睡眠コラム by 松岡 雄治2026年7月22日読了目安時間: 7

遅く寝ても早く起きる方法はある?夜更かししても決めた時間に起きる工夫を紹介

松岡 雄治
医師

地方国立大学医学部卒業後、横浜市内で初期臨床研修を経て、関東の基幹病院で勤務中。
資格:医師国家試験合格、睡眠コンサルタント、睡眠検定1級

翌日に大事な予定がある日ほど、緊張や焦りからうまく眠れない経験は誰しもあるものです。

遅く寝てしまった翌朝でも、前日の準備や朝の過ごし方を工夫すれば、決めた時間に起きやすくなります。ただし、睡眠時間を削ってしまう方法は、基本的にはおすすめできません。

この記事では、遅く寝た翌朝を乗り切る具体的な工夫と、遅寝早起きを繰り返さないための生活リズムの整え方を紹介します。必要な睡眠時間を確保しながら起きるためのコツを知りたい方は、ぜひ最後までご覧ください。

 

遅く寝た翌朝に早く起きる方法7選

遅く寝た翌朝に早く起きるコツは、意志の力に頼らないことです。

前夜の準備と起床直後の行動を少し変えることで、寝坊や二度寝のリスクは下げられます。ここでは、遅く寝た翌朝に早く起きる7つの方法を紹介します。

1. 起床時間はいつもと変えない

遅く寝た翌朝でも、起床時刻はできるだけ普段と同じにそろえましょう。前日に何時に寝たかにかかわらず、起床時刻を一定に保つと、概日リズム(約24時間周期の体内時計)が乱れにくくなります。

※出典:厚生労働省「健康づくりのための睡眠ガイド2023

2. 目覚ましはベッドから離れた場所に置く

目覚ましは、ベッドから離れた場所に置くのがおすすめです。枕元に置くと、無意識のうちに止めてそのまま二度寝してしまう可能性があります。

アラームを止めるために立ち上がる必要があれば、二度寝を防止しやすくなります。複数のアラームを何度も鳴らすよりも、一度立ち上がる流れをつくるほうが効果的です。いったん体を起こしてしまえば、目も覚めやすくなります。

3. 起きたらすぐに体を起こす

早く起きるには、目が覚めたらすぐに体を起こすことが重要です。目覚めた直後に布団の中でうとうとしたり、考えごとを続けたりすると、二度寝をしてしまう可能性が高まります。

目が覚めたら足を床につけて立ち上がり、そのまま洗面所へ向かうなど、次の動作まで一気に済ませるとよいでしょう。「起きようか」と考える時間を作らず、まず体を動かすことがポイントです。

目覚めたあとにぼーっとして集中できなかったりする状態は、睡眠慣性という状態です。

この時間に布団でまどろんでしまうと、そのまま二度寝してしまうのです。

少し強引ではありますが、睡眠慣性を抜けるまで体を強制的に動かすというのは現実的で効果的な方法といえます。

4. 起床直後にスマホを見ない

アラームを止めたあとにスマホでSNSや動画を見始めるのは、避けましょう。スマホの画面に夢中になると、布団から出るタイミングを逃してしまいます。

たとえば、スマホを目覚まし代わりに使っている場合でも、アラームを止めたらすぐに起き上がり、その場で通知などを見ないように意識しましょう。

どうしても確認したいときは、洗面所に移動してからにするなど、いったん体を起こしてから見る流れにすると、二度寝を防げます。

5. カーテンを開けて朝日を浴びる

起きたらすぐにカーテンを開けて、部屋に朝の光を取り込みましょう。朝の光は目覚めのきっかけになり、体内時計を整えるはたらきがあります。(朝の光を浴びてから15時間前後で再びメラトニンが分泌されることで起こります。)遮光カーテンを使っている場合は、起床後すぐに開ける習慣をつけてみてください。寝る前にカーテンを少し開けておき、朝の光が自然に差し込むようにする方法もおすすめです。冬場や曇りの日でも、太陽光には十分な強さがあるため目覚めの助けになります。

「起床後に光を浴びて体内時計をリセットする効果」や、「日中に光を浴びることで夜間のメラトニン分泌促進」といった効果は1000ルクス以上の明るさの光を浴びることで得られます。

蛍光灯などの明かりは、500ルクス程度の光のため、曇りの日でもカーテンを開けて光を浴びることに意味があるのです。

※出典:厚生労働省「健康づくりのための睡眠ガイド2023

6. 水を飲んで顔を洗う

起床後すぐにコップ1杯の水を飲み、顔を洗うことで、頭と体が目覚めやすくなります。水分補給や洗顔による刺激が、残っている眠気を吹き飛ばし、気持ちを切り替えるきっかけになります。

また、「起きたら水を飲んで顔を洗う」という流れを毎朝の習慣にしておくと、続けやすくなります。ルーティン化されていれば、布団の中でだらだらする時間が減り、たとえ夜更かしした翌朝でもスムーズに動き始められます。

7. 朝にやることを前夜に決めておく

前日の夜に「朝起きてやること」を決めておくと、起きる目的が明確になり、布団から出やすくなります。一方で、早起き自体を目的にしてしまうと、なぜ起きるのかがはっきりせず、二度寝や先延ばしにつながりやすくなってしまいます。

たとえば、次のように自分の生活に合った予定を1つ用意してみましょう。

  • 出勤準備をする
  • 勉強をする
  • 散歩をしに外へ出る
  • 朝食をとる

「起きたらこれをする」と決めておくことで、布団から出るきっかけとなり、夜更かしをした翌朝でもスムーズに動き出しやすくなります。

 

遅く寝て早く起きるときの注意点

遅い時間に寝て早く起きることは、基本的には避けましょう。厚生労働省では、成人に対し、6〜8時間程度、少なくとも6時間以上の睡眠時間を確保することを推奨しています。

睡眠時間が不足すると、日中に強い眠気や集中力の低下を感じるだけでなく、心と体の健康にも悪影響を及ぼすおそれがあります。たとえば、短い睡眠が何日も続くと、気分が不安定になったり、生活リズムが大きく崩れたりしやすくなります。

遅く寝て早く起きる習慣が続いている場合は、生活パターンを見直して、できるだけ十分な睡眠時間を確保する工夫が大切です。

関連記事:【医師監修】日本人の平均睡眠時間は本当に短い?世界と比較しながら徹底解説

※出典:厚生労働省「健康づくりのための睡眠ガイド2023

 

短い睡眠でも朝に起きやすくするコツ

翌朝の起きやすさは、前夜の過ごし方によって大きく変わります。たとえば、寝る直前の光や体温の状態は、寝つきや眠りの深さに関わります。

ここでは、遅く寝る日にも取り入れるべき、寝る前の3つの工夫を紹介します。

1. スマホや明るい画面を避ける

就寝1時間前からは、スマホや動画、ゲームなどの明るい画面をできるだけ避けましょう。就寝直前まで画面を見続けると、寝る時間が後ろ倒しになりやすく、寝つきにくくなります。

厚生労働省でも、就寝前の強い光やスマホの光がメラトニン(眠気を促すホルモン)の分泌を抑え、入眠を妨げる可能性があると示されています。

スマホは寝室の外や手の届かない場所で充電する、通知を切る、ベッドに持ち込まないなどの工夫がおすすめです。

※出典:厚生労働省「知っているようで知らない睡眠のこと
※出典:厚生労働省「健康づくりのための睡眠ガイド2023

2. 入浴で深部体温を整える

寝る前の入浴は、深部体温(体の内側の温度)を整えるのに役立ちます。就寝の1〜2時間ほど前に、40℃前後のお湯に15分ほどつかると、その後に体温が下がっていく流れが生まれ、眠りに入りやすくなるとされています。

なお、熱すぎるお湯や、寝る直前の入浴は、かえって体が温まりすぎて寝つきを妨げることがあります。遅く寝る日は入浴のタイミングを少し早める、ぬるめのお湯にするなど、体温が自然に下がる時間を確保することを意識してみてください。

※出典:厚生労働省「健康づくりのための睡眠ガイド2023

3. 眠れないときは無理に寝ようとしない

なかなか寝つけないときは、無理に眠ろうとせず、いったん布団から離れましょう。「早く寝なければ」と焦るほど、脳が緊張して余計に眠れなくなることがあります。

布団の中で眠れないまま時間を過ごすより、照明を落として静かに過ごすほうが、心身がリラックスして眠気が戻りやすくなります。深呼吸をする、軽い読書をするなど、刺激の少ない行動に切り替え、眠気を感じてから布団に戻るとよいでしょう。

眠れないときの対処法については、以下の記事もあわせてご覧ください。

関連記事:【医師監修】眠れないときの原因5つと改善方法7選

 

日中の眠気を乗り切る方法

遅く寝た翌日は、日中に眠気が出やすくなります。無理に眠気を我慢するより、うまくやわらげる工夫を知っておくと、1日を過ごしやすくなります。

ここでは、仕事や学校の合間に取り入れられる3つの方法を見ていきます。

1. 午後3時までに20〜30分の昼寝をする

午後3時までに20〜30分の昼寝を取り入れてみましょう。短時間の昼寝は、午後の眠気をやわらげ、頭をすっきりさせる効果が期待できます。

ただし、30分以上眠ると夜間の睡眠の質が低下することがわかっています。また、夕方以降の昼寝は夜の寝つきを妨げ、遅寝の原因になるため、昼寝をするなら、昼過ぎまでにとどめるのがおすすめです。

短時間の昼寝のとり方と効果については、以下の記事も参考にしてください。

関連記事:【医師監修】パワーナップの効果とその正しい取り方とは?

※出典:厚生労働省「健康づくりのための睡眠指針検討会報告書

2. カフェインは午後の早い時間までにする

眠気覚ましにカフェインを取り入れる場合は、摂取する時間注意が必要です。午後の早い時間までを目安にしましょう。

コーヒーや緑茶、エナジードリンクに含まれるカフェインの覚醒作用は、個人差がありまするものの数時間持続します。

そのため、夕方以降にとると、夜の寝つきに影響することがあります。遅く寝た翌日は、睡眠リズムを戻すためにも、夜はきちんと眠りたいものです。そのため、午後遅い時間はカフェインを控えましょう。

夕方以降にカフェインを摂取しないことはとても有効です。また、総量を意識することも大切です。目安として一日のカフェイン摂取量は400mg程度(マグカップ3〜4杯程度)に抑えましょう。寝不足のときには朝からコーヒーやエナジードリンクを飲みたくなりますよね。しかし、総摂取量が大きくなりすぎると、寝るべきタイミングでも体内のカフェインの量が下がりきれず、眠りを妨げてしまうのです。

3. 光や水分、軽い体の動きで眠気を抑える

眠気を感じたときは、光を浴びる、水分をとる、体を動かすといった方法で気分を切り替えましょう。屋外の明るい光を浴びると、目が覚めやすくなります。

たとえば、以下のように体に軽い刺激を与えるのも有効です。

  • デスクワークの合間に席を立って歩く
  • 軽いストレッチをする
  • コップ1杯の水を飲む

カフェインなどに頼りすぎず、こうした行動を組み合わせることで、無理なく眠気をやわらげられます。

 

早起きを習慣化する生活リズムの整え方

いつも「遅く寝て早く起きる」生活を送っている場合は、起床時間と就寝時間を少しずつ整えていくことが大切です。

ただし、生活リズムは一度に大きく変えようとすると続きにくいものです。ここでは、無理なく続けられる習慣化のコツを紹介します。

早起きを習慣化する方法については、以下の記事もご覧ください。

関連記事:【医師監修】早起きする方法15選|睡眠のプロが無理なく習慣化するコツを紹介

1. 起床時間と就寝時間を少しずつ前倒しする

生活リズムを整えたいときは、起床時間と就寝時間を15〜30分ずつ次第に前倒ししていきましょう。いきなり1時間以上早く寝起きしようとすると、体が慣れず続きにくくなります。

「明日から完璧に変えなければ」と気負う必要はありません。まずは15分早く起きることから始め、慣れてきたら少しずつ前倒しの幅を広げていくと、体に負担をかけずにリズムを調整しやすくなるでしょう。

2. 休日も起きる時間を大きくずらさない

休日でも、起きる時間を平日と大きくずらさないようにしましょう。平日だけ早起きし、休日に昼まで寝てしまうと、生活リズムが乱れ、週明けに起きづらくなることがあります。

完全に同じ時刻にする必要はありません。平日と休日の起床時間の差を1〜2時間ほどにとどめておくと、リズムを保ちやすくなります。休日にゆっくり過ごしたいときは、起床時刻は変えずに、昼寝で睡眠を補うことも有効です。

3. 睡眠時間を記録して失敗パターンを見つける

起きられない原因を知るには、睡眠の記録をつけるのが役立ちます。たとえば、以下の点を簡単にメモしておくと、起きられなかった日の共通点が見えてきます。

  • 就寝時間
  • 起床時間
  • 寝る前のスマホ利用の有無
  • カフェイン摂取の有無や時間帯

細かく記録しすぎると続かないため、気になる項目だけに絞って記録するのもよいでしょう。「夜のカフェインが響いていた」といった気づきが得られると、改善策を自分の生活に落とし込みやすくなります。

 

遅寝早起きが続くときに見直したいこと

何度も遅寝や早起きを繰り返している場合は、生活全体を見直すことをおすすめします。実際、令和6年の国民健康・栄養調査によると、1日の平均睡眠時間が6時間未満の人は、男性で36.2%、女性で38.9%いると報告されています。

十分な睡眠は健康を維持するために欠かせませんが、現代では多くの人が睡眠時間の短さに悩んでいます。そのため、自分の生活習慣を振り返り、睡眠の質と量を意識して改善することが大切です。

※出典:厚生労働省「令和6年 国民健康・栄養調査

1. 夜更かしの原因をスマホだけに決めつけない

夜更かしの原因は、スマホだけとは限りません。原因をひとつに決めつけてしまうと、的確な対策を見つけにくくなり、夜更かしの改善が難しくなることもあります。

実際には、以下のように複数の要因が重なっている場合も考えられます。

  • 帰宅時間が遅いこと
  • 仕事や勉強の量が多いこと
  • 家事の負担
  • ストレス
  • 夕食や入浴の時間が遅いこと

夜更かしにはさまざまな要素が関係しています。そのため、「自分を責めすぎないこと」や「一つの原因にとらわれすぎないこと」が重要です。まずは、変えやすいところから行動を始めてみましょう。

2. 朝起きられない日が続くなら睡眠の質も確認する

睡眠時間を確保しているのに朝だるい場合は、睡眠の質を見直してみましょう。夜中に何度も目が覚めたり、日中の眠気が強かったりする状態が続くときは、起床方法だけでなく、眠りの質に原因が隠れていることがあります。

睡眠の質を改善するにあたり、以下の点も確認しておくとよいでしょう。

  • 寝室の明るさや温度
  • 寝る前の行動
  • 寝具と体の相性

たとえば、マットレスや枕が体格や寝姿勢に合っていないと、寝返りがしづらく、眠りが浅くなることがあります。寝返りのしやすさや体圧分散、通気性といった視点で寝具を見直すと、睡眠の質を高めるきっかけになります。

快眠につながる寝具の選び方については、以下の記事を参考にしてください。

関連記事:【上級睡眠健康指導士監修】寝具のおすすめをプロが解説!快眠につながる選び方

 

まとめ:遅く寝た翌朝は起きる仕組みを作り生活リズムも整えよう

遅く寝ても早く起きるには、以下のような意志に頼らない「仕組み」を用意しておくことが役立ちます。

  • 目覚ましを離れた場所に置く
  • 朝の光を取り込む
  • 起きたらすぐ体を動かす

また、前夜のスマホの使い方や入浴のタイミングなどの習慣を整えると、睡眠時間が短くても朝に起きやすくなります。

しかし、普段から遅寝早起きを続けるのはおすすめできません。しっかりと睡眠時間を確保し、起きる時間と寝る時間の両方を少しずつ理想のリズムに近づけていくことが大切です。

何度も遅寝早起きが続くときや、睡眠時間を確保しても朝がつらいときは、睡眠の質や寝室環境の見直しもあわせて考えてみましょう。