監修者

石川 恭子
コアラマットレス®︎のショールームで、お客様が「運命のマットレス」に巡り合えるようお手伝いしているカリスマコンシェルジュ。お客様の眠りの悩みに耳を傾ける中で、今すぐ活用できる睡眠の知識を届けたいと上級睡眠健康指導士の資格を取得。コアラ®︎のマットレスを通じて、毎日眠ることが待ち遠しくなるワクワク感を提供したい。
ワンルームや小さい寝室でどこにベッドを置くかって悩みどころですよね。スペース効率だけを理詰めで考えていくとありがちな配置になり、自分らしい空間を作るのは難しいものです。
そこで上級睡眠健康指導士でコアラマットレス社員の石川がベッドの配置についてとことん考えました。配置の基本ポイント、ベッド配置のコツ、位置によるメリットやデメリットなど、ベッドの配置について実用的な解決策まで紹介します。
ベッド配置の基本ポイント
ずばり、ベッドの配置を考える際に考慮すべきは、寝室の広さ、生活動線・空気の流れ、採光です。
寝室の広さ |
部屋の広さ、ドアや窓、クローゼットの位置、また窓の位置を把握していますか?
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生活動線・空気環境 |
ベッドと壁の間に50cmほどのスペースを確保できますか?
窓からの空気の流れ・エアコンからの風の流れは快適ですか? |
採光 |
窓から入る光の方向、光が入る時間を把握していますか?
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ベッドと壁の間に50cmほどのスペースが必要なのは、それだけの余裕が十分あると、ベッドから移動する際の移動がスムーズだったり、シーツや布団を整えベッドメイキングしやすくなるためです。また、生活動線を考える際には、毎日使う姿見やドレッサーなどの家具とのバランスを見ながら、ベッドを含む部屋のレイアウトを考えましょう。各項目について、もう少し掘り下げてみます。
寝室の広さとベッドサイズを考慮しよう
あまり余裕がないスペースにベッドを置く場合、
- 部屋の畳数に合ったベッドサイズを選ぶ
この点を重視することが大事です。
日本人は畳一枚の広さを体験的に知っているため、部屋の広さが平方メートルでしか表示されていない場合でも、畳に換算して考えるとレイアウトのイメージが沸きやすいのだとか。畳のサイズは、京間、中京間、江戸間、団地間など、地域によってさまざまなサイズがありますが、不動産業界では全国統一で「一畳=1.62平方メートル」で換算しています。4.5畳の部屋だと、「4.5畳×1.62=7.29平方メートル」で約2.7m×2.7mです。シングルベッドは畳1畳分よりやや大きい広さを占めます。
シングルベッド | 幅97cm×長さ195cm |
1.9平方メートル
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畳 1畳分 | 約幅91cm×長さ181cm |
1.62平方メートル
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部屋がマルチスペースのワンルームでなく寝室専用として使える場合は、置けるベッドの大きさにも余裕が生まれます。たとえば、通常4.5畳の部屋にはシングルまたはセミダブルベッドが適度な大きさですが、寝室専用で使えるのなら、なんと、クイーンサイズまでいけます。
生活動線・空気の流れを確保する
大型家具であるベッドは部屋の中で一番スペースを占める、いわば「障害物」となります。したがって、部屋のどこにベッドを配置するかで、生活動線が大きく変わります。特に考慮しなくてはならないのは、ドアの位置です。部屋のドアだけはなく、クローゼットのドア、バスルームのドア(ある場合)など、部屋の中にドアが複数あるのはよくあることです。
「ドア問題」の回避策として、ベッドに横たわったまま部屋の入口が見える位置にベッドを置く方法がありますが、これは英語圏では「コマンディング(支配者)ポジション」と呼ばれます。部屋に入った瞬間にベッドを直視しないよう、ベッドをドアの真正面から少しずらす、カーテンを垂らす、ベッドを斜めに置く、などの工夫をすれば、風水的にも縁起が良い、とされています。風水に興味がある人は「ベッドの向きで変わる快眠術!窓際配置から風水まで総合ガイド」の記事も参考にしてみてください。
睡眠環境を整えるには、エアコンや換気扇の風向、窓からの風通しを邪魔しない配置にすることも重要です。エアコンは部屋全体の温度と湿度を調整してくれますが、位置によっては若干温度にムラがあります。特に夏の熱帯夜で寝苦しく感じたくない場合は、扇風機なども活用し、部屋の風通しを確保して空気循環を良くしましょう。
採光を意識して快適な環境を保つ
朝目覚めてすぐ自然光が入る位置にベッドを置くと、身体がすっきりと起動し、心地よく起きることができます。ただし、窓の側は部屋の中でも外気温に影響されやすい場所なので、窓の位置や大きさによってはベッドの向きを調整しましょう。プライバシーを保つためにも、カーテンやブラインドで適度に光を調節するのがおすすめです。
収納スペースとベッドの距離を意識する
先ほどドアの件でクローゼットのドアについても触れましたが、クローゼットやチェストが開きやすいレイアウトを心がけましょう。クローゼットの扉や引き出しの幅を測っておき、開けたときに邪魔にならない配置を考えることをおすすめします。下に収納できるよう脚を調整して高さが出せるベッドや、収納付きベッドを活用して空間を有効利用しましょう。
狭い部屋でのベッド配置のコツ
6畳など部屋のスペースが限られている場合、床面積を確保するために家具配置をシンプルに抑えるのが、ベッド配置のコツです。ベッドの高さが低いローベッドも狭い部屋に合っています。あるいは、部屋にたんすなどを置かなくて済むよう、収納付きベッドを導入するのも有効です。家具の色味やデザインを統一すると部屋が広く見えるため、狭い部屋のインテリアではシンプルな色使いにするのもおすすめです。
これらの点をもう少し詳しく解説します。
6畳に各ベッドサイズを配置した場合
では、イメージしやすいように、各ベッドサイズを6畳の部屋に配置するとどのようになるのかをイラストで見てみましょう。
各ベッドが部屋全体の広さに占める割合は以下のとおりです。6畳=9.72平方メートルとして計算しています。
シングルベッド=2平方メートル |
・部屋の1/4弱がベッド
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セミダブルベッド=2.38平方メートル |
・部屋の1/4がベッド
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ダブルベッド=2.73平方メートル |
・部屋の1/3弱がベッド
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クイーンベッド=3.32平方メートル |
・部屋の1/3がベッド
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キングベッド=3.8平方メートル |
・部屋の2/5がベッド
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ローベッドやソファベッドで部屋を広く見せる
同じ広さの和室(床に座る生活)と洋室(椅子に座る生活)を想像してみてください。和室の方が広く感じられるますよね。実は視点が下に下がるほど広さを感じやすいため、視線が下がるローベッドは、部屋が狭い場合、特におすすめです。部屋に広がりを感じさせてくれます。
部屋で一番面積を占めるのがベッドとなるため、ベッドカバー、クッションや布団を組み合わせて自分好みの雰囲気を演出できます。たとえば、ホテルライクな部屋にしたいなら、リネン類を白に統一し、クッションカバーも白っぽい色にして、毛足の長い生地やざらっと粗い生地など、違うテクスチャーのモノを並べると、高級感が出ます。
ソファーベッドは見た目はソファーそのものですが、「座る」だけではなく「寝る」ことができるという、1つで2つの機能を備えた「省スペース」で「便利」な家具なので、狭い部屋にはぴったりです。ソファーからベッドへの切り替え方の方式により、収納力、省スペース性が変わるため、自分に合ったものを選ぶようにしましょう。ソファーベッドについて、詳しく解説した「後悔しない!ソファーベッドの選び方|よくある失敗例も紹介」記事も参考にしてみてください。
折りたたみベッドや収納付きベッドでさらに省スペース
折りたたみベッドは使わないときに収納できる点が便利ですが、折り畳んだベッドの収納場所が必要なのと、毎日の使用となると出し入れがめんどくさく感じられるかもしれません。
収納付きベッドは、部屋の中でかなりの面積を占めるベッドの下のスペースを有効活用できる点が優れています。引き出しタイプは一般的ですが、引き出しが出る分のスペースを考慮する必要があります。ベッド床が跳ね上がるガス圧式タイプは力が弱い人でも簡単に跳ね上げられ、収納している荷物が一目で把握できるため、人気です。収納付きベッドは種類が豊富なので、自分の部屋に合ったものを選びましょう。
ベッドの位置別メリット・デメリット
ベッドを配置する場所は、窓際、壁際、部屋の中央のどれかになりますが、配置場所によって気を付ける点、メリットが異なります。部屋の形や入り口の位置はさまざまです。ドアの位置、窓の位置など通気性やアクセスのしやすさを考慮しましょう。
ただし、自分の部屋で最適な配置を選んだ、というだけでは、「自分の部屋」という感じがしなくなります。ぜひ自分のライフスタイル―早起きなのか、宵っ張りなのか、など―や好みを反映させましょう。眠るのが待ち遠しい部屋になります。
窓際に配置する場合
窓際にベッドを配置すると、部屋の真ん中にスペースができるため、視界が開けて部屋が広く感じられるというインテリア上のメリットがあります。また、朝日を浴びると体内時計がリセットされ、気持ちよく目覚められるので気持ちいいですよね。朝日の効果には次のようなものがあります。
- 睡眠の質が向上:メラトニンがきちんと分泌されるようになり、睡眠リズムが整う
- ストレス軽減:幸せホルモン「セロトニン」が分泌され、精神的な安定感が得られる
- 健康状態の向上:睡眠リズムが整うことで健康状態が上向きになる。
つまり、遮光で睡眠環境を保つことと、朝日による自然な目覚めの効果を両立するのがベスト、ということになります。たとえば、平日は就寝時に透けるカーテンや角度を調節できるブラインドで朝日を取り込み、ゆっくり眠りたい休日はその内側に遮光性の高いカーテンをひけるようにしておく、などの工夫をしてみるのもおすすめです。
ただし、窓際のベッドは、爽やかな風を取り込みやすい半面、冬は冷気が伝わりやすいというデメリットもあります。窓際にベッドを置く場合は、窓にぴったりくっつけないようにしましょう。
部屋の真ん中に配置する場合
部屋の真ん中にベッドをレイアウトすると、ホテルのスイートルームのような豪華な雰囲気を演出できます。ホテルのベッドって、ベッドのヘッドボード部分(短辺)は壁に付いていますが、その他の三辺はアクセスしやすいようにひらけていますよね。ベッドが部屋のインテリアの主役となるのです。
ホテルの部屋のように、左右対称にナイトテーブルやランプを配置すると、インテリアの完成度が高まります。こういったレイアウトだと、使っていない壁面を収納やデコレーション用に使いやすいのも、メリットと言えます。
壁際に配置する場合
ベッドの長辺を壁に寄せて配置すると、部屋の中央部分を広く使えます。ヘッドボード側にローチェストを置いて目隠しにしたり、ベッドサイドにサイドテーブルを置けば、小物をまとめて配置しやすいというメリットがあります。
壁にぴったりくっつけて配置すると、壁の断熱性能によっては外気の影響を受けやすいので注意しましょう。
失敗しないベッドサイズとマットレスの選び方
ベッドのサイズは部屋の広さや人数、ライフスタイルに合わせて選びましょう。ライフスタイルとは、たとえば就寝時間や起床のタイミング、あるいは寝る人の体格や癖などです。
たとえばカップルでも、さまざまな選択肢があります。勤務先が離れているため週末婚であるとか、相手の寝返りが気になるとか、看護師で夜勤があり生活リズムが違うとか。こういったさまざまな状況を考慮し、自分も相手もよい睡眠が得られるような睡眠環境を整えましょう。マットレスは店頭で実際に試すのがおすすめですが、通販の場合、長期のお試し期間が設けられているものを選びましょう。
シングル・セミダブル・ダブル・クィーン・キングの特徴
寝る人数について、どのサイズのマットレスを選べばいいかは、次の表を参考にしてみてください。
シングル | 幅:95 cm 長さ:195 cm |
1人用 |
セミダブル | 幅:120 cm 長さ:195 cm |
1人用(ゆったり)
1人+子ども |
ダブル | 幅:140 cm 長さ:195 cm |
2人用
2人で寝て寝返りを打つと窮屈に感じることも |
クイーン | 幅:160 cm 長さ:195 cm |
2人用(ゆったり)
2人+子ども |
キング | 幅:190 cm 長さ:195 cm |
2人用(ゆったり)
2人+子ども |
シングルは一人暮らしに最適最強です。セミダブルは基本1人でゆったり眠りたい人向けのサイズですが、週末婚のカップルや、時々お泊りに来る恋人がいる人にもおすすめです。ダブル以上のサイズはカップルに快適ですが、部屋の中での占有面積が増えるのが悩みどころでもあります。この記事の「6畳に配置した場合」の項に、6畳に各サイズのベッドが占める割合を説明しているので、参考にしてみてください。
マットレスの種類と選択基準
マットレスにはさまざまな種類があります。
またマットレスは、その構造や素材によって特徴が異なります。以下にそれぞれの特徴をまとめました。
※表はあくまで目安です。製品によって差があります。
種類 | 硬さ | 耐久性 | 通気性 | 寝姿勢 | 価格帯 | 特徴 |
ボンネルコイル | 硬め | ~8年程度 | ◎ | 仰向け うつ伏せ |
★★ |
硬めで耐久性がある
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ポケットコイル | 中程度~柔らかめ | ~10年程度 | 〇 | 仰向け 横向き |
★★★ |
体圧分散性に優れる
動きが伝わりにくい |
高反発ファイバー | 硬め | 6~8年程度 | ◎ | 仰向け うつ伏せ |
★★★ |
硬めで反発力が高い
寝返りが打ちやすい |
ラテックス | 中程度 | 6~8年程度 | △ | 仰向け | ★★★★ |
弾力があり柔らかい
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低反発ウレタン | 柔らかめ | 3~5年程度 | △ | 横向き | ★★★ |
体圧分散性に優れる
寝返りが打ちにくい |
高反発ウレタン | 硬め | 6~8年程度 | △~〇 | 仰向け うつ伏せ |
★★★ |
硬めで体が沈みにくい
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ハイブリッド ウレタン |
中程度 | ~10年程度 | △~〇 | 全ての寝姿勢 | ★★★★ |
高反発と低反発のメリットを兼ね備える
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一番よくある製品がスプリング(コイル)タイプとウレタンマットレスですが、スプリングの形状やウレタンの特性で寝心地が変わります。ざっくりいうと、中にコイルが入っているスプリングタイプは通気性に優れ、体圧分散しやすいのが特徴です。ウレタンタイプには3種類あり、それぞれ特徴が違います。ハイブリッドタイプのウレタンは低反発と高反発の「いいとこどり」であり、軽量で防ダニ・抗菌機能が充実した製品が多いのも特徴です。
体格や人数、ライフスタイルから考えるマットレス選び
どんなマットレスが「良い」のか、という条件を考えてみると、「質の高い睡眠が取れるマットレス」ということになります。質の高い睡眠とは、レム睡眠+ノンレム睡眠の約90分のサイクルがきちんと繰り返され、朝まで不本意に目覚めることがない状態を指します。そのためには、適度に寝返りがしやすい一方で、体重が身体の一か所にかかったりすることがなく体圧が分散される、というバランスの良さが重要です。
体格が大きい人の場合、寝返りが打ちやすくするためには、身体の沈み込みの少ないタイプが向いています。また、2人でひとつのマットレスに一緒に寝る場合、振動が伝わりにくいポケットコイルがおすすめです。また、シングルサイズを2つ連結して使うなど、相手の振動を拾わなくする方法は他にもあります。
レイアウト成功のための実践ポイント
さて、ここまでベッドの配置についてあらゆる面から検討してきました。いよいよベッドを購入して設置する、という際に必要な事前チェックリストは次のとおりです。
- ドアの開き方は内側か外側か。
- エアコンの設置位置。直接身体に風が当たらない場所を選ぶ
- 搬入経路。一軒家の場合、特に階段のサイズに注意。
ベッドの搬入について詳しく解説したこちらの記事も参考にしてみてください。
部屋の雰囲気づくりのために、インテリアアイテムや照明も自分の好みを取り入れましょう。その他、レイアウトを成功させるための重要なポイントは次の3つです。
大きな家具から配置を検討する
部屋のレイアウトでは、ベッドなど大きな家具から位置を決めるのが基本です。ソファや机、収納家具も優先順位が高いと言えます。インテリア小物類やデコレーションの分量は最後に調整しましょう。
生活動線の確保と安全性
夜間にトイレなどで室内を移動することがあります。したがってベッドはこの点を考慮し最低でも50cm程度の通路幅を確保することが大事です。また、クローゼットやタンスの前にも十分なスペースを作っておきましょう。
夜間移動する際に足元が暗くならないよう照明を工夫して安全に移動できるようにすることも大事です。たとえば、ベッドサイドテーブルの下に感知センサー付きのアンダーライトを付けておくと、2人で寝ている場合でも相手を起こさず、足元の視認性が高まります。これはホテルでよくみられる照明ですね。
災害時の避難経路も想定
寝室では、背の高い家具や割れ物は置かないようにするのがおすすめです。転倒の恐れがある家具は固定し避難経路が確保できるようにしましょう。大地震では、クローゼットの扉やタンスの引き出しなどが飛び出し、中身が散乱するケースもありました。ベビーガードや安全ロックを後付けするのもおすすめです。
また、枕元に人数分の非常用懐中電灯やスリッパを置いておきましょう。家族と前もって防災対策を話し合っておくのが一番です。
まとめ
うまく配置すると、本当の広さ以上に部屋が広々と見えるのが、ベッドの配置の難しいところ。広さの印象だけではなく、住まう人の生活の質にも関わってきます。一番大事な要点は
- 大きな家具から順に動線を意識して配置
ということです。
将来、ライフスタイルの変化が見込まれる人は、その変化に対応できるように、マットレスのサイズも検討しておきましょう。たとえば、カップルで一緒に住むようになるとか、子どもができるとか、あるいは単身赴任で一人住まいになる可能性、生活時間がずれるので別寝にする、などです。
その時の自分が心地よく眠れるベッドの配置こそが、最高の配置です。この記事が参考になれば嬉しいです。