睡眠コラム by 松岡 雄治•2026年10月26日•読了目安時間: 6 分

不眠のツボはどこ?場所と押し方、あわせて整えたい睡眠習慣

なかなか眠れない夜が続き、寝る前に自分でできるケアを探している方もいるのではないでしょうか。

不眠のセルフケアとしては、かかとの失眠や手首の神門などのツボが紹介されています。ただし、ツボを押すだけですぐに眠れるとは限らず、日中の過ごし方や寝室の環境もあわせて見直すことが大切です。

この記事では、不眠に関連するツボの場所と押し方、あわせて整えたい睡眠習慣を解説します。眠れない夜に自分でできるケアを知りたい方は、ぜひ最後までご覧ください。

 

不眠に関連するツボ

不眠に関連して紹介されるツボには、かかとの失眠、手首の神門、頭のてっぺんの百会、内くるぶしの上の三陰交、手首の内側の内関などがあります。

不眠に対するツボ刺激(鍼灸や指圧など)については多くの研究が行われています。自分でツボを押す「指圧」で眠りが改善したという報告もありますが、研究によって方法や評価のばらつきがあるため、現時点では「確実に効く」とその効果が保証されるには至っていません。

寝る前に気持ちを落ち着けて過ごすためのケアとして取り入れ、まずは場所とやさしい押し方を確かめましょう。

※出典:Phytomedicine「Self-Administered Acupressure for Insomnia Disorder: A Randomized Controlled Trial」

失眠(しつみん)|かかとの中央

失眠は、足の裏のかかとのふくらみの中央にあるツボです。名前のとおり、不眠に関連して紹介されるツボで、足裏を自分のほうに向けると場所を確かめやすくなります。

押すときは安定した姿勢で座り、足を手元に寄せましょう。片手でかかとを支えながら、反対の手の親指の腹を中央に当て、ゆっくり力を加えてから離します。

神門(しんもん)|手首の小指側

神門は、手首の手のひら側にある横じわの、小指側の端に位置します。手のひらを上に向け、手首の横じわを小指側へたどると探しやすいでしょう。

反対の手で手首を包むように支え、親指の腹を横じわの端に当てます。手首を強く反らさずに力を抜き、心地よいと感じる程度の強さでゆっくり押してください。

百会(ひゃくえ)|頭のてっぺん

百会は、頭のてっぺんにあるツボです。左右の耳を結ぶ線と、鼻からまっすぐ頭の上へのばした線が交わるあたりを目安に探しましょう。

両手の中指を重ねて指の腹を当て、頭皮に対して垂直にゆっくり押します。頭を強く下へ押し込むのではなく、首を楽に保ったまま、軽い力から始めてください。

三陰交(さんいんこう)|内くるぶしの上

三陰交は、内くるぶしの上にあるツボです。内くるぶしの中央に指4本をそろえて当て、ひざの方へ上がったところの、すねの骨の内側の際が目安です。

座ってひざを楽に曲げ、内くるぶしとすねの骨を確かめましょう。骨の際に親指の腹を添え、やさしく押してゆっくり離しましょう。

内関(ないかん)|手首の内側

内関は、前腕にあるツボです。手首の横じわの中央に指3本(人差し指、中指、薬指)をそろえて当て、ひじの方へ向かったところが目安です。手首の小指側にある神門と違い、前腕の中央付近にあります。気持ちを落ち着けたいときのツボとしても紹介されています。

手のひらを上に向け、手首からひじへ続く筋の間を目安に、反対の手の親指の腹を当てましょう。

 

ツボを押すときの注意点

ツボは強く押し込まず、心地よさを感じる程度の力で刺激しましょう。「痛気持ちいい」を目安にする場合も、痛みを我慢する強さは避けてください。力加減は部位によって変わるため、弱い刺激から確かめることが大切です。

押す前と押している間は、次の点を確認しましょう。

  • 爪を立てず、指の腹を使う
  • 息を吐きながらゆっくり押し、3〜5秒ほど保ってからゆっくり離す
  • 傷や炎症のある場所、けがが治っていない場所は避ける
  • 痛みやしびれ、不快感が出たら中止する

妊娠中の方や、通院・治療中の方は、始める前に担当の医師へ相談してください。病気や治療の内容によっては、刺激を避けたほうがよい場合もあります。

ツボ押しで眠れた日があっても、処方薬は自己判断で減らさず、医師と相談して調整しましょう。

 

ツボとあわせて見直したい睡眠習慣と寝室環境

眠りを見直すときは、ツボ押しとあわせて、朝の光や入浴のタイミング、カフェインやお酒のとり方、寝室の環境なども整えましょう。寝る直前の行動だけでなく、朝から日中の光の浴び方も夜の眠りに関係しています。

1. 朝は光を浴びて体内時計を整える

朝起きたら寝室のカーテンを開けて日光を取り入れると、体内時計が整いやすくなります。朝の明るい光は、体に活動を始める時刻を知らせ、眠る時間と起きている時間のリズムを調節する刺激です。

日中に光を浴びておくと、夜に眠気を促すホルモンのメラトニンが分泌されやすくなります。室内で過ごす時間が長い日は、窓辺で明るさを取り入れたり、外へ出る機会をつくったりしてみましょう。

一方、寝る前に明るい光を浴びると、メラトニンの分泌が抑えられ、寝つきにくくなることがあります。朝は明るく、夜は照明を落とすなど、時間帯に合わせて光の使い方を変えるとよいでしょう。

2. 入浴は就寝の1〜2時間前にすませる

寝つきを整えたいときは、就寝の1〜2時間前を目安に入浴をすませましょう。眠りにつく際には、手足から熱が逃げ、体の内部の温度が下がります。入浴で体を温めると、手足の血管が広がり、湯上がりに熱を逃がしやすくなると考えられています。

極端に熱いお湯に入ると、体を活動させる交感神経の働きが高まり、かえって寝つきにくくなることがあります。熱さを我慢して長く浸からず、心地よく入れる湯加減に調整してください。

寝つきを妨げにくいお湯の温度や、入浴するタイミングの目安は、以下の記事もあわせてご覧ください。

関連記事:お風呂で自律神経を整える方法|入浴温度・時間・ベストタイミングを科学的に解説

3. カフェインとアルコールのとり方を見直す

カフェインは夕方以降を控えめにし、眠るためのお酒は避けましょう。カフェインには目を覚ます作用があり、摂取する量だけでなく時間帯も眠りに影響します。

1日400mgを超えるカフェインで、夜に眠りにくくなる可能性があります。ドリップコーヒーでは、カップ4杯ほど(約700cc)に相当する量です。

ただし、400mg以下なら影響がないというわけではなく、体内で分解される速さにも個人差があります。夕方からは麦茶など、カフェインを含まない飲み物へ替えてみましょう。

また、寝酒で一時的に寝つきがよくなっても、睡眠の後半には眠りの質が悪くなります。夜中に途中で目が覚めること(中途覚醒)を増やすため、お酒を睡眠対策に使うのは控えてください。

カフェインについては個人差が大きいことが知られていますが、およそ8時間が代謝の目安の時間です。そのため、日頃の就眠時間が22時頃の方は、まずは14時くらいを目安にカフェイン摂取と睡眠の関係を意識すると関係性がつかみやすくなります。

お酒については、尿意のほかに、アルコールの代謝によって生じるアセトアルデヒドが交感神経を刺激してしまうことも睡眠の質を下げる原因に挙げられます。特徴を知ってそれぞれとうまく付き合いましょう。

4. 寝室の光・音・温度を整える

寝室はできるだけ暗く静かにし、暑さや寒さを我慢せずに休める環境に整えましょう。眠っている間は弱い光でも途中で目が覚めやすくなり、騒音も睡眠を妨げます。

環境を整える際は、次の点を見直してみてください。

  • 光:照明を消し、スマートフォンを寝室に持ち込まない
  • 音:テレビなどの音を止め、外の騒音が気になる場合は寝床を窓から離す
  • 温度:夏はエアコンを使い、冬は寝具と暖房で寒さを防ぐ

夏の室温上昇は、睡眠時間が短くなることと関連します。冬は寝具を十分に使って寝床の中を暖かく保てば、室温が下がっても睡眠への影響は少ないと考えられています。

一方で、夜中のトイレや早朝の起床時に急な寒さにさらされると、血圧が急に上がるおそれがあるため注意が必要です。寒さによる健康への影響を防ぐためにも、冬の室温は18℃以上に保つことがすすめられています。

冬の寝室で暖房をつけて寝るかどうかの判断や、室温の保ち方については、以下の記事もあわせてご覧ください。

関連記事:【医師監修】寝る時の暖房はつけるべき?睡眠の質と電気代を両立する冬の室温管理術

 

眠れない日が続くときに注意したいサイン

眠れない状態が続き、日中の生活に支障が出ている場合は、かかりつけの医師や睡眠外来に相談しましょう。寝つけないだけでなく、夜中に何度も目が覚めることや、朝早く目覚めて眠り直せないことも不眠の症状です。

週3日以上の不眠が3か月以上続く場合は、慢性不眠症の可能性があるとされています。ただし、この期間まで待つ必要はありません。だるさや集中力の低下、強い眠気で困っているときは早めに受診してください。

また、次のような点に心当たりがある場合も、医師へ伝えましょう。

  • 大きないびきや、睡眠中に呼吸が止まる様子を指摘された
  • 夕方から夜に脚がむずむずし、動かさずにいられない
  • 更年期に入ってから、ほてりや発汗とともに眠れなくなった

睡眠時無呼吸症候群やむずむず脚症候群などが、眠りを妨げている場合があります。更年期の症状が気になる場合は、眠りの悩みとあわせて婦人科でも相談できます。

眠れない理由が不眠症にあたるかを振り返りたい方は、以下の記事のチェックリストも参考にしてください。

関連記事:【医師監修】専門医監修の不眠症チェック!睡眠の質を見直そう

病院に行っても睡眠薬を処方されるだけだと思う方もいるかもしれません。しかし、2026年6月から、欧米で不眠治療の第一選択とされている「不眠症に対する認知行動療法」という治療法が、条件付きながら日本でも保険適用で受けられるようになりました。

睡眠に対する考え方や生活習慣を根本から見直すことで慢性不眠症の改善を図るものです。一人で悩まずにぜひ一度睡眠外来などで相談してみてください。

 

不眠のツボに関するよくある質問

不眠のツボについてよくある疑問に回答します。

Q1. ツボを押すとすぐに眠くなりますか?

ツボを押しても、すぐに眠くなるとは限りません。試す際は眠気が出るまで押し続けるのではなく、気持ちを落ち着けて過ごす習慣として取り入れましょう。押したときの心地よさだけでなく、寝つきや夜中の目覚め、翌日の眠気が変わったかにも目を向けてみてください。

それでも眠れない状態が続き、日中の生活に支障が出ている場合は、医師へ相談しましょう。

Q2. 耳のツボはどこにありますか?

不眠に関連する耳のまわりのツボとしては、耳の後ろにある安眠(あんみん)が紹介されています。耳の後ろにある出っ張った骨から、指1本分下がったところが目安です。

押すときは、指の腹を当てて軽く押し、ゆっくり離します。首の筋を強く押し込まず、心地よく感じる範囲で終えましょう。

Q3. 足三里は不眠に効きますか?

足三里は、鍼灸の研究で不眠の治療に使われることがあるツボですが、不眠への効果が確立しているわけではありません。ひざのお皿の下のくぼみから指4本分下がった、すねの外側にあり、胃腸の不調に関連するツボとして紹介されています。

不眠対策として取り入れるなら、寝る前に落ち着いて過ごすケアの範囲にとどめてください。ツボの刺激だけに頼らず、朝の光や寝室環境の見直しをあわせて行いましょう。

 

まとめ:ツボだけでなく睡眠の習慣も見直してみよう

不眠に関連するツボは、寝る前に心地よく過ごすためのセルフケアとして取り入れましょう。かかとの失眠や手首の神門などは、指の腹でやさしく押し、痛みを我慢しないことが大切です。妊娠中や治療中の方は、始める前に医師へ確認してください。

ツボを押したあとの感覚だけでなく、日中の過ごし方や寝室環境も眠りに関わります。朝に光を浴び、入浴の時間を調整するなど、生活の中で続けられる工夫を組み合わせましょう。夕方以降のカフェインや寝酒を見直し、寝室の明るさや暑さにも気を配ってみてください。

眠れない状態が続いて日中に困っている場合は、ツボ押しで様子を見続けず、かかりつけの医師や睡眠外来で相談しましょう。いびきや脚の不快感など、気になる変化も伝えると、原因に応じた対処を検討できます。

 

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