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監修者
石川 恭子
コアラマットレス®︎のショールームで、お客様が「運命のマットレス」に巡り合えるようお手伝いしているカリスマコンシェルジュ。お客様の眠りの悩みに耳を傾ける中で、今すぐ活用できる睡眠の知識を届けたいと上級睡眠健康指導士の資格を取得。コアラ®︎のマットレスを通じて、毎日眠ることが待ち遠しくなるワクワク感を提供したい。
朝起きたときに腰の重みや違和感を覚えると、今使っているマットレスの硬さが体に合っていないのではないかと不安になりますね。私自身も以前、腰痛にはとにかく固い寝具がいいと思い込んで頑丈なマットレスを選んだ結果、肩や腰が強く圧迫されて夜中に何度も目が覚めてしまった苦い経験があります。腰痛に悩む方にとって、自分に合ったマットレスの硬さを見つける作業は非常に重要です。
しかし市場には「硬め」「柔らかめ」といった曖昧な表記や多様な数値があふれており、どの基準を信じて選べばよいのか迷ってしまうことも少なくありません。
そこで本記事では、上級睡眠健康指導士の資格を持つコアラマットレス社員の石川が、マットレスの硬さが腰に与える影響や避けたい硬さの特徴、品質表示のニュートン(N)値の正しい読み解き方に加え、実際に体で試す際の手順まで詳しく分かりやすく解説していきます。
腰痛には硬すぎず柔らかすぎない「適度な硬さ」が目安
厚生労働省のe-ヘルスネットは、敷き寝具には適度な硬さが必要であり、柔らかすぎると腰部と胸部が深く沈み込んで腰痛の原因になり、硬すぎると骨が当たって痛みが生じ血流が妨げられると説明されています。そのうえで、背骨が描く2つのS字カーブをバランスよく支えられるものが最適なのだそうです。※1
硬さの違いを比較した研究もあります。慢性非特異的腰痛のある成人313人を対象に90日間実施された二重盲検試験において、硬いマットレス(H(s)=2.3)と中程度の硬さのマットレス(H(s)=5.6)を比べたところ、中程度の硬さのほうが起床時の痛み(オッズ比1.93)や障害度(オッズ比2.10)の改善が大きいという結果が出ました。※2
ただし、この指標は1.0が最も硬く10.0が最も柔らかい欧州の評価スケールで、日本のN値と直接対応するものではありません。すべての腰痛に同じ硬さが当てはまることを示した研究でもないため、中程度という結果は参考程度に受け止めてください。
硬すぎる・柔らかすぎるマットレスの問題
名称だけで判断せず、実際に横になったときの沈み方と圧迫感を確認することが欠かせません。
そのためにも、硬すぎる場合と柔らかすぎる場合に体で何が起きているのかを先に押さえておきましょう。
1. 硬すぎると体の一部が圧迫されやすい
硬すぎるマットレスでは、体の重みを面で受け止めきれず、肩やお尻、かかとなど骨が出ている部分に圧力が集中します。e-ヘルスネットも、硬すぎる寝具では骨が当たって痛みが生じ、血流が妨げられると指摘しています。※1
よく言われる「腰が浮く」「反り腰になる」という説明は、必ずしもすべての人に当てはまるわけではありません。圧迫される場所は体格と寝姿勢によって変わります。
やせ型の方は肩やお尻の出っ張りを受け止めてもらえず、横向き寝では肩の一点に負担が集まりやすくなります。当たりが強いと痛みで目が覚めたり、姿勢を探して寝返りが増えたりして、眠りが浅くなることもあります。
2. 柔らかすぎると腰が沈みやすい
反対に柔らかすぎるマットレスでは、体重が集まりやすい腰やお尻が深く沈み、背骨の自然なカーブが崩れた姿勢のまま長時間過ごすことになります。e-ヘルスネットが柔らかすぎる寝具は腰部と胸部が深く沈み込み腰痛の原因になると説明しているのは、この状態を指しています。※1
沈み込みは寝返りにも影響します。体が包み込まれると向きを変えるのに力が必要になり、同じ部分に圧力がかかり続けやすくなります。
寝返りは、圧迫が続くことで生じる血液循環の滞りを防ぎ、体の負担を和らげるために生理的におこなわれる動きです。※1
体重が重い方や、長く使ってへたりが出たマットレスでは、この沈み込みが起こりやすくなる点に注意しましょう。
マットレスの硬さを示すニュートン(N)の見方
消費者庁の家庭用品品質表示では、JIS K6400-2の測定方法にもとづき、75N未満を「やわらかめ」、75N以上110N未満を「ふつう」、110N以上を「かため」の3段階に区分すると定められています。※3
店頭やネットの商品ページで見かけるN値は、この基準にそって表示された数値です。
ここで注意したいのは、この区分が商品の硬さを表示するためのものであり、腰痛や体重ごとの推奨値ではないという点です。「体重50kgなら100N」といった対応表を目にすることがありますが、公的な基準ではなく各社が独自に示している目安です。
また、N値はウレタンフォームの硬さを測る指標なので、コイルやファイバーなど構造の異なる製品を同じN値で比較することはできません。同じN値でも厚みや層の重ね方で寝心地は変わります。N値は候補を絞り込む手がかりとして使ってください。
関連記事:【上級睡眠健康指導士監修】マットレスの硬さはニュートンだけでは決まらない!?
自分に合うマットレスの硬さを確認する方法
確認したいのは、腰の沈み方、体への圧迫、寝返りのしやすさという3つの感覚です。今使っているマットレスが合っているかを見直すときにも同じ方法が使えますので、次の4つの手順で順番に確認してみてください。
1. 腰が沈みすぎていないか
まず普段の寝姿勢で横になり、腰やお尻だけが深く沈んでいないかを確かめます。仰向けでは腰が大きく落ち込まず、お尻から背中までがなだらかにつながっている状態が目安です。横向きでは、背骨が上下に折れ曲がらず頭からお尻までまっすぐ近い線を保てているかを見ます。
腰とマットレスの間に手のひらが入るかどうかで判定する方法が知られていますが、隙間の大きさは体格や着ているものでも変わるため、それだけで硬さを決めないようにしてください。
2. 肩や腰に強い圧迫感がないか
次に、肩、腰、お尻など一部だけに強い当たりや痛みが出ていないかを確かめます。数分横になったときに特定の場所が痛む、じんじんするといった感覚があれば、その部分に圧力が集中しているサインです。
とくに横向き寝が多い方は、肩と腰の出っ張りを適度に受け止めてもらえるかどうかが重要になります。腰痛があるからと単純に硬めを選ぶと、かえって圧迫感が強く出る場合があるため、沈み込みと当たりの両方を見比べましょう。
3. 無理なく寝返りできるか
そのまま、肩や腰に強く力を入れなくても自然に寝返りできるかを試します。仰向けから横向きへ、横向きから反対の横向きへと、実際に体の向きを変えてみてください。深く沈み込んで体を持ち上げる感覚が必要な場合は柔らかすぎ、体が痛くて向きを変えるのがつらい場合は硬すぎの可能性があります。
動きにくさは睡眠の質にも直結します。寝返りは血液循環の滞りを防ぎ、寝床内の温度や湿度を調整する役割も担っているので、スムーズにできるかどうか何度か試してみてください。
4. 普段の寝姿勢で実際に試す
数値や「硬め」「柔らかめ」という表示だけで決めず、仰向けや横向きなど普段とっている姿勢で実際に試すことが最後の確認になります。店頭では靴を脱いで枕も合わせ、数分で判断せずできるだけ長く横になってみてください。
硬さが体になじむかどうかは一晩眠ったあとの起床時の状態にあらわれるため、返品や交換ができるトライアル制度がある場合は積極的に活用し、朝起きたときの腰の感覚まで含めて判断すると失敗が少ないです。
腰の痛みで医療機関を受診する目安
日本整形外科学会は、腰痛の原因を腰に由来するものと腰以外に由来するものに分けており、前者には椎間板ヘルニアや脊柱管狭窄症、変形性脊椎症、腰椎骨折などが、後者には血管、泌尿器、婦人科、消化器の病気や心理的な原因が含まれると説明しています。※4
そのうえで、安静にしていても痛みが軽くならない、しだいに悪化する、発熱している、下肢がしびれたり力が入らない、尿漏れがするといった症状を伴う場合は、放置したり自分で管理することは禁物だとしています。※4
こうしたときは寝具の見直しよりも受診が先です。マットレスを替えても2週間以上痛みが続く場合も、寝具だけで解決しようとせず整形外科へ相談してください。
関連記事:背中の痛みで目が覚めたり朝起きると背中が痛いのはマットレスが原因かも?4つの原因と対処法を徹底解説!
腰痛とマットレスの硬さに関するよくある質問
最後に、硬さを選ぶ場面で迷いやすい疑問をまとめました。
Q1. 体重別に適したニュートン値はありますか?
「体重○kgなら○N」という公的な推奨基準はありません。消費者庁が定めているのは商品の硬さを表示するための3区分だけで、体重ごとの推奨値ではありません。※3
体重が重いほど同じマットレスでも沈み込みやすくなる傾向はありますが、実際の寝心地は身長との組み合わせ、体型、寝姿勢、ウレタンの厚みや層構造によっても変わります。体重別の対応表は候補を絞る参考程度にとどめ、最終的には実際の沈み方で判断してください。
Q2. 高反発マットレスは腰痛に向いていますか?
高反発は体を押し返す力が強いことを表す言葉で、硬さと同じ意味ではありません。反発力が高いと沈み込みからの復元が早く、寝返りをしやすく感じる製品もありますが、低反発と高反発を分ける統一された公的な基準はなく、表示の根拠はメーカーごとに異なります。
高反発と書かれているだけで腰痛に合うとは判断できません。実際に横になって、腰の沈み方と体への圧迫感を確認したうえで選んでください。
Q3. トッパーでマットレスの硬さを調整できますか?
土台となるマットレスに大きなへたりがなければ、トッパーを重ねて表面の硬さやフィット感を調整できる場合があります。トッパーとは、マットレスの上に重ねて寝心地を調整するアイテムです。
硬すぎて当たりが強いマットレスに柔らかいトッパーを足す使い方は比較的うまくいきますが、柔らかくへたったマットレスに硬いトッパーを重ねても、下の沈み込みまでは補えないことが多いです。
トッパーを検討する前に、マットレス中央のへたりや、ベッドフレームのすのこの割れ、床板のたわみがないかを確かめておきましょう。
まとめ:腰痛に合う硬さは数値だけでなく寝姿勢で確かめよう
腰痛に硬いマットレスが常に適しているわけではありません。目安になるのは、腰が沈みすぎず、肩やお尻を圧迫しすぎない適度な硬さです。硬すぎれば骨が出ている部分に圧力が集中し、柔らかすぎれば腰が沈んで背骨のカーブが崩れ、寝返りもしにくくなります。
ニュートン(N)はウレタンフォームの硬さを表示するための指標であり、腰痛や体重ごとの推奨値ではありません。数値は候補を絞る手がかりとして使い、最後は普段の寝姿勢での腰の沈み方、体への当たり、寝返りのしやすさ、そして起床時の腰の状態で判断してください。
それでも痛みが続くときや、発熱や下肢のしびれを伴うときは、寝具ではなく医療機関に相談しましょう。
・参考
※1 快眠のためのテクニック | 厚生労働省 e-ヘルスネット
※2 Effect of firmness of mattress on chronic non-specific low-back pain: randomised, double-blind, controlled, multicentre trial | PubMed
※3 ウレタンフォームマットレス | 消費者庁
※4 腰痛 | 日本整形外科学会










