ストレスで眠れない夜を終わらせる ― 科学と寝具で整える快眠メソッド
睡眠コラム by Koala Sleep Japan2025年7月20日読了目安時間: 5

【医師監修】ストレスと睡眠の関係は? ― ストレス性不眠を解決するための5つのセルフケア習慣

布団に入っても頭が冴えて眠れない。仕事の締め切りや家族のことが気になり、深夜まで思考が止まらない。そのような「眠りたいのに眠れない」夜が続くと、心も体もすり減ってしまいます。

実際、ストレスが交感神経を過剰に刺激し、睡眠ホルモンの分泌を乱すことが科学的にも明らかになっており、眠れない状態がさらなるストレスを生むという悪循環が起こります。だからこそ、ストレスと睡眠を同時に整えることが大切です。

本記事では、上級睡眠健康指導士でコアラマットレス社員の松本が、ストレスによる不眠のメカニズムを解き明かし、今日から実践できるセルフケアの方法や睡眠の質を高める寝室環境の整え方、さらに快眠を後押しする寝具選びまでを詳しくご紹介します。

ストレスが睡眠を妨げる三つの科学的メカニズム

ストレスが睡眠を妨げる三つの科学的メカニズム

「眠ろうとしても頭が冴えて眠れない」と感じる背景には、ストレスによって自律神経やホルモン、そして脳の回復機能にさまざまな変化が起きている可能性があります。

このセクションでは、自律神経のバランスの乱れ・ホルモン(コルチゾール)の分泌異常・深い睡眠の欠如による脳疲労の蓄積という三つの視点から、ストレスと睡眠の関係性について探っていきます。

自律神経の乱れとコルチゾール過剰分泌

ストレスを感じたとき、私たちの体内では交感神経が活発になり、心拍や血圧が高まるといわれています。このような状態が夜まで続くと、リラックスを司る副交感神経がうまく働かず、入眠に必要な心身の準備が整わないまま床につくことになりかねません。

また、ストレスと関係が深いホルモン「コルチゾール」は、本来であれば朝に上昇し夜には低下するリズムが理想とされます。ところが、精神的負荷が強い状態が続くと、夜間も高いコルチゾール値が維持され、脳が「活動時間が続いている」と誤って判断することがあるようです。

あるランダム化比較試験(RCT)では、心理的ストレスを受けた被験者において、就寝前のコルチゾール濃度が上昇し、REM睡眠の割合が有意に減少する傾向が確認されています。※1

こうした生理的な変化が、眠りの質を下げている可能性があると考えられます。

深睡眠・REM睡眠の減少がもたらす日中パフォーマンスの低下

睡眠には主に「深睡眠(ノンレム睡眠)」と「REM睡眠」の二つの段階があり、それぞれが心身の回復に不可欠な役割を担っているとされています。

深睡眠中には成長ホルモンが分泌され、免疫や代謝のバランスを整える働きが行われる一方、REM睡眠中には記憶の整理や感情の調整が進むとされます。

しかしストレスの影響でこれらの睡眠段階が減少すると、起床後に疲れが残ったり、注意力や感情の安定性が低下したりすることがあるようです。

厚生労働省の「国民生活基礎調査」によれば、1日の睡眠時間が6時間未満の人のうち約60%が「悩みやストレスを感じている」と回答しています。※2

この傾向は、短い睡眠時間とストレス感情との間に一定の関連性がある可能性を示唆しています。

慢性的な短時間睡眠とメンタルヘルス障害リスク

短期間であれば問題にならないように感じられる睡眠不足でも、それが習慣化するとメンタルヘルスや身体的な不調のリスクが高まる可能性があると報告されています。特に、うつ症状、不安障害、肥満や生活習慣病との関連が指摘されており、注意が必要です。

厚生労働省がまとめた「健康づくりのための睡眠ガイド2023」では、20代~50代の働く世代の約半数が6時間未満の睡眠にとどまっているという調査結果が公表されています。※3

こうした状況は、個人の生活習慣だけでなく、社会全体で考えるべき課題といえるのではないでしょうか。

関連記事:医師監修 | 眠いのに眠れないストレスとその改善法10選

本多洋介 医師
本多洋介 医師
眠れない夜が続く背景には、ストレスで交感神経が優位となり、コルチゾールが高く保たれてしまい、「眠る準備」が止まっていることがあります。
すぐに出来る対策は①毎日同じ時刻に起床する、②就寝前1時間は強い光や情報を断って眠る準備を整える、③ぬるま湯に入浴してリラックスする、④夕方までに軽い有酸素運動を行う、⑤寝室の温度と湿度を整えて、寝具を身体に合ったものにする、ということです。
2〜3週以上の不眠、いびき・無呼吸、抑うつ症状が続く場合には医療機関に受診してください。眠ろうと無理に力を入れるのではなく、「自分をいたわる静かな時間をつくる」とい意識で睡眠と向き合っていきましょう。

ストレス性不眠を解決するための5つのセルフケア習慣

「眠らなければ」と考えること自体がプレッシャーとなり、さらに眠れなくなる──そのような経験をされた方も多いかもしれません。

ストレス性の不眠には、体と心の両面からアプローチするセルフケアの積み重ねが役立つこともあるようです。

ここでは、自律神経の調整やホルモンバランスを意識した5つの生活習慣を紹介します。特別な道具は不要で、どれも日常生活に無理なく取り入れられるものです。

呼吸法とマインドフルネスで交感神経を落ち着ける

呼吸を整えることで、心身の緊張が緩和されやすくなると考えられています。中でも「4-7-8呼吸法」は、ストレスによって過剰に働いた交感神経を鎮め、入眠前の心の静けさを作る一助となるかもしれません。

具体的には「4秒吸って、7秒止めて、8秒かけて吐く」を1セットとし、3〜4回繰り返します。

また、「ボディスキャン瞑想」や「マインドフルネス呼吸」など、意識を今ここに集中させる習慣も、自律神経のバランスを整えるきっかけになると言われています。

実際に、マインドフルネスを習慣化した被験者では、コルチゾールの反応性が低下し、入眠までの時間が短縮されたという報告も見られます。※1

GABA・トリプトファンを含む食材で睡眠ホルモンをサポート

日々の食事も、快眠に向けた土台づくりに関わる重要な要素のひとつです。GABAやトリプトファンといった栄養素は、睡眠を促すホルモンの生成を後押しする役割があるとされています。

こうした栄養を含む食品としては、バナナ、ヨーグルト、納豆、チーズ、豆腐、卵、ナッツ類などが挙げられます。とくに夕食に取り入れると、就寝のタイミングと栄養吸収が自然に重なりやすくなるようです。

GABA入り食品に関しては、睡眠改善に一定の影響を与えたという研究結果も報告されています。※4

適度な運動で自然な眠りを促す準備をする

軽い運動によって得られる適度な疲労感は、入眠をスムーズにしやすいと感じる方も多いようです。ウォーキングやヨガ、ストレッチなど、リズムが一定で心拍数を急激に上げない運動が推奨されています。

特に、屋外でのウォーキングは太陽光を浴びることで体内時計のリセットにもつながりやすく、睡眠リズムの安定をサポートしてくれるかもしれません。

夕方までに20〜30分ほどの運動を取り入れることで、夜の自然な眠気が訪れやすくなる傾向があるとされています。

光と温湿度を整えるルームメイクを心がける

寝室の環境は、睡眠の質に大きな影響を与えると言われています。とくに「光」と「温度・湿度」は、睡眠ホルモンの分泌や体温調整に関わる重要な要素と考えられています。

就寝前1時間は、スマホやPCなどのブルーライトをなるべく避け、間接照明や暖色系のライトに切り替えることで、副交感神経が優位になりやすくなります。

また、室温は16〜20℃、湿度は50%前後が快眠に適した環境とされています。これに近づけるよう、エアコンや加湿器などを活用するとよいでしょう。

実際、室内環境が整っていないと睡眠時間が短くなり、翌日の疲労感が強まるという傾向も報告されています。※5

就寝前のルーティンで心と体を眠りモードに導く

毎晩同じ行動を繰り返すことで、身体が「そろそろ寝る時間」と認識しやすくなることがあります。こうした習慣は、入眠までの心身の流れをスムーズにする“合図のような働きを持つと考えられています。

たとえば、ハーブティーを飲む、アロマを使う、紙の本を読む、軽くストレッチをするなど、自分に合ったリラックス方法を見つけるのがポイントです。

眠ろうと無理に力を入れるのではなく、「自分をいたわる静かな時間をつくる」という姿勢が、ストレス性不眠に向き合う上でも心強い味方になってくれるかもしれません。

関連記事:【上級睡眠健康指導士監修】寝相が悪いのはなぜ?その原因と寝相を良くするためのポイント

ストレスと睡眠の好循環は、今日から少しずつ整えられる

ストレスと睡眠は、互いに深く関わり合う関係にあるとされています。眠りが浅くなることで日中の集中力や気分に影響が出て、それがさらにストレスにつながってしまう。そのような悪循環に心当たりのある方もいらっしゃるかもしれません。

しかし見方を変えれば、「睡眠の質を少しでも整えること」が、ストレスに左右されにくい心身づくりの一歩になるともいえます。

そのために必要なのは、小さな行動の積み重ねです。科学的な知見と実践しやすい工夫を組み合わせることで、無理なく前向きな変化を目指すことができるかもしれません。

今日から始められるストレスと睡眠の整え方チェックリスト

  • 呼吸法やマインドフルネスで交感神経を静める時間をつくる
     例:4-7-8呼吸法、ボディスキャン瞑想などを就寝前に5分程度
  • 夕食にGABAやトリプトファンを含む食材を取り入れてみる
     例:バナナ、ヨーグルト、納豆、チーズなど
  • 寝室の光・温度・湿度を整えて、体が安心できる空間にする
     目安:室温16〜20℃、湿度50%前後、ブルーライトは就寝1時間前からカット
  • 日々の体調や好みに合うマットレスで、睡眠環境そのものを見直す
     → 体圧分散・硬さ調整・中途覚醒対策などに配慮した寝具を選ぶ

<コアラマットレスプラス PLUS>
https://jp.koala.com/products/koala-mattress-plus?utm_source=blog

参考

※1 https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC10332417/

※2 https://www.e-stat.go.jp/stat-search/files?page=1&stat_infid=000031964331

※3 https://www.mhlw.go.jp/content/10904750/001181265.pdf

※4 https://www.house-direct.jp/contents/stress-and-sleep/

※5 https://kyodonewsprwire.jp/release/202403298760