寝具コラム by 松岡 雄治2026年5月24日読了目安時間: 5

高いベッドのメリットとデメリットを解説!自分に合う高さの選び方も紹介

松岡 雄治
医師

地方国立大学医学部卒業後、横浜市内で初期臨床研修を経て、関東の基幹病院で勤務中。
資格:医師国家試験合格、睡眠コンサルタント、睡眠検定1級

「収納が増えて便利そう」「立ち上がりやすそう」と高いベッドに惹かれる一方で、「部屋が狭く見えないか」「使ってみて不便じゃないか」と迷っていませんか。毎日疲れた身体を預ける家具なので、見た目や価格だけで決めると後悔することがあります。

この記事では、高いベッドのメリット・デメリットを整理し、体格や部屋の広さに合わせた選び方を解説します。身体への負担や安全性といった専門的な視点も交え、後悔しないベッド選びの基準をまとめました。

高いベッドとは?まず押さえたい特徴

ベッドの高さに「この数字以上は高い」という絶対的な基準があるわけではありません。ただし、一般的な目安を頭に入れておくと、ご自身の部屋に置いたときのイメージがグッと掴みやすくなります。ベッドフレームの高さだけでなく、マットレスを置いたときの「寝る位置の高さ」で考えることが重要です。

高いベッドの基準と一般的なベッドとの違い

基準を知ることで、自分の生活スタイルにどの高さが合うのかを比較しやすくなります。床からマットレス表面までの高さは、大きく3つに分けられます。

  • 低め(ローベッド): 30cm未満。部屋を広く見せるが、立ち上がる際に力が必要。
  • 標準: 40〜50cm程度。一般的な椅子の座面に近い高さ、多くの人にとって違和感がない。
  • 高め(ハイタイプ): 50cm以上。ベッド下の収納力に優れ、立ち座りがスムーズ。

ベッドフレームの床面高とマットレスの厚みを足した合計の高さで判断してください。

高いベッドのメリット

「高いベッド=収納用」というイメージが強いかもしれませんが、それだけではありません。日々の動作の負担を減らしたり、寝室の衛生状態を保ちやすくしたりと、生活の質を上げる要素が多く詰まっています。実際の生活シーンでどのような良さがあるのか、具体的に見ていきましょう。

ベッド下を収納スペースとして使いやすい

デッドスペースの活用法を知ることで、ワンルームなど限られた空間を広く使えます。

  • 床面高が高いため、大きめの衣装ケースや季節物の家電をそのまま収納できる
  • 別の収納家具を置く必要が減り、部屋の床面を広く確保できる
  • 収納付きベッドでなくても、空間の効率化が図れる

立ち座りしやすく感じる人がいる

身体の構造に合わせた高さを選べば、毎日の寝起きがぐっと楽になります。

  • 床に近いベッドは、立ち上がる際に膝や腰を深く曲げる必要があり負担がかかる
  • ベッドが50cm程度あると、膝を曲げる角度が浅く済む
  • ベッドに腰掛けている時点ですでに重心が高い位置にあるため、少ない力でスムーズに立ち上がれる

ベッド下の通気性がよい

空気の通り道を確保することで、カビや湿気のトラブルを未然に防ぎます。

  • すのこ仕様などでベッド下に広い空間があると、空気が滞留しにくい
  • 睡眠中にかいた汗や湿気が逃げやすく、マットレスにカビが生えるリスクが下がる
  • 床付近を舞うホコリやハウスダストを、就寝中に吸い込みにくくなる

掃除がしやすい

ベッド下の掃除のしやすさは、日々の家事ストレスを大きく軽減します。

  • 床との間に十分な隙間があるため、お掃除ロボットがスムーズに動き回れる
  • 掃除機やフローリングワイパーのヘッドが奥まで無理なく届く
  • 常に清潔な状態を保ちやすく、ダニやホコリの蓄積を防げる

高いベッドのデメリットと注意点

魅力的なメリットがある一方で、部屋の環境や使う人によっては後悔につながることもあります。消費者庁も、ベッド周辺での転落に注意を呼びかけています。※1

便利さの裏にある安全性や圧迫感のリスクを、購入前にしっかり把握しておきましょう。

※1:消費者庁 就寝時の転落事故に注意しましょう

https://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_safety/child/project_001/mail/20211228/ 

部屋に圧迫感が出やすい

視覚的な影響をあらかじめ知っておけば、部屋が狭く見える失敗を避けられます。

  • 高さのある家具は視線を遮り、空間全体の圧迫感につながりやすい
  • 特に天井が低い部屋や狭い寝室では、ベッドの存在感が際立つ
  • 窓の位置と重なると採光を妨げ、部屋が暗く感じることがある

落下の危険がある

安全面の死角を確認しておくことで、思わぬ事故やケガを防ぐことができます。

  • 床からの距離が遠いため、バランスを崩して転落した際のリスクが高まる
  • 寝起きにふらつきやすい人や高齢者が使う場合は、手すりなどのサポートが必要になる
  • 小さな子どもがいる家庭では、ベッドからの落下事故に十分注意する

夏場は暑いと感じる人もいる

空気の性質を理解しておくと、寝苦しい季節の対策が立てやすくなります。

  • 暖かい空気は部屋の上部へ、冷たい空気は下部へたまる性質がある
  • ベッドの位置が高いと、室内の暖かい空気の層に入りやすくなる
  • 夏場はエアコンの冷気が届きにくく、寝苦しさを感じることがある

自分に合う高さを選ぶポイント

ベッドの高さに「万人に共通する正解」はありません。国内の理学療法や看護の研究でも、ベッドの高さが立ち上がりやすさや介助の負担に直接影響することが示されています。ご自身の体格や部屋の広さを基準にして、客観的に高さを決める方法をお伝えします。

体格と立ち上がりやすさで考える

自分の身体に合った基準を知ることで、足腰に負担をかけないベストな高さを選べます。

  • 立ち上がりやすさは、「下腿高(床面から膝(膝関節のすき間)までの垂直な長さ)」を基準にする
  • 下腿高*の120%程度の高さが、最も立ち上がりやすいと研究で報告されている ※2
  • 低すぎると立ち上がりに力が必要になり、高すぎると足が浮いて不安定になる
  • 家族を介護する場合、介助者の腰に負担がかかりにくい高さかどうかも考慮する

※2:人間看護学研究 2004 安全なベッドからの立ち上がりに関する研究(その 2)

https://www.usp.ac.jp/user/usp/gakubu/nursing/gakubu/gyouseki/kango_01_2004.pdf#page=33 

収納したい物と部屋の広さで考える

用途から逆算する視点を持てば、無駄に高すぎるベッドを選んでしまうのを防げます。

  • ベッド下に何を収納したいか(衣装ケース、季節家電など)をリストアップする
  • 収納物の高さを測り、最低限必要なベッド下の有効寸法を割り出す
  • 部屋の広さや天井の高さと照らし合わせ、圧迫感の出ない範囲で高さを決定する

高いベッドが向いている人と向いていない人

ここまでの特徴を踏まえ、ご自身の生活スタイルと照らし合わせてみてください。どんなに優れたベッドでも、使う人の条件に合わなければ不満が残ります。ワンルームで収納を優先すべきか、それとも安全性を優先すべきか。それぞれの向き・不向きを整理します。

向いている人|収納重視で部屋を広く使いたい人に向いている

向いている条件に合致すれば、高いベッドのメリットを最大限に受けられます。

  • ワンルームなど、部屋のスペースが限られており収納家具を減らしたい
  • ベッド下のデッドスペースを有効活用し、生活動線を確保したい
  • シングルベッドでも膝や腰への負担を減らし、立ち座りをスムーズに行いたい

向いていない人|圧迫感や安全性を重視する人は慎重に選ぶべき

不向きな条件を把握しておくことで、購入後の重大な後悔や事故を未然に防げます。NITEの注意喚起では、30cm前後の低床ベッドに衝撃を吸収するマットを組み合わせることで、転落時の被害を軽減できることが示されています。※3

  • 部屋が狭く天井が低いため、少しでも圧迫感をなくして広く見せたい
  • 寝相が悪く、ベッドからの転落に強い不安がある
  • 小さな子どもや高齢者が使用するため、昇降時の安全性を最優先したい

※3:介護ベッドの事故防止対策報告書 独立行政法人製品評価技術基盤機構(NITE)

https://www.nite.go.jp/data/000141638.pdf#page=12 

購入前に確認したいチェックポイント

購入を決断する前に、実際の寸法や搬入経路など、よくトラブルになるポイントを必ず確認しましょう。

カタログの「ハイタイプ」という言葉や数値だけで判断すると、いざ部屋に置いたときに「思っていた高さと違う」というトラブルが起こります。失敗を防ぐための最終確認リストをお渡しします。

高さはマットレス込みで確認する

マットレスを含めた高さを計算することで、使い勝手をイメージしやすくなります。

  • ベッドフレームの床面高だけでなく、使用するマットレスの厚みを確認する
  • 「床面高+マットレスの厚み」が、実際に座る・寝る位置の高さになる
  • 手持ちのマットレスを使う場合は、その厚みを忘れずに足して計算する

収納寸法と搬入経路まで見ておく

実寸を細かく確認しておくことで、搬入時のトラブルや収納の失敗を回避できます。

  • 玄関、廊下、階段、寝室のドアなど、搬入経路の幅を測る
  • ハイタイプベッドの脚やフレームが通るか、事前にシミュレーションする

高いベッドに関してよくある質問

生活環境やベッドの選び方についてよくある質問について、ハイタイプベッドとロフトベッドの違いや、身長との関係など、比較検討の際によく迷われるポイントをお答えします。

ハイタイプベッドとロフトベッドの違いは何ですか?

それぞれの定義を理解することで、自分の目的に合ったタイプを正しく選択できます。

  • ハイタイプベッド: 床面高が高め(50cm程度)のベッド。ベッド下を主に収納として使う。
  • ロフトベッド: 床面高が非常に高く(100cm以上)、下部を居住空間(デスクやソファなど)として使う。

空間を収納として使うか、生活スペースとして使うかによって選択が変わります。

背が高い人は高いベッドの方がいいですか?

身長に合わせた選び方を理解すると、窮屈さを感じないベッド選びができます。

  • 背が高いからといって、必ずしも「高いベッド」が必要なわけではない
  • 寝る時に足がはみ出すのを防ぐなら、高さではなく縦の長さが長い「ロングタイプベッド」を選ぶ
  • 高さはあくまで「立ち上がりやすさ(下腿高)」と「収納量」を基準に決定する

高いベッドは収納性と使いやすさのバランスで選ぶ

高いベッドは、収納力が上がり立ち座りが楽になるなど、多くのメリットがあります。ただし、部屋の広さや天井の高さによっては圧迫感が出やすく、昇降時の安全性にも配慮が必要です。

見た目や価格だけで決めるのではなく、ご自身の体格(下腿高)や生活スタイルに合わせて慎重に選んでください。下記の記事も参考にして、快適な睡眠環境を整えましょう。

 

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関連記事:マットレスの厚さはどのくらい必要?厚さごとの特徴や、マットレス選びでぜひ知っておきたい知識

 

【メタディスクリプション】

高いベッドが気になる方へ、メリットとデメリット、向いている人、後悔しない選び方を解説します。収納性だけでなく、人間工学的な立ち上がりやすさ、圧迫感、安全性など、比較検討に必要な判断材料を分かりやすくまとめました。