眠りが浅い・夢ばかり見る原因と改善法|睡眠の質を高める5つの対策
睡眠コラム by Koala Sleep Japan2025年10月30日読了目安時間: 8

【医師監修】眠りが浅い・夢ばかり見る原因と改善法|睡眠の質を高める5つの対策

五藤 良将
竹内内科小児科医院 院長

千葉県立東葛飾高校卒、防衛医科大学校医学部卒。その後に自衛隊中央病院、防衛医科大学校病院、千葉中央メディカルセンターなどの勤務を経て2019年9月に継承開業に至る。

  • 免許・資格

医師免許、日本抗加齢医学会専門医、日本内科学会認定医、日本旅行医学会認定医、日本医師会産業医、スポーツドクター、日本美容内科学会評議員

「毎晩のように夢を見て、朝になってもぐったりしている」「6〜7時間寝ても浅い眠りのまま朝を迎えてしまう」と感じる人は少なくありません。私自身、仕事のストレスが重なっていた頃、連日鮮明な夢を見て、目覚めても疲れが抜けない感覚に悩まされたことがあります。

日本睡眠学会の報告では、レム睡眠中に夢を見る人は80%以上にのぼり、浅い眠りほど夢を見やすい傾向があるとされています。※1

つまり、「夢ばかり見る」夜の背景には、ストレスや生活リズムの乱れ、ホルモンバランスの変化など、複数の要因が関わっている可能性があるのです。

本記事では、上級睡眠健康指導士でコアラマットレス社員の松本が、レム睡眠とノンレム睡眠の仕組みから夢を見るメカニズムを科学的にひもとき、睡眠の質を改善するための具体的な方法を紹介します。さらに、夢の多さが病気のサインである場合のチェックポイントについても解説します。

なぜ夢ばかり見るの?レム睡眠とノンレム睡眠のメカニズム

なぜ夢ばかり見るの?レム睡眠とノンレム睡眠のメカニズム

人の睡眠は、一晩を通して一定ではなく、浅い眠りのレム睡眠と深い眠りのノンレム睡眠が約90分周期で繰り返されます。※2

このサイクルを理解することで、なぜ「夢ばかり見る夜」があるのかが見えてきます。レム睡眠は脳が活動的な状態で、夢を見る割合が高い時間帯です。一方、ノンレム睡眠は脳が深く休み、体の回復が進む時間とされています。

この二つのリズムが交互に訪れることで、脳と体はバランスを保ちながら休息をとっているのです。

レム睡眠中に夢を見る確率は80%以上

夢を見る頻度は、どの睡眠段階にいるかによって大きく異なります。日本睡眠学会の報告によると、レム睡眠中に覚醒した人の約8割が「夢を見ていた」と回答しました。対して、ノンレム睡眠中ではその割合が10%以下にとどまります。※1

レム睡眠中の夢は、色彩が鮮やかでストーリー性があり、感情の動きが強い傾向があります。これは、脳の感情処理に関わる扁桃体や、記憶を司る海馬などが活発に働いているためです。夢は単なる空想ではなく、日中に得た情報や感情を整理する過程とも考えられています。

つまり、「夢ばかり見る」という感覚は、脳がその日の体験を一生懸命処理しているサインでもあるのです。

睡眠後半にレム睡眠が増える理由

眠りの始まりは深いノンレム睡眠が中心ですが、夜が進むにつれて浅いレム睡眠の割合が増えていきます。朝方になると、レム睡眠が全体の中で長く続くようになり、この時間帯に夢を見ることが多くなります。

そのため、「朝方によく夢を覚えている」というのは、自然な現象なのです。厚生労働省のe-ヘルスネットでも、睡眠の後半ではレム睡眠が優位になることが説明されています。※2

一方で、レム睡眠が過度に長く続くと、脳が十分に休めず「眠ったのに疲れが取れない」と感じることがあります。浅い眠りが多い夜は、夢見の回数が増えるだけでなく、翌朝のだるさにもつながりやすいと考えられています。

脳が活動しているレム睡眠の役割

レム睡眠中の脳は、見かけ上は眠っていても、内部では驚くほど活発に働いています。日本医療研究開発機構によると、レム睡眠中の脳の神経回路は覚醒時と同程度、あるいはそれ以上に活性化し、脳血流が起きているときの約2倍に達することが確認されました。※3

この活動は、脳の「リフレッシュ機能」と深く関係しています。睡眠中に神経回路を再調整することで、記憶の固定や感情の整理が進み、翌日の集中力や判断力が整えられると考えられています。

一方で、レム睡眠が極端に少ない場合は、感情のコントロールが乱れやすく、ストレス耐性が低下するリスクも指摘されています。逆に多すぎても脳が休まらず、浅い眠りの連続となり、慢性的な疲労感につながる可能性があります。

つまり、レム睡眠は“夢を見せる時間”であると同時に、“脳を整える時間”でもあるのです。

眠りが浅く夢ばかり見る5つの原因

眠りが浅く夢ばかり見る5つの原因

眠りが浅くなり、夢ばかり見る夜が続くと、「しっかり寝たはずなのに疲れが取れない」と感じることがあります。こうした状態の背景には、心理的なストレスや生活リズムの乱れ、環境の問題、さらには年齢による変化など、複数の要因が絡み合っています。

ここでは代表的な5つの原因を取り上げ、なぜ眠りが浅くなるのかを詳しく見ていきましょう。

1. ストレスや不安による覚醒の増加

精神的なストレスや不安は、自律神経のうち「交感神経」を優位にし、心身を常に緊張状態に保とうとします。仕事や人間関係、将来への不安などが重なると、体が“戦う・逃げる”反応を起こし、寝ている間にも完全にリラックスできなくなります。

その結果、睡眠中に何度も浅い覚醒が起こり、夢を頻繁に見るようになることがあります。コルチゾール(ストレスホルモン)の分泌が夜間にも高まると、深い眠りを妨げやすくなるため、心の状態を整えることが安眠への第一歩になります。

2. 不規則な生活リズムと睡眠不足

夜更かしや寝る時間のばらつきは、体内時計(サーカディアンリズム)を乱す代表的な要因です。体内時計がずれると、レム睡眠とノンレム睡眠の切り替えがうまくいかなくなり、睡眠のリズムが浅くなります。

さらに、慢性的な睡眠不足が続くと「レムリバウンド」と呼ばれる現象が起こり、通常よりもレム睡眠が増加して夢を見やすくなります。※2 短時間睡眠を繰り返す人ほど、この影響を受けやすい傾向があります。

毎日ほぼ同じ時間に就寝・起床することは、眠りの深さを保つ上で非常に重要です。

3. 寝室環境の問題(温度・湿度・騒音)

睡眠中は、わずかな温度や光、音の変化でも脳が反応してしまうことがあります。室温が高すぎたり、エアコンの風が直接当たる環境では、深いノンレム睡眠に入りにくくなる傾向があります。また、街の騒音や照明の光が入る寝室では、脳が“覚醒状態”を維持してしまうこともあります。

快適な睡眠環境としては、室温18〜22℃、湿度40〜60%が理想的とされ、寝具の通気性や遮光カーテンの使用も質の高い眠りを支えます。※4

わずかな環境調整で、睡眠の深さが大きく変わることも少なくありません。

4. カフェインやアルコールの影響

夕方以降に摂るカフェインは、脳内の「眠気を感じるスイッチ」を一時的に遮断し、入眠を遅らせてしまいます。コーヒーだけでなく、緑茶やチョコレート、エナジードリンクにも多く含まれており、知らず知らずのうちに睡眠の質を下げていることもあります。

また、アルコールは一時的に眠気を誘うため“寝酒”として用いられがちですが、睡眠後半になると血中アルコール濃度の低下に伴って中途覚醒が増加し、レム睡眠が浅くなりやすいことが知られています。※5

「寝つきは良いけれど夜中に目が覚める」という場合は、アルコールの影響が関係している可能性があります。

5. 加齢や更年期による睡眠の変化

年齢を重ねるにつれて、深いノンレム睡眠が減少し、レム睡眠の割合がやや増える傾向があります。そのため、若い頃よりも夢を覚えている回数が増えたり、夜中に目が覚めやすくなったりすることがあります。

さらに、更年期に入るとエストロゲンやプロゲステロンといったホルモンの変動が起こり、体温調節や自律神経のバランスに影響を与えます。その結果、寝汗やほてり、動悸といった不快症状とともに眠りが浅くなることもあります。

こうした変化は自然な生理現象でもありますが、適切な生活習慣の調整や医療的サポートによって、深い眠りを取り戻すことが可能です。

睡眠の質を改善する5つの実践的な方法

睡眠の質を改善する5つの実践的な方法

睡眠障害のリスクを防ぐためには、まず日常生活の中でできる「睡眠の質を高める工夫」から始めることが効果的です。厚生労働省の「睡眠ガイド2023」では、健康的な眠りのための行動指針が示されています。ここでは、その中から特に実践しやすい5つの方法を紹介します。

1. 6時間以上の睡眠時間を確保する

成人では6時間以上の睡眠が推奨されています。※5 睡眠時間が6時間未満の人は、死亡リスクが1.12倍に上昇するというデータも報告されており、慢性的な睡眠不足は心身の健康に直結します。

また、週末の「寝だめ」は一時的な回復にはなっても、体内時計を乱す原因になりやすいため、平日・休日ともに一定のリズムを保つことが大切です。

2. 就寝前のリラックスタイムを作る

眠る直前まで仕事やスマホ操作を続けていると、脳が興奮状態のままになり、入眠が難しくなります。就寝1時間前は「リラックスタイム」として切り替えるのが理想的です。

ぬるめのお湯で入浴したり、軽いストレッチや読書を取り入れたりすると、副交感神経が優位になり、自然と眠気が訪れます。※6

毎晩同じ流れを繰り返すことで、脳が「眠る準備」を覚えてくれるようになります。

3. 寝室環境を整える(暗く静かで涼しく)

理想的な寝室環境は、室温18〜22℃、湿度40〜60%とされています。遮光カーテンで光を遮り、静かな環境を作ることで、ノンレム睡眠の時間が長く保たれやすくなります。

また、通気性の良い寝具を選び、就寝前には部屋を少し涼しめに整えると、深部体温が下がり入眠しやすくなります。ブレインスリープ社の研究でも、寝室の湿度環境と睡眠の質には明確な相関があると報告されています。※7

4. スマホ・PCは就寝1時間前から控える

スマートフォンやPCの画面から発せられるブルーライトは、眠気を促すホルモン「メラトニン」の分泌を抑制するため、就寝前1時間はデジタル機器の使用を控えることが勧められます。

どうしても操作が必要な場合は、ブルーライトカットモードを活用したり、照明を暖色系に変え負担を軽減しましょう。夜間のデジタルデトックスは、翌朝の目覚めの質にも影響します。

5. 規則正しい起床・就寝時間を保つ

毎日おおむね同じ時間に寝起きすることで、体内時計(サーカディアンリズム)が整い、自然な眠気のリズムが形成されます。

特に、朝の光を浴びることは体内時計のリセットに効果的で、日中の活動エネルギーを高める助けにもなります。※2 休日も極端に寝坊せず、1〜2時間以内の誤差に収めるのが理想です。

五藤良将 医師
五藤良将 医師
「夢ばかり見て、眠った気がしない」「朝から疲れが残る」──それは、あなたの意思の弱さや年齢のせいではありません。
多くの場合、脳と体がうまく休めていないサインです。

この記事でお伝えしてきたように、夢を見ること自体は異常ではありません。むしろ、脳が情報や感情を整理している自然な働きです。しかし、夢があまりにも多く、眠りが浅い状態が続く場合、そこにはストレス、生活リズム、環境、ホルモン変化といった、いくつもの要因が重なっています。

大切なのは、「我慢すること」ではなく、整えることです。睡眠時間を確保する、寝る前の過ごし方を変える、寝室環境を見直す。
その一つひとつは小さな行動ですが、積み重なることで睡眠の質は確実に変わります。

そして、セルフケアだけでは改善しない眠気や夢見、日中の支障がある場合は、医療機関に相談することも正しい選択です。睡眠は根性論で乗り切るものではなく、科学と医学で支えるべき健康の土台だからです。

「ぐっすり眠れた朝」は、心と体の回復の証です。今日からできる一歩を大切にしながら、自分に合った睡眠環境とリズムを見つけていきましょう。

こんな症状は要注意!医療機関を受診すべきサイン

こんな症状は要注意!医療機関を受診すべきサイン

生活習慣を整えても眠気や倦怠感が取れない場合、単なる疲労ではなく、睡眠障害が関係している可能性があります。特に、いびきや夜間の覚醒、夢の中で体が動いてしまうなどの症状が見られるときは、早めの受診が安心です。ここでは、代表的な睡眠障害のサインを紹介します。

睡眠時無呼吸症候群のチェック項目

いびきが大きい、呼吸が止まる、日中に強い眠気があるといった症状が続く場合は、睡眠時無呼吸症候群(SAS)の可能性があります。この疾患では、睡眠中に気道が一時的に閉塞し、呼吸が何度も止まることが特徴です。

断続的な酸素不足が起こることで、心臓や血管への負担が増え、高血圧や心疾患のリスクが高まることも報告されています。※8

「しっかり寝たのに眠い」「朝の頭痛が続く」といったサインがある場合は、睡眠外来や呼吸器内科での検査を検討しましょう。

次に、夢と現実の境界があいまいになるような症状が現れる場合について見ていきます。

レム睡眠行動障害の症状と前兆

夢の中での行動を、実際に体で再現してしまう状態をレム睡眠行動障害と呼びます。寝ている間に大声を出したり、手足を動かしたりする場合、この障害が疑われます。
2024年に筑波大学から発表された研究結果では、この症状がパーキンソン病など神経変性疾患の前駆症状であるケースも報告されており、早期の診断が重要視されています。※3

単なる「夢見が激しい」と捉えず、繰り返すようなら専門医に相談することが大切です。

また、眠りに関わるトラブルはこれ以外にも多岐にわたります。

その他の睡眠障害の可能性

脚がムズムズして眠れない「むずむず脚症候群(レストレスレッグス症候群)」や、気分の落ち込みや不眠が長く続く「うつ病」など、神経や精神の働きと関係する疾患が背景にあることもあります。

これらの症状は本人だけでなく、家族が気づく場合も多く、早期対応によって改善が期待できるケースもあります。

数週間以上にわたって睡眠の質が悪く、生活に支障を感じるようなら、医療機関で専門的な検査を受けてみるとよいでしょう。

日本人の睡眠の現状|4人に1人が慢性的な不眠

日本人の睡眠の現状|4人に1人が慢性的な不眠

厚生労働省の令和5年国民健康・栄養調査によると、日本人の約25%が慢性的な不眠状態にあると報告されています。※9

こうした睡眠不足は、年齢や性別によっても傾向が異なり、特に働き盛り世代に深刻な影響が及んでいることが分かっています。

睡眠時間6時間未満が約4割という実態

同調査では、男性の37.5%、女性の40.6%が睡眠時間6時間未満と回答しており、全体の約4割が“慢性的な睡眠不足”の状態にあります。特に40〜50代では、仕事や家庭のストレス、スマートフォンの使用時間増加などが影響し、深い眠りに入りにくい傾向が顕著に見られます。

この世代では、日中のパフォーマンス低下や集中力の欠如、生活習慣病のリスク上昇など、健康面への影響も無視できません。

つまり、睡眠不足は個人の問題ではなく、社会全体で取り組むべき課題として浮かび上がっています。こうした国内の傾向を国際的な視点で見ると、日本人の睡眠時間はさらに際立って短いことが明らかになります。

世界最短レベルの日本人の睡眠時間

OECD(経済協力開発機構)の最新調査では、日本の平均睡眠時間は7時間22分と報告され、加盟国の中で最下位に位置しています。※10

アメリカやフランス、ドイツなどが8時間前後を確保しているのに対し、日本は約40〜60分も短いという結果です。

この差は単なる「夜型生活」の問題にとどまらず、働き方や通勤時間の長さ、家事・育児負担の偏りなど、社会構造に根づいた要因が関係していると考えられています。

慢性的な睡眠不足はメンタルヘルスや生産性にも影響を及ぼすため、今後は“長さ”だけでなく“質”を高める意識がより重要になっていくでしょう。

質の高い睡眠で心身の健康を取り戻そう

質の高い睡眠で心身の健康を取り戻そう

夢ばかり見る夜や、朝のだるさが抜けない日々は、脳や体が十分に休めていないサインかもしれません。

しかし、ストレスの緩和や生活リズムの調整、寝室環境の工夫など、日常の少しの意識で睡眠の質は確実に変わっていきます。「ぐっすり眠れた」と感じられる朝が増えるだけで、心の安定や集中力、免疫機能の回復など、全身の健康が整っていくのです。

睡眠は一生を通じて向き合う健康の基盤です。マットレスや枕などの寝具を見直し、自分に合った睡眠環境を整えることも、質の高い休息への大切な一歩です。

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https://jp.koala.com/pages/120-night-trial?utm_source=blog

・参考

※1 睡眠と夢:レム睡眠と夢見の関係 | 日本睡眠学会
※2 レム睡眠・ノンレム睡眠と睡眠周期の基礎 | 厚生労働省 e-ヘルスネット
※3 睡眠中の脳のリフレッシュ機構を解明 | 日本医療研究開発機構
※4 快適な睡眠環境づくり(温度・湿度の目安) | 塩野義ウェルネス
※5 健康づくりのための睡眠ガイド2023 | 厚生労働省
※6 就寝前のリラックス法で睡眠の質を高める | T-PEC 企業支援コラム
※7 睡眠偏差値 調査2024(睡眠環境と質の相関) | ブレインスリープ
※8 睡眠時無呼吸症候群(Sleep Apnea Syndrome:SAS) | 日本呼吸器学会
※9 日本人の睡眠実態(令和5年 国民健康・栄養調査の解説) | 日本生活習慣病予防協会
※10 日本の平均睡眠時間はOECD最下位(7時間22分) | NTTデータ経営研究所