目次
監修者

田中かつら
辻日本料理専門学校を卒業後、懐石料理、エスニック、ビストロ等で経験を積み、2013年に東京・池尻大橋に《季節料理・酒処さそう》をオープン。季節の食材に、ハーブやスパイスを取り入れた料理を得意とする。NHKラジオや「dancyu」「和樂」など数多くの雑誌でレシピを提供するほか、料理教室を主宰。現在は夫の転勤に伴い、福岡県に暮らしている。
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後平 泰信
医療法人徳洲会札幌もいわ徳洲会病院(名称変更) 病院長 現職。
【研究分野】睡眠全般、睡眠時無呼吸症候群、内科全般、循環器内科、スポーツ医学、遠隔医療、地域医療
明るくハキハキとした話し方で、専門的な内容もわかりやすく伝える。特に睡眠医療の分野で多数の講演・メディア出演歴があり、CPAP治療やいびき・睡眠負債など、広く深い見識から生活に密着したあらゆる話題にも柔軟に対応。寝具などスリープテック領域の開発や監修にも多数関わった実績あり。
季節は冬。
空気の乾燥が厳しい季節になってきました。
日が暮れるのも早く、夜の時間が長く感じら、睡眠時間も充分にとれるような気がしてきますが、寒かったり日差しが弱かったりする冬は「充分寝ているはずなのに眠い」「朝、布団から出るのがつらい」「寒くて寝つけない」などのお声をよく聞きます。
人は眠りにつく時、手足から熱を放出させて『深部体温』が下がることにより休息モードに入ります。
けれども、寒いこの季節は手足が冷え、体は熱を奪われないように働きかけるので、体内に熱がこもります。そうなると、スムーズに休息モードに入れず寝つきが悪くなったり、睡眠の質が下がり目覚めが悪くなることもあります。
そこで、日々の料理に眠りさそう食材を取り入れてより良い眠りにつなげましょう。
眠りに大切な栄養素“トリプトファン”。
“トリプトファン”は脳をリラックスさせる「睡眠ホルモン」セロトニンを作る必須アミノ酸のひとつです。

そして今回はもうひとつ大切な栄養素…それは、日照時間が少なくなると不足しがちな“ビタミンD”です。“ビタミンD”はまさに《太陽のビタミン》と言われている栄養素で、太陽の光を浴びることによって作られます。
“ビタミンD”はメラトニンの生成に関わるセラトニンの合成も担っています。
しかし、日照時間の少ない冬はどうしても“ビタミンD”が不足しがちです。そうするとメラトニンの作られる量も減ってしまうので睡眠に影響を与えます。そこで、今回は“ビタミンD”が豊富で身近な食材の“しいたけ”使った《しいたけ味噌》をご紹介します。
私達が一番身近に日々口にしている食材で“トリプトファン”が含まれている『味噌』。もちろんそのまま味噌汁にして頂くのもいいのですが、せっかくなら眠りさそう万能な《しいたけ味噌》を作っていつもとは違うお料理を愉しむのはいかがでしょうか。
【しいたけの天日干し】
“しいたけ”はそのままでも良いのですが、使う前に30分〜2時間天日干し(紫外線を浴びる)するだけで“ビタミンD”が約10倍に増えると言われています。せっかくなら晴れた日に干してみませんか?ベランダはもちろん、室内の窓際でも気軽に干せます。


◎しいたけを干す際には、軸部分はかたくなるので傘部分だけ干します。
◎傘のヒダ部分には、紫外線にあたるとビタミンD2に変化するエルゴステロールが多いため傘のヒダ部分を上にして干します。
《しいたけ味噌》

[材料]
しいたけ 100〜110g
米油 90g
生姜おろし 15g
味噌 150g
味醂 大さじ3
酢 大さじ1
黒胡椒 小さじ½

[作り方]
①しいたけは粗いみじん切りにします。軸の部分は少し硬いので気持ち小さく切ります。
(写真向かって左が軸で右がかさ部分です)

②小鍋に①と米油を入れ、中火にかけ、ふつふつしてきたら弱火で5分。(弱火で小さい気泡が出ている状態です)

③5分経ったら、酢・味醂・味噌・生姜おろしを加えてよく混ぜ、さらに5分弱火にかけます。
たまに混ぜてください。
④火を止めて、黒胡椒を加え混ぜます。
粗熱を取り、冷蔵庫で半日寝かせ味を馴染ませます。

☆寝かせると全体的にしっとりとします。

☆空気に触れないようにぴたりとラップをして冷蔵庫で保存してください。空気に触れないように保存する事で、一週間〜10日冷蔵庫でもちます。
◎味噌の種類について
・米味噌
大豆に米麹と塩を加えて作ります。日本で最も多く作っており、全国的に広がっています。信州味噌や仙台味噌など地域によって多様な味があります。クセのない味わいが特徴です。
・麦味噌
大豆に麦麹と塩を加えて作ります。九州や中国・四国地方で多く親しまれてます。甘みのある味わいが特徴です。
・豆味噌
大豆のみを主原料とし豆麹と塩を加えて作ります。熟成期間が長く、色が濃くて旨みが強いです。中京地方を中心に作られてます。代表的な愛知県の八丁味噌があります。
・合わせ味噌(調合味噌)
米味噌、麦味噌、豆味噌を複数混ぜ合わせ、複数の麹を混合して作られる味噌のことです。マイルドな味わいのものが主流です。
◎今回は米味噌の信州味噌を使って作ってますが、麦味噌や合わせ味噌でもいいです。ただし、西京味噌や八丁味噌のように味の特徴が強いものは使わないでください。
◎この《しいたけ味噌》は豆乳や牛乳、チーズの相性も良いので、シチューや豆乳スープ、ピザトーストやグラタンなどの味付けにもおすすめです。
もちろんそのままご飯と一緒に、おむすびにしたり、炒飯にしたり、青魚の切り身にぬって焼いても美味しいです。
《牡蠣とじゃがいものタルティーヌ》

[材料 二人前]
牡蠣 100g
じゃがいも(中) 1個
しいたけ味噌 適量
バケット 4〜6枚
オリーブオイル 少々
黒胡椒 少々
お好みで三つ葉 少々

[作り方]
①牡蠣の下処理

- 分量外の片栗粉大さじ1と塩水を用意します

- ボールに牡蠣と片栗粉を入れます

- ゴムベラで優しく混ぜながら汚れをとります

- 塩水で洗います(黒っぽくなるのは汚れです)

- 水気を拭き取ります
②じゃがいもを蒸して《しいたけ味噌》とよく混ぜます。(味見してちょうど良い塩加減の量を入れてください。)
③①の牡蠣をオリーブオイルでソテーします。この際に油がはねますので蓋をしながらソテーしてください。

牡蠣がぷっくりと火が通ったらお皿に牡蠣を取り出します。

フライパンに残った牡蠣の旨みは②のじゃが芋に加えて混ぜておいてください。
④スライスしたパンを焼きます。

焼いたパンの上にじゃが芋のペーストをのせます。その上に牡蠣をのせます。(牡蠣の大きさで1個や2個載せてください)
お好みで三つ葉をのせて、黒胡椒をふり、出来上がりです。

◎牡蠣は「海のミルク」と言われるほど栄養価が高く、その中でも睡眠の質と入眠のしやすさに関わる重要なミネラルです。
◎牡蠣は漢方における「精神を安定させ不眠を解消する」という効能があると言われています。
◎牡蠣を購入する際に、「生食用」と「加熱用」のニ種類を目にすると思いますが、このニ種類は海域と処理方法の違いです。保健所が指定するウィルスや菌の少ない海域で獲りその後に浄化処理したものが「生食用」です。
それ以外の海域で育ったものが「加熱用」です。生食厳禁です。必ず加熱して食べましょう。
◎三つ葉は『アロマベジタブル』と呼ばれ、“ミツバエン”と言う爽やかな香り成分があります。神経の鎮静化や不眠の改善に役立つと言われています。ただし、熱がかかると成分が薄れてしまうため、生のままお料理に添えてください。味だけでなく香りにも癒されます。
◎《しいたけ味噌》を混ぜたじゃが芋が残ってしまったら、パンにのせチーズをかけて焼いても美味しいです。
◎牡蠣はビタミンCとの相性がとても良いです。ビタミンCの多いカリフラワーをソテーして添えてあげるのもおすすめです。
《牛肉と根菜の煮込み》

[材料 二人前]
牛肉(牛スネ肉、カレー用角切りなど)200〜220g
玉葱スライス 中1個(180〜200g)
にんにく 1片(約10g)
トマト缶 200g
赤ワイン 100cc
水 600cc
根菜(蕪、牛蒡、じゃが芋、蓮根など)約500g
青菜(ほうれん草、蕪の葉、ケールなど)適宜
オリーブオイル 少々
しいたけ味噌 70g
オリーブオイル 少々
醤油 大さじ1

[作り方]
①牛肉、玉葱スライス、潰したにんにく、赤ワイン、トマト缶、水を鍋に入れ中火にかけ、沸いてきたら蓋をして弱火で1時間30分〜2時間。牛肉を柔らかくする。(圧力鍋は20分〜30分)

②根菜を2〜3口サイズにカットします。
青菜は3〜4cm長さにカットし、少量のオリーブオイルでソテーしておきます。
③①の牛肉が柔らかくなった鍋に②の根菜を入れ、火を通します。根菜が柔らかくなったら、しいたけ味噌と醤油を加えます。

コトコト水分を飛ばして煮詰めていきます。
☆水分が半分くらいに煮詰まり、とろみがついたら出来上がりです。
④器に盛り付けソテーした青菜を添えて、お好みで黒胡椒をふります。

◎牛肉にはトリプトファンが多く含まれています。特に赤身の部位(ヒレ、ランプ、モモ、肩、ネック、肩ロース)に多いです。
煮込みには、脂肪が少なくあっさりしているモモ肉や濃厚な旨みがある肩や赤身が多く脂肪が少ないネックや牛スネ肉がおすすめです。
(今回はスーパーでよく見かける「カレー・シチュー用牛肉」を使用してます。)
◎今回の煮込みは、赤身の部位のみで作っているのであっさりとした仕上がりになってます。もう少し濃厚な煮込みにしたい時は「牛スジ肉」を足して煮込んでいただくと、濃厚な煮込みが出来上がります。
◎根菜にはトリプトファンからセロトニンへの変換を助けるビタミンB6が豊富に含まれています。お好きな根菜を入れて入れ作ってください。
◎保存の際には、必ず冷ましてから保存容器に入れ、ラップで空気をふさいでから蓋をして冷蔵庫で4〜5日で食べきってください。
◎ローストビーフや焼肉に《しいたけ味噌》を添えて香味野菜と共に召し上がって頂くのもおすすめです。
◎出来上がった煮込みは鍋ごとテーブルに置きそれぞれで盛るのもよし、特別な夜には少し深めなお皿に盛り付けると特別感が増します。
料理を口にして美味しいという感覚は生活の質を高める上でとても大切なことです。
栄養バランスの取れた食事は体調を整え、健康の維持を助けます。ひとつの食材にしすぎず、さまざまな食材を組み合わせてバランスをとるように心がけましょう。
寒さ厳しくなる冬。コトコトと台所に立ちあがる湯気と香りにほっとしながら、お気に入りの器に料理を盛り、ゆるりと食事を愉しみ、眠りの質を高めましょう。









