睡眠コラム by 南 茂幸2026年6月27日読了目安時間: 5

育児中の寝不足はいつまで続く?原因と限界になる前にできる対策

監修者

南 茂幸
理学療法士/睡眠コンサルタント

理学療法士の資格を持つ睡眠コンサルタント。睡眠について数名から100名以上の規模でセミナー講師として登壇、他にもコンサルティング、ラジオ出演、睡眠グッズ監修等幅広く活躍。「睡眠の質が人生の質」と捉え、睡眠は自分への投資であると考え、現在出版準備中。

育児中の寝不足に悩んでいませんか。

赤ちゃんの夜泣きや授乳、寝かしつけによって何度も起こされ、まとまった睡眠時間を確保できない状態は、多くの親が経験します。こども家庭庁の調査によると、子育ての負担感を感じる人は6割、孤独感を感じる人は2.5割と報告されています(※1)。

産後は身体の回復も必要な時期であり、睡眠不足が続くことで疲労感やイライラが強くなり、「この生活はいつまで続くのだろう」と不安になる方も少なくありません。

育児中の寝不足は、親の努力不足ではなく、赤ちゃんの発達や育児環境によって起こる自然な現象です。生まれたばかりの赤ちゃんは数時間おきに寝たり起きたりを繰り返し、養育者の睡眠も細切れになりやすいことが示されています(※2)。

この記事では、育児中の寝不足の原因やいつまで続くのかという目安、心身への影響、具体的な対策、夫婦での分担方法、公的支援の活用まで詳しく解説します。

※1:こども家庭庁委託事業 妊婦や乳幼児とその保護者を取り巻く生活実態調査調査 結果報告書

※2:健康づくりのための睡眠ガイド2023(案)

 

育児中に寝不足になりやすい主な原因

育児中に寝不足になる原因として、夜泣き、授乳、寝かしつけ、赤ちゃんの睡眠リズムなど「赤ちゃんが寝ない」だけではなく、家事が後回しになり遅くなることや親が気を張ってしまうことなど様々あります。

1. 夜泣きや授乳で睡眠が細切れになる

育児中の寝不足の原因の一つは、赤ちゃんの睡眠リズムが未熟なことです。

新生児は昼夜の区別がなく、2〜3時間ごとに授乳が必要になるため、夜間も頻繁に起きます。おむつ替えや抱っこが必要になることも多く、親はまとまった睡眠を取りにくくなります。

睡眠時間そのものが短くなるだけでなく、何度も中途覚醒することで深い睡眠が妨げられ、疲労回復しにくくなります。たとえ合計で6〜7時間眠れていても、細切れ睡眠では強い疲労感が残ってしまうことがあります。

2. 赤ちゃんが寝ても親がすぐ眠れない

赤ちゃんが眠ったからといって、親もすぐに眠れるとは限りません。「ちゃんと呼吸しているかな」「またすぐ起きるかもしれない」と気が張った状態が続き、なかなか寝付けないケースは珍しくありません。

また、赤ちゃんが寝てる間に溜まった家事を片付けたり、スマホを見たりしているうちに、せっかくの休息時間を逃してしまうこともあります。疲れているのに眠れない状態は、産後や育児中によく見られる悩みの一つです。

3. 家事や上の子の対応で休む時間がなくなる

育児中の負担は赤ちゃんのお世話だけではありません。食事の準備、洗濯、掃除、買い物に加え、上の子がいる家庭では送迎や宿題のサポートなども必要になります。

赤ちゃんが昼寝している時間に家事を済ませようとすると、自分自身の休息時間がなくなります。ワンオペ育児の家庭では特にその傾向が強く、慢性的な寝不足につながりやすくなります。

 

育児の寝不足はいつまで続くのか?

この寝不足はいつまで続くのだろうと不安に思う方もたくさんいます。目安として参考にしてください。

新生児期から生後3か月頃は負担が大きい

育児中の寝不足が最も深刻になりやすいのは、新生児期から生後3か月頃までです。この時期は授乳間隔が短く、昼夜の区別もまだ十分についていません。そのため、親は数時間おきに起きる生活を続けることになります。さらに、出産による身体への負担やホルモンバランスの変化も重なるため、心身ともに疲れやすい時期です。

家事を完璧にこなそうとせず、まずは休息を優先することが大切です。

半年以降も夜泣きや生活リズムで続くことがある

生後6か月になる頃には体内時計が整い、昼夜の区別がつきやすくなります。睡眠リズムが整い始める赤ちゃんも増えます。しかし、夜泣きが続く子もいれば、離乳食や体調不良、発達の変化によって睡眠が不安定になることもあります。

また、仕事復帰や上の子の育児が重なることで、親の寝不足が長引くケースもあり、「半年過ぎたのにまだつらい」「1歳を過ぎても夜中に起きる」という家庭も珍しくありません。

 

寝不足が続くと心身にどんな影響がある?

子育てに負担感を感じる親は約6割、孤立感を感じる親も2割を超えています。育児中の寝不足は、多くの家庭が抱える課題です。

1. 疲労感や集中力の低下につながる

睡眠不足が続くと、日中の眠気やだるさが強くなります。集中力や判断力も低下しやすくなり、家事や仕事でのミスが増えがちです。

車の運転や外出時の安全面にも影響するため、「気合で乗り切る」のではなく休息を確保することが重要です。

2. イライラや自己嫌悪が強くなることがある

寝不足になると感情のコントロールが難しくなります。子どもの泣き声に必要以上にイライラしたり、パートナーにきつく当たってしまったりすることもあるでしょう。

そして、その後に「こんな親ではだめだ」「なんであんなこと言っちゃったんだろう」と自己嫌悪に陥ることも少なくありません。

自分を責めがちですが、睡眠不足と育児負担が重なった結果として起こりやすい反応です。

3. つらさが強いときは相談が必要になる

涙が止まらない、食欲がない、育児が怖い、眠りたいのに全く眠れないといった状態が続く場合は注意が必要です。

一人で抱え込まず、家族や自治体、保健師、助産師、医療機関へ相談しましょう。早めに支援を受けることで、心身への負担を軽減できる場合があります。

 

育児中の寝不足を和らげる方法

寝不足は心身ともに影響します。自分のため、赤ちゃんのために少しでも寝不足を解消しましょう。

1. 赤ちゃんが寝たら家事より休息を優先する

家事が気になる気持ちは自然なものですが、育児中は家事の完璧さよりも親の健康を優先する必要があります。

赤ちゃんが寝たら一緒に横になる、目を閉じるだけでも構いません。短時間でも身体を休めることが、疲労感の蓄積防止につながります。

2. 短い昼寝や仮眠を取り入れる

まとまった睡眠が難しい時期は、15〜30分程度の昼寝も有効です。

短い仮眠でも眠気や疲労感の軽減が期待できます。ただし長時間の昼寝は夜の睡眠に影響することもあるため、無理のない範囲で取り入れましょう。

3. 寝る前のスマホや明るい照明を減らす

赤ちゃんが寝た後にスマホを見る習慣がある方も多いですが、スマホやタブレットの強い光は脳を覚醒させ、寝つきを悪くする可能性があります。また、夜遅くまで動画視聴や作業を続けると、貴重な睡眠機会を失いやすくなります。スマホなどを見る時は時間を決めることがおすすめです。

眠れるタイミングで眠れるよう、就寝前はできるだけリラックスできる環境を作りましょう。

4. 寝室環境を整えて眠れる時間の質を上げる

育児中は睡眠時間を増やすことが難しい場合があります。だからこそ、限られた睡眠時間の質を高めることが重要です。

室温や湿度を快適に保ち、照明を暗めにすることで眠りやすい環境を整えましょう。

また、自分の体に合った枕やマットレスを使用することで、短時間でも休息しやすくなる場合があります。

関連記事:自分に合うマットレスは柔らかめ?硬め?上級睡眠健康指導士がじっくり解説!

メモ:夫婦や家族で睡眠時間を確保する分担の考え方

総務省の調査では、6歳未満の子どもがいる家庭において、家事や育児の負担は依然として女性に偏る傾向がみられます。特に「食事の管理」や「乳幼児の身体の世話と監督」で大きいことがわかっています(※3)。

睡眠不足を改善するためには、家族間の協力も必要不可欠です。

※3:令和3年社会生活基本調査 結果の概要

5. 夜間対応を一人で抱えない

母乳以外のおむつ替えや寝かしつけ、ミルクの準備などはパートナーも担当できます。曜日ごとに担当を分けたり、夜間対応後の朝は片方を長く寝かせたりする方法も有効です。

実際に、私も育児中は夜間にミルクをあげたり、朝の対応をしたりして妻の睡眠時間をなるべく確保できるよう努めていました。

6. 家事の合格ラインを下げる

産後や乳児期は「できる範囲で十分」と考えることが大切です。

冷凍食品や宅配サービス、時短家電、家事代行なども活用しながら、睡眠時間の確保を優先しましょう。すべて自分でやる必要はなく、負担を減らす工夫を考えましょう。

7. 休日や在宅勤務の日に交代で眠る

共働き家庭では、休日やテレワークができる夫婦は、その日を活用する方法もあります。

午前と午後で担当を分けたり、夜間対応した人が翌朝ゆっくり眠れるよう調整したりすることで、睡眠不足の蓄積を防ぎやすくなります。

 

限界になる前に使いたい外部支援と相談先

育児中の寝不足を家族だけで抱え込む必要はありません。自治体の産後ケア事業では、育児相談だけでなく、睡眠や疲労への支援も行われています(※4)。

また、一時預かりやファミリーサポート事業を利用することで、親が休息時間を確保できる場合もあります。夜間授乳や母乳育児で悩んでいる場合は、助産師や保健師への相談も有効でしょう。

「まだ頑張れる」と無理を続けるよりも、「少し疲れているかも」と感じた段階で相談することが大切です。

※4:前・産後サポート事業ガイドライン 産後ケア事業ガイドライン

 

育児中の寝不足でよくある質問

Q1. 寝不足でイライラするのは甘えですか?

甘えではありません。

睡眠不足が続くと感情のコントロールが難しくなることがわかっています。イライラは心身が休息を求めているサインの一つですから、睡眠を取る工夫、パートナーや相談窓口への相談を検討しましょう。

Q2. 育児中の寝不足で仕事がつらいときはどうすればよいですか?

時短勤務や在宅勤務、有給休暇の活用などで仕事量の調整をしましょう。

仕事だけでなく、家事外注や家庭内の役割分担も合わせて見直すことが大切です。

Q3. 寝不足で倒れそうなときはどうすればよいですか?

強い眠気やめまい、食事が取れない、涙が止まらないなどの状態がある場合は、家族や自治体、医療機関へ早めに相談してください。

育児はすべて一人でやる必要はなく、抱え込むものではありません。

 

育児中の寝不足は一人で抱えず休む仕組みを作ろう

育児中の寝不足は、多くの親が経験する悩みです。赤ちゃんの夜泣きや授乳による細切れ睡眠は自然なことであり、決して努力不足ではありません。

大切なのは、短時間でも休息を確保すること、夫婦や家族で負担を分担すること、そして必要に応じて外部支援を活用することです。寝不足を根性で乗り切ろうとするのではなく、休める仕組みを作ることが育児を続けるための大切なポイントです。

また、睡眠の質を高めるためには寝室環境の見直しも有効です。快適な寝具やマットレス選びについても、あわせて確認してみてください。

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