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監修者
石川 恭子
コアラマットレス®︎のショールームで、お客様が「運命のマットレス」に巡り合えるようお手伝いしているカリスマコンシェルジュ。お客様の眠りの悩みに耳を傾ける中で、今すぐ活用できる睡眠の知識を届けたいと上級睡眠健康指導士の資格を取得。コアラ®︎のマットレスを通じて、毎日眠ることが待ち遠しくなるワクワク感を提供したい。
厳しい暑さが続く時期に胃がむかついて食欲がないと、「夏バテのせいかな」と軽く考えてしまいがちですが、不快な胸やけや吐き気に襲われると本当に辛いものです。私自身も以前、真夏の屋外作業後に強い吐き気に見舞われ、単なる夏バテだと思い込んで水分補給を後回しにした結果、症状が悪化して動けなくなってしまった苦い経験があります。
夏の吐き気は、体調不良による一時の消化機能低下だけでなく、熱中症や脱水症状、感染性胃腸炎や食中毒、あるいは服用中の薬の影響など、迅速な対応が求められる原因が潜んでいることも少なくありません。吐き気とともに現れる他の症状や直前の行動を冷静に振り返り、状況に合わせた適切な応急処置や受診の判断を行うことが大切です。
本記事では、上級睡眠健康指導士の資格を持つコアラマットレス社員の石川が、夏に起こる吐き気の主な原因や一緒に確認すべき症状、現場でできる対処法から市販薬の注意点、受診の目安まで分かりやすく解説していきます。
夏バテ?吐き気と一緒に確認したい症状
吐き気そのものは、どの原因で起こってもよく似た感じ方をします。そこで手がかりになるのが、一緒に現れている症状と、症状が出る直前に何をしていたかです。
まず振り返っていただきたいのは、炎天下や高温多湿の場所に長くいなかったかという点です。そのうえで、頭痛やめまい、立ちくらみ、強いだるさを感じている場合は、夏バテよりも熱中症を疑う必要があります。※1
次に、現在の状態を把握しましょう。自分で水分を飲めているか、何度も吐いていないかは、受診を急ぐかどうかを分ける重要なサインです。※2
腹痛や下痢、発熱を伴っているかどうか、同じ食事をした家族や同僚にも同じ症状が出ていないかも確かめ、心当たりがある場合は、食中毒や感染性胃腸炎の可能性を考えてください。※3※4
あわせて、最近になって新しく飲み始めた薬やサプリメントがないかも思い出してみてください。さらに、呼びかけへの反応がおかしい、意識がはっきりしないという状態は、その場で判断を待つべきではありません。※2
ここまでの確認は、原因を自分で診断するためのものではなく、どこへ相談すればよいかを決めるための材料と考えてください。
夏の吐き気で考えられる主な原因
吐き気や嘔吐は、脳幹にある嘔吐中枢が刺激されることで起こり、その引き金になる病気や状態は非常に幅広いことが知られています。※5
夏に起こりやすい吐き気の原因を4つに分けて見ていきますが、季節とは直接関係のない病気や薬の影響でも吐き気は起こりますので、最後の項目まであわせて確認してみてください。
1. 暑さによる熱中症・脱水
高温多湿の環境で過ごしていると、体温の上昇と体温調節のバランスが崩れ、体に熱がたまっていきます。この状態が熱中症です。頭痛や吐き気、嘔吐、めまい、全身の倦怠感や脱力は、中等症にあたるII度の症状とされており、この段階で医療機関への搬送が必要です※1。
汗を大量にかいた後には水分と塩分が失われ、脱水が進むことで気分の悪さが強まります。暑い場所にいた後に吐き気が出たときは、夏バテという言葉でまとめてしまわず、まず熱中症を疑ってください。特に、自力で水分を飲めない場合は点滴などの処置が必要になるため、その場での様子見ではなく医療機関につなぐ判断が求められます。※2
2. 食中毒や感染性胃腸炎
暑さと同じくらい夏に注意したいのが、細菌やウイルスによる食中毒と感染性胃腸炎です。食中毒の原因は細菌、ウイルス、自然毒、化学物質、寄生虫などさまざまで、気温が高い時期は細菌が増殖しやすくなります。※3
実際に農林水産省の統計資料では、令和3年から令和7年の5年間平均で、細菌性食中毒の発生件数は7月が33.2件、8月が29.4件と、夏場に多い傾向が示されていました。※6
吐き気や嘔吐に加えて腹痛、下痢、発熱といった症状が現れることがあります。ノロウイルスなどによる感染性胃腸炎では、潜伏期間である24時間から48時間を経て、吐き気や嘔吐、下痢、腹痛といった症状が出ますが、発熱は軽度にとどまることが多いです。※4
同じ食事をした人全員が同じような症状が出ている場合は、食中毒を疑いましょう。何をいつ食べたかを整理しておくと、受診時により正確な診断を得られます。
3. 食べすぎ・飲みすぎなど食事の影響
心当たりが食事のし方にある場合もあります。大阪府医師会は、ストレスや胃の粘膜に刺激を与えるような食べ物の暴飲暴食、痛み止めなどの薬の副作用などが急性胃炎の原因になると説明しています。突然の痛みやむかつき、吐き気が現れるのが特徴なのだそうです。※7
食べすぎやお酒の飲みすぎが原因の場合は、安静にすることで回復することが少なくありません。※5
夏は冷たい飲み物や冷たい麺類に偏りやすい季節ですが、冷たいものが誰の胃腸の働きも必ず落とすと言い切れるわけではありません。大切なのは、何をどのくらいとった後に症状が出たのかを振り返ることです。脂肪分の多い食事やアルコール、香辛料の強い料理が続いていなかったかを思い返してみてください。
4. 病気や薬など夏以外の原因
ここまでの3つに当てはまらないときは、季節との関係が薄い原因も考えましょう。吐き気や嘔吐は、消化管の機能障害だけでなく、脳や中枢神経系の病気、糖尿病などの全身性疾患、精神疾患、妊娠初期の代謝変化、抗がん剤をはじめとする薬剤の影響など、非常に幅広い要因で起こり得るとされています。乗り物酔いや心理的な刺激がきっかけになることもあります。※5
新しい薬を飲み始めた時期と症状の始まりが重なっているなら、その薬の影響を疑いたくなりますが、処方された薬を自己判断でやめるのは避けてください。治療中の病気のほうに影響が出るおそれがあります。判断は自分ひとりで下さず、医師や薬剤師へ相談してください。嘔吐に下痢を伴う、症状が数日続く、倦怠感がある、腹痛や頭痛が続くといった場合も、受診がおすすめです。
関連記事:上級睡眠健康指導士監修|夏の夜に暑くて寝れないときの原因と対策について解説!
吐き気があるときの対処法
続いて、原因の見当がついた場合の対処法を整理します。熱中症が疑われるときの応急処置と、症状が比較的軽いときの水分と食事のとり方について紹介します。
1. 涼しい場所へ移動して安静にする
暑い環境で吐き気が出たとき、まず優先したいのが体を冷やすことです。冷房の効いた室内や、風通しのよい日陰へ移動し、衣服をゆるめて熱がこもらないようにします。太い血管が通っている首やわきの下、太もものつけ根を集中的に冷やすと、体温低下に効果的です。※2
体を冷やしながら、呼びかけへの反応も確認しておきましょう。反応がおかしい、意識がはっきりしないという場合は、冷やしながら救急車を呼ぶ判断が必要です。※2
休んでも症状が改善しないときや、自力で水分を飲めないときも、様子を見続けずに医療機関へつないでください。
2. 飲める場合は水分を少量ずつとる
意識がはっきりしていて自分で飲める状態であれば、水分補給に進みます。ポイントは量とペースです。一度にたくさん飲もうとせず、少量ずつ回数を分けてとるようにしてください。吐き気があるときに一気に飲むと、かえって吐いてしまうことがあります。
大量に汗をかいた後は水分だけでなく塩分も失われていますので、水分と電解質を同時に補える経口補水液が選択肢になります。※2
ただし、経口補水液も一度に大量に飲むとナトリウムのとりすぎにつながる可能性が指摘されているため、表示された目安を守ってください。※2
そして忘れないでいただきたいのが、呼びかけへの反応が悪い人に無理に水を飲ませてはいけないという点です。何度も吐いてしまう、飲んでもすぐ戻してしまうという場合は、自宅で頑張り続けるのではなく、速やかに医療機関へ相談しましょう。
3. 吐き気が落ち着いたら食べられるものを少量とる
吐き気が強い間は、食事を無理に押し込む必要はありません。まずは水分を摂れるかどうかを優先し、胃腸を休ませてあげてください。急性胃炎の対処としても、症状が強い場合には1食から2食の絶食が有効だと説明されています。※7
症状が落ち着いて何か食べられそうだと感じたら、おかゆやうどん、卵、スープ、白身魚など消化のよいものを、ゆっくりよくかんで少量から試しましょう。アルコールやコーヒー、香辛料の強い料理など胃に刺激を与えるものは、しばらく控えてください。
特定の食品に吐き気を治す効果があるわけではありません。その日に食べやすいものを選ぶという考え方で十分です。
夏バテの吐き気に市販薬を使ってもよい?
つらい症状が続くと、薬で早く楽になりたいと考えるのは自然なことです。ただし、「夏バテによる吐き気」に一律で使える市販薬があるわけではなく、原因に合った薬を選ぶ必要があるため、薬を選ぶ際は慎重にしてください。
まず、熱中症が疑われる場合は市販薬は基本的に服用しません。必要なのは涼しい場所への移動と体の冷却、飲めるなら水分と塩分の補給です。改善しないときは受診を優先します。※2
次に、下痢や発熱を伴い食中毒や感染性胃腸炎が疑われる場合は、市販の下痢止めを自己判断で使わないようにしてください。厚生労働省は、いわゆる下痢止め薬によって病気の回復を遅らせることがあるため使用しないことが望ましいと説明しています。※4
市販薬を選ぶときの基本も押さえておきましょう。医薬品医療機器総合機構(PMDA)は、治療中の病気がある人、妊娠中や授乳中の人、薬や食品にアレルギーがある人は、購入する前に薬剤師へ相談するようすすめています。※8
ほかの薬との飲み合わせや持病の影響で使えない薬があるためです。使用前には添付文書を読み、使用期限と保管方法を確認してください。用法と用量を守り、副作用が疑われるときや効果が不十分なとき、症状が悪化したときは使用を中止して医療機関へ相談することも明記されています。※8
吐き気で医療機関へ相談したい目安
ここまでの対処を試しても楽にならないとき、どこで線を引けばよいのか迷いますね。判断の基準を整理しておきます。
暑い場所にいた後に吐き気や嘔吐、頭痛、めまい、強い倦怠感が現れた場合は、中等症にあたるII度の熱中症の可能性を考えて、早めに医療機関へ相談してください。※1
応急処置をしても改善しないとき、そして自力で水分を飲めないときも受診が必要です。※2
さらに急を要するのが、呼びかけへの反応がおかしい、意識がない、けいれんがあるという状態です。この場合はためらわずに119番へ連絡し、救急車の到着を待つ間も体を冷やし続けてください。反応が悪い人に無理に水を飲ませてはいけない点も、あわせて覚えておきたいところです。※2
暑さとの関係がはっきりしない場合でも、受診を考えたい状況があります。嘔吐を繰り返す、強い腹痛がある、下痢や発熱を伴う、血便が出る、症状が数日続く、排便や排尿がない、強い倦怠感が抜けないといったときは、内科や消化器内科へ相談してください。※5※9
夏の吐き気に「1週間までは様子を見てよい」といった一律の目安はありません。気になる症状がそろっているなら、日数を待たずに相談するほうが安心です。
関連記事:夏の疲れを乗り切る!快眠のための対策9選
まとめ:夏の吐き気は原因を決めつけず対処しよう
夏の吐き気は、いわゆる夏バテだけで起こるものではありません。熱中症や脱水、食中毒、感染性胃腸炎、食べすぎや飲みすぎ、そして薬や持病の影響まで、原因の幅はとても広いことがわかります。
まず行いたいのは、一緒に現れている症状と、直前の環境や食事を確認することです。そのうえで、涼しい場所へ移動して首やわきの下、太もものつけ根を冷やし、飲めるようなら水分を少量ずつとるという順番で対応してください。食事は吐き気が落ち着いてから、消化のよいものを少量ずつ摂る形で構いません。
そして、自力で水分を飲めない、呼びかけへの反応がおかしい、強い腹痛や下痢、発熱を伴うというときは、迷わず医療機関へ相談しましょう。暑さの厳しい季節だからこそ、無理に食べたり動いたりせず、体を休ませる時間をつくることが回復への近道です。あなたの夏が、少しでも過ごしやすいものになりますように。
・参考
※1 熱中症環境保健マニュアル | 環境省
※2 熱中症の応急処置のフローチャート | 独立行政法人環境再生保全機構
※3 食中毒 | 厚生労働省
※4 ノロウイルスに関するQ&A | 厚生労働省
※5 吐き気・嘔吐 | 済生会
※6 食中毒の統計資料 | 農林水産省
※7 急性胃炎 | 大阪府医師会
※8 一般用医薬品の選び方・使い方 | 医薬品医療機器総合機構(PMDA)
※9 家庭でできる食中毒予防の6つのポイント | 厚生労働省










