睡眠コラム by 松岡 雄治2026年6月27日読了目安時間: 5

産後の睡眠時間の平均は?睡眠を確保するための方法や休養感を高める工夫を解説

産後は赤ちゃんの授乳や夜泣き、おむつ替えなどでまとまって眠れず、睡眠不足になりやすい時期です。「睡眠時間が2〜3時間しか取れない」「細切れ睡眠が続いていて大丈夫なのか」と不安になる方は少なくありません。

体が出産からの回復途中にある一方で、育児は昼夜問わず続くため、寝ても回復した感じがしない悩みも起こりやすいです。

産後の睡眠不足は多くのママが直面する自然な課題であり、個人の頑張りが足りないわけではありません。この記事では、産後の睡眠時間の目安や、細切れ睡眠になりやすい理由、短時間でも休息を取る工夫を解説します。ぜひ本記事を参考に赤ちゃんとママの健やかな毎日を守りましょう。

産後の睡眠時間の平均

多くの産後ママが深刻な寝不足に直面しています。知り合いはよく眠れているのにと焦る必要はありません。データをもとに、産後期の睡眠の実態を数字で整理してみましょう。

産後はまとまって眠れない人が多い

産後に睡眠不足で悩んでいる人(初産婦)は、産後2週間で78.8%、産後1か月で72.2%にものぼります。※1・2

産後は、乳児の睡眠サイクルに合わせた生活となるため、一晩に2〜3回程度は中途覚醒が発生します。睡眠が分断され、睡眠時間が長くても、休養感が得にくくなります。

※1 厚生労働省:健康づくりのための睡眠ガイド2023

※2 星野真希子,鈴木幸子,千葉真希子:産後2週間の母親の 困りごとと産後ケアに対するニーズ 保健医療福祉科学, 11,1-8,2021

睡眠時間が短いと感じても自分を責めなくてよい

まだ意思疎通も取れない子どもとの暮らしは大変です。寝不足も重なり、うまく子育てができていないと感じて、自分を責めてしまうママは多いでしょう。

しかし、子育て期は、親の睡眠が細切れになることは一般的です。「自分の段取りが悪いのではないか」と悩む必要はなく、現状の生活に合わせてどのように休息をつくるか検討していくことが大切です。

 

産後の細切れ睡眠はいつまで続きやすい?

産後の細切れ睡眠のピークは、一般的に産後すぐから生後3〜4か月頃までとなります。個人差もあり、あくまでも目安ですが、いつまでも続くように感じる細切れ睡眠もじき終わりを迎えます。

赤ちゃんの成長とともに、夜間の授乳間隔は少しずつ開いていきます。月齢ごとの目安を確認し、先の見通しを立てていきましょう。

新生児期は2〜3時間おきに起きやすい

新生児期は、まとまった睡眠がとれないのが普通です。赤ちゃんの胃はとても小さく、一度に飲める母乳やミルクの量が限られています。そのため、2〜3時間ごとに授乳が必要となり、母親の睡眠は何度も分けてとらざるを得なくなります。

たとえば、新生児のお世話では夜中も授乳が必要になるため、長い時間続けて眠ることが難しい状態が続きます。この時期は「まとまって眠れないのが当たり前」と考え、必要以上に心配しないように過ごすことが大切です。

月齢が進むと夜の睡眠が少しずつ伸びることがある

赤ちゃんの睡眠リズムは、月齢が進むごとに少しずつ変化していきます。具体的には、以下のような流れで睡眠時間が変化していきます。※3

 

時期(年齢・月齢) 1日の睡眠時間 睡眠パターンの変化・昼寝
新生児期 16~20時間 1〜2時間の覚醒と1〜4時間の睡眠を反復する
昼夜のリズムはなく、昼夜の睡眠時間はほぼ同じ
乳児期(3ヵ月) 14~15時間 3〜4時間連続して眠るようになる
乳児期(6ヵ月) 13~14時間 6〜8時間連続で眠り、昼夜の区別が明確になる
昼寝は2〜4時間を1〜2回
9ヵ月頃には全体の7〜8割を夜間に眠る
乳幼児期(1〜3歳) 11~12時間 ほぼ夜間に睡眠をとるようになる
昼寝は1回(1.5〜3.5時間)に減少する

※3 厚生労働省 未就学児の睡眠指針

睡眠リズムの変化は、一般的に生後数週間ごろから始まります。月齢が上がると、夜の睡眠時間が徐々に伸びてきたり、胃の容量が大きくなって授乳の間隔が開いてきたりといった変化が見られます。

しかし、発達のペースには個人差があり、寝るタイミングや一度に寝る時間は、赤ちゃんによって様々です。それぞれの赤ちゃんに合わせたペースを大切にし、発達の変化を前向きに受け入れながら見守っていきましょう。

 

短い睡眠でも休息を取りやすくする工夫

まとまった睡眠が取れない時期は、短時間の仮眠を組み合わせるのが有効です。厚生労働省のガイドラインでも、子育て期は睡眠確保が健康維持に重要とされています。生活の中で試しやすい工夫を実践してみましょう。

1. 赤ちゃんが寝たら家事より休息を優先する

育児や家事の優先順位を変えることで、慢性的な寝不足の悪化を防ぐことができます

赤ちゃんが昼寝をしたタイミングには、「溜まった家事を片付けなくては」と思いがちです。実際、赤ちゃんが起きている間にはなかなか家事は進みません。しかし、家事に追われていると感じるときこそ一息つくのもよいでしょう。

家事よりも一緒に横になる時間を優先し、産後の体力回復に努めたり、掃除や洗濯の回数を減らし、完璧な家事を目指さないことも心の余裕につながります。

2. 10〜20分の仮眠や横になる時間を確保する

まとまった睡眠をとりにくい産後は、短い休憩をうまく取り入れると、日中のだるさや疲れを和らげることができます。おすすめなのは、「パワーナップ」と呼ばれる短時間の仮眠です。

パワーナップとは、15〜20分ほどの短い昼寝を指します。短時間でも脳の疲れがやわらぎ、ストレスの軽減や気分転換につながるといわれています。また、赤ちゃんのお昼寝にあわせやすいため、生活に取り入れやすい方法です。

もしなかなか眠れないときでも、目を閉じて横になるだけで疲労をやわらげる効果が期待できます。無理に眠ろうとせず、体を休めることを優先しましょう。

ただし、仮眠の直前にスマートフォンを見続けるのは避けた方がよいでしょう。スマホの画面を長く見ることで頭がさえてしまい、せっかくの休息が十分に取れなくなることがあります。気分転換に少し眺める程度なら問題ありませんが、休む直前だけは控えるよう心がけてみてください。

 

夫婦や家族で睡眠不足を乗り切る分担方法

産後の睡眠不足は母親ひとりの問題ではなく、家族全体で解決すべき課題です。国立成育医療研究センターの調査では、母親の睡眠不足や父親の長時間労働が夫婦双方のメンタルヘルス不調のリスクを高めると示されています。※4

家族の健康を守るための具体的な分担を考えましょう。

※4 国立生育医療研究センター

産後、同時期にメンタルヘルスの不調で苦しんでいる夫婦は年間約3万組!?~母子だけでなく、父親も含め世帯単位での支援やアセスメントが必要~

1. 夜間対応は分担する

夜間の対応を事前に夫婦で分担しておくと、お互いにまとまった睡眠時間を確保しやすくなります。たとえば、次のような対応は家族であれば誰でも担うことができます。

  • おむつ替え
  • 寝かしつけ
  • 哺乳瓶の準備
  • 早朝の対応

これらの役割を「気がついた方がやる」としてしまうと、どうしても一方に負担が偏りがちです。そのため、「夜中の何時から何時までは夫が担当する」といったように、あらかじめ時間で区切って担当を決めておくことをおすすめします。

たとえ3〜4時間でも、「次にいつ起こされるか」と気にせずしっかり眠れる時間があるだけで、中途覚醒による疲れは大きく軽減されます。夫婦がお互い安心して休めるようにするためだけでなく、心身の健康を保つために役割分担をしましょう。親がしっかり休息を取ることは、子どもと穏やかに接するためにも大切です。

2. 休日や日中にまとまった休息時間を作る

平日にワンオペになりやすい場合は、休日や家族がそろう時間を使って、まとまった休息をとる予定を前もって決めておきましょう。

休む目的をあいまいにしたままだと、つい他のことを優先しがちです。「育児を手伝ってもらう時間」と考えるのではなく、「睡眠不足を回復するための時間」として確保することが大切です。

数時間だけでも赤ちゃんのお世話を家族に完全に任せ、母親は別の部屋でしっかり眠る方法が理想的です。細切れの睡眠が続くと疲れが十分に取れません。週に一度でも「何も気にせずに眠れる時間」を持つことで、心と体を立て直しやすくなります。

睡眠不足がつらいときの注意点と相談目安

セルフケアや家族の協力でも睡眠不足が解消されず、心身につらさが出る場合は専門家に頼るべきサインです。

我慢を続けると産後うつなどのリスクが高まるため、適切な相談先を把握しておいてください。診断や治療ではなく、危険サインに気づくための目安をお伝えします。

強い不安や落ち込みが続く場合は相談する

産後は、自分自身の心の変化に早めに気づくと、適切なサポートを受けられます。

もし次のような状態が続いているなら、無理せず誰かに相談しましょう。

  • 強い不安感が続く
  • 涙が止まらない
  • 食欲が出ない

相談先としては、産婦人科や助産師、自治体の産後ケア窓口などがあります。早めに助けを求めることは、決して育児の失敗や心の弱さではありません。自分自身や大切な家族を守るための前向きな選択です。

気分の落ち込みや情緒の不安定さが長引いていると感じたときは、早めに一度相談しましょう。

授乳の不安や痛みも睡眠不足を悪化させやすい

授乳に関する困りごとを切り離して相談できると、睡眠を妨げるストレスを減らせます。実際に授乳について悩んでいる人も多く、初産婦では77.8%にのぼります。なかでも「母乳が足りているかわからない」という不安は全体の34.0%(初産婦42.4%、経産婦25.0%)が抱えています。※5・6

授乳への不安や体の痛みは、夜間の中途覚醒や細切れの睡眠を招き、ストレスをさらに悪化させる原因となります。無理に一人で我慢せず、助産師や産院、自治体が提供している産後ケアに相談してみましょう。専門家も様々なご相談に対応してきた実績があるため、自分の状況に合った具体的なアドバイスをもらえます。

※5 J-STAGE「産後2週間の母親の困りごとと産後ケアに対するニーズ

※6 小児保健研究 第65巻第6号「産後1か月間の母子の心配事と子育て支援のニーズおよび育児環境に関する全国調査

 

まとめ:産後の睡眠時間は休む仕組みをつくって乗り切ろう

産後は、赤ちゃんの睡眠サイクルや授乳間隔の影響で、まとまった睡眠時間を取りにくい時期です。わかっているつもりでも、余裕がなくなってしまう人も多いでしょう。

知り合いの家庭がうまくいってそうだと思ったり、理想と離れているように感じる忙しい日々に、過度に振り回される必要はありません。短い仮眠の活用、家事の簡略化、家族との具体的な夜間分担によって、少しずつ休息を増やしてあなたの暮らしを取り戻してください。

ただし、睡眠不足に伴う強い不安や気分の落ち込みが続く場合は、決して無理をせず専門窓口や産後ケアを活用してください。ご自身の心身の健康を最優先に考えながら、必要に応じて「睡眠環境の整え方」などの関連記事も参考に、リラックスできる環境を整えてくださいね。

 

【メタディスクリプション】

産後の睡眠時間について平均や目安から、まとまって眠れない理由、赤ちゃんの睡眠リズム、授乳による細切れ睡眠の背景まで解説。短時間でも休息を取りやすくする仮眠の方法や、家族との分担、睡眠不足がつらいときの相談目安まで紹介します。