目次
監修者
石川 恭子
コアラマットレス®︎のショールームで、お客様が「運命のマットレス」に巡り合えるようお手伝いしているカリスマコンシェルジュ。お客様の眠りの悩みに耳を傾ける中で、今すぐ活用できる睡眠の知識を届けたいと上級睡眠健康指導士の資格を取得。コアラ®︎のマットレスを通じて、毎日眠ることが待ち遠しくなるワクワク感を提供したい。
夜中にふと見にいくと、寝かせたときとは向きが90度、ときには180度も変わっていて驚いたことはありませんか。布団を蹴って手足を出していたり、柵のほうへ寄っていたりすると、このままで大丈夫なのか気になってしまいます。
先にお伝えすると、赤ちゃんの寝相の動きは多くの家庭でみられるもので、無理に直さなければならないものではありません。気をつけたいのは寝相そのものではなく、動いた先に危ないものがないかどうかです。
本記事では、上級睡眠健康指導士の資格を持つコアラマットレス社員の石川が、寝具ブランドのコアラマットレスが、寝相が動く理由から、公的機関が示している安全対策、対策グッズの確かめ方までを順に解説していきます。
赤ちゃんの寝相が悪いのはなぜ?
新生児期から乳児期にかけては、睡眠に関わる体と脳の機能がまだ発達の途中ですから、大人とは眠り方そのものが違うのです。※1
寝相が動く背景として知っておきたい2つの理由を見ていきましょう。
1. 眠りが浅い
ひとつめの理由は、赤ちゃんの睡眠に占める浅い眠りの割合が大きいことです。睡眠はレム睡眠、浅いノンレム睡眠、深いノンレム睡眠に分けられますが、レム睡眠は新生児では睡眠の約半分を占め、年齢とともに成人のレベルまで減っていきます。※1
新生児期のレム睡眠は「動睡眠」とも呼ばれ、この時期の入眠は動睡眠から始まるります。※1
名前のとおり体の動きを伴いやすい眠りであるため、浅い眠りの時間が長い時期ほど、寝ている間に体が動く場面も増えるのです。
眠りと目覚めの繰り返し方も大人とは異なります。新生児期は1〜2時間の覚醒と1〜4時間の睡眠を繰り返し、生後3か月ごろには3〜4時間続けて眠るパターンへ、生後6か月ごろには6〜8時間続けて眠るといった変化をたどります。※1
眠りが浅くなるタイミングが一晩に何度も訪れる時期は、そのたびに寝返りや向きの変化が起こりやすいと考えると分かりやすいでしょう。
2. 体温調整ができない
もうひとつの理由は、体温の調整が未熟なことです。新生児期から乳児期は体のさまざまな機能が発達の途中にあり、暑さや寒さを自分で上手に逃がすことがまだ得意ではありません。※1
そのため、寝床が暑くて寝苦しいときに、体を動かして楽な位置を探すような動きが出ることがあります。
寝室の温度については、赤ちゃんが安全に眠るための環境として室温が高温になりすぎないようにすることがすすめられており、20〜25度程度が適当とされています。※2
掛け布団や衣類を重ねすぎていないか、あわせて確認しておきましょう。
背中や首のうしろにそっと手を入れたとき、じっとりと汗ばんでいるようであれば、着せているものを1枚減らすか、室温の見直しを行ってください。手足が少し冷たく感じても、赤ちゃんは手足から熱を逃がすため、それだけで寒がっているとは限りません。判断に迷うときは背中側の様子を優先して見てあげましょう。
赤ちゃんの寝相が悪いときの対策
理由が分かったところで、次に考えたいのが具体的な対策です。こども家庭庁は、赤ちゃんの窒息事故を防ぐためのポイントとして寝具や寝床の整え方を示しています。※3
寝相そのものを直そうとするのではなく、動いても安全に眠れる寝床を用意するという方向に発想を切り替えましょう。家庭でできる4つの対策を紹介します。
1. 掛け布団の代わりにスリーパーを使う
こども家庭庁は、1歳になるまでは掛け布団を使わず、スリーパーなどの着るものや空調で寒さを調整することをすすめています。※3
掛け布団が顔にかぶさると、鼻や口がふさがれてしまうおそれがあるためです。
消費者庁が公表した0歳児の就寝時の窒息死事故160件の分析でも、掛け布団などの寝具が顔を覆ったり首に巻き付いたりした事例が17件報告されています。※4
タオルケットなどを掛けるなら、赤ちゃんが自分で払いのけられる軽いものを選び、顔にかからない位置にとどめましょう。※4
スリーパーであれば体に沿って着せられるため、寝返りを打っても顔にかぶさりません。何度も布団を掛け直す必要がなくなるので、夜中に起きて様子を見る回数を減らせるという利点もあります。
2. 室温と肌着で温度を調整する
暑さや寒さは、布団を重ねて調整するよりも、エアコンなどの空調で部屋全体の温度を整え、足りない分を肌着やスリーパーで補うという順番で考えると安全です。※3
室温は20〜25度程度を目安にしましょう。※2
着せるものを選ぶときは、サイズが体に合っているかどうかが重要です。大きすぎる肌着やパジャマは、動いているうちに顔まわりまでずれ上がってしまうことがあるため避けてください。消費者庁も、寝ている赤ちゃんの顔の近くに、口や鼻を覆ったり首に巻き付いたりするものを置かないよう注意を呼びかけています。※4
フードや長い紐が付いた衣類も避けておくと安心です。
布団を蹴って手足が冷たくなることを心配される方も多いのですが、部屋の温度が保たれていれば、掛けるものを増やさなくても体が冷えきってしまうことはそう多くありません。まずは室温を確かめることから始めてみてください。
3. 寝床に何も置かない
3つめは、寝床の上を整理することです。こども家庭庁は、体が沈まない硬めで平坦な布団やマットレスを使い、赤ちゃんのまわりには何も置かずにシンプルに整えることをすすめています。※3
柔らかい敷き寝具はうつぶせになったときに顔が埋まってしまい、鼻や口がふさがれるおそれがあるためです。消費者庁の分析では、顔がマットレスなどに埋まった事例が33件と、状況が判明しているもののなかで最も多く報告されているのです。※4
枕やタオル、衣服、よだれ掛け、ぬいぐるみなども、赤ちゃんが動くうちに口や鼻を覆ってしまうことがあるため、寝床には置かないようにしましょう。
あわせて確かめたいのが隙間です。ベッドと壁の隙間などに挟まれた事例も13件報告されていました。※4
ベビーベッドを使う場合は柵とマットレスや敷き布団の間に隙間ができていないかを確認してください。隙間に丸めた布団やクッションを差し込む方法は、赤ちゃんが動いてうつぶせになり窒息するなどの事態が起こり得るため厳禁です。
4. ベッドからの転落を防ぐ
寝床から落ちないようにする工夫として、消費者庁は大人用ベッドではなくできるだけベビーベッドに寝かせ、転落しないように柵を常に上げておくことをすすめています。※4
医療機関から寄せられた報告では、6歳以下の子どものベッドからの転落事故が5年9か月ほどの間に912件あり、そのうち0歳児が534件、1歳児が160件と大きな割合を占めていました。※5
ベビーベッドを選ぶときは、国が定めた安全基準の検査に合格したことを示すPSCマークが付いているか、対象年齢が合っているかを確認してください。※3※4
まだ動かないだろうと油断せず、そばを離れるときは必ず柵を上げる習慣にしておくと安心です。
添い寝については、寝かしつけているうちに保護者が眠り込んでしまい、体の一部で赤ちゃんを圧迫してしまうおそれが指摘されています。※4
そのため、同じ部屋にいながらも、赤ちゃんは別の寝具に寝かせるという形がすすめられています。※1
赤ちゃんと同じ部屋で眠る時期は保護者の睡眠も細切れになりやすいため、この機会に大人用のマットレスも見直しておくと、短時間でも休息しやすいでしょう。
赤ちゃんの寝相対策グッズを買うときの注意点
寝床に物を足す方向の対策は、かえって事故の原因になることがある点には注意が必要です。
消費者庁には、生後5か月の赤ちゃんが低反発のマットに寝かされていて、初めての寝返りでうつぶせになり顔が完全に埋もれていたという事例や、マットと柵の隙間を埋めていた布団と毛布の上でうつぶせになっていたという事例が寄せられています。※6
柔らかいものや、隙間を埋めるために置いたものが事故につながる場合があるため、消費者庁はふかふかした柔らかい敷き布団やマットレス、枕は、うつぶせになった場合に顔が埋まって鼻や口がふさがれるリスクがあるとして、赤ちゃん用には固めのものを使うよう呼びかけています。※7
こども家庭庁が示している、体が沈まない硬めで平坦な寝具を使い、まわりには何も置かないという考え方とも一致しています。※3
グッズを検討するときは、それを置くことで寝床に柔らかい部分や隙間が増えないかという視点で確かめてみてください。手のひらで押してみて深く沈み込むもの、赤ちゃんの体を固定する形のもの、顔の近くに来る位置に置くものは、いずれも慎重に判断したいところです。PSCマークの有無や説明書の対象年齢も、購入前に必ず確認しましょう。※4
関連記事:【医師監修】睡眠退行とは?赤ちゃんの睡眠リズムへの影響と対策
寝返りでうつぶせになってしまうときは?
寝床を整えても、赤ちゃんが自分で寝返りをしてうつぶせになってしまうことはあります。寝かせるときの姿勢には十分な注意が必要です。
こども家庭庁は、1歳になるまでは、寝かせるときはあおむけに寝かせることをすすめています。※3
うつぶせ寝で寝かせた場合に乳幼児突然死症候群の発症率が高いことが知られているためです。厚生労働省も、赤ちゃんが自分で寝返りできるようになる1歳ごろまでは、柔らかすぎる寝具を避けてあおむけに寝かせるようすすめています。※8
一方で、寝かせたあとに自分で寝返りをしてうつぶせになった場合の対応として大切なのは、うつぶせになっても危険が少ない寝床をあらかじめ整えておくことです。消費者庁も、赤ちゃんは寝返りをするため、あおむけで寝かしつけても寝具や寝床に関する注意は変わらず必要だと説明しています。※4
つまり、うつぶせになるたびに戻し続けるよりも、硬めで平坦な敷き寝具を使い、顔を覆うものや隙間をなくしておくほうが、万が一すぐ気づけなかった場合として現実的な備えになるということです。そのうえで、呼吸の様子がいつもと違う、顔色が気になるなど心配な点があるときは、自己判断せずかかりつけの小児科へ相談してください。
赤ちゃんの寝相が悪いのはいつまで?
寝返りやつかまり立ち、歩き始めといった運動の発達がどう進むかによっても、夜の体の動き方は変わります。
手がかりになるのは、睡眠そのものの変化です。一般的に、新生児期に睡眠の約半分を占めていたレム睡眠は、年齢とともに成人のレベルまで減っていきます。そして生後6か月ごろには6〜8時間続けて眠るようになり、1〜3歳ごろにはほぼ夜間にまとめて眠るようになります。※1
さらに幼児期の3〜6歳ごろになると、ノンレム睡眠とレム睡眠の繰り返しが大人と同じ約90分のサイクルに近づき、レム睡眠の割合もさらに減ってきます。浅い眠りの時間が減っていく流れに沿って、寝ている間の動きも少しずつ落ち着いていくと考えておくとよいでしょう。
ですから、1歳を過ぎてもよく動く、2歳になっても布団から出てしまうといった状態は、それだけで心配する必要はありません。寝床の安全を確かめながら、しばらくは見守りましょう。ただし、睡眠中に呼吸が止まるように見える、強いいびきが続くといった様子があるときは、かかりつけ医に相談してください。
まとめ:赤ちゃんの寝相は直さず安全に眠れる環境を整えよう
赤ちゃんの寝相が動くのは、浅い眠りの割合が大きいことと、体温の調整がまだ未熟であることが背景にあります。どちらも発達の途中にあることの表れですから、寝相そのものを直そうとする必要はありません。
取り組みたいのは、動いても安全な寝床を用意することです。1歳になるまでは掛け布団の代わりにスリーパーを使い、室温と着るもので温度を調整してください。そのうえで、体が沈まない硬めで平坦な敷き寝具を選び、枕やぬいぐるみ、タオルを寝床から外し、ベッドと壁や柵との隙間をなくしておくと安心です。※3※4
寝床から落ちないよう、ベビーベッドの柵を常に上げておくことも忘れないでください。※4※5
寝相対策グッズを検討するときは、それを置くことで柔らかい部分や隙間が増えないかを確かめてから選びましょう。
今夜の寝床をひとつ見直すことが、そのまま安心して眠れる夜につながります。ご家族みんなが心地よく眠れる寝室になりますように。
参考文献
※1 未就学児の睡眠指針 | こども家庭庁
※2 Q51. 乳幼児突然死症候群の予防方法として,赤ちゃんを眠らせる環境について教えてください | 公益社団法人日本助産師会
※3 赤ちゃんが安全に眠れるように | こども家庭庁
※4 0歳児の就寝時の窒息死に御注意ください! | 消費者庁
※5 0〜1歳児のベッドからの転落事故に御注意ください! | 消費者庁
※6 Vol.640 就寝時の窒息事故に注意しましょう | 消費者庁
※7 Vol.529 赤ちゃん用の寝具に適しているのは、ふかふか?それとも固め? | 消費者庁
※8 健康づくりのための睡眠ガイド2023 | 厚生労働省











