頭を高くして寝る効果とは?高い枕のメリット・デメリットと注意点
睡眠コラム by 石川 恭子•2026年9月25日•読了目安時間: 5 分

頭を高くして寝る効果とは?高い枕のメリット・デメリットと注意点

いびきや胸やけは、頭を少し高くして寝ると楽になるという話を目にすることがあります。実際に枕を重ねてみたものの、朝起きたときに首や肩が痛くなったり、寝返りがしにくく感じたりして、この方法で合っているのか分からずにいる方もいらっしゃるのではないでしょうか。枕を高くして頭や上半身を起こす姿勢は、高さや支え方が合わないと体への負担につながる場合があります。

本記事では、上級睡眠健康指導士の資格を持つコアラマットレス社員の石川が、頭を高くして寝ることで期待できる効果と、知っておきたいデメリット、高さや角度の考え方をご紹介します。

頭を高くして寝る主な効果とメリット

頭や上半身を起こして寝ると、仰向けで寝たときの上気道の広さや、胃と食道の位置関係が変わります。そのため、寝ているときの姿勢が関係する症状で取り入れられることがあります。ただし、どの症状にも同じように効くわけではありません。代表的な2つについてご説明します。

1. いびきが軽減する場合がある

仰向けで寝るといびきが大きくなる場合、上半身を起こした姿勢にすると呼吸が楽になる場合があります。閉塞性睡眠時無呼吸では、睡眠中に気道が何らかの理由で狭まることで呼吸がしづらくなる、もしくは一時停止し、酸素不足から覚醒反応が生じるという一連の動きを夜間に繰り返します。※1

日本呼吸器学会などがまとめた睡眠時無呼吸症候群(SAS)診療ガイドライン2020では、閉塞性睡眠時無呼吸の約半数の患者において、睡眠中の体位が仰臥位のときに咽頭気道の閉塞により無呼吸が悪化し、逆に側臥位や上半身を30度から60度高くした半座位では無呼吸が軽減することがわかっているそうです。※2

ただし、体位療法に用いる器具が標準化されておらず、日本の患者を対象とした根拠もないことから、現時点では補助的な治療法という位置づけです。すべてのいびきや睡眠時無呼吸に効くわけではなく、標準的な治療に代わる方法でもない点は押さえておきたいところです。

2. 胃酸の逆流を抑えられる場合がある

いびきよりもはっきりと勧められているのが、胃酸の逆流に対する使い方です。日本消化器病学会の胃食道逆流症(GERD)ガイド2023では、生活習慣や食生活の改善のうち、とくに改善効果が高いことがわかっているものとして、肥満の解消(体重減少)と、上半身をやや起き上がらせて寝る姿勢(頭側挙上)の2つが挙げられています。※3

つまり、胃の内容物が食道へ逆流しにくい位置関係をつくることが目的ということです。

さらに同ガイドでは、生活面で避けたほうがよいこととして、腹部の締め付けや前かがみの姿勢、右を下にして寝る姿勢などが示され、食事面では食べ過ぎや就寝前の食事、高脂肪食などを挙げています。※3

寝る姿勢を変えるだけでなく、夕食の時間帯や内容もあわせて見直すと、症状の出方を確かめやすいでしょう。

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頭を高くして寝るデメリット

このように目的のはっきりした使い道がある一方で、頭を高くする姿勢は高くすればするほどよいというものではありません。代表的なデメリット2つを見ていきます。

1. 首や肩に負担がかかり、寝返りしにくくなる

枕を重ねて頭だけを高くすると、顎が胸へ引き寄せられ、首が前へ曲がった姿勢になります。この状態では背骨が急なカーブを描き、首や肩、背中の筋肉に負担がかかるため、起床時に痛みやこわばりが残る、日中も肩が重いといった症状が出やすいです。

注意したいのは、仰向けで枕が高すぎると顎が引けて気道が狭くなり、かえっていびきをかきやすくなる点です。いびきを抑えるつもりで枕を高くしたところ、逆の結果になってしまうことはあり得ます。

頭の位置が固定されたように感じたり、体が沈み込んで動かしにくくなったりすると、自然な寝返りが妨げられる点もデメリットです。寝返りは体の一部に圧力が集中し続けることを防ぐ動きですので、姿勢を変えたときは打ちやすさもあわせて確かめておきたいところです。

2. 高い枕と首の血管の病気との関連が報告されている

枕の高さについては、首の血管との関連を調べた研究も発表されています。国立循環器病研究センターは、高い枕の使用と、首の後ろを通る椎骨動脈が裂ける特発性椎骨動脈解離との関連を調べた結果を公表しました。※4

症例群53名と対照群53名の合わせて106名を対象とした調査では、12cm以上の枕を使っていた割合が症例群で34%、対照群で15%、15cm以上では症例群17%、対照群1.9%でした。※4

枕が硬いほどこの傾向は顕著で、柔らかい枕では緩和されたとも報告されています。同センターは、起床時に発症し誘因のない患者が高い枕を使用していた状態を、殿様枕症候群として提唱しています。※4。

ただし、この研究は1施設の2018年から2023年までのデータにもとづくもので、対象となった人数も多くはありません。高い枕が必ず病気を引き起こすという意味ではなく、より広い検証が必要な段階だと受け止めておくとよいでしょう。枕を選ぶときに、高さだけでなく硬さにも目を向けるきっかけとして役立ちます。

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高い枕が合うかは寝姿勢や体格で変わる

デメリットがあるとはいえ、高めの枕がすべての人に合わないわけではありません。合うかどうかは、仰向けと横向きのどちらで寝ることが多いか、肩幅や首のカーブがどうなっているか、マットレスに体がどのくらい沈み込むかによって変わります。

横向きで寝ると、肩幅のぶんだけ頭と寝具の間に空間ができるため、仰向けよりも高さが必要です。横向きで寝ることが多い方が高めの枕を心地よく感じるのは、肩への圧迫が少なくなるためですが、仰向けで高すぎる枕を使うと顎が引かれ、首が曲がりやすくなります。同じ枕でも、寝姿勢が変われば高すぎたり低すぎたりします。

もう1つ見落としやすいのが、マットレスの影響です。枕の高さは製品の厚みだけで決まるのではなく、体が沈み込んだ状態で頭と背骨がどう並ぶかで決まります。柔らかいマットレスでは腰や肩が深く沈むぶん、同じ枕でも相対的に高く感じられます。枕を買い替える前に、いま使っている寝具の状態も一度確認してみてください。

マットレスから見直す場合は、自宅でしばらく試せる製品だと判断しやすくなりますので、コアラマットレスもあわせて検討してみてください。

頭を高くして寝るときのポイント

症状への対策として頭を高くする場合は、枕の高さだけを変えるのではなく、上半身全体をどう支えるかという視点で考えると、無理のない姿勢をつくりやすいです。確認しておきたい点を3つに分けてご説明します。

1. 頭だけでなく上半身から支える

頭側挙上という考え方は、頭だけを持ち上げることではありません。枕を重ねて頭の位置だけを上げると、首の一か所で急に角度がつき、顎が強く引かれてしまいます。目指したいのは、頭から腰にかけて緩やかな傾斜がつき、上半身全体が支えられている状態です。

方法としては、リクライニング機能のあるベッドで頭側を持ち上げる、傾斜のついたクッションを背中から腰まで敷く、マットレスの下に支えを入れて全体を傾けるといった選択肢があります。角度をつけすぎると腰に負担がかかり、寝返りも打ちにくくなりますので、まずは緩やかな傾斜から始めて、自分に合う範囲を探していくと失敗が少なくなります。

2. 首が曲がりすぎない姿勢にする

傾斜をつけたら、仰向けで横になった状態のまま首の角度を確かめます。顎が胸へ近づきすぎていないか、のどに圧迫感がないか、息苦しさがないかを見ましょう。家族に横から見てもらうと分かりやすいです。

枕の高さも、製品に書かれた厚みだけでは判断できません。頭を乗せたときにどれだけ沈むか、下のマットレスがどれだけ柔らかいかによって、実際の高さは変わります。数字ではなく、横になったときの姿勢で決めてください。

3. 寝返りのしやすさや違和感を確認する

姿勢が整ったら、次は動きやすさです。仰向けから横向きへ無理なく姿勢を変えられるか、傾斜やクッションが体の動きを妨げていないかを確かめます。力を入れないと寝返りが打てない状態は、体のどこかに負担がかかっているサインです。

翌朝の体の様子も大切な手がかりになります。首や肩の痛みやこわばり、腰の違和感、めまいなどが出ていないかを振り返り、気になる変化があれば角度を戻すか、いったん中止しましょう。数日試して調子がよければ続け、合わないと感じたら無理に続けないという進め方が安心です。

頭を高くして寝るときの注意点

頭を高くする方法は、誰にでも、どんな場面でも当てはまるわけではありません。取り入れる前に知っておくとよい内容をまとめました。

1. いびきや胸やけが続く場合は医師に相談する

大きないびきを指摘されている、睡眠中に呼吸が止まっていると言われた、日中に強い眠気があるという場合は、枕や寝姿勢の工夫だけで解決しようとせず、医療機関に相談してください。健康づくりのための睡眠ガイド2023でも、ガイドに記載された事項を実践しても症状が続き、それらが日中の生活に影響を及ぼしている場合は、速やかに医師に相談するよう案内されています。※1

閉塞性睡眠時無呼吸は、高血圧や脳卒中、心筋梗塞、心不全などの循環器疾患や、糖尿病などの代謝性疾患の誘因にもなると説明されています。胸やけや胃酸の逆流が続く場合も同じです。GERDガイド2023では、生活習慣や食生活の改善を図っても症状がよくならない場合は、薬を併用するとよくなることが多いため、かかりつけの医師に相談するよう示されていました。※3

高血圧やめまい、起立性調節障害などが気になって姿勢を変えたい場合も、自己判断で角度を決めずに主治医へ確認しておくと安心です。

2. 赤ちゃんの寝床には傾斜をつけない

大人向けの工夫をそのまま当てはめてはいけないのが、赤ちゃんの寝床です。こども家庭庁は、柔らかいクッションや傾斜のあるマットレスは避け、体が沈まない硬めで平坦な布団やマットレスを使うよう案内しています。※5

あわせて、1歳になるまでは寝かせるときに仰向けにすること、掛け布団は使わずスリーパーなどの着るもので寒さを調整すること、ぬいぐるみやタオルを寝床に置かないことも指摘しています。※5

その背景にあるのは、窒息事故の危険性です。消費者庁が人口動態調査の調査票情報を分析したところ、2010年から2014年までの5年間で、0歳児の就寝時の窒息死事故が160件確認され、不慮の事故死全体の32%を占めていました。※6

消費者庁では、子どもが払いのけられる軽い掛け布団や、顔が埋まらない固めの敷き布団を使うことなどを呼びかけています。※6

睡眠ガイド2023でも、自分で寝返りができるようになる1歳頃までは、柔らかすぎる寝具を避けて仰向けに寝かせるよう示されているように、大人にとって楽な姿勢が、赤ちゃんにも同じように当てはまるわけではない点に注意しましょう。

まとめ:頭を高くして寝る効果は体の状態によって異なる

頭を高くして寝る姿勢は、いびきや胃酸の逆流のように、寝ているときの体の位置が関係する症状で役立つ場合があります。胃食道逆流症では改善効果が高い生活上の工夫として挙げられており、睡眠時無呼吸では補助的な位置づけながら、体位によって無呼吸が軽減する方がいると報告されています。

一方で、頭だけを持ち上げると首や肩に負担がかかり、かえっていびきが増えたり寝返りが打ちにくくなったりします。高い枕については首の血管の病気との関連を調べた研究もあるため、高さと硬さの両方に目を向けましょう。

試すときは、上半身から緩やかに支えること、首が曲がりすぎていないこと、寝返りが打てることの3点を確認してください。症状が続く場合は医療機関に相談し、1歳未満の赤ちゃんの寝床では傾斜をつけないようにしましょう。万能の対策でも危険な行為でもなく、自分の症状に照らして試すかどうかを決めるという受け止め方が、いちばん無理のない使い方です。

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参考文献

※1 健康づくりのための睡眠ガイド2023 | 厚生労働省
※2 睡眠時無呼吸症候群(SAS)診療ガイドライン2020 | 日本呼吸器学会
※3 患者さんとご家族のための胃食道逆流症(GERD)ガイド2023 | 日本消化器病学会
※4 枕が高いと脳卒中になる?―特発性椎骨動脈解離と高い枕の関係と、殿様枕症候群の提唱― | 国立循環器病研究センター
※5 赤ちゃんが安全に眠れるように | こども家庭庁
※6 0歳児の就寝時の窒息死に御注意ください! | 消費者庁