睡眠コラム by 松岡 雄治2026年8月25日読了目安時間: 5

泣きすぎて頭痛がするのはなぜ?タイプ別の対処法を解説

泣いたあとに頭が痛くなると、気持ちがつらいだけでなく、体まで消耗してしまいます。泣いたあとの頭痛には、強い感情による刺激や、首・肩・顔の筋肉の緊張などが関係している可能性があります。

また、頭痛の特徴によって、冷やす・温めるなど適した対処法が異なります。この記事では、泣いたあとに頭痛が起こる理由やタイプ別の対処法、市販薬を使う際の注意点、医療機関を受診する目安を解説します。痛みに合った方法で心身を休めるために、ぜひ参考にしてください。

 

泣きすぎた後に頭が痛くなる理由

泣いたあとに起こる頭痛には、強い感情によるストレスや、首・肩・顔の筋肉の緊張などが関係している可能性があります。片頭痛や緊張型頭痛に似た症状が現れることもあります。

原因を考える際は、頭が脈打つように痛むのか、締め付けられるように痛むのかを確認しましょう。吐き気や光・音への過敏など、頭痛以外の症状がないかを見ることも大切です。

また、泣く前から頭痛がなかったか、睡眠不足や空腹、水分不足などが重なっていなかったかも振り返ってください。

1. 強い感情が片頭痛の引き金になることがある

悲しみや怒りなどで感情が大きく動くと、呼吸や心拍、筋肉の緊張などにも変化が現れます。こうした心身のストレスが、片頭痛や緊張型頭痛の引き金になることがあります。

片頭痛では、こめかみなどがズキズキと脈打つように痛み、体を動かすと症状が強くなる傾向があります。吐き気を伴う、光や音を不快に感じるといった症状が現れる場合もあります。

片頭痛の原因は完全には解明されていません。「自律神経が乱れて血管が広がる」といったひとつの仕組みだけでは説明できず神経や脳内の物質など、複数の要因が関係していると考えられています。

泣いたあとに同じような頭痛を繰り返す場合は、痛みが始まった時刻や痛み方、続いた時間、月経・睡眠不足などの状況を記録しておきましょう。受診の際に、それらの情報も合わせて提示すると医師は診断しやすくなることがあります。

2. 首・肩・顔の筋肉が緊張する

泣いているときに歯を食いしばる、肩をすくめる、顔をこわばらせると、首や肩、頭の周りの筋肉が緊張します。その結果、緊張型頭痛に似た痛みが現れることがあります。

同じ姿勢で長く泣いていた場合は、首や肩にこわばりがないか確認してみましょう。目を強くこする、鼻をすすり続けるといった動作によって、顔周りの不快感が強くなる場合もあります。

緊張型頭痛では、頭の両側や後頭部が締め付けられるように重く痛む傾向があります。片頭痛と比べると、歩くなどの日常的な動作では悪化しにくく、吐き気も目立たないのが特徴です。

ただし、片頭痛と緊張型頭痛の特徴が重なることもあります。痛みの種類を判断できない場合や、首を動かすと痛みが強くなる場合は、無理にストレッチせず医師へ相談してください。

3. 水分不足や空腹が重なる

泣いたあとは口やのどが乾くことがありますが、基本的に、涙を流したことだけで脱水になっているわけではありません。泣く前から十分に水分をとっていなかった、食事を抜いていた、暑い場所にいたといった状況が重なると、頭痛が起こりやすくなる可能性があります。水分不足や食事を抜くことは、片頭痛の引き金としても知られています。

口の渇きや尿量の減少、立ちくらみなどがないか確認し、自力で飲める場合は水分を少しずつ補給しましょう。空腹がある場合は、体調を見ながら消化しやすいものを少量とってください。

 

泣いた後の頭痛をやわらげる対処法

泣いた後に頭が痛くなったら、まずは光や音などの刺激を避け、落ち着いて休みましょう。そのうえで、ズキズキと脈打つ痛みには冷却、首や肩のこわばりを伴う痛みには温熱など、症状に合った方法を試します。

冷やすか温めるか判断できない場合は、無理にどちらかを選ぶ必要はありません。短時間だけ試し、痛みが強くなった場合はすぐに中止してください。

1. 部屋を暗くして休む

ズキズキとした頭痛や、光・音を不快に感じる症状がある場合は、カーテンを閉め、照明や生活音を抑えた部屋で休みましょう。室温も暑すぎず寒すぎない範囲に調整します。

横になる場合は、首や肩へ力が入らないよう枕の高さを確かめてください。吐き気が強くなる場合は、クッションなどを使って上半身を少し起こし、楽な姿勢をとりましょう。

眠ることで痛みがやわらぐ場合もありますが、激しい頭痛や意識・見え方の異常がある場合は、そのまま寝て様子を見ず医療機関を受診してください。

2. こまめに水分を補給する

泣く前から水分を十分にとれていなかった場合は、水や白湯などを少しずつ飲みましょう。一度に多く飲むと吐き気が強くなることがあるため、無理のない量にしてください。

汗を多くかいた場合や、下痢・嘔吐によって水分と電解質を失っている場合は、経口補水液が選択肢になります。ただし、経口補水液は日常的な飲み物として大量に飲むものではありません。

頭痛がある間は、脱水や症状の悪化につながる可能性があるアルコールを控えましょう。カフェインの影響には個人差があるため、頭痛を治す目的で飲み慣れない量をとる必要はありません。

水分を補給は大切なことですが、それだけで痛みが消えるわけではありません。尿量の減少や強い立ちくらみ、嘔吐によって水分をとれない状態がある場合は、医療機関へ相談してください。

3. ズキズキする場合は頭や目元を冷やす

こめかみなどがズキズキと脈打ち、光や音をつらく感じる場合は、額やこめかみを冷やすと痛みがやわらぐことがあります。

冷たいぬれタオルや、布で包んだ保冷剤を短時間当てましょう。保冷剤を肌へ直接当てると凍傷のおそれがあるため、必ず布などで包んでください。皮膚の感覚が鈍くなったり、痛みが強くなったりした場合は中止します。

泣いたあとにまぶたが腫れている場合も、目を閉じて冷たいタオルを当てる方法があります。ただし、眼球を強く押してはいけません。目の痛みや見え方の異常がある場合は、眼科へ相談しましょう。

市販の冷却シートは鎮痛薬ではありません。冷たさを心地よく感じる場合に使い、頭痛が続くときはほかの対処や受診を検討してください。

4. 首や肩がこわばる場合は温める

頭全体を締め付けられるような痛みがあり、首や肩もこわばっている場合は、温めると楽になることがあります。心地よい温度の蒸しタオルを、首や肩へ短時間当ててみましょう。

しかし、熱いタオルを直接当てたり、温熱器具をつけたまま眠ったりすると、やけどの原因になることもあります。温度に気をつけるとともに、皮膚に赤みや痛みが出た場合は、すぐに使用を中止してください。

一方、ズキズキする片頭痛に似た痛みは、入浴や温熱によって悪化する場合があります。温めて痛みが強くなった場合は中止し、暗く静かな場所で休みましょう。

寝すぎによる頭痛については、以下の記事も参考にしてください。

関連記事:寝すぎで起きる頭痛の原因と解消・予防策を徹底解説

 

市販の頭痛薬は飲んでもいい?

急を要する症状がなく、普段から問題なく使用できる薬であれば、泣いたあとの頭痛に市販の鎮痛薬を使える場合があります。ただし、アセトアミノフェンや非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)など、含まれる成分によって注意点が異なります。

服用前に添付文書を読み、用法・用量と服用間隔を守りましょう。市販薬の場合、風邪薬や別の鎮痛薬に同じ成分が含まれていることもあるため、複数の薬を重ねて飲まないよう注意してください。

次に当てはまる場合は、購入・服用前に医師や薬剤師へ相談しましょう。

  • 妊娠中または授乳中である
  • 胃潰瘍や腎臓病、喘息などの持病がある
  • 薬のアレルギーを起こしたことがある
  • ほかの薬を服用している

また、頭痛薬を頻繁に使うと、「薬剤の使用過多による頭痛」を起こす可能性があります。薬を使う回数が増えている、以前より効きにくい、頭痛を繰り返しているといった場合は、自己判断で服用を続けず、頭痛外来や脳神経内科へ相談しましょう。

近年、この「薬の使いすぎによる頭痛(薬剤の使用過多による頭痛)」が話題になっています。「薬を早めに飲んだり、頭痛がないのに予防的に飲んだりすることで薬の効果が出にくくなり、頭痛がひどくなって、さらに薬を飲む」という悪循環が起こってしまいます。

月に10〜15回以上の頭痛治療薬の使用が目安です。また、この頭痛の場合、薬の中止によって7割が治るとされています。

日頃から頭痛があり、頭痛薬の連用に心当たりがある場合には、この頭痛の存在を頭の片隅に置いておき、適宜受診を検討してください。

※出典:日本頭痛学会「薬剤の使用過多による頭痛

 

泣くことのメリット

泣くことは自然な感情表現のひとつです。泣いたあとに気持ちが落ち着く人もいます。感じ方には個人差があるため、頭痛を避けようとして涙を無理に我慢する必要はありません。

泣いたあとは自分を責めず、心身を休ませましょう。水分を少しずつとり、目を強くこすらず、静かに休める環境を整えてください。呼吸が速くなっている場合は、無理のない範囲でゆっくり息を吐き、落ち着くのを待ちましょう。

悲しみや不安によって涙が止まらず、食事や睡眠をとれない状態が続く場合は、ひとりで抱え込まないことが大切です。身近な人や医療機関などへ相談してください。

涙が止まらない原因や対処法については、以下の記事も参考にしてください。

関連記事:涙が止まらないのはストレスのサイン?主な原因と5つの対処法を解説

 

受診を考えたい目安

泣いたあとに始まった頭痛でも、泣いたことが原因とは限りません。突然の激しい頭痛や、普段とは明らかに異なる症状がある場合は、病気が隠れているかもしれません。そのため、セルフケアだけで様子を見ないことが大切です。

次のような症状がある場合は、速やかに救急医療機関を受診してください。

  • 突然、経験したことのない激しい頭痛が起こった
  • 手足がしびれる、力が入りにくい
  • ろれつが回らない、呼びかけへの反応がおかしい
  • けいれんしている
  • 発熱と首の強いこわばりがある
  • 見え方の異常や強い目の痛みがある
  • 頭を打ったあとに頭痛や嘔吐が続いている

意識の低下やけいれんなどがあり、自力での受診が難しい場合は、救急車を呼びましょう。

緊急性の高い症状がなくても、頭痛を何度も繰り返す場合や、日常生活に支障が出ている場合、市販薬を使う日が増えている場合は、脳神経内科や頭痛外来へ相談してください。頭痛が起きた日時や痛み方、続いた時間、服用した薬などを記録しておくと、診察時に伝えやすくなります。

また、悲しみや不安が強く、涙が止まらない、眠れない、食事をとれない状態が続く場合は、心療内科や精神科も相談先になります。自分を傷つけたい気持ちがある場合は、ひとりで抱え込まず、身近な人や医療機関、救急窓口へ速やかに助けを求めてください。

朝起きたときにこめかみが痛む原因や受診の目安については、以下の記事でも解説しています。

関連記事:寝起きにこめかみが痛い原因は?朝の頭痛の対処法と受診の目安を解説

 

まとめ:泣いた後の頭痛はタイプに合わせてやさしくケアを

泣いたあとの頭痛には、強い感情によるストレスや、首・肩・顔の筋肉の緊張などが関係している可能性があります。睡眠不足や空腹、水分不足、暑さなどが重なっていなかったかも振り返りましょう。

頭痛があるときは、まず光や音を抑えた場所で休み、水分を少しずつ補給してください。そのうえで、痛み方に合わせて次のように対処します。

  • ズキズキして光や音がつらい場合は、額やこめかみを冷やす
  • 頭を締め付けるように痛み、首や肩がこわばっている場合は、心地よい温度で温める
  • 冷やすか温めるか迷う場合は無理に試さず、刺激を避けて休む

市販の頭痛薬を使う場合は、添付文書に記載された用法・用量を守り、ほかの薬との成分の重複に注意してください。頭痛を繰り返す場合や、薬を使う日が増えている場合は、頭痛外来や脳神経内科へ相談しましょう。

頭痛を避けるために、泣くことを無理に我慢する必要はありません。ただし、突然の激しい頭痛や手足のしびれ、意識の異常などがある場合は、「泣いたあとだから」と自己判断せず、速やかに医療機関を受診してください。