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監修者

松岡 雄治
地方国立大学医学部卒業後、横浜市内で初期臨床研修を経て、関東の基幹病院で勤務中。
資格:医師国家試験合格、睡眠コンサルタント、睡眠検定1級
愛犬がいつも特定の家族と寝ていると、「なぜその人を選ぶのか」「自分とは寝てくれないのは嫌われているからか」と気になる方もいるでしょう。犬は、安心できることや寝床の快適さなど、さまざまな理由から一緒に寝る人や場所を選びます。
ただし、特定の人と寝るからといって、その人だけが一番好きとは限りません。この記事では、犬が一緒に寝る人を選ぶ理由や、足元・枕元など寝る位置から考えられることを解説します。一緒に寝る際の注意点や、犬と飼い主が快適に眠るための環境づくりも紹介します。
犬は一緒に寝る人を選ぶ?寝たいと思う人の特徴
犬は、安心感や普段の関わり方、寝床の快適さなどをもとに、一緒に寝る人や場所を選ぶことがあります。ただし、選ぶ基準は犬の性格や体調、その日の気温などによっても変わります。
いつも同じ人と寝るとは限らず、静かさや広さ、温度を優先して、ひとりで眠る犬もいます。誰と寝るかだけで愛情や信頼の強さを判断し、落ち込むことはありません。選んだ場所で穏やかに過ごす愛犬を見守ってあげましょう。
1. 一番安心できる人
犬は、警戒せずに体を休められる人のそばを寝床に選ぶことがあります。穏やかな声で接し、嫌がることを無理強いしない人は、犬にとって安心できる存在になりやすいでしょう。
犬が自分から近づき、力を抜いて横になっている場合は、その人のそばで落ち着いていると考えられます。耳や体に余計な力が入っておらず、呼吸も落ち着いているか確認してみましょう。
ただし、そばで寝ないからといって、信頼されていないとは限りません。ひとりで眠るのが好きな犬や、暑さを避けて冷たい床へ移動する犬もいます。
2. お世話やスキンシップが多い人
食事や散歩などのお世話をし、普段から穏やかに接している人のそばは、犬にとって安心して過ごしやすい場所になります。散歩や遊びなどの心地よい経験を重ねることで、自分から近づいて休むこともあるでしょう。
ただし、おやつを多く与えたり、触れ合いを増やしたりすれば選ばれるわけではありません。食事量を守りながら、散歩や遊び、声かけを通じて安定した関係を築くことが大切です。
スキンシップも、犬が受け入れているかを確認しながら行いましょう。顔を背ける、体を硬くする、その場を離れるといった反応がみられた場合は、追いかけずに距離をとってください。
3. 寝相がよい人
犬にとっては、一緒に寝る相手への親しさだけでなく、眠りを妨げられにくいかどうかも大切です。寝返りやいびきが少なく、十分なスペースを保てる人のそばを選ぶことがあります。
反対に、飼い主が大きく寝返りを打ったり、寝具を頻繁に動かしたりすると、犬が足元や別の寝床へ移る場合があります。これは愛情の差ではなく、安全で落ち着ける場所を選んだ結果と考えられます。
一緒に寝る場合も犬の場所を固定せず、自分で寝床から離れられる動線を確保しましょう。寝返りなどをきっかけに犬が移動したときは、無理に連れ戻さないよう注意してください。
犬の一般的な睡眠時間については、以下の記事も参考にしてください。
関連記事:犬の睡眠時間はどれくらい?年齢・犬種・睡眠の質まで徹底解説
寝る位置によって変わる?犬の心理
犬が寝る位置から、安心感や好みを推測できることがあります。ただし、寝る位置と心理に一律の対応関係があるわけではありません。
同じ位置でも、飼い主との距離だけでなく、室温や物音、寝具の広さ・硬さなど、さまざまな理由が考えられます。ここで紹介する内容はひとつの見方として捉え、犬の表情や姿勢、普段の行動とあわせて考えましょう。
1. 足元
足元は、飼い主の気配を感じながら、適度な距離を保ちやすい場所です。犬が体の力を抜いて眠っている場合は、その位置を落ち着ける寝床として選んでいる可能性があります。
また、顔の近くよりも寝床から離れやすいため、暑くなったときに移動しやすいことも理由のひとつです。出入り口が見える位置であれば、周囲の様子を確認したくて選んでいる場合もあります。
寝返りなどで足を動かすことが多い場合は、誤って犬を蹴らないよう、少し離れた位置に専用の寝床を用意しましょう。
2. お腹や胸のあたり
お腹や胸の近くは、飼い主のにおいや体温、呼吸を感じやすい場所です。体を寄せて眠っている場合は、その距離に安心感や心地よさを感じている可能性があります。
ただし、寒い時期に暖かさを求めて近づいてくることもあります。季節によって寝る位置が変わる場合は、心理だけでなく室温や寝具の暖かさも確認しましょう。
犬が胸やお腹を圧迫し、飼い主が眠りにくい場合は、無理に我慢する必要はありません。近くに犬用ベッドを置くなど、近い距離を保ちながら双方が楽に眠れる位置へ誘導してください。
とくに小型犬は寝具の隙間へ入り込むことがあります。寝返りを打つときや起き上がるときは犬の位置を確認し、圧迫や転落を防ぎましょう。
3. 顔の近く・枕元
顔の近くや枕元は、飼い主のにおいや気配を感じやすい場所です。普段から飼い主の顔へ近づく犬であれば、そばにいると安心するために選んでいる可能性があります。
また、枕の感触や高さ、空いているスペースが気に入っているだけかもしれません。枕元で寝ることを理由に、「飼い主と対等だと思っている」「家族のなかで順位が上と思っている」と主従関係を心配しすぎる必要はありません。
犬に顔をなめられたり、呼吸音で目が覚めたりして、飼い主の睡眠が妨げられる場合は寝床を分けましょう。犬を叱って移動させるのではなく、枕元に近い位置へ専用ベッドを用意するなど、安心して休める代わりの場所へ誘導してください。
犬と一緒に寝るメリットとデメリット
犬と一緒に寝ると安心感を得られる一方、睡眠の中断や衛生、安全面には注意が必要です。犬と飼い主の体調や生活環境を踏まえ、双方が無理なく休める寝方を選びましょう。
メリット
犬のぬくもりや気配を感じることで、安心して眠れる飼い主もいます。犬にとっても、慣れた人のにおいや呼吸を感じられる場所が、落ち着いて休める環境になる場合があります。
また、同じ部屋で眠ると、夜間の咳や呼吸、トイレの回数、落ち着きのなさなど、普段と異なる様子に気づきやすくなります。気になる変化があった場合は、寝ている様子だけで判断せず、起きているときの食欲や活動量なども確認して獣医師へ伝えましょう。
犬と同じ寝室で眠ることが、人の睡眠を必ず妨げるとは限りません。米国で健康な成人40人とその飼い犬を調べた研究では、犬が寝室内にいる場合、人は良好な睡眠効率を保っていました。ただし、犬がベッドの上にいる場合は、室内の別の場所にいる場合より睡眠効率が低いという結果でした。
睡眠効率は、「ベッドにいる時間のうち実際に眠っている時間の割合」のことです。
犬と同じ寝室で眠る場合にも平均81%と医学的にも良好な基準(80%以上)を保てたことが分かっています。
一方で、犬が「ベッドの上」に乗ってくると睡眠効率は有意に低下します。睡眠の質を重視するなら、同じ寝室で寝る場合でも寝床を分けることが解決になるかもしれません。
※出典:PubMed「The Effect of Dogs on Human Sleep in the Home Sleep Environment」
デメリット
犬と同じベッドで眠ると、寝返りや鳴き声、足音などによって、飼い主の睡眠が中断されることがあります。一緒に寝た翌日に眠気や疲労が残る場合は、犬用ベッドを寝室内に置くなど、寝る場所を分けることも検討しましょう。
衛生面では、散歩後の汚れや抜け毛、フケ、ノミ・ダニなどへの対策が必要です。寝具をこまめに洗い、犬の体や足を清潔に保ちましょう。アレルギーや喘息がある人は症状が悪化する可能性があるため、寝室を分ける選択肢もあります。
安全面にも注意が必要です。とくに小型犬や子犬、高齢犬の場合は、次のような危険があります。
- 高いベッドから転落する
- 寝具の隙間へ入り込む
- 飼い主の寝返りで圧迫される
- 自分でベッドから下りられず、足腰へ負担がかかる
一緒に寝る場合は、犬が自由に離れられる動線を確保し、必要に応じて低い寝床やステップを用意してください。
なお、一緒に寝る習慣だけで分離不安になるとは限りません。ただし、飼い主がそばにいないと休めない、ひとりになると強く鳴き続けるといった場合は、獣医師や犬の行動に詳しい専門家へ相談しましょう。
犬と飼い主のどちらかが十分に眠れない場合は、無理に同じベッドで寝る必要はありません。同じ部屋に別々の寝床を用意する方法も含め、双方の睡眠と安全を優先してください。
猫と一緒に寝る場合については、以下の記事も参考にしてください。
犬に一緒に寝る相手で選ばれるコツ
犬に選ばれるために大切なのは、犬が自分から近づける関係を作ることです。散歩や食事、遊びなどを通じて、普段から穏やかに関わりましょう。
寝る前は大きな音や激しい遊びを避け、落ち着いて過ごします。犬が近づいてきたら、嫌がる様子がないことを確認しながらやさしく触れてください。顔を背ける、体を硬くする、離れていくといった場合は追いかけず、安心して休める距離を保ちましょう。
一緒に寝る場合は、犬が体を伸ばせるスペースと、自分で寝床から離れられる動線を確保します。寝返りやいびきなどを避けて犬が移動したときも、無理に連れ戻さないでください。
ただし、一緒に寝る相手として選ばれることが、信頼の証しとは限りません。専用ベッドや別の部屋で眠る犬もいます。どこで寝るかという犬自身の選択を尊重しましょう。
犬と一緒に寝るのはよくない?避けたほうがよいケース
犬や飼い主の状態によっては、同じベッドで寝ないほうが安全な場合があります。
- トイレトレーニング中の子犬
- 高い場所からの転落が心配な小型犬
- 足腰が弱い高齢犬
- 関節や呼吸器などに持病がある犬
- ノミ・ダニや感染性の皮膚病がある犬
- 下痢や排泄の問題がある犬
- 動物アレルギーや喘息がある人
- 免疫機能が低下している人
子犬には、夜間の排泄を管理しやすく、安全に休める専用の寝床を用意しましょう。高齢犬や持病のある犬には、高いベッドへの上り下りを避け、段差のない場所で眠れるようにします。夜間の介助や寝床について迷う場合は、獣医師へ相談してください。
飼い主にアレルギーや喘息がある場合や、治療などによって免疫機能が低下している場合は、犬と寝室を分ける必要がないか医師へ相談しましょう。犬に皮膚病や下痢などがある場合も、一緒に寝ることより治療と衛生管理を優先してください。
同じベッドで寝るのをやめる場合は、まずベッドの横に犬用の寝床を用意し、そこで休めたら褒めてあげましょう。新しい寝床へ慣れてから、必要に応じて少しずつ距離を広げることがおすすめです。
なお、強く鳴き続けるなどして、ひとりで休むことが難しい場合は、獣医師や犬の行動に詳しい専門家への相談も検討してください。
一緒に寝るなら快適に|寝具と睡眠環境の工夫
犬と一緒に寝る場合は、飼い主と犬の双方が無理のない姿勢で休める広さを確保しましょう。犬を避けるために不自然な姿勢が続く場合は、同じ部屋に別々の寝床を用意する方法が適しています。
寝具と睡眠環境は、次の点を確認してください。
- 取り外して洗えるカバーを使用する
- 寝室の床やベッド周辺を定期的に掃除する
- 散歩後は犬の足の汚れを落とす
- 犬が自分で水を飲みに行ける動線を確保する
- 冷暖房の風が犬へ直接当たらないようにする
- 犬が暑い場所や寒い場所から自由に移動できるようにする
防水カバーを使う場合は、蒸れや音によって眠りが妨げられないか確認しましょう。肌に触れる面へ通気性のある敷物を重ねる方法もあります。ノミやダニの予防については、犬の状態に合った方法を獣医師へ相談してください。
室温は、犬種や年齢、被毛、健康状態に合わせて調整します。犬が暑がって床へ移動する、寒そうに体を丸めるといった場合は、寝具や空調を見直しましょう。
ベッドが高い場合は、怪我をしないように犬が安全に上り下りできる低いステップを用意するか、床に近い寝床へ変更してください。柵を設置する場合も、犬が閉じ込められたり、移動を妨げられたりしないよう注意が必要です。
人用ベッドの横に犬用ベッドを置けば、互いの気配を感じながら別々に眠れます。どちらかの睡眠が妨げられている場合は、無理に同じベッドで寝続けないことも大切です。
シーツを洗う頻度については、以下の記事も参考にしてください。
関連記事:シーツを洗う頻度はどれくらいが正解?週1が理想でも続く目安と洗い方
まとめ:犬が選ぶ理由を知って心地よい眠りを
犬は、安心できる人や眠りやすい場所を選んで、一緒に寝ることがあります。普段から穏やかに関わる人や、寝返りが少ない人のそばを選ぶ場合もありますが、誰と寝るかによって家族への愛情の順位が決まるわけではありません。
足元や胸元、枕元などの寝る位置も、犬の気持ちだけでなく、室温や寝具の広さ、移動のしやすさなどに左右されます。位置だけから主従関係を判断せず、犬が体の力を抜いて落ち着いているかを確認しましょう。
同じベッドで寝る場合は、十分なスペースと清潔な寝具を用意し、転落や圧迫を防ぐことが大切です。飼い主の睡眠が妨げられる場合や、アレルギー、犬の体調などに不安がある場合は、同じ部屋に専用ベッドを置く方法もあります。
犬が自分で安心できる場所を選べるのであれば、必ずしも同じベッドで寝る必要はありません。愛犬との距離を無理に決めず、犬と飼い主の双方が心地よく休める寝方を選びましょう。









