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監修者
松本 恭
「健康の秘訣はぐっすり眠ること」がモットーで、これまでウォーターベッド、ウッドスプリングベッド、西式健康枕、ハンモックなどさまざまな寝具の寝心地を追求してきた睡眠マニア。偶然出会ったコアラマットレス®︎の快適さに感銘を受け、メンバーとして参加。上級睡眠健康指導士としての知識を通して、より多くの人に快眠を届けたいと願っている。
睡眠時間をほとんど確保できず、重い体を引きずりながら何とか起床したものの、頭がぼーっとした状態で今日一日の過密なスケジュールに頭を抱えてしまった経験はありませんか。私自身も以前、大事な発表がある日に限って全く眠れず、翌朝に絶望的な気持ちでコーヒーを何杯も流し込みながら乗り切ろうとして、かえって体調を崩してしまった苦い失敗があります。
寝不足による強い眠気を抱えたままでは、仕事や家事の効率が落ちるだけでなく、集中力の低下による事故の危険性も高まってしまいます。残念ながら不足した睡眠を一瞬で解消できる魔法のような手段は存在しませんが、適切な応急処置を正しく組み合わせることで、つらい眠気を一時的に軽減して乗り切ることは十分に可能です。
本記事では、上級睡眠健康指導士の資格を持つコアラマットレス社員の松本が、今すぐ試せる眠気覚ましの対処法をはじめ、やりがちですが逆効果になる注意すべき行動、さらには寝不足から体が回復するまでの目安まで詳しく分かりやすく解説していきます。
今日の眠気を一時的にやわらげる方法
効き目には個人差がある点に注意しましょう。まずは、今いる場所ですぐに試せるものから順に見ていきます。
1. 明るい光を浴びる
もっとも手軽なのは、カーテンを開けて太陽の光を部屋に取り込むことです。厚生労働省のe-ヘルスネットでも、体内時計を整えるために「起きたらまずカーテンを開けて自然の光を部屋の中に取り込んでください」とすすめています。※1
屋内で過ごす時間が長い場合は、昼休みに数分だけ外に出る、窓際へ移動するといった工夫でも構いません。
効果は研究でも確認されています。健康な成人16人に1晩5時間の睡眠制限を2晩続けたうえで、正午から午後5時にかけて1,000ルクスの明るい光を浴びる条件と、5ルクス未満の暗い環境で過ごす条件を比べた実験では、明るい光を浴びた条件のほうが主観的な眠気が軽く、精神運動覚醒課題の成績も良好でした。※2
ただし、光を浴びるだけで睡眠不足が解消するわけではない点は押さえておきたいところです。
2. 15分程度の短い仮眠をとる
光を浴びても眠気が引かないときに検討したいのが、短い仮眠です。e-ヘルスネットでは、午後の眠気対策としての昼寝は15分程度の長さで十分と説明されています。※1
若年成人10人を対象に正午すぎの20分間の仮眠を調べた研究では、主観的な眠気が抑えられ、開眼時の脳波アルファ活動も減弱した一方、作業成績そのものは改善せず、意欲や自己評価の向上にとどまりました。※3
日本自動車連盟(JAF)も、仮眠は15分から30分程度に留めるべきで、30分以上眠ると熟睡モードに入り、目覚めた後も眠気が残る可能性があると説明しています。※4
必ずアラームをかけ、午後の早い時間にとることを守ってください。仮眠は夜の睡眠の代わりにはなりません。
3. カフェインを適量利用する
仮眠の時間がどうしても取れない場面では、カフェインが選択肢になります。コーヒーやお茶に含まれるカフェインには覚醒作用があり、眠気を一時的に抑えるためです。※5
ただし、摂取量が多いほど効果が高まるわけではありません。慢性的に摂取していると効果が弱まり、依存も生じるそうです。※5
気をつけたいのは、飲む時刻と量です。「健康づくりのための睡眠ガイド2023」によれば、日本人のカフェインの血中半減期は3時間から7時間とばらつきがあり、夕方以降に100mg以上を摂取すると寝つきの悪化や中途覚醒の増加が生じるとされています。※5
1日の合計量も400mg、ドリップコーヒーでカップ4杯分(700cc程度)を超えないことが推奨されていました。※5
午後の早い時間までに飲み終えると決めておくと安心です。
関連記事:寝不足で風邪をひきやすくなる理由と予防法|睡眠時間と免疫力の科学的関係
寝不足を解消する飲み物・食べ物はある?
結論からお伝えすると、寝不足そのものをすぐに解消できる飲み物や食べ物はありません。カフェイン飲料は眠気を一時的に抑えますが、足りていない睡眠が補われるわけではないからです。
エナジードリンクや眠気覚まし用の清涼飲料水も同じです。食品安全委員会のファクトシートによれば、これらの製品のカフェイン濃度は100mLあたり32mgから300mgと幅があり、コーヒーの60mg(100mLあたり)より濃い製品も存在します。※6
本数を重ねると総摂取量を把握しにくくなるので注意してください。
水分補給やバランスのとれた食事は体調を保つうえで大切です。※4
とはいえ、特定の飲み物や栄養素をとれば寝不足が解消するわけではないと理解しておきましょう。
寝不足は何日で解消する?睡眠サイクルの戻し方
残念ながら、一晩眠れば完全に回復する、必ず何日で戻る、と断定できるものではありません。不足した睡眠の量と、その状態が続いた期間によって変わります。
まず、休日の寝だめで取り返そうとする発想には注意が必要です。e-ヘルスネットは、寝だめでは自律神経やホルモン分泌、代謝、認知機能など睡眠不足の悪影響をすべて解消することはできないと説明しています。※7
回復の難しさは研究でも示されています。成人83人を対象に、就寝時間を4時間に制限する睡眠制限を5晩続けた群と、36時間の完全断眠を経験した群に、12時間の就寝機会をとれる回復睡眠を4晩実施した研究では、自己申告の眠気や疲労感は回復した一方で、睡眠制限群では精神運動覚醒課題の反応速度の低下が完全には戻りませんでした。※8
眠気が消えたことと、脳の働きが元通りになったことは必ずしも一致しないのです。成人はおおよそ6時間から8時間が適正とされ、少なくとも6時間以上の確保が推奨されています。※5
確実に睡眠時間を確保するためには、平日の就寝時刻を少しずつ前倒しして戻していくほうが確実です。
寝不足のときに避けたい行動
眠気を抑えようとした結果として事故の危険を高めたり、今夜の睡眠や体調をさらに崩したりしやすい行動についてまとめましたので、あらかじめ避けると決めておくとよいでしょう。
1. 強い眠気を我慢して運転や危険な作業をする
もっとも優先して避けたいのが、強い眠気を抱えたままの運転や機械操作、高所作業です。JAFによれば、疲労と睡眠不足が居眠り運転の主な原因であるとして、疲れているときや睡眠不足のときは運転を控えることが大前提とのことです。※4
やむを得ず運転する場合も、長距離では最低でも2時間に1回は休憩をとり、降車して新鮮な空気を吸い、軽く身体を動かしましょう。午後3時あたりは眠気を感じやすい時間帯とされていますので、昼食後は特に注意してください。※4
眠気覚ましを試しながら走り続けるのではなく、安全な場所に停めて休憩や仮眠をとることを最優先にするのが望ましいです。
2. カフェインやエナジードリンクを大量にとる
眠気に抗おうとしてカフェインを重ねてしまうことも、できるだけ避けたい行動です。食品安全委員会のファクトシートによれば、過剰に摂取した場合の急性作用として、めまい、心拍数の増加、興奮、不安、震え、不眠、下痢、吐き気があげられています。※6
問題になりやすいのは、総量を把握しにくくなることです。コーヒーに加えてエナジードリンク、栄養ドリンク、眠気防止用の錠剤を重ねると、気づかないうちに大量のカフェインを摂ってしまう可能性があります。
健康な成人ではカナダ保健省が1日400mg以下(マグカップで約3杯分)を推奨していますので、飲む前に製品の表示でカフェイン量を確認する習慣をつけておくと安心です。※6
3. 夕方以降に長く眠る
寝不足の日ほど、帰宅後にソファでうたた寝をしてしまいがちです。しかし夕方以降の仮眠や長時間の昼寝は、夜の寝つきを妨げます。e-ヘルスネットが午後の眠気対策としてすすめているのは15分程度の昼寝であり、長さも時間帯も限定されています。※1
「健康づくりのための睡眠ガイド2023」でも、長い昼寝や頻回の昼寝は夜間の睡眠の質の低下と関連すると報告されています。※5
仮眠は午後の早い時間に短くとどめ、不足した睡眠は夜の睡眠で少しずつ取り戻すという切り分けを意識してください。
4. 寝酒で眠ろうとする
寝不足を取り返そうとして、寝つきをよくするためにお酒を飲む方法も推奨できません。アルコールは一時的に寝つきを促進し、睡眠前半では深い睡眠を増やしますが、睡眠後半の質は顕著に悪化し、飲酒量が増えるほど中途覚醒の回数が増加することが分かっています。※5
アルコールは閉塞性睡眠時無呼吸をはじめとする睡眠障害を悪化させることも知られているほか、連用すると耐性や依存が形成され、飲まないと眠れない状態に至る可能性もあります。※5
翌朝に疲れを持ち越したくない日ほど、寝酒ではなく寝室の環境を整えるほうへ手をかけたいところです。
関連記事:寝不足でイライラするのはなぜ?原因を解消して笑顔を取り戻す方法【医科学+快眠マットレス】
寝不足が続くときは医師に相談する
e-ヘルスネットによれば、成人の34.8%が月に3回以上の日中の眠気を経験しており、原因は睡眠不足だけでなく、睡眠の質が低下する睡眠障害、持病の薬剤の副作用、うつ病などの精神疾患まで多岐にわたります。※7
特に注意したいのが、睡眠時間を確保しているのに日中の強い眠気が続く場合と、大きないびきや睡眠中の呼吸停止を家族から指摘される場合です。厚生労働省の睡眠チェックシートでも、いびきや睡眠中の呼吸停止は閉塞性睡眠時無呼吸が潜む重要なサインとされ、眠りたいのに眠れない状態が続くことも睡眠障害の症状としてあげられています。※9
頭痛や吐き気、めまいといった症状の詳しい確認については、関連記事の「寝不足の症状一覧」も併せてご覧ください。改善しないときは、ひとりで抱え込まずに医療機関へ相談することが大切です。※7
まとめ:寝不足の眠気は一時的に対処し、睡眠時間を取り戻そう
寝不足の当日にできることは、明るい光を浴びる、午後の早い時間に15分程度の仮眠をとる、カフェインを適量だけ利用するという3つに整理できます。※1※2※3※5
いずれも眠気を一時的にやわらげる応急処置であり、不足した睡眠が補われるわけではありません。
避けたい行動もはっきりしています。強い眠気を我慢しての運転や危険な作業は事故につながりますし、カフェインの重ねすぎ、夕方以降の長い仮眠、寝酒は、体調と今夜の睡眠をさらに悪化させかねません。※4※5※6。
寝不足は一晩で帳消しにできるものではなく、回復睡眠を4晩とっても一部の機能に影響が残るという報告もあるほどです。※8
だからこそ、寝室の明るさや温度、寝具を整えて、少しでも深く眠れる条件をつくることが大切です。眠気が続く日が重なるようなら、医師に相談することも検討しましょう。今日を無事に乗り切ったあなたが、明日は少し軽い体で爽快に目覚められますように。
・参考
※1 快眠と生活習慣 | e-ヘルスネット(厚生労働省)
※2 Daytime exposure to bright light, as compared to dim light, decreases sleepiness and improves psychomotor vigilance performance | PubMed
※3 The effects of a 20-min nap at noon on sleepiness, performance and EEG activity | PubMed
※4 居眠り運転を防ぐにはどうすればいいのでしょうか? | JAF
※5 健康づくりのための睡眠ガイド2023 | 厚生労働省
※6 ファクトシート 食品中のカフェイン | 食品安全委員会
※7 昼間の眠気 | e-ヘルスネット(厚生労働省)
※8 Residual, differential neurobehavioral deficits linger after multiple recovery nights following chronic sleep restriction or acute total sleep deprivation | PubMed
※9 睡眠チェック&アドバイスシート | 厚生労働省










