睡眠コラム by Koala Sleep Japan2026年3月26日読了目安時間: 5

【医師監修】眠いのに寝れない原因と対処法|今夜の対処・原因の切り分け・改善手順と受診目安

目次

監修者

後平 泰信

医療法人徳洲会札幌もいわ徳洲会病院(名称変更) 病院長 現職。

【研究分野】睡眠全般、睡眠時無呼吸症候群、内科全般、循環器内科、スポーツ医学、遠隔医療、地域医療

明るくハキハキとした話し方で、専門的な内容もわかりやすく伝える。特に睡眠医療の分野で多数の講演・メディア出演歴があり、CPAP治療やいびき・睡眠負債など、広く深い見識から生活に密着したあらゆる話題にも柔軟に対応。寝具などスリープテック領域の開発や監修にも多数関わった実績あり。

「眠いのに寝れない」。本当は疲れているはずなのに、布団に入ってもなかなか眠れない、頭が冴えてしまう -そんな経験をしたことはありませんか。眠りたいのに寝れないと焦りが強くなり、自律神経が乱れ、さらに眠れなくなるという悪循環に陥ることも多いです。

 実際、日本では「睡眠で休養が十分にとれていない」と感じている人は25.1%もいるとされ、働き盛り世代では睡眠時間が6時間未満の人が4割前後に達しています。※1

つまり、この悩みはあなただけの問題ではなく、多くの人が抱える課題なのです。

この記事では、

  • 今夜すぐできる対処
  • 原因の切り分け(ストレスだけではない視点)
  • 明日からの改善手順
  • 受診の目安

を順番に整理しています。
「何をすればいいか分からない」を解消し、迷わず行動できる内容にまとめました。

眠いのに寝れないは珍しくない:焦りが悪循環を生む

 眠いのに寝れない状態は矛盾ではなく「体は疲れているのに脳が覚醒している」状態です。医学的にもよくある現象で、不眠の典型的なパターンの一つです。

眠れない夜が続くと、

  • 日中の眠気や集中力低下
  • イライラや不安感の増加
  • 仕事のパフォーマンス低下

といった影響が出てきます。

 厚生労働省の調査では、「睡眠で休養がとれていない」と感じる人は2009年以降増加しており、国の健康施策でも睡眠課題は改善していない(評価D:悪化している)とされています。※2

つまり、「自分だけがおかしいのでは」と不安に思う必要はありません。むしろ大切なのは、焦りを減らし、原因に合った対策を選ぶことです。

原因を5つに整理:あなたはどれに近い?セルフチェック

 眠いのに寝れない原因は一つではなく、複数が重なっていることが多いです。まずは以下の5分類で当てはまるものがないかを確認してみてください。

1. ストレス・過覚醒(考えすぎ/焦り)

  • 布団に入ると仕事や不安を考えてしまう
  • 「早く寝なきゃ」と焦るほど眠れない
  • 心拍が速く、体が緊張している感じがある

 これは過覚醒と呼ばれ、自律神経が休息モードに切り替わらない状態です。
まず重要なのは「眠れないことを問題化しすぎない」ことです。

2. 体内時計・生活リズムの乱れ(夜型/シフト)

  • 就寝・起床時間が日によって違う
  • 休日に寝だめする
  • 朝日を浴びる習慣がない

 体内時計は朝の光でリセットされるため、改善は「起床時間の固定」から始めるのが効果的です。また仕事など考え事がある場合は、1日活動して疲れた脳で考えるよりも一晩寝て脳がフレッシュに回復した朝に考える方が効果的です。

3. カフェイン・アルコール・喫煙など嗜好品

  • 夕方以降にコーヒーやエナジードリンクを飲む
  • 寝酒をしている
  • 喫煙習慣がある

 カフェインは摂取後5-7時間ほどは影響が続き、眠りにくくします。アルコールは入眠を助けても中途覚醒を増やし、睡眠を浅くしてしまいます。
 カフェインを飲む場合は就寝時間の7時間前ぐらいまで、アルコールは就寝3時間前ぐらいにするといいでしょう。

関連記事:眠気覚ましに効く飲み物はどれ?即効性とカフェイン量で選ぶおすすめと注意点

4. スマホ・ブルーライト・就寝前ルーティン

  • 寝る直前までスマートフォンを見ている
  • SNSや動画で気分が高ぶる
  • 寝る前の習慣が毎日違う

 ブルーライトなどの光は睡眠ホルモンであるメラトニン分泌を抑え、入眠を妨げます。特にスマホなどは光と情報刺激の両方が脳に影響します。

5. 身体の不調・薬・寝室環境

  • 痛み・かゆみ・鼻づまり・頻尿
  • 寝室の温度や騒音が気になる
  • 枕やマットレスが合わない

 この領域は本人の努力だけでは解決しにくいこともあり、必要に応じて医療相談も検討しましょう。

後平 泰信 医師
後平 泰信 医師
寝たいのに眠れないのは非常につらいものです。一方で本文にあるように不適切な睡眠習慣が原因のことも多いので見直してみましょう。それでも改善がなければ睡眠障害の可能性がありますので専門医にご相談ください。

 

今夜すぐできる対処法5つ:寝床での正解行動

 ここからは「今夜どうするか」に集中します。ポイントは「眠ろうと頑張らない」ことです。

1. 20〜30分眠れないなら一度寝床を出る

 寝床で眠れない時間が続くと、「寝床=眠れない場所」と脳が学習します。「どうせいつかは眠くなるのだから、眠くなるまで起きていよう」くらい割り切った方がいい結果をもたらします。※3

  • 薄暗い場所で静かな作業(読書など)
  • スマホは強い光を避ける
  • 眠気が戻ったら再び寝床へ

これを繰り返すことで入眠しやすくなります。

2. 呼吸と脱力:深呼吸+力を抜く手順

①鼻から4秒吸う
②6秒かけてゆっくり吐く
③肩・顎・お腹の力を抜く

これを1〜2分繰り返すだけでも副交感神経が働きやすくなります。

関連記事:【医師監修】睡眠の質を劇的に改善する呼吸法5選!今夜から実践できる入眠テクニック

3. 静的ストレッチ:短時間で体の緊張を落とす

 就寝前は「伸ばして止める」ストレッチが適しています。

  • 首を横に倒して20秒
  • 背中を丸めて20秒
  • 股関節を開いて20秒

呼吸を止めないことがポイントです。

4. 光と情報刺激を減らす:スマホの扱い方

スマホ禁止が難しい場合は、

  • ナイトモードにする
  • 通知オフ
  • 見る内容を刺激の少ないものに
  • 使用時間を10分以内に区切る

といった「被害最小化」が現実的です。

5. 体を眠りに寄せる:入浴・香り・音の使い方

  • ぬるめ(38〜40℃)で10〜15分入浴
  • 好きな香り(アロマ)を使う
  • 小さな音量の環境音

やりすぎず「毎日同じ型」にすることが重要です。

関連記事:良質な睡眠をサポートする定番アロマオイル3選と効果的な使い方

 

明日からの根本改善:不眠を長引かせない3ステップ

今夜の対処で終わらせず、習慣改善につなげることが大切です。不眠の認知症行動療法を参考に紹介します。※4

ステップ1:睡眠日誌でパターンを把握する

 1週間で十分です。

  • 就寝時刻
  • 入眠時間
  • 起床時刻
  • 中途覚醒
  • カフェイン・昼寝

 目的は「眠れる条件」「眠れない条件」を見つけることです。

ステップ2:寝床時間を調整して「眠れる確率」を上げる

 寝床に長くいるほど眠れない体験が増えます。

  • 起床時間を固定
  • 強い眠気が来てから寝床へ
  • 徐々に調整する

これは睡眠制限法と呼ばれる方法の考え方です。

ステップ3:睡眠スケジュールを作る

 先に起床時刻を決め、その時刻から就寝時刻を決めましょう。また自然な眠気を作るため生活習慣を整えましょう。

  • 寝る90分前に入浴し、寝るタイミングで体温が下がるようにする
  • 朝日を浴びて体内時計を整える(目から光を取り入れる)
  • 日中にウォーキングなど軽い運動をする

 

寝室環境の整え方:温度・湿度・光・音・寝具のチェック

環境改善は効果が出やすい領域です。眠りを妨げる刺激を減らし、体がリラックスできる環境を整えましょう。

音・光・温度湿度:まずはコストゼロで直す項目

  • 室温:暑すぎ・寒すぎを避ける(18〜25℃ほど)
  • 湿度:乾燥しすぎない(50%前後)
  • 遮光:カーテンやアイマスク
  • 騒音:耳栓や環境音

まず刺激を減らすことが優先です。

関連記事:【医師監修】寝る時の加湿器は必要?睡眠の質を高める湿度管理と正しい使い方
関連記事:アイマスクの効果とは?快適な睡眠と目のケアを叶えるポイントを解説

関連記事:睡眠用耳栓の選び方:遮音の目安や痛くない付け方は?

寝具の違和感を見直す:枕・マットレスの不一致サイン

  • 首や肩が緊張する
  • 寝返りしにくい
  • 朝起きると腰が痛い

枕の高さやマットレスの硬さが原因のこともあります。

関連記事:自分に合うマットレスは柔らかめ?硬め?上級睡眠健康指導士がじっくり解説!

 

受診の目安:放置しないほうがいいサインと相談先

 以下に当てはまる場合は医療相談を検討しましょう。

  • 週3回以上が3か月以上続く
  • 日中の眠気で仕事や運転に支障
  • 強い不安や抑うつ
  • いびきや無呼吸
  • 中途覚醒・早朝覚醒が続く

相談先は内科、心療内科、精神科、睡眠外来などがあります。

受診を急いだほうがいいケース

  • 大きないびきや呼吸停止(睡眠時無呼吸疑い)
  • 強い日中の眠気で運転中など重要な場面でも起きていられない
  • むずむず脚症状
  • 強い不安やうつ症状

治療で改善しやすい場合も多いため、早めの相談が安心です。

関連記事:【医師監修】ナルコレプシーの早期発見と対処法
関連記事:【医師監修】睡眠時無呼吸症候群(SAS)のセルフチェック方法

受診前に整理しておくと良い情報

  • いつから症状があるか
  • 入眠時間・中途覚醒
  • 起床時刻
  • 昼寝
  • カフェイン・飲酒
  • 服薬
  • ストレス要因

睡眠日誌があると診療がスムーズに進みます。

 

まとめ

最後にポイントを再度整理します。

今夜やること

  • 眠れなければ一度寝床を出る
  • 深呼吸とストレッチ
  • 光刺激を減らす

原因の当たりをつける

  • ストレス・過覚醒
  • 体内時計
  • 嗜好品
  • スマホ
  • 環境

明日からの改善

  • 睡眠日誌
  • 起床時間固定
  • 寝床時間調整

受診目安

  • 長期間続く
  • 日中生活に支障

 眠いのに寝れない状態は、多くの場合「順番」を変えるだけで改善の可能性が高まります。合わない方法があっても大丈夫です。次の手を試しながら、自分に合う睡眠習慣を見つけていきましょう。

 

参考

※1:令和5年国民健康・栄養調査結果の概要

※2:健康日本21(第二次)最終評価報告書概要

※3:健康日本21アクション支援システム「不眠症」

※4:不眠の認知行動療法実践マニュアル:治療者ガイド