目次
監修者

松岡 雄治
地方国立大学医学部卒業後、横浜市内で初期臨床研修を経て、関東の基幹病院で勤務中。
資格:医師国家試験合格、睡眠コンサルタント、睡眠検定1級
新生児期は、夜中の授乳やミルク、オムツ替え、寝かしつけが続きます。ママだけでなく、父親も寝不足になりやすい時期です。乳幼児栄養調査データによると、産後8週までの母親の約半数が十分な睡眠がとれないと回答しています。※1
母親がこれほど眠れていない状況では、共に育児を担う父親も睡眠不足に陥りやすいと考えられます。「旦那が仕事の疲れが取れないと言い、いつも疲れ切っている」「自分も限界でどう分担すればいいかわからない」。そんな悩みを抱える家庭は少なくありません。
夫婦ともに疲労が蓄積すると、イライラやすれ違いにつながることもあります。この記事では、父親が寝不足になる原因を整理し、夫婦で無理なく乗り越えるための夜間対応の分担方法と、具体的な休息の取り方を提案します。
※1 三菱UFJリサーチ&コンサルティング「妊産婦に対するメンタルヘルスケアのための保健・医療の連携体制に関する調査研究 報告書」(厚生労働省 平成29年度子ども・子育て支援推進調査研究事業)
新生児期に旦那が寝不足になりやすい理由
新生児期の両親の寝不足は、体力不足や育児への不慣れが原因ではありません。生後間もない赤ちゃんは昼夜の関係なく授乳と睡眠を中心に生活します。
大人の睡眠サイクルに合わせられないのは仕方のないことなのです。赤ちゃんの生活リズムは徐々に整うため、自分たちを責める必要はありません。
1. 新生児は昼夜のリズムがまだ整っていない
新生児が夜にまとめて眠らないのは、ごく自然な現象です。生まれたばかりの赤ちゃんは昼と夜を区別する体内リズムがまだ発達していません。そのため、赤ちゃんは数時間ごとに目を覚まし、夜中に泣いたり物音で起きたりします。
こうした行動はすべて正常な発達の一部なので、「寝かせ方が悪い」などと自分を責める必要はありません。生理的な仕組みとして受け止めることが、保護者の不安を和らげるポイントです。
2. 授乳やミルク対応で夜間の睡眠が細切れになる
夜間の授乳やミルク対応は、両親の睡眠を断続的にし、慢性的な疲労を招きます。このような負担を減らすには、育児作業を分担することが効果的です。
たとえば、母親が授乳を担当し、父親がミルク作りやおむつ替えを担当する方法があります。このように役割を分ければ、両親は交互に休息を取りやすくなり、心身の健康を保つのに役立つのです。
3. 仕事と育児の両立で回復時間が不足しやすい
仕事と育児を両立していると、心と体をリフレッシュする「回復の時間」が不足しがちです。実際、仕事を終えた後もすぐに育児や家事に取りかからなければならず、夜遅くまで自分だけの時間を確保できない人は少なくありません。
このような状態が長く続くと、体だけでなく心にも疲れがたまり、健康や日中の働く力にも悪い影響が出かねません。心身を休める時間を確保するには、パートナーと協力し、意識的に休む時間をつくることが大切です。
旦那の寝不足を放置すると起こりやすいこと
産後に体力がないときには、旦那さんを気に掛けるのが難しくなるときもあるでしょう。。しかし、旦那さんの寝不足にも木を配ることが大切です。
国立成育医療研究センターの調査では、産後1年間で精神的な不調リスクありと判定された父親は11.0%にのぼり、母親(10.8%)とほぼ同水準です。※2
夫の寝不足は、夫婦共倒れを防ぐための健康課題として扱う必要があります。
※2 国立成育医療研究センター「日本の父親における精神的な不調の頻度とそのリスク要因」
1. イライラや夫婦喧嘩につながりやすい
睡眠不足は、気持ちのコントロールにも影響します。眠れない日が続くと感情の起伏が大きくなり、普段なら受け流せる一言につい反応してしまいがちです。その結果、ささいなことで夫婦喧嘩が増えたり、「自分だけがつらい」という気持ちから関係がぎくしゃくしたりしやすくなります。
睡眠不足が原因だと知っておくだけでも、不要な衝突を避けられるでしょう。
2. 仕事や運転中の集中力に影響することがある
睡眠不足は、日中の安全にも関わります。寝不足のまま出勤すると、判断力が落ちてミスにつながりやすくなります。
特に運転中は注意力の低下が事故のリスクを高めるため、大変危険です。自分のためだけでなく、家族や他者の安全を守るうえでも、まとまった睡眠時間を確保することが大切です。
新生児期の夜間対応は夫婦でどう分担するか
家庭の状況に合わせ、お互いの負担を調整する分担が不可欠です。
授乳方法や仕事の有無、上の子がいるかどうかなどでとるべき対応は異なります。どちらか一方が我慢し続けるのではなく、以下のような実践しやすい分担案から家庭に合うものを選んでください。
1. 交代で夜間対応を行う
担当する時間帯を分けると、最低限のまとまった睡眠を確保できます。たとえば、夜の前半(22時〜午前2時)は夫、後半(午前2時〜朝)は妻が担当するように、役割を時間帯ごとに分ける方法があります。
担当の時間帯を調整すれば、どちらもまとまった睡眠時間を手に入れ、心身の負担を軽減できます。
2. 授乳以外の作業を旦那が担当する
母乳育児の場合でも、夫が担える作業を切り出すことで妻の負担を減らせます。たとえば、次のように分担してみましょう。
- 妻が母乳をあげる
- 夫がゲップ出し、オムツ替え、寝かしつける
妻が授乳を終えたらすぐに横になって休める体制を整えておくと、細切れになりがちな睡眠でも回復しやすくなります。
3. 平日と休日で分担を変える
仕事のスケジュールに合わせて分担を変えるのも一つの方法です。夫が翌日に仕事がある日は、平日の夜間対応を妻が多めに担当します。反対に、休前日や休日の夜は夫がメインで夜間対応を引き受けます。
あまり平等にこだわらず、お互いの体力と予定に合わせて調整するとよいでしょう。分担について相談する行為自体が、お互いの体調や状況を把握し合うきっかけにもなります。
旦那の寝不足を軽くする具体的な対策
次に、今日から実践できる生活環境やスケジュールの工夫を紹介します。睡眠環境を整え、家事の負担を減らして睡眠時間を確保するヒントにしてみてください。
1. まとまって眠れる時間を確保する
産後は、まとまった睡眠時間を意識して確保することが重要です。出産後は赤ちゃんの授乳や夜泣きで何度も起こされてしまい、多くの母親が十分に休めない状況になります。睡眠が途切れがちになると、心と体の回復が遅れやすくなり、疲れやストレスもたまりやすくなります。
こうした状況を改善するには、家族と協力して赤ちゃんの世話を交代で行うことや、短い時間でもできるだけ横になることなど、周囲のサポートと工夫が必要です。無理せず休める環境を整えることで、産後の体力の回復や心の安定に役立ちます。
2. 寝室や担当時間を一時的に分ける
物音で目が覚めてしまう場合には、周囲と物理的な距離をとることが効果的です。たとえば、家族全員が同じ部屋で眠ることにこだわらず、担当でない人は別の部屋で休む、または耳栓を使うなどの対策があります。
こうした方法は、睡眠の質を保つための一時的な工夫です。家族と離れて休むのも、しっかり体を回復させて翌日にそなえるには効果的といえます。
3. 家事の基準を下げて休む時間を増やす
産後の休息時間を増やすためには、家事へのこだわりをいったん手放すことも選択肢に入れましょう。出産後の心身は大きくダメージを受けているため、十分な回復期間が必要です。無理に妊娠前と同じ水準で家事をこなそうとすると、体調悪化やメンタル面の負担につながります。
例えば、掃除や洗濯を毎日行うのをやめ、数日に1回にするだけでも負担は軽減されます。食事も手作りにこだわらず、総菜や冷凍食品、宅配サービスなどを活用しましょう。パートナーや家族、行政サービスなど周囲の手を借りることも助けとなります。
4. 睡眠環境を整えて睡眠の質に気を使う
睡眠時間が十分に確保できない場合は、睡眠の質を高めることがとても重要です。質の良い睡眠を得るためには、以下の対策が効果的です。
- 寝室の光や音をできるだけ遮断する
- エアコンを活用し、室温を快適に保つ
- 就寝前はスマートフォンの使用を控える
- 自分に合ったマットレスや寝具を使う
このような工夫を取り入れることで、短い睡眠でも深く効率的な休息が期待できます。
限界を感じたときに使える外部サポート
産後の睡眠不足に直面したとき、夫婦だけで無理に抱え込まず、外部の支援を積極的に利用することが重要です。
- 産後ケア事業
- 医療機関や保健センター
- 家事代行やファミリー・サポート
産後ケア事業は、産後の母親と赤ちゃんを対象に、休養や育児のサポートを受けられる制度です。宿泊型や日帰り型があり、その間にまとまって眠ることもできます。
気分の落ち込みや強い不安が続く場合は、保健センターやかかりつけの医療機関に相談しましょう。産後の心の不調は母親だけでなく父親にも起こり得るもので、早めに相談しておくほど対処しやすくなります。
人手そのものが足りないときは、家事代行サービスや自治体のファミリー・サポート、親族の手を借りてください。支援策をあらかじめ把握しておくと、必要なときに活用しやすく、産後の生活に安心感が生まれます。
まとめ:新生児期の旦那の寝不足は夫婦で仕組み化して乗り越えよう
新生児期の旦那さんの寝不足は決して甘えではありません。未成熟な赤ちゃんの睡眠リズムに伴う、現実的な健康課題です。夫婦のどちらか一方が我慢するのではなく、担当時間を分ける、授乳以外を分担する、まとまった休息時間を先に確保するといった仕組み化が必要です。
ただし、家庭内の工夫だけで限界を感じた場合は、決して無理をせず産後ケアや自治体の相談窓口を利用してください。
【メタディスクリプション】
新生児期の夜泣きや授乳で旦那さんが寝不足になる原因から、夫婦での夜間対応の分担方法、まとまった睡眠を確保する工夫、限界を感じたときの相談先まで解説します。睡眠不足に向き合い、それぞれのご家庭に合う休み方のヒントがここにあります。











