5時間睡眠は足りるのか?健康への影響と眠りの質を見直すポイントを解説
睡眠コラム by 松本 恭2026年5月26日読了目安時間: 6

5時間睡眠は足りるのか?健康への影響と眠りの質を見直すポイントを解説

松本 恭
コピーライター / 上級睡眠健康指導士

「健康の秘訣はぐっすり眠ること」がモットーで、これまでウォーターベッド、ウッドスプリングベッド、西式健康枕、ハンモックなどさまざまな寝具の寝心地を追求してきた睡眠マニア。偶然出会ったコアラマットレス®︎の快適さに感銘を受け、メンバーとして参加。上級睡眠健康指導士としての知識を通して、より多くの人に快眠を届けたいと願っている。

「今日も5時間しか眠れなかった。これで本当に大丈夫なのだろうか」と不安に感じたことはありませんか。仕事や育児、家事に追われる毎日の中で、気づけば5時間しか眠れていない—そんな経験を持つ方は決して少なくありません。

私自身もかつて、仕事の忙しさから5時間睡眠が続いた時期がありました。当時は「寝る間を惜しんで頑張っている」という充実感さえありましたが、ある日、簡単な計算ミスを繰り返したり、会議中に一瞬意識が飛んだりしたことで、自分の脳が「徹夜明け」に近い状態にあると気づき愕然としたことがあります。自分では「慣れた」つもりでも、体と脳は着実に悲鳴を上げているものです。

本記事では、上級睡眠健康指導士の資格を持つコアラマットレス社員の松本が、5時間睡眠が心身に与える本当の影響について、最新のガイドラインに基づき解説します。5時間睡眠がなぜ「危険」と言われるのかという理由から、睡眠不足を見極めるサイン、そして限られた時間でも眠りの質を最大化するための具体的なポイントまで詳しくお伝えします。

適正な睡眠時間の目安

「何時間眠れば十分なのか」は多くの方が気になる疑問です。厚生労働省が2024年に公表した「健康づくりのための睡眠ガイド2023」では、成人の場合6時間以上の睡眠確保を推奨しており、科学的知見に基づく適正範囲として6〜8時間が示されています。※1

5時間程度の睡眠でも健康を維持できる真のショートスリーパーは、特定の遺伝子変異を持つ人口の1%未満という非常に希少な存在です。「自分はもともと少ない睡眠でも平気だ」と感じている方も多いかもしれませんが、多くの場合、慢性的な睡眠不足に体が慣れてしまった状態にすぎず、本人が気づかないうちに睡眠負債(睡眠不足の積み重ね)が健康に影響を与え続けていることが多いです。

なお、必要な睡眠時間には個人差があります。加齢とともに睡眠時間は短くなる傾向があり、高齢者では6〜7時間程度でも日中に支障がない場合もあります。

【年代別】日本人の平均睡眠時間

厚生労働省が実施した「国民健康・栄養調査」(2019年)では、20歳以上の男女における睡眠実態が報告されています。※2

1日の平均睡眠時間が6時間未満の人の割合は男性で37.5%、女性で40.6%にのぼります。つまり、成人の約4割が慢性的な睡眠不足の水準で生活しているのです。

年代別で見ると、睡眠時間が最も短いのは働き盛りの50代です。50代男性の49.4%、50代女性の53.1%が1日の睡眠時間6時間未満というデータが出ており、約2人に1人が睡眠不足の状態です。30〜40代の子育て世代や現役ビジネスパーソンも同様の傾向があり、長時間労働や家事・育児との両立が睡眠時間を圧迫していることがうかがえます。

一方、60代以降は睡眠時間そのものは伸びる傾向がある一方で、夜中に目が覚めやすいなど、睡眠の質の問題が出やすくなります。

年代 特徴・傾向 6時間未満の割合(目安)
20〜29歳 夜型生活になりやすく、睡眠時間が削られやすい 男女とも35%前後
30〜49歳 仕事・育児が重なり、睡眠が圧迫されやすい 男女とも40〜45%程度
50〜59歳 最も睡眠時間が短い世代(全年代でトップ) 男性49.4%、女性53.1%(確認値)
60歳以上 睡眠時間は伸びるが、中途覚醒など質の問題が増える 男女とも30%前後

出典:厚生労働省「国民健康・栄養調査」2019年 ※2 

この状況を踏まえると、「5時間しか眠れていない」という悩みは決して特別なものではなく、日本社会全体が抱える課題とも言えますが、だからといって5時間睡眠が問題ないわけではない点に注意しましょう。

5時間睡眠を続けると起こりやすい影響

「毎朝なんとか動けているから大丈夫」と感じていても、5時間睡眠が続くと気づかないうちにさまざまなダメージが身体と脳に積み重なっていきます。慢性的な睡眠不足は症状が徐々に進行するため、本人が異変に気づきにくい点が特に厄介です。研究データをもとに特に起こりやすい3つの影響について解説します。

1. 集中力・パフォーマンスの低下

睡眠不足が集中力やパフォーマンスに与える影響は、多くの人が想像する以上に深刻です。ペンシルベニア大学の研究によると、6時間睡眠を約10日間続けると、集中力や注意力の低下は1日完全に徹夜した場合と同じレベルにまで達することが報告されています。5時間睡眠であれば、その低下はさらに速く、約1週間で徹夜同等の状態になるとも指摘されています。※3

さらに深刻なのは、慢性的な睡眠不足に陥っている人ほど、自分のパフォーマンス低下に気づきにくくなるという点です。同研究では、6時間睡眠グループの参加者は集中力が著しく低下しているにもかかわらず、眠気はさほど感じていないと回答しました。「今日も眠くはないから大丈夫」という感覚は、睡眠不足の慢れからくる感覚の鈍化であり、実際のパフォーマンスとは乖離していることが多いのです。反応速度の低下、ケアレスミスの増加、会話の中の言葉が出てこないといった変化は、睡眠負債が積み上がったサインです。

2. 生活習慣病リスクの上昇

「5時間睡眠は危険ですか?」という不安を抱える方に知っておいてほしいのが、慢性的な睡眠不足と生活習慣病の密接な関係です。健康日本21アクション支援システムによると、不眠症状のある人が糖尿病を発症するリスクは、良眠している人に比べて1.5〜2倍高まることが報告されています。※4

睡眠不足が続くと食欲を抑えるホルモン(レプチン)の分泌が減り、反対に食欲を促進するホルモン(グレリン)が増加するのが、そのメカニズムです。過食や肥満を招き、さらに血糖コントロールを乱して糖尿病リスクを高めます。高血圧についても、睡眠時間が5時間以下の人は7時間睡眠の人と比べて高血圧になりやすく、そのリスクは1.1〜1.7倍に上るとの報告もあります。加えて心疾患や脳血管疾患のリスクも高まることが明らかになっており、睡眠不足の影響ははかりしれません。

3. 認知機能の低下

睡眠中の脳は、日中に蓄積した老廃物(アミロイドβなど)を洗い流すという重要な作業を行っています。5時間睡眠が慢性化すると、この浄化プロセスが十分に機能しなくなると記憶力や判断力の低下につながり、長期的には認知症の発症リスクも高まることが研究で示されています。米ブリガム・アンド・ウイメンズ病院の報告では、睡眠時間が5時間未満の高齢者は7〜8時間睡眠の高齢者と比べて認知症を発症するリスクが約2倍になると指摘されています。

「睡眠時間が5時間だとうつ病になりますか?」という疑問も多く寄せられますが、これも研究で関連が確認されています。慢性的な睡眠不足はうつ病を引き起こす可能性があり、うつ病を発症している人の80%以上が何らかの睡眠の問題を抱えているというデータもあります。睡眠不足とメンタルヘルスは双方向の関係にあり、どちらかが崩れるともう一方も悪化しやすいという負のサイクルに陥りやすい点が厄介です。

関連記事:【医師監修】ショートスリーパーとは?睡眠時間が短い人の特徴と健康リスク、睡眠の質を高める方法

睡眠不足の主なサイン

「自分は5時間でも平気」と感じていても、実際には慢性的な睡眠不足の状態にある場合があります。睡眠不足は慣れによって自覚しにくくなるため、日常生活の中に現れているサインを客観的にチェックすることが大切です。以下の項目の中で、当てはまるものがいくつあるか確認してみてください。

  1. 朝スッキリと目覚められず、アラームを何度も止めてしまう状態が続く
  2. 布団に横になると5分以内に眠りにつける
  3. 昼食後や会議中、乗り物の中など、集中すべき場面で強い眠気に襲われることがある
  4. 理由のはっきりしない頭痛や頭の重さ、身体のだるさを慢性的に感じている
  5. ちょっとしたことでイライラしたり、感情のコントロールが難しくなったりすることが増えている
  6. 肌荒れ、ニキビ、目の下のクマが気になるようになっている
  7. 以前より物忘れが多くなった、集中力が続かない

これらのうち、3つ以上が当てはまる場合は慢性的な睡眠不足の可能性が高いと考えられます。特に「布団に入るとすぐ眠れる」という状態は、一見睡眠が得意なように思えますが、実際には眠気が限界に達して気絶に近い状態になっているサインであることが多いです。また、昼食後に我慢できない眠気が毎日続いているようであれば、夜間の睡眠が根本的に足りていない可能性が高いといえます。

なお、15〜20分程度の短い昼寝(パワーナップ)は、こうした日中の眠気を和らげる手段として有効です。ただし、昼寝で夜の睡眠を完全に補うことはできないため、あくまで補助的な手段として捉えましょう。

寝つきが悪いときの対処法

睡眠不足の原因は「眠る時間がない」だけではありません。「布団に入っても眠れない」「夜中に何度も目が覚める」「眠りが浅くて疲れが取れない」といった睡眠の質の問題も、5時間睡眠と同様に深刻な影響をもたらします。生活習慣を見直すことで眠りの質は改善できます。健康日本21アクション支援システムや各種研究をもとに、快眠法として有効な対処法を6つ紹介します。※4

1. 就寝・起床時間を一定にする

私たちの身体には、約24時間周期で機能する「概日リズム(サーカディアンリズム)」が備わっています。毎日同じ時間に起き、同じ時間に眠る習慣がこのリズムを安定させ、自然な眠気と覚醒のサイクルを整えます。たとえば「朝5時起き」を毎日続けることでリズムが定着し、夜になると自然に眠気が訪れます。

週末に「寝だめ」として長時間眠ることは、一見すると疲れを解消するように思えますが、実際には概日リズムを乱す原因になりやすいです。週末眺めに寝るとしても、平日の起床時間との差が1〜2時間以内になるよう心がけましょう。

2. 睡眠時間にこだわらない

「7時間眠らなければ」「8時間確保しなければ」という強いプレッシャー自体が、かえって入眠を妨げることがあります。睡眠について過度に意識しすぎると、布団の中で「眠れない」という焦りが生まれ、ストレスとなって覚醒状態を維持してしまう悪循環に陥ります。

大切なのは時間の長さよりも、翌日に日常生活を元気に過ごせているかという「休養感」です。目覚めた時にある程度すっきりしており、日中に支障なく活動できているなら、それがあなたにとって適切な睡眠の量と質といえます。理想の睡眠時間はあくまで目安であり、個人差があることを念頭に置いてください。

3. アルコールやカフェインを控える

「お酒を飲むとよく眠れる」という認識は広く見られますが、これは誤解です。アルコールは確かに入眠を早める効果がありますが、睡眠中に分解される過程でアセトアルデヒドが生成され、睡眠後半の深いノンレム睡眠が妨げられ、夜中に目が覚めやすくなります。適切な睡眠の質を保つために、就寝3時間前以降の飲酒は控えましょう。

カフェインについては、摂取後の覚醒作用が5〜7時間程度続くことが知られています。コーヒーや緑茶、エナジードリンクは午後2〜3時以降は控えることを目安にすると、夜の自然な眠気を妨げにくくなります。就寝前の飲み物には、ハーブティーや温かい牛乳など、カフェインを含まないものを選びましょう。

4. 太陽の光を浴びる

朝に太陽の光を目から取り込むことは、睡眠の質を高める最も手軽で効果的な方法の一つです。朝の光刺激が体内時計をリセットし、約14〜16時間後に睡眠を促すホルモン「メラトニン」が自然に分泌されるリズムが整います。このサイクルが定まると、夜になって自然に眠気が訪れます。

起床後30分以内に、5〜10分ほど光を浴びてください。天候が悪い日でも屋外の方が室内よりもはるかに光量は多いため、カーテンを開けて窓のそばに立つだけでも効果があります。朝5時起きのような早起き習慣と組み合わせると、メラトニンのリズムをより早い時間帯に整えられます。

5. 適度な運動をする

定期的な有酸素運動は、睡眠の深さと質を高める効果があることが多くの研究で示されています。ウォーキングや軽いジョギング、ストレッチなどを就寝3時間前までに行うと、体温が一時的に上昇した後の体温低下により自然な眠気を促します。日中に体を適度に動かすほど、夜の眠気が深まりやすいのです。

ただし、就寝直前の激しい運動は交感神経を活性化させて、逆に寝つきを悪くする原因になることがあります。運動の強度と時間帯のバランスを意識しながら、無理のない範囲で続けましょう。

6. 睡眠環境を整える

眠りの質は寝室の環境にも大きく左右されます。暑すぎたり寒すぎたりすると、寝返りが増えて睡眠が浅くなりやすいです。適切な室温は20〜22℃前後、湿度は40〜70%が目安とされており、夏は少し低め、冬は暖かすぎない程度に調整することが快眠につながります。

室内はできるだけ暗くするのが理想的です。スマートフォンやパソコンの画面から発せられるブルーライトはメラトニン分泌を抑制するため、就寝1時間前にはデバイスの使用を控えてください。枕や掛け布団などの寝具の素材や硬さも、自分の体型や好みに合ったものを選ぶことで、中途覚醒が減り、朝の目覚めが改善されやすいです。

関連記事:【医師監修】日本人の平均睡眠時間は本当に短い?世界と比較しながら徹底解説

どうしても眠れないときは受診も検討しよう

上記のような生活習慣の改善を試みても睡眠の悩みが解消されない場合は、睡眠障害や他の疾患が背景にある可能性があります。睡眠の問題は「気合いで乗り越えるもの」と考えてしまいがちですが、専門医の適切なサポートで改善できるケースは少なくありません。自己判断で抱え込まず、まずは医療機関への相談を検討してみてください。

受診の目安としては、次のような状態が2〜4週間以上続いている場合が考えられます。

  • 布団に入ってから30分以上眠れない夜が続いている
  • 夜中に何度も目が覚めて再び眠りにつくのが難しい
  • 朝早くに目が覚めてそのまま眠れない
  • 日中の眠気や疲労感で仕事や日常生活に支障が出ている場合

まずはかかりつけ医や内科に相談し、必要に応じて睡眠外来(精神科・心療内科)への紹介を受けるとスムーズです。不眠の背景に睡眠時無呼吸症候群や不眠症、うつ病が隠れていることもあるため、自己判断せず専門家のアドバイスを受け、適切な検査や診断を受けると正しい治療につながります。

まとめ:多くの成人にとって5時間睡眠は短い

5時間睡眠が慢性化すると、集中力やパフォーマンスの低下(6時間睡眠を10日続けると徹夜と同レベルまで低下)、糖尿病・高血圧などの生活習慣病リスクの上昇、認知機能の低下やうつ病との関連といった深刻な影響が積み重なっていきます。

一方で、睡眠の悩みは「時間を増やす」だけでは解決しないこともあります。就寝・起床時間の固定、朝の太陽光を浴びる習慣、アルコールやカフェインの摂取タイミングの見直し、適度な運動と快適な睡眠環境の整備——こうした「睡眠の質の改善」と「睡眠時間の確保」の両軸で取り組むことが、本当の意味での睡眠改善につながるのです。

今感じている「疲れが取れない」「朝が辛い」「集中できない」は、身体からのSOSかもしれません。この記事をきっかけに、現在の睡眠習慣を一度立ち止まって見直してみてください。

おうちでしっかり納得するまで120日間お試し!

・参考

※1 健康づくりのための睡眠ガイド2023 | 厚生労働省
※2 国民健康・栄養調査(令和元年) | 厚生労働省
※3 The cumulative cost of additional wakefulness: dose-response effects on neurobehavioral functions and sleep physiology from chronic sleep restriction and total sleep deprivation | PubMed
※3
睡眠と生活習慣病との深い関係 | 健康日本21アクション支援システム