場合は、寒く感じても体を温めないことがポイントです。涼しい場所へ移って体を冷やし、自力で水を飲めなければ速やかに受診します。
寒気の感じ方だけでは、原因を完全に区別するのは困難なため迷ったときは自己判断せず、症状の経過を医師へ伝えてください。










