寝不足 頭痛
睡眠コラム by 松岡 雄治2026年8月20日読了目安時間: 7

寝不足の頭痛の治し方は?タイプ別の特徴と対処法を解説

寝不足による頭痛は、痛み方に合わせて冷やすか温めるかを使い分けることが大切です。ただし、睡眠不足だけでなく、寝すぎや睡眠の質の低下が頭痛のきっかけになる場合もあります。

この記事では、寝不足で起こりやすい頭痛の特徴や対処法、予防につながる睡眠習慣を解説します。頭痛をやわらげ、繰り返しにくい生活へ整えたい方は、ぜひ最後までご覧ください。

 

寝不足による2タイプの頭痛と対処法

寝不足をきっかけに起こる頭痛には、主に片頭痛と緊張型頭痛があります。痛み方や随伴症状を確認すると、冷やすか温めるかを判断しやすくなります。同じ人に両方が起こる場合もあるため、その日の症状を見て対処を選びましょう。

1. 片頭痛

片頭痛は、頭の片側または両側がズキズキと脈打つように痛む頭痛です。体を動かすと痛みが強まりやすく、日常生活に支障が出ることもあります。男性に比べると女性は4倍ほど多いといわれています。

頭痛とともに現れやすい症状は、次のとおりです。

  • 吐き気や嘔吐
  • 光や音への過敏
  • においへの過敏
  • 視界に光やギザギザが見える前兆

片頭痛の仕組みは完全には解明されていません。脳の神経や血管、その周囲で起こる炎症などが関係すると考えられています。

痛むときは、暗く静かな部屋で安静にし、こめかみなど痛む部分を冷たいタオルで冷やしましょう。入浴や運動、首肩のマッサージは血流を促し、痛みが強まる場合があるため控えるのが望ましいとされています。

また、少量のカフェインが痛みをやわらげる人もいます。一方で、カフェインはリスクファクターでもあります。摂りすぎや常用は頭痛と睡眠不足を悪化させる可能性があります。カフェインを摂取する場合は、量やタイミングに注意しましょう。

片頭痛では、頭痛の数時間ほど前にあくび、多尿、気分変動、光過敏、首の痛み、集中できないなどのさまざまな症状が予兆のように起こることがあります。頭痛の前にこうした症状があったと心当たりがある場合には、タイミングなどをメモしておきましょう。

※出典:日本頭痛学会・日本神経学会・日本神経治療学会「頭痛の診療ガイドライン2021
※出典:近畿大学メディカルサポートセンター「頭痛について

2. 緊張型頭痛

緊張型頭痛は、頭の両側や後頭部を締め付けられるように痛む頭痛です。緊張型頭痛の有病率は22.4%と4〜5人に1人がこの病気に悩んでいます。

頭が重く感じられ、首こりや肩こりを伴う場合もあります。

片頭痛とは異なり、歩行や階段の上り下りで痛みが悪化しにくい傾向があります。吐き気はあっても軽く、通常は嘔吐までは伴いません。

寝不足や疲労、長時間のデスクワークが続くと、首や肩の筋肉が緊張します。身体的・精神的なストレスが重なり、痛みを感じる仕組みが敏感になることも関係しています。

筋肉のこわばりがある場合は、蒸しタオルやぬるめの入浴で首と肩を温めると良い場合があります。肩をゆっくり上げ下げする運動や、短い散歩も取り入れられます。

ただし、動くとズキズキした痛みが強くなる場合は片頭痛の可能性があります。そのときは温めたり無理に動いたりせず、静かな場所で休んでください。

判断に迷う場合は、温熱や運動をいったん控え、医師に相談しましょう。

※出典:日本頭痛学会・日本神経学会・日本神経治療学会「頭痛の診療ガイドライン2021

 

寝不足による頭痛の対処法

頭痛のタイプに合う冷却や温熱に加え、市販薬や短い休息を利用できる場合があります。症状を我慢して活動を続けず、できる範囲で体を休ませることも大切です。

1. 市販の痛み止めを服用する

頭痛がつらい場合は、市販の鎮痛薬を用法・用量どおりに服用します。アセトアミノフェンや非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)は、片頭痛の急性期にも用いられる成分です。

ただし、持病や妊娠の有無、服用中の薬によって適さない場合があります。購入時は薬剤師や登録販売者に確認してください。

鎮痛薬を頻繁に使うと、薬の使いすぎによる頭痛が起こることもあります。服用回数が増えている、効きにくくなったと感じる場合は、自己判断で量を増やさず医師へ相談しましょう。

片頭痛と緊張型頭痛の患者さんの7割は、頭痛での受診歴がないと報告されています。つまり、頭痛に悩む多くの方が市販の痛み止めを活用して頭痛に対処しているのです。

市販薬は手軽に入手でき、確かに効果的です。しかし、薬剤の使用過多による頭痛の原因にもなるため注意が必要です。

市販の鎮痛薬は鎮痛効果を高めるために、カフェインを含んでいることもあります。知らないうちにカフェインを摂りすぎていたということもないようにしたいですね。

購入する際には、薬剤師に用法用量を確認するのはもちろん、薬剤による頭痛についても話を聞いた上で使用すると安心です。

2. 軽い運動をする

首や肩のこりを伴う緊張型頭痛には、無理のない運動が役立つ場合があります。短いウォーキングや肩甲骨を動かすストレッチで、固まった姿勢を切り替えます。

首を勢いよく回したり、痛む部分を強く押したりする必要はありません。ゆっくり呼吸しながら、痛みが増えない範囲で動かしてください。

一方、片頭痛は日常的な動作で痛みが悪化しやすい特徴があります。ズキズキする痛みや吐き気があるときは、運動より安静を優先しましょう。

運動についてはエビデンスの蓄積が待たれるところですが、実際に症状緩和に役立っているケースはあるようです。運動で解決するというよりは、様子を見ながら無理なく行って、症状が改善するようであれば取り入れるというスタンスで行うとよいかもしれません。

3. 短い昼寝(パワーナップ)をする

前夜の寝不足で日中に眠い場合は、15分程度の短い昼寝で眠気を和らげる効果が期待できます。厚生労働省も、短時間の昼寝は午後の眠気を改善すると説明しています。

なお、昼寝が長くなると眠りが深まり、目覚めた直後にぼんやりする状態(睡眠慣性)が起こりやすくなります。夕方以降の昼寝も夜の寝つきに影響するため、昼休みなど早い時間帯に留めましょう。具体的には昼寝時間は30分以内、15時までを目安にするとよいでしょう。

※出典:Mayo Clinic「Napping: Do’s and don’ts for healthy adults

 

寝不足で頭痛が起こるのはなぜ?主な原因

睡眠不足と頭痛の関係は、ひとつの仕組みだけでは説明できません。神経や痛みの調整、首肩の緊張など、複数の変化が重なって頭痛のきっかけになります。

寝不足とともに起こり得る主な4つの変化を順番に確認します。

1. 自律神経の乱れ

寝不足が続くと、体の調子を整える神経(自律神経)の働きに影響が及びます。自律神経は、覚醒時に働きやすい交感神経と、休息時に働きやすい副交感神経からなる仕組みです。

睡眠と覚醒の切り替えが不規則になると、心拍や血圧などの調整にも変化が生じます。こうした変化は頭痛のきっかけになる場合があります。ただし、頭痛だけで自律神経の異常とは判断できません。

動悸やめまいなどを伴う場合も、症状が起こる時間帯を記録します。休養しても続く不調は、寝不足だけの問題と考えず医師へ相談してください。

2. 脳の血管の収縮・拡張

片頭痛には、脳の血管とその周囲にある神経の反応が関係していると考えられています。ただし、「血管が広がるだけで片頭痛が起こる」という単純な仕組みではありません。

睡眠不足は、片頭痛の発作を起こしやすくする誘因のひとつです。睡眠リズムが変わった後に頭痛が起こる人は、就寝・起床時刻と症状を頭痛日記に残すと関連を把握しやすくなります。

頭痛日記には、痛みの開始時刻や長さ、強さ、吐き気の有無も書くのがおすすめです。月経や天候、食事なども誘因になり得るため、睡眠だけに絞らず記録すると傾向をつかみやすくなります。

3. 首・肩の血行不良と筋肉の緊張

寝不足の翌日は疲労が残り、姿勢も崩れやすくなります。デスクワークで同じ姿勢が続けば、首や肩の筋肉がこわばり、緊張型頭痛につながることがあります。

合わない枕によって首が不自然に曲がった状態も、朝のこりを招く一因です。頭痛と肩こりが同時に起こる場合は、作業姿勢だけでなく寝姿勢も確認しましょう。

画面の位置が低いと、頭が前へ出て首の筋肉へ負担がかかります。椅子に深く座り、肘を支えられる高さへ机や画面を調整してください。作業の合間に立ち上がり、同じ姿勢を中断することも大切です。

4. 脳疲労・ホルモンの影響

睡眠には、脳と体を休ませ、翌日の活動へ備える役割があります。寝不足では疲労感や集中力の低下が残り、痛みに対して敏感になることも考えられます。

また、睡眠不足は、覚醒やストレスに関わるコルチゾールなどの分泌リズムに影響します。セロトニンやメラトニンも睡眠や痛みと関係しますが、ひとつのホルモンだけが頭痛を起こすわけではありません。

「脳疲労」や「ホルモンバランスの乱れ」は広い意味で使われる言葉です。頭痛が続くときは、これらの言葉だけで原因を決めず、医療機関で確認することが大切です。

 

寝不足による頭痛を予防する睡眠習慣

寝不足による頭痛を繰り返す場合は、睡眠時間だけでなく、起床時刻や寝室環境も見直します。休日だけ長く眠るより、普段から睡眠不足をためないことが重要です。ここでは、毎日の生活に取り入れやすい4つの睡眠習慣を紹介します。

1. 自分に合った睡眠時間と起床リズムを整える

必要な睡眠時間には個人差があります。日中の眠気や朝の休養感を目安にして、翌日に疲れを残しにくい時間を確保しましょう。

起床時刻は休日も大きくずらさず、朝に光を浴びます。体内時計が整うと、夜に自然な眠気が訪れやすくなります。平日の不足を休日の寝だめだけで補うと、生活リズムが後ろへずれる場合があります。

なお、眠り始めの睡眠を深くとることが大切といわれています。そのうえで、必要な睡眠時間全体も確保してください。

就寝時刻だけを無理に早めると、眠れないまま寝床で過ごすことがあります。まず起床時刻をそろえ、眠気が来てから床に入る方法が取り入れやすいでしょう。

2. 寝室の温度・湿度・光を整える

寝室は、暑さや寒さで目が覚めにくい環境へ整えましょう。快適に感じる温度には季節や寝具、体質による違いがあるため、一律の設定に合わせる必要はありません。

就寝前は照明を落とし、朝まで眠れるよう外の光や音も調整します。乾燥や蒸れが気になる場合は、空調や加湿・除湿を使い、寝具内の不快感を減らしましょう。

夜中に暑さや寒さで目覚める場合は、室温だけでなく寝衣や掛け寝具も確認します。数値を一律に決めず、途中で目覚めた時刻と体感を手掛かりに調整してください。

寝室の湿度の目安と整え方は、こちらの記事を参考にしてください。

関連記事:【医師監修】寝室の湿度は何%が理想?睡眠の質を高める湿度管理方法

3. 自分に合う寝具(マットレス・枕)を選ぶ

寝具は、自然な寝姿勢と寝返りを妨げないものを選びましょう。マットレスが柔らかすぎると腰が沈み、硬すぎると肩や腰に圧迫感が出る場合があります。

枕は、仰向けであごが上がりすぎず、首の自然なカーブを支えられる高さが目安です。横向きでは、頭から背骨までが床と平行に近づくか確認します。

朝に首こりや肩こりを感じる場合は、枕の高さとマットレスの沈み込み方を一緒に見直しましょう。体格や寝姿勢に合う寝具は、睡眠中に首肩へかかる負担を減らす助けになります。

マットレスと枕の具体的な選び方については、以下の記事もあわせてご覧ください。

【関連記事】
寝心地がよい快適なマットレスの選び方とは?タイプやサイズ別に徹底解説!
枕の高さは何cmが正解?寝姿勢別の目安と測り方・調整方法

4. 寝る前のスマホ・カフェイン・食事に気をつける

就寝前はスマートフォンやパソコンの使用時間を減らし、脳へ入る光と情報の刺激を抑えましょう。通知を切り、端末を寝床から離れた場所へ置く方法も有効です。

カフェインの覚醒作用には個人差があります。影響を受けやすい人は、就寝の5〜6時間前からコーヒーや緑茶などを控えましょう。

夕食は就寝直前を避け、消化が続いたまま眠らないよう時間を調整します。頭痛対策としてカフェインを使う場合も、夜の睡眠を妨げない量と時間を意識してください。

カフェインは効果にある程度の個人差があります。もちろん摂取タイミングは重要ですが、総摂取量を意識するのも同じく大切です。体内のカフェインが減っていく時間を計算に入れても、実は摂取量が400mgを超えると寝つきに影響が出ると考えられます。これは厚生労働省の睡眠ガイドでも警告されています。目安となる量は下記の通りです。

<カフェイン400mgを含むコーヒーの目安量>
・ドリップコーヒーでコーヒーカップ 4杯分(700cc)
・市販 のペットボトルコーヒー 1.5本分(750cc)

※出典:厚生労働省 e-ヘルスネット「快眠と生活習慣
※出典:厚生労働省「健康づくりのための睡眠ガイド2023

 

寝不足以外が原因のことも?注意したい頭痛のサイン

いつもと違う頭痛を感じた場合は、「寝不足だから」と決めつけず、医療機関へ相談してください。とくに、突然始まり短時間で強くなる頭痛は、緊急性の高い病気の可能性もあります。

速やかな受診が必要なサインは、次のとおりです。

  • 突然起こった、これまでに経験のない強い頭痛
  • 手足のしびれや麻痺、言葉の出にくさを伴う
  • 意識がもうろうとする、けいれんがある
  • 発熱や首の硬さ、繰り返す嘔吐を伴う
  • 頭を打った後から痛みが続く
  • 日ごとに痛みが強くなる

急な激痛や神経症状がある場合は、救急車を要請しましょう。何日も続く頭痛や、繰り返して生活に支障が出る頭痛は、頭痛外来や脳神経内科、脳神経外科へ相談してください。

また、睡眠時間を確保しても朝の頭痛が続き、強いいびきや日中の眠気がある場合があります。背景には睡眠時無呼吸症候群(SAS)が隠れている可能性もあるため、呼吸器内科や睡眠外来で相談しましょう。

気分の落ち込みや意欲低下、不眠が続く場合は、うつ病など心の不調が関係していることもあります。頭痛の場所や強さ、起こった時刻、服薬内容を記録して受診時に伝えましょう。

 

寝不足の頭痛に関するよくある質問

ここでは、頭痛に関するよく寄せられる質問に回答します。

寝不足による頭痛の長さや随伴症状には個人差があります。睡眠をとれば必ず治まるとは限らず、別の原因が関係する場合もあります。

寝不足の頭痛はどれくらいで治まる?

頭痛が治まるまでの時間は、頭痛の種類や強さによって異なります。休養や睡眠をとると軽くなる場合もあります。ただし、何時間で治るかを一律に示すことはできません。

睡眠をとっても改善しない、何日も続く、頻繁に繰り返す場合は受診が必要です。突然の激痛やしびれなどがあれば、経過を待たず速やかに医療機関へ相談してください。

寝ても頭痛が治らないのはなぜ?

寝ても頭痛が治らない場合は、睡眠時間以外の要因が関係している可能性があります。片頭痛や緊張型頭痛のほか、薬の使いすぎや別の病気も考えられます。

長く寝すぎて生活リズムがずれたり、いびきや無呼吸で睡眠の質が低下したりすると、休養感を得にくくなります。頭痛の原因は診察なしに判断できないため、長引く場合は医師へ相談しましょう。

片頭痛や、緊張型頭痛の方が頭痛薬を連用すると、薬の使いすぎによる頭痛を起こしてしまうことがあります。痛みへの不安から多めに飲んだり、早めに飲んだり、予防的に飲んだりするとそのリスクも高まってしまいます。これまで市販薬でうまく頭痛と付き合えていた方でも、違和感を感じたら是非一度相談してみましょう。

※出典:日本頭痛学会「薬剤の使用過多による頭痛

寝不足だと頭痛のほかにどんな症状が出る?

寝不足では、頭痛のほかにも日中の眠気や倦怠感、集中力の低下が起こります。作業中のミスが増えたり、気分が不安定になったりすることもあるでしょう。

めまい、吐き気、首こりや肩こりを伴う場合もあります。ただし、これらは寝不足以外でも起こる症状です。強い症状や長引く不調は自己判断せず、医療機関で原因を確認してください。

 

まとめ:寝不足の頭痛はタイプに合った対処と睡眠習慣で防ごう

寝不足をきっかけに起こる頭痛には、片頭痛と緊張型頭痛があります。片頭痛は暗く静かな場所で休み、痛む部分を冷やします。

緊張型頭痛は首肩を温め、痛みのない範囲で軽く動かします。

予防には、次の習慣を取り入れます。

  • 自分に必要な睡眠時間を確保する
  • 起床時刻を大きくずらさない
  • 光や温度などの寝室環境を整える
  • 体格と寝姿勢に合う寝具を選ぶ
  • 就寝前のスマホやカフェインを控える

突然の激痛や手足の麻痺、意識の変化があれば、速やかに医療機関を受診してください。