足がつる症状は病気の前兆?糖尿病・血管疾患・神経障害の可能性と受診目安を医学データで解説
睡眠コラム by Koala JP•2025年12月29日•読了目安時間: 5 分

【医師監修】足がつるのは病気の前兆?関係する病気と注意したいサイン

本多 洋介
Myクリニック本多内科医院院長

群馬大学医学部卒業。
伊勢崎市民病院、群馬県立心臓血管センター、済生会横浜市東部病院(いずれも循環器内科)を経て、Myクリニック本多内科医院院長。

  • 免許・資格

総合内科専門医、循環器内科専門医、日本心血管インターベンション学会専門医、軽カテーテル的大動脈弁植え込み術指導医(Sapienシリーズ、Evolutシリーズ)

夜中にふくらはぎがつったり、同じ症状を繰り返したりすると、「何かの病気では」と気になるかもしれません。足がつることは筋肉への負担や脱水などでも起こり、原因がはっきりしない場合もあります。そのため、症状だけで病気の前兆と決まるわけではありません。※1

一方で、足がつることに加え、しびれや歩きにくさ、腫れなどを伴う場合は、神経や血管などの病気が関わることもあります。この記事では、足がつる症状に関係する病気と、注意したい変化、日常でできる対策を解説します。

 

足がつるのは病気の前兆?

足がつっただけで、病気の前兆とは判断できません。「足がつる」とは、筋肉が自分の意思とは関係なく強く収縮し、急な痛みが起こる状態です。運動による筋肉への負担、脱水、加齢や薬の影響など、原因はさまざまです。※1

一度つってすぐ治まる場合と、何度も繰り返す・しびれや腫れもある場合では、確認すべきことが異なります。また、「つるような痛み」の中には、筋肉のけいれんではなく、神経や血流の問題による痛みが含まれることもあります。

 

足がつる症状に関係する病気

足がつることや、つるような痛みには、神経・血管・腎臓などの病気が関わる場合があります。代表的な病気と、一緒に現れやすい症状を紹介します。

1. 糖尿病性神経障害

糖尿病で高血糖が続くと、神経の働きが障害され、足のしびれや痛み、感覚の鈍さなどが現れることがあります。※2 糖尿病のある人では、ない人に比べてこむら返りが多かったとする国内の調査もあります。※3

足がつることに加えて、両足のしびれや足裏の違和感、傷に気づきにくいなどの変化がある場合は、糖尿病の主治医や内科に伝えてください。足がつるという症状だけで、糖尿病や神経障害の有無を判断することはできません。

2. 腰部脊柱管狭窄症

腰部脊柱管狭窄症は、腰の神経が通る空間が狭くなり、神経が圧迫される病気です。歩くと足に痛みやしびれが出て、前かがみになったり座って休んだりすると和らぐことがあります。※4

夜間のこむら返りとの関連を調べた研究もありますが、足がつること自体はこの病気だけに特有の症状ではありません。腰や足のしびれ、歩きにくさが続く場合は、整形外科で相談しましょう。※4、※5

3. 閉塞性動脈硬化症

閉塞性動脈硬化症は、足へ血液を送る動脈が動脈硬化で狭くなったり詰まったりする病気です。歩くとふくらはぎなどが痛くなり、休むと軽くなる「間欠性跛行(かんけつせいはこう)」がみられることがあります。※6

この痛みを、足がつったように感じる人もいるため、毎回ある程度歩くと痛くなる、足の傷が治りにくいといった変化があれば、筋肉疲労と決めつけず受診してください。

4. 下肢静脈瘤

下肢静脈瘤は、足の静脈の血液が心臓へ戻りにくくなり、表面の血管がこぶ状に膨らむ病気です。足のだるさ、むくみ、痛みなどが起こり、こむら返りを経験する人もいます。※7、※8

夕方のむくみや血管の膨らみが気になる場合は、血管外科などに相談しましょう。下肢静脈瘤と、急に足が腫れる深部静脈血栓症は別の病気なので、症状が急に変わった場合はいつものむくみと考えないことが大切です。

5. 腎疾患

腎臓は体内の余分な水分や老廃物を排出し、ミネラルのバランスを保つ働きを担います。腎機能が大きく低下した場合には、足がつる、むくむ、だるくなるなどの症状が現れることがあります。一方、初期の慢性腎臓病では自覚症状がないことも多くあります。※9

腎機能の低下を指摘されている人は、足がつる頻度やむくみ、尿の変化を主治医に伝えましょう。対策として水やミネラルを大量にとるのは避け、食事・水分の制限があれば、その指示に従ってください。※9

本多洋介 医師
本多洋介 医師

足がつる症状でお悩みの方へ。記事にもあるように、単なる筋肉疲労と決めつけず、体からのサインに耳を傾けることが大切です。

特に注意していただきたいのは、週に何度も繰り返す場合、片側だけに起こる場合、しびれや歩行困難を伴う場合です。これらは糖尿病性神経障害、脊柱管狭窄症、血管疾患など、治療が必要な病気のサインかもしれません。

「このくらいで病院に行くのは大げさ」と思わず、気になる症状があれば早めに受診してください。まずは内科か整形外科で構いません。必要に応じて専門科へつなぎます。

同時に、水分・ミネラル補給、就寝前のストレッチ、適度な運動、睡眠環境の改善など、日常生活でできる予防策も取り入れましょう。早期発見・早期対応が、健康な生活を守る鍵となります。

 

足がつるときに注意したいサイン

足がつることを繰り返す場合や、しびれ・腫れなどを伴う場合は、医療機関で原因を確認することが大切です。受診の際に伝えたい症状と、すぐに対応が必要なサインを紹介します。

何度も繰り返す・痛みが続く

何度もつって眠れない、つった状態がなかなか治まらない場合は、医療機関で相談してください。薬の影響が関わる場合もあるため、服用している薬やサプリメントも伝えましょう。※1

「週に何回以上」「何分以上」だけで機械的に判断せず、以前より頻度が増えたか、痛み方が変わったか、生活にどの程度影響しているかを振り返ると伝えやすくなります。

しびれや歩きにくさを伴う

足がつることに加えて、しびれや感覚の鈍さがある、歩くと痛くなって休む必要がある場合は、神経や血流の問題が関わる可能性があります。腰の痛みの有無や、どのくらい歩くと症状が出るかも医師に伝えてください。※2、※4、※6

特に、突然片側の手足に力が入らなくなる、顔がゆがむ、ろれつが回らなくなるといった症状がある場合は、脳卒中の可能性があります。すぐに救急車を呼んでください。※10

足の腫れ・冷たさ・色の変化がある

片足が急に腫れ、痛みや赤みを伴う場合は、深部静脈血栓症などを確認する必要があります。ストレッチだけで様子を見ず、速やかに医療機関へ相談しましょう。胸の痛みや息苦しさもある場合は、救急車を呼んでください。※11

また、足が突然強く痛み、冷たく白っぽくなる、感覚が鈍る、動かしにくくなる場合は、動脈の血流が急に途絶えている可能性があります。この場合もすぐに救急の対応が必要です。※12

緊急の症状がない場合、受診先は次のように考えられます。どこへ行くか迷うときは、かかりつけ医や内科で相談し、必要に応じて専門の診療科につないでもらいましょう。

症状・状況 相談先の例
足がつることを繰り返すが、原因がわからない かかりつけ医・内科
腰痛、足のしびれ、歩きにくさがある 整形外科
歩くと足が痛む、血管の膨らみやむくみがある 循環器内科・血管外科
糖尿病や腎臓病などで治療中 現在の主治医

受診の際は、つる場所・頻度・続く時間と、一緒に起こる症状をメモして持参すると、説明しやすくなります。

 

足がつるのを防ぐための生活習慣

足がつるときに見直したい習慣

足がつることを減らすために、体調に合わせた水分補給やストレッチ、運動量の調整を取り入れてみましょう。筋肉への負担や脱水に心当たりがある場合に試したい、3つの生活習慣を紹介します。※1

1. 体調に合わせて水分をとる

汗を多くかいたときなどは、水分不足にならないよう補給しましょう。ただし、足がつる原因をすべて脱水やミネラル不足と考えて、スポーツドリンクやサプリメントをむやみに増やす必要はありません。※1

腎臓病などで水分やミネラルの摂取量を制限されている人は、一般的な水分補給の説明より主治医の指示を優先してください。薬が関わる場合もあるため、足がつることが増えたときは服薬状況を伝え、自己判断で薬を中止しないようにしましょう。※1、※9

2. 無理のない範囲でストレッチをする

ふくらはぎを定期的に伸ばす運動は、足がつる頻度を減らす助けになる場合があります。壁に手をついて支えながら、かかとを床につけたまま体を少し前に傾け、ふくらはぎが心地よく伸びる範囲で行います。※1

反動をつけたり、痛みを我慢して強く伸ばしたりしないでください。急な腫れや熱っぽさ、強い痛みなどがある場合は、ストレッチで対応しようとせず、先に医療機関へ相談しましょう。

3. 運動量を調整し、筋肉を休ませる

慣れない運動や急な運動量の増加で筋肉に負担がかかると、足がつることがあります。足がつりやすい場面を振り返り、運動の強さや時間、休憩の取り方を調整してください。暑い場所での運動では、脱水にも注意が必要です。※1

歩くと毎回痛くなる、しびれが増える場合は、運動不足のせいだと考えて無理に歩き続けないようにしましょう。病気が関わる場合には、診断に応じた運動や治療が必要です。※4、※6

 

まとめ:足がつることが続くときは、ほかの症状と合わせて確認しよう

足がつることは、筋肉への負担や脱水などでも起こり、症状だけで病気の前兆とは判断できません。一方、繰り返して睡眠や生活に支障がある場合や、しびれ・歩きにくさ・腫れなどを伴う場合は、医療機関で原因を確認しましょう。

普段は体調に合わせた水分補給やストレッチ、運動量の調整を行い、持病がある人は主治医の指示を優先してください。足に突然の強い痛みや冷たさが出た場合は、すぐに医療機関を受診しましょう。突然片側の手足に力が入らなくなる場合や、足の急な腫れに胸の痛み・息苦しさを伴う場合は、すぐに救急車を呼んでください。

参考

※1 NHS. Leg cramps.

※2 国立健康危機管理研究機構 糖尿病情報センター「神経障害」

※3 「糖尿病患者にみられる有痛性筋痙攣(こむらがえり)の特徴」糖尿病. 1991;34(10):865-871.

※4 日本整形外科学会「整形外科シリーズ8 腰部脊柱管狭窄症」

※5 Handa J, et al. Nocturnal Leg Cramps and Lumbar Spinal Stenosis: A Cross-Sectional Study in the Community. Int J Gen Med. 2022;15:7985-7993.

※6 国立循環器病研究センター「閉塞性動脈硬化症」

※7 日本血管外科学会「下肢静脈瘤って?」

※8 「下肢静脈瘤におけるこむら返りの発生因子」静脈学. 2000;11(3):247-252.

※9 NIDDK. What Is Chronic Kidney Disease in Adults? / What is Kidney Failure?

※10 国立循環器病研究センター「脳卒中・脳血管の病気」

※11 NHS. DVT(deep vein thrombosis).

※12 国立循環器病研究センター「急性動脈閉塞」

 

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