目次
監修者

松岡 雄治
地方国立大学医学部卒業後、横浜市内で初期臨床研修を経て、関東の基幹病院で勤務中。
資格:医師国家試験合格、睡眠コンサルタント、睡眠検定1級
生まれたばかりの赤ちゃんが授乳のとき以外ずっと眠っていると、このまま寝かせてよいのか気になる方もいるのではないでしょうか。
新生児は1日16〜20時間ほど眠るのが自然で、長く寝ているだけで病気とは限りません。ただし、抱っこやおむつ替えをしても目を覚まさない、呼吸が苦しそうといった様子があるときは、すぐに医療機関の受診が必要です。
この記事では、新生児の睡眠時間の目安と注意したいサイン、安全な寝床の整え方を解説します。赤ちゃんをどう見守ればよいか知りたい方は、ぜひ最後までご覧ください。
新生児がずっと寝てるのは大丈夫?
新生児がよく眠ること自体は、めずらしいことではありません。授乳のときは起きていて、飲み終えるとまた眠るため、ずっと寝ているように見えることもあるでしょう。
大丈夫かどうかは、眠る時間の長さよりも、授乳や尿の様子を見て判断しましょう。目が覚めたときによく飲み、おむつもふだんどおり濡れていれば、よく眠っていても心配しすぎる必要はありません。
ただし、授乳の時間に抱っこしたり、おむつを替えたりしても目を覚まさないときや、体に力が入らずぐったりしているときは、すぐに医療機関を受診してください。
新生児の睡眠時間
新生児の睡眠時間は、1日16〜20時間ほどが目安です。1〜2時間起きては1〜4時間眠ることを、昼夜問わずくり返します。
生後数週間がたつにつれて、夜に眠る時間が少しずつ延び、昼に起きている時間も長くなります。ただし、成長のスピードには個人差があります。
昼と夜の違いがわかるよう、朝はカーテンを開けて部屋を明るくし、夜は照明を落としましょう。夜中に部屋を明るくすると、赤ちゃんが再び寝つくまでに、かえって時間がかかることがあります。夜間の授乳やおむつ替えで明かりが必要なときも、なるべく明るさを落としてみましょう。
夜間の授乳やおむつ替えに使う常夜灯の明るさや置き場所については、以下の記事もあわせてご覧ください。
関連記事:【医師監修】寝室の常夜灯はどれくらいが理想?睡眠の質を高める照明選びと設置方法
新生児がずっと寝てるとき授乳のために起こす?
授乳のために起こすかどうかは、赤ちゃんの状態によって異なるため、退院時に医師や助産師から伝えられた授乳方法に従いましょう。寝ていて授乳の間隔があいてしまうときも、医療機関に確認してください。
授乳の様子は、飲んだ量に加え、体重の増え方や尿の出方もあわせて見ておきましょう。尿がふだんよりはっきり少ないときや、体重が増えていかないときは、1か月健診を待たずに医師や助産師に相談してください。
起こそうと抱っこしたり、おむつを替えたりしても目を覚まさないときや、起きてもまったく飲もうとしないときは、すぐに医療機関を受診してください。
新生児は、体にエネルギーを蓄えておく力が弱いため、授乳間隔が空きすぎると「低血糖」を起こしやすくなります。低血糖になると体がだるくなってさらに起きられなくなる悪循環に陥るため、よく寝ていても3〜4時間おきに起こして授乳することが大切です。
よく寝る新生児の注意したいサイン
よく寝る新生児の体調の変化は、呼吸や顔色、体温、尿、皮膚の黄色み、便の色などに表れます。眠っているように見えても、体調が悪くて起きられないこともあるため、授乳やおむつ替えのたびに様子を確かめましょう。
次のようなときは、すぐに医療機関を受診しましょう。
- 抱っこやおむつ替えをしても目を覚まさない、体に力が入らずぐったりしている
- 呼吸が苦しそう、唇や舌が青紫色に見える
- 38℃以上の熱がある、または体が冷たい
- 起きてもまったく飲もうとしない
- 半日(12時間)以上、尿が出ていない
休日や夜間に受診するか迷うときは、子ども医療電話相談の「#8000」で小児科医や看護師に相談できます。このほかにも、尿の色や皮膚の黄色み、便の色など、医師への相談が必要なサインもあります。
1. 呼吸と顔色、体温
呼吸が苦しそうなときや唇の色がおかしいときは、眠っていてもすぐに医療機関を受診しましょう。次のような様子がないか確認してください。
- 息をするたびに、胸やおなかがへこむ(陥没呼吸)
- うなるような声を出しながら、苦しそうに息をしている
- 顔色が悪く、唇や舌が青紫色に見える
熱が38℃以上あるときや、36℃未満のとき、体が冷たいときも、すぐに医療機関を受診しましょう。手足だけでなくおなかにも触れてみて、熱く感じたり冷たく感じたりしたら体温を測ります。
2. 尿の量と色
半日(12時間)以上、尿が出ていないときは、すぐに医療機関を受診しましょう。おむつ替えのときは、濡れているかどうかだけでなく、尿の色も確かめます。
尿が濃い黄色のときも、よく眠っているからと様子を見続けず、すぐに医師や助産師に相談してください。
3. 皮膚と白目の黄色み
生後2週を過ぎても皮膚や白目が黄色いときは、すぐに医師に相談しましょう。肌の色だけでは黄色みがわかりにくいため、白目が黄色くなっていないかもあわせて見ておきます。
生まれて数日のうちに皮膚や白目が黄色くなることを、新生児黄疸といいます。新生児黄疸は生後1週間ぐらいまで強くなり、その後は少しずつ薄くなっていきます。
母乳で育つ赤ちゃんでは、1か月を過ぎても黄疸が続くことがあります。ただし、病気が原因で続いていることもあるため、母乳で育てている場合も医師に確認してもらいましょう。
4. 便の色
便が白っぽく見えるときは、母子健康手帳の便色カードと明るい場所で見比べてください。生後4か月くらいまでは、便の色に注意が必要とされています。
便の色がカードの1番から3番に近いときや、4番から7番だった便の色が1番から3番に近くなったときは、胆汁の通り道が塞がる胆道閉鎖症などの病気の可能性があります。よく眠り、飲めているように見えても、1日も早く小児科医や小児外科医の診察を受けましょう。
新生児を安全に寝かせる方法と寝床の整え方
新生児は1日の大半を寝床で過ごすため、あおむけに寝かせる、かたく平らな寝床にする、寝床に物を置かないなどして、安全に眠れる環境を整えておきましょう。
睡眠中に気をつけたいのは、原因がわからないまま赤ちゃんが突然亡くなる乳幼児突然死症候群(SIDS)と、顔が埋もれたり覆われたりして起こる窒息事故です。
SIDSの予防方法は確立していませんが、寝かせ方や寝床を見直すことで発症のリスクを下げられ、窒息も防ぎやすくなります。
大人と同じ布団での添い寝は窒息のリスクもあるため、ある程度大きくなるまでは控えましょう。ベビーベッドを置いて別々に寝ると、SIDSのリスクも下げられて、安全で様子も見やすいです。
1. 1歳になるまではあおむけに寝かせる
1歳になるまでは、寝かせるときに顔が上を向くあおむけの姿勢にしましょう。ただし、医学上の理由で、医師からうつぶせ寝をすすめられている場合を除きます。寝かせる向きは、夜の睡眠だけでなく、昼間の短い眠りや、抱っこで眠ったあとに寝床へ移すときも同様です。
SIDSはあおむけ寝でもうつぶせ寝でも起こりますが、あおむけに寝かせたほうが発症率が低いことがわかっています。あおむけに寝かせることは、睡眠中の窒息事故を防ぐうえでも役立ちます。
寝返りが始まる時期の目安や、寝返りを覚えたあとも続けたい安全対策については、以下の記事もあわせてご覧ください。
関連記事:【医師監修】赤ちゃんの寝返りはいつから?月齢別の発達目安と安全対策を小児科医監修で解説
2. かたく平らな寝床にする
赤ちゃんの寝床には、体が沈み込まない硬めで平らな敷き布団やマットレスを使いましょう。
ふわふわしたクッションの上では、うつぶせになったときに顔が埋もれ、口や鼻が塞がれるおそれがあります。また、傾斜のある寝床に寝かせると、首が曲がって空気の通り道が狭くなることもあります。
大人用のやわらかいマットレスや布団も、赤ちゃんを寝かせる場所には向きません。大人が寝心地よく感じるやわらかさより、赤ちゃんの顔や体が沈み込まないことを優先して選びましょう。
3. 掛け布団ではなく着るもので温度を調整する
1歳になるまでは掛け布団を使わず、スリーパーなどの衣類と空調で温度を調整しましょう。掛け布団やタオルケットを掛けると、眠っているあいだに顔にかかり、口や鼻が覆われるおそれがあります。薄く軽いものであっても、寝床に掛けて使うのは避けてください。
寒そうに見えるときも掛けるものは増やさず、室温や服で調整します。服は、大人が快適に感じる服装に「プラス1枚」を目安にしましょう。
4. 寝床に物を置かない
赤ちゃんの寝床には、顔にかかったり首に巻きついたりする物を置かないようにしましょう。離して置いたつもりでも、赤ちゃんは眠っているあいだに動くことがあります。枕やぬいぐるみ、タオルやよだれ掛け、ひもやコード類は、寝床から取り除いておきましょう。
大人と同じ寝床で眠ると、大人の体が覆いかぶさり、赤ちゃんの口や鼻を塞ぐおそれがあります。できるだけ大人とは別の、赤ちゃん専用の寝床を用意しましょう。
とくに、眠気が出る薬を飲んだときや飲酒したとき、赤ちゃんが早産や低出生体重で生まれたときは、同じ寝床で眠らないでください。赤ちゃんを専用の寝床に寝かせたうえで、細切れの睡眠が続く時期に保護者が休む時間をつくる工夫については、以下の記事もあわせてご覧ください。
関連記事:【医師監修】産後の睡眠時間の平均は?睡眠を確保するための方法や休養感を高める工夫を解説
5. たばこの煙を避ける
赤ちゃんのそばでは、たばこを吸わないようにしましょう。赤ちゃんの周りでたばこを吸うことは、SIDSの発症率を高める要因の一つです。
親だけでなく、同居する家族や訪ねてくる人にも、赤ちゃんが過ごす部屋ではたばこを吸わないよう協力してもらいましょう。
よく寝るのは自閉症や発達障害のサイン?
新生児の睡眠時間が長いことだけで、自閉症や発達障害と判断することはできません。この時期の眠り方には幅があり、よく眠る赤ちゃんもいれば、こまめに目を覚ます赤ちゃんもいます。発達で気になる様子があるときは、1か月健診などの機会に医師や保健師に相談しましょう。
ただし、抱っこやおむつ替えをしても目を覚まさない、体に力が入らずぐったりしているといった様子は、発達の相談ではなく、すぐに医療機関の受診が必要なサインです。
赤ちゃんの睡眠は大人と違い、「約50%が浅い睡眠(レム睡眠)」で占められています。そのため、眠っている最中に手足がピクピクと動いたり、笑ったり、顔をしかめたりすることがよくあります。これは脳が正常に発達している証拠であり、病気や障害のサインではありません。新生児期の睡眠時間の長さや眠りの浅さだけで、発達障害を判断することはできませんので、ゆったりとした気持ちで見守ってあげてください。
※出典:臨床助産ケア「赤ちゃんの睡眠の特徴を踏まえたケア」
まとめ:新生児がずっと寝てるのは自然なこと
新生児は1日16〜20時間ほど眠るのが自然で、長く寝ているだけで病気とは限りません。大丈夫かどうかは、眠る時間の長さより、授乳や尿の様子を見て判断しましょう。
抱っこやおむつ替えをしても目を覚まさない、ぐったりしている、呼吸が苦しそう、まったく飲もうとしないといったときは、すぐに医療機関を受診してください。尿が濃い黄色のときや、生後2週を過ぎても皮膚や白目が黄色いとき、便の色が白っぽいときも、すぐに医師に診てもらいましょう。
寝床はかたく平らなものにし、顔が見えるあおむけで寝かせます。掛け布団の代わりに着るもので温度を調整し、寝床には物を置かないようにしましょう。
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