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監修者
松本 恭
「健康の秘訣はぐっすり眠ること」がモットーで、これまでウォーターベッド、ウッドスプリングベッド、西式健康枕、ハンモックなどさまざまな寝具の寝心地を追求してきた睡眠マニア。偶然出会ったコアラマットレス®︎の快適さに感銘を受け、メンバーとして参加。上級睡眠健康指導士としての知識を通して、より多くの人に快眠を届けたいと願っている。
「巻き肩が気になっているけれど枕を変えれば改善できるのか」「寝ている間に症状が悪化するのではないか」という不安を感じている方は多いのではないでしょうか。朝起きたときに肩こりや首の違和感があったり、横向きで寝ると肩が前に入りやすかったりすると、どのような枕を選べばよいのか迷いますね。
実は、私も以前はひどい巻き肩とデスクワークによる肩こりに悩まされており、無理に肩を伸ばそうと高い枕を試しては、翌朝に首を痛めるという失敗を何度も繰り返していました。こうした経験からも、自分の体型や寝姿勢に合わない枕を使い続けることは、首や肩の緊張をかえって強めてしまう原因になると実感しています。
本記事では、上級睡眠健康指導士の資格を持つコアラマットレス社員の松本が、専門的な知見と日々の寝具開発のノウハウを交えながら、巻き肩や肩こりを悪化させないための正しい寝具選びの考え方をお伝えします。
巻き肩は枕で改善できる?
日本整形外科学会によると、肩こりの原因としては、首や背中が緊張するような姿勢での作業、猫背や前かがみの姿勢、運動不足、長時間同じ姿勢を続けることなどが挙げられています。※1
巻き肩による違和感も、こうした日中の姿勢や生活習慣の積み重ねと関係している可能性があり、枕だけで巻き肩そのものを治せるとは言えません。
しかし、枕は睡眠中の首や肩への負担を整える役割を持っていますから、巻き肩の矯正器具というよりも「負担を軽減するための道具」として選ぶ視点が大切です。
また、厚生労働省のe-ヘルスネットでは、枕の役割について、後頭部から首にかけてのすき間を支え、立っているときに近い自然な体勢を保つことだと説明されています。※2
巻き肩が気になる方にとって、自然な寝姿勢を保てるかどうかも枕選びの重要な基準にするとよいでしょう。
巻き肩と肩こりが起こりやすい姿勢
巻き肩や肩こりは、睡眠中だけの問題ではなく、日中の姿勢の影響を強く受けています。デスクワークやスマートフォンの操作が長く続くと、肩が内側に巻き込むような姿勢になりやすく、首や肩、背中の筋肉に負担がかかり続けます。巻き肩が気になる方は、こうした日中の姿勢と睡眠中の姿勢の両方を見直す必要があります。
関連記事:枕の種類を徹底比較!素材・サイズ・高さで失敗しない選び方と快眠への近道
巻き肩の人が枕を選ぶときのポイント
厚生労働省のe-ヘルスネットでは、頸部のすき間には個人差があり、一般的には1センチメートルから6センチメートルほどとされ、この範囲に合わない高さの枕を使うと首や肩、胸の筋肉に負担がかかる可能性があると説明されています。※2
また、睡眠環境学会誌に掲載された研究において、起床時に首や肩のこりを感じていた29名を対象に、普段使っている枕と頸椎や胸椎のアラインメントを考慮した枕を比較したところ、こりの自覚症状はテスト枕を使用した場合に有意に低下し、改善傾向を示した被験者は全体の82.8%にのぼったと報告されています。※3
巻き肩が気になる方はどのような枕を選ぶとよいのでしょうか。枕選びの際に確認しておきたい4つのポイントを紹介します。
1. 首のすき間に合う高さ
枕の高さにおいて大切なのは、後頭部から首にかけてのすき間を自然に支えられるかどうかです。厚生労働省のe-ヘルスネットでも、この頸部のすき間を埋め、立ち姿勢に近い自然な体勢を保つことが枕の役割であると説明されています。※2
高すぎる枕を使うと、首が前方に曲がった状態が続き、首や肩、胸まわりの筋肉に負担がかかりやすくなります。反対に低すぎる枕では、首が支えられずに不安定な状態になり、寝ている間に力が入りやすくなります。巻き肩が気になる方は、仰向けに寝たときに首から肩にかけて自然なラインを保てているかを確認しながら、自分に合う高さの枕を選ぶことが大切です。
2. 横向き寝でも肩が詰まらない
巻き肩が気になる方は、横向きで寝たときに肩が前に入り込みやすい傾向があります。そのため枕を選ぶ際には、肩先から側頭部までをしっかり支えられる奥行きや幅があるかどうかを確認してください。厚生労働省のe-ヘルスネットでも、横向きで寝る場合には肩先から側頭部までを支える奥行きが必要になると説明されています。※2
奥行きが不足していると、横向きで寝たときに頭が沈み込みすぎたり、肩だけに体重がかかって圧迫されたりして、首や肩の違和感につながります。普段横向きで寝ることが多い方は、仰向け用の高さだけでなく、横向きで寝たときの支え方にも注目して枕を選ぶとよいでしょう。
3. 寝返りしやすい硬さと形状
睡眠中に自然な寝返りができるかどうかも、巻き肩が気になる方にとって見逃せないポイントです。同じ部位に体重がかかり続けると、その部分の筋肉や関節に負担が集中しやすくなります。柔らかすぎて頭が深く沈み込んでしまう枕や、特定の位置に頭の位置が固定されすぎる形状の枕は、仰向けと横向きの間をスムーズに移動しにくく、かえって首や肩に負担をかけてしまう場合があります。
巻き肩が気になる方は、適度な反発力があり、仰向けと横向きの両方の姿勢に対応しやすい硬さや形状の枕を選ぶことをおすすめします。
4. 肩や胸を圧迫しにくい寝具環境
枕だけでなく、マットレスや敷き布団の硬さも寝姿勢に大きく影響します。マットレスが体重に対して柔らかすぎると、肩や腰まわりが沈み込みすぎて肩や胸が丸まった姿勢になりやすいですし、反対に硬すぎるマットレスだと、肩や腰の一部だけに圧力が集中し、寝返りが打ちにくくなってしまいます。
枕を変えても違和感が残る場合は、枕単体ではなく寝具全体のバランスを見直す必要があります。
巻き肩を悪化させやすい枕と寝方
厚生労働省のe-ヘルスネットでは、高すぎる枕や低すぎる枕が首や肩、胸の筋肉に負担をかける可能性があると指摘されています。※2
日本整形外科学会では、肩こりの予防には同じ姿勢を長く続けないことや適度な運動が重要であるとしている点にも注目しましょう。※1
寝方だけに頼らない対策として、巻き肩が気になる方が特に注意しておきたい3つのパターンを紹介します。
1. 高すぎる枕で肩を伸ばす
巻き肩を伸ばしたいという思いから、あえて高い枕を選ぶ方がいますが、これは注意が必要な対策です。高すぎる枕を使うと首が前方に曲がった状態が長時間続き、首や肩、胸まわりの筋肉に負担がかかりやすくなります。高さで無理に矯正しようとするのではなく、首のすき間に合った高さになっているか、呼吸や寝返りが妨げられていないかを確認することが大切です。違和感を覚えたまま高い枕を使い続けることは避けたほうがよいでしょう。
2. 枕なしで寝る
枕なしで寝ると巻き肩が改善するという情報を見聞きしたことがある方もいるかもしれません。枕なしの寝方が体に合う方もいますが、多くの場合、首の支えが不足して違和感につながりやすいです。マットレスの沈み込み具合や体型によっても適した高さは異なるため、安易に枕を外してしまうと、かえって首や肩に負担がかかることがあります。枕を使わない寝方を試す場合は、体調の変化を確認しながら慎重に判断してください。
3. 横向きで上側の肩を前に落とす
横向きで寝るとき、上側になった肩や腕が体の前に落ちてしまうと、胸が丸まり、巻き肩に近い姿勢になりやすくなります。抱き枕や丸めたバスタオルを腕の下に入れて支えると、肩が前に落ちにくい環境をつくることができます。
横向き寝が習慣になっている方は、寝方を変えるのではなく、肩や腕を支える工夫を取り入れましょう。
関連記事:あなたに最適な枕の選び方
寝るときにできる巻き肩対策
日本整形外科学会によると、肩こりの予防として同じ姿勢を続けないこと、体を温めること、適度な運動や体操を行うことがポイントだそうです。※1
ここで紹介する内容は治療ではなく一般的なセルフケアの一例です。痛みやしびれがある場合は自己判断で対応せず、医療機関や専門家に相談してください。
1. 肩の力を抜ける姿勢をとる
仰向けで寝るときは、首のすき間がしっかり支えられ、肩がすくまず、胸が過度に反り返らない姿勢を目指しましょう。枕の位置は首元に合わせ、頭だけが高くなりすぎないように調整することが大切です。肩まわりが浮いて緊張してしまう場合は、薄く畳んだタオルを肩の下に軽く入れて、高さを微調整する方法も試してみてください。
2. 横向きでは腕と肩を支える
横向きで寝ることが多い方は、上側になる腕を胸の前で支え、肩が内側に落ち込みすぎないように工夫しましょう。抱き枕を腕や脚の間に挟んだり、厚手のバスタオルを丸めて腕の下に当てたりして、肩や胸まわりの緊張を和らげる方法が有効です。特別な道具を用意しなくても、家にあるタオルで手軽に試せる方法なので、横向き寝が習慣になっている方は取り入れてみてください。
巻き肩と肩こりを防ぐために意識したいこと
令和4年国民生活基礎調査では、自覚症状のある方の症状別の状況について、男女とも腰痛に次いで肩こりの有訴者率が高いという結果が示されました。※4
日本整形外科学会でも、猫背や前かがみの姿勢、運動不足、長時間同じ姿勢を続けることが肩こりの原因として挙げられています。※1
巻き肩や肩こりは、睡眠中の姿勢だけでなく、日中の姿勢や生活習慣の影響を大きく受けており、多くの人が抱える悩みです。
1. 長時間同じ姿勢を続けない
デスクワークやスマートフォンの操作が長時間続くと、肩が前に入り込んだ姿勢が固定されやすくなり、首や肩まわりの筋肉に負担がかかり続けます。1時間に1回は立ち上がって体を動かす、肩を軽く回す、パソコンやスマートフォンの画面の高さを目線に近づけるといった工夫を取り入れ、同じ姿勢が続く時間を減らしましょう。日常生活の中で少しずつ意識するだけでも、肩まわりの負担は変わってきます。
2. 胸を開くより肩甲骨を動かす意識を持つ
巻き肩対策というと、胸を大きく反らして開くイメージを持つ方もいますが、無理に胸を反らすよりも、肩甲骨まわりを動かして肩の力を抜くことを意識するほうが負担は少ないです。肩甲骨を軽く寄せる動作や、肩をゆっくり上下に動かすストレッチ、深呼吸を組み合わせて、過度な矯正をせずに肩まわりの緊張をほぐしましょう。日中のちょっとした合間に取り入れられる範囲で、無理なく続ける方法を試してみてください。
巻き肩の人が枕を選ぶときによくある質問
ニトリなどの店舗やECサイトで販売されている枕を比較検討する際にも、口コミやランキングだけで選ぶのではなく、次のような判断基準を参考にしてみてください。
Q1. タオルで巻き肩対策はできる?
バスタオルは、枕の高さを微調整したり、横向きで寝るときに腕を支えたりする道具として活用できます。首元に薄く畳んだタオルを入れることで枕の高さを微調整したり、横向きで寝るときに腕の下に入れて肩を支えたりする使い方もよいでしょう。
ただし、タオルを厚く重ねすぎると、かえって高さが合わなくなり、首や肩に違和感が出ることもあるため、少しずつ調整しながら自分に合う厚みを見つけてください。
Q2. ストレートネックの場合はどんな枕を選ぶ?
巻き肩とストレートネックの両方が気になる方は、首のカーブを無理に押し上げるような枕ではなく、後頭部から首にかけてのすき間を自然に支えられる高さの枕を選ぶのがおすすめです。枕の役割は立ち姿勢に近い自然な体勢を保つことですから、ストレートネックだからといって特別に高い枕や硬い枕が必要なわけではありません。
首や肩に痛みやしびれがある場合は、枕選びだけで対応しようとせず、自己判断による矯正は避け、医療機関や専門家に相談することをおすすめします。
まとめ:巻き肩が気になる人は枕と寝方をセットで見直そう
巻き肩は枕だけで矯正できるものではなく、首や肩に負担の少ない高さ、横向きで寝ても肩が詰まらない奥行き、自然に寝返りができる硬さや形状を備えた枕を選ぶことが大切です。そのうえで、仰向けや横向きそれぞれの寝方で肩の力を抜ける姿勢を意識し、抱き枕やバスタオルで腕や肩を支える工夫を取り入れると、睡眠中の負担をさらに減らせます。
加えて、デスクワークやスマートフォンの操作による同じ姿勢の継続を避け、肩甲骨を動かす軽いストレッチを日常に取り入れることも、巻き肩や肩こりの予防には欠かせません。枕選びと寝方、そして日中の姿勢をセットで見直すことで、巻き肩が気になる方も無理なく負担の少ない睡眠環境を整えていけるはずです。
・参考
※1 公益社団法人日本整形外科学会「肩こり」
※2 厚生労働省 e-ヘルスネット「快眠と生活習慣」
※3 日本睡眠環境学会誌「頸椎・胸椎アライメントを考慮した枕の効果に関する研究」
※4 令和4年国民生活基礎調査の概況| 厚生労働省











