生理前に眠いのはなぜ?原因と日中の眠気をやわらげる対処法を解説
睡眠コラム by 石川 恭子2026年7月26日読了目安時間: 5

生理前に眠いのはなぜ?原因と日中の眠気をやわらげる対処法を解説

生理前になると、仕事中や授業中に強い眠気に襲われて、集中できずに困っていませんか。しっかり眠ったつもりなのに日中も眠くてだるく、なぜこんなに眠いのだろうと自分を責めてしまう方も少なくありません。

実は私も、以前は生理前になるたびにパソコンの画面を前に激しい睡魔と戦い、自己嫌悪に陥る日々を過ごしていました。当時は自分の意志が弱いせいだと思い込んでいましたが、ホルモンバランスによる体の仕組みを知り、適切なセルフケアを取り入れるようになってからは、過度に悩まず心穏やかに過ごせるようになりました。生理前の眠気は、怠けているわけではなく、女性ホルモンの変化によって起こる自然な反応なのです。

本記事では、上級睡眠健康指導士の資格を持つコアラマットレス社員の石川が、専門的な知見と日々の寝具開発のノウハウを交えながら、生理前の眠気のメカニズムや、日中のパフォーマンスを維持するための具体的なアプローチについて詳しく解説します。

生理前に強い眠気が起こる理由

生理前になると強い眠気を感じる理由は、いくつかあります。主な要因として、女性ホルモンのプロゲステロンの増加、それに伴う基礎体温の上昇、鉄分不足、そしてPMS(月経前症候群)の症状としての眠気が挙げられます。それぞれの理由について詳しく見ていきましょう。

1. プロゲステロン

生理前、つまり排卵から次の生理が始まるまでの「黄体期」には、女性ホルモンの一種であるプロゲステロン(黄体ホルモン)の分泌量が増えます。※1

排卵から着床までの期間にあたる黄体期において、プロゲステロンには体を休ませる方向に働く作用があるとされており、日中の強い眠気やだるさが起きやすいのです。妊娠中に眠気を感じやすくなるのも、プロゲステロンの分泌量が増えることが関係しているとされており、生理前の眠気とよく似た仕組みで起こっている可能性があります。※1

つまり、生理前に眠くてたまらないと感じるのは、意志の弱さではなく、ホルモンバランスの変化による自然な体の反応だといえるでしょう。

2. 基礎体温の上昇

プロゲステロンには、基礎体温を上げる働きもあります。黄体期に入ると、低温期に比べて基礎体温がおよそ0.3度から0.5度上昇し、「高温期」と呼ばれる状態が12日から14日ほど続きます。※2

人は夜にかけて深部体温(体の内部の温度)が下がることで眠りに入りやすくなりますが、黄体期は体温の高い状態が続くため、一日の中で体温のメリハリがつきにくくなり、夜の眠りが浅くなりやすく、睡眠時間は十分でも疲れが取れにくくなると言われています。※1

その結果、日中に眠気が現れてしまうのです。

3. 鉄分不足

月経前から月経期の間は、経血として鉄分が失われやすく、体内の鉄分が不足しがちな時期です。全身に酸素を運ぶヘモグロビンの材料となる栄養素・鉄分が不足して貧血状態になると、体が酸素不足に近い状態になり、脳の働きも低下しやすくなって、だるさや眠気につながる可能性があります。もともと月経のある女性は鉄分が不足しやすい傾向にあるため、生理前から生理中にかけての眠気やだるさには、鉄分不足が関わっているケースも少なくありません。

4. PMS(月経前症候群)

生理前の眠気は、PMS(月経前症候群)の症状のひとつとして現れることもあります。PMSは、月経前の3日から10日間ほど続き、月経が始まると自然に軽くなったり消えたりする、心と体のさまざまな不調です。排卵後にホルモンが大きく変動することがPMSの主な原因と考えられていますが、ストレスなど複数の要因が重なって起こるともいわれています。※3

イライラや気分の落ち込み、頭痛、むくみといった症状とあわせて、日中の眠気やだるさが現れる場合もあるため、複数の不調が重なっている場合は、PMSの影響も視野に入れるとよいでしょう。

生理前の眠気はいつから始まる?

月経周期が28日型の方であれば、月経開始日からおよそ13日から14日目に排卵が起こることが多く、そこから次の月経が始まるまでのおよそ1週間から2週間が黄体期にあたります。つまり、生理前の眠気やだるさは、多くの場合、黄体期に入ってから感じ始める方が多いということになります。

ただし、排卵のタイミングや黄体期の長さには個人差があり、体調やストレスによっても変動しますので、自分が眠気を感じ始める時期はいつかを把握しておくことが大切です。基礎体温を記録しておくと、自分の周期のリズムがつかみやすくなり、仕事や予定の調整を行う際に無理をしすぎずに過ごすための目安になるでしょう。※2

日中の眠気をやわらげる対処法

生理前の眠気の仕組みがわかっても、仕事や学校がある日は簡単に休むわけにはいきません。日中に強い眠気を感じたときに取り入れやすい対処法を3つ紹介します。

1. 10〜20分の仮眠を上手に取る

日中に強い眠気を感じるときは、昼休みなどを利用して10分から20分ほどの短い仮眠を取りましょう。短時間の仮眠には、頭をすっきりさせ、午後の作業効率を保ちやすくする効果が期待できます。ただし、長く寝すぎると深い眠りに入ってしまい、目覚めたあとにかえって頭がぼんやりしたり、だるさが残ったりすることがあるため注意してください。※4

また、夕方以降に仮眠を取ると夜の寝つきに影響することもあるため、仮眠はできるだけ午後の早い時間帯に、短時間で切り上げることを意識しましょう。

2. 朝の光を浴びて体内時計を整える

体内時計が安定すると、夜になれば自然と眠くなり、朝はすっきり目覚めやすくなるため、日中の眠気の軽減にもよい影響が期待できます。ではどうやって体内時計を安定させるかというと、起床後に自然光を浴びるのが手軽な方法のひとつです。朝日を浴びることで体内時計がリセットされ、睡眠と覚醒のリズムが整いやすくなります。※4

カーテンを開けて朝日を部屋に取り込む、ベランダに出て数分間光を浴びるなど、無理のない範囲で朝の習慣に取り入れてみましょう。生理前で寝つきが悪くなりがちな時期こそ、朝の光を意識することが、夜の睡眠の質を底上げすることにもつながります。

3. カフェインは午後の早い時間までとする

コーヒーや緑茶などに含まれるカフェインには、一時的に眠気をやわらげる働きがあります。ただし、夕方以降にとると夜の睡眠の質を下げることがあるため、飲む時間帯や量に注意しましょう。ちなみに、厚生労働省の資料では、カフェインの摂取量は1日400mgを超えないよう目安が示されています。※4

生理前は普段よりも眠りが浅くなりやすい時期のため、カフェインを取り入れるなら午後の早い時間までにとどめ、夕方以降はハーブティーなどカフェインを含まない飲み物に切り替えるとよいでしょう。

関連記事:【医師監修 】寝ても寝ても眠い女性必見!原因と改善策を徹底解説

夜の睡眠の質を整える方法

日中の眠気を根本から軽くするためには、夜の睡眠の質そのものを整えることも大切です。生理前は体温やホルモンの影響で眠りが浅くなりやすいからこそ、就寝前の過ごし方や寝室の環境、食事の内容を見直すことが役立ちます。

1. 就寝前のリラックスと寝室環境をつくる

就寝の1時間から2時間ほど前に、ぬるめのお湯にゆっくりとつかると、体がリラックスし、眠りに入りやすいです。あわせて、深い眠りを支えるために、自分の体に合った寝具で眠れる環境を整えましょう。生理前は体温が高くなりやすく、寝苦しさを感じることもあるため、通気性のよい寝具や、体に負担をかけにくいマットレスを選ぶことも心地よい眠りの助けになります。

2. 鉄分・ビタミンを意識した食事をとる

生理前から生理中にかけては、鉄分が不足しやすいだけでなく、ビタミンB6やマグネシウムといった栄養素もPMSの症状に関わっているといわれています。鉄分はレバーや赤身の肉、ほうれん草などに、ビタミンB6はバナナや鮭、鶏肉に、マグネシウムはナッツ類や海藻類に多く含まれています。※5

特定の食品やサプリメントに頼りすぎるのではなく、毎日の食事を中心にバランスよく取り入れることを意識してみてください。また、甘いものやカフェインの摂りすぎはかえって不調を悪化させることがあるため、控えめにすることもあわせて試してみてください。

生理前でつらい時は婦人科に相談を

セルフケアを続けても改善しない、あるいは日常生活に支障が出るほど眠気やだるさが強い場合は、我慢せずに婦人科への相談を検討しましょう。特に、気分の落ち込みやイライラを強く伴う場合や、PMSの症状が3日から10日以上続き、月経が始まっても軽くならない場合は、体からのサインとして捉え、専門家に相談することをおすすめします。※3

婦人科では、症状の程度に応じて低用量ピルなどを用いた治療が選択肢となることもあります。専門家に相談することで、自分の状態をより正確に理解できるだけでなく、今後の生活を改善するきっかけにもなるでしょう。ひとりで抱え込まず、つらいと感じたら早めに相談することが大切です。

生理前の眠気に関するよくある質問

生理前は寝ても寝ても眠いのはなぜ?

生理前はプロゲステロンの影響で基礎体温が高い状態が続き、夜の体温が下がりにくくなるため、睡眠の質が下がりやすいです。※1※2

そのため、夜に十分な時間眠ったつもりでも、眠りが浅く、日中に眠気やだるさが残ってしまうことがあります。加えて、鉄分不足やPMSの症状が重なると、さらに眠気を感じやすくなる場合もあります。生理前に寝ても寝ても眠いと感じるのは、決して珍しいことではないのです。

生理前の眠気と妊娠初期の眠気の違いは?

生理前の眠気も妊娠初期の眠気も、どちらもプロゲステロンの分泌量が増えることによって起こるとされており、眠気の強さや感じ方だけで両者を見分けることは難しいのが実情です。※1

生理予定日を過ぎても眠気やだるさが続く場合や、ほかにも体調の変化を感じる場合は、妊娠の可能性も視野に入れて検査薬を使ってみたり、婦人科を受診したりすることを検討しましょう。自己判断で決めつけず、体の変化に注意を向けることが大切です。

関連記事:【医師監修】生理中の眠気がひどい原因と今すぐできる対処法|医学的メカニズムを解説

まとめ:生理前の眠気は仮眠と夜の睡眠で対策しよう

生理前に強い眠気やだるさを感じるのは、プロゲステロンの増加や基礎体温の上昇、鉄分不足、PMSの症状など、複数の要因が重なって起こる自然な体の反応です。怠けているわけではないと理解するだけでも、気持ちが少し楽になるのではないでしょうか。

日中にどうしても眠いときは、10分から20分程度の短い仮眠や、朝の光、カフェインの上手な使い方を取り入れてみましょう。あわせて、就寝前のリラックスや寝室環境、鉄分やビタミンを意識した食事で夜の睡眠の質を整えることも、日中の眠気をやわらげることにつながります。それでもつらさが続く場合は、我慢せずに婦人科へ相談し、自分に合った付き合い方を見つけていきましょう。

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・参考

※1 厚生労働省 e-ヘルスネット「女性の睡眠障害」
※2 ヘルスケアラボ「基礎体温でわかること」
※3 公益社団法人 日本産科婦人科学会「月経前症候群(PMS)」
※4 厚生労働省「健康づくりのための睡眠ガイド2023」
※5 大塚製薬「PMS(月経前症候群)ラボ」食事について