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監修者

五藤 良将
千葉県立東葛飾高校卒、防衛医科大学校医学部卒。その後に自衛隊中央病院、防衛医科大学校病院、千葉中央メディカルセンターなどの勤務を経て2019年9月に継承開業に至る。
- 免許・資格
医師免許、日本抗加齢医学会専門医、日本内科学会認定医、日本旅行医学会認定医、日本医師会産業医、スポーツドクター、日本美容内科学会評議員
夜、布団に入った途端にお腹が空いて眠れなくなることはありませんか。私も以前、夜中にお腹が鳴るのを我慢しながら「早く眠りたいのに…」と焦ってしまったことがあります。
日本では、1日の睡眠時間が6時間未満の人が4割前後にのぼるという報告があります。※2
本記事では、上級睡眠健康指導士でコアラマットレス社員の石川が、空腹で眠れないときに考えられる原因や今夜からできる対処法、軽食の選び方、普段の生活習慣を解説します。
お腹がすいて眠れない主な原因
布団に入っても空腹が気になり、なかなか寝つけないことがあります。空腹のまま寝床に入ることは、睡眠を妨げる要因の一つです。※3
夜にお腹がすく背景として、夕食から就寝までの時間や、普段の食習慣が考えられます。それぞれ、どのようなケースがあるのか見ていきましょう。
1. 夕食から就寝までの時間が空いている
夕食を食べていても、就寝までの時間が長くなると、寝る頃に再び空腹を感じることがあります。夕食を早めに済ませた日や、仕事・趣味などで夜更かしした日は、食事から時間がたっていることが、夜の空腹につながっているかもしれません。
例えば、午後6時に夕食をとり、午前0時に寝る場合、食後から6時間が経過しています。これは空腹になる時間の基準ではありませんが、夕食の量がいつもと同じでも、寝る時刻によって就寝前の空腹感は変わる可能性があります。
「夕食は普段どおり食べたのに、今日はお腹がすく」というときは、食事量だけでなく、夕食からどのくらい時間がたっているかにも目を向けてみましょう。
2. 食事を抜くなど、食習慣が乱れている
忙しさから食事を抜いたり、ダイエットのために食事量を極端に減らしたりしている場合は、食べる量が足りず、夜になって空腹を感じることがあります。夕食だけでなく、一日を通してどのように食べていたかも確認したい点の一つです。
例えば、「昼食を抜き、夕食も軽く済ませた」「食事の代わりに少量のお菓子だけを食べた」といった日は、普段の食事と比べて量や内容が大きく変わっています。こうした食べ方が続いているなら、寝る前の空腹だけでなく、日中の食事にも見直せる点があるかもしれません。
ただし、空腹で眠れないことだけから、特定の栄養素が不足しているとは判断できません。まずは、食事を抜くことや極端に量を減らすことが習慣になっていないか、振り返ってみてください。
今すぐできる!空腹で眠れない時の5つの対処法
空腹が気になって眠れないときは、少量の軽食をとることも選択肢です。また、空腹が落ち着いても寝つけない場合は、寝る前の過ごし方や寝室環境にも目を向けてみましょう。
ここでは、今夜からすぐ試せる5つの方法を紹介します。
1. 少量の軽食をとる
空腹が強くて眠れないときは、無理に我慢せず、軽食を少量とる方法があります。ただし、寝る直前にたくさん食べることは避けましょう。米国国立心肺血液研究所も、就寝前の大量の食事を控える一方、軽い間食は差し支えないとしています。※4
食べるときは、袋や容器からそのまま食べ続けず、最初に食べる分だけを小皿に取り分けると量を把握しやすくなります。もう一度夕食をとるような量にならないよう、軽く空腹を補う程度にとどめましょう。
毎晩のように夜食が必要になる場合は、夕食の量や時間など、日中の食習慣もあわせて振り返ってみてください。
2. ノンカフェインの飲み物を選ぶ
寝る前に飲み物をとるなら、水や白湯、ノンカフェインの麦茶などを選びましょう。コーヒーや緑茶、紅茶などに含まれるカフェインには覚醒作用があり、寝つきを妨げることがあります。※4
温かいものが好みなら、無理なく飲める温度にして、ゆっくり飲みましょう。商品によって原材料が異なるため、お茶やブレンド飲料は、カフェインを含まないか表示を確認すると安心です。
ただし、空腹を紛らわせようとして大量に飲むのは控えましょう。就寝前の水分のとりすぎは、夜中にトイレで起きる原因になることがあります。※5
3. 軽くストレッチをする
空腹が落ち着いても寝つけず、体に力が入っていると感じるときは、軽いストレッチを試してみましょう。寝る前の穏やかなストレッチは、リラックスして過ごす方法の一つです。※6
例えば、両腕をゆっくり上げて背伸びをしたり、肩や背中を無理のない範囲で伸ばしたりします。呼吸を止めず、反動をつけずに、心地よく感じる程度で行いましょう。痛みが出る動きは避けてください。
回数や時間をこなそうと頑張る必要はありません。寝る前は、息が上がるような激しい運動を避け、静かに過ごせる動きを選びましょう。
4. 寝室環境を整える
寝室が明るい、物音が気になる、暑さや寒さで落ち着かないといった環境も、眠りを妨げます。照明や音、室温を確認して、心地よく休める状態に整えましょう。※4
照明を落とし、カーテンを閉めて外の光を遮ります。スマートフォンは通知音を切り、画面を見続けないようにしましょう。室温はエアコンや寝具で調整し、暑すぎたり寒すぎたりしない状態を目指してください。
一度にすべてを変える必要はありません。「枕元の光がまぶしい」「掛け布団が暑い」など、今気になっていることから調整してみましょう。
5. 眠れないときは一度寝床を離れる
布団に入ってもなかなか眠れないときは、眠ろうと頑張り続けず、一度寝床を離れてみましょう。落ち着ける場所で静かに過ごし、眠気が戻ってきたら再び布団に入ります。※7
寝床を離れたあとは、明るすぎない照明のもとで本を読んだり、静かな音楽を聴いたりして過ごしましょう。スマートフォンで動画を見続けたり、仕事を始めたりせず、気持ちを休められることを選んでください。
「あと何時間眠れるか」と何度も時計を確認するのも控え、眠気を感じたタイミングで寝床へ戻りましょう。※3
「お腹がすいて眠れない夜」は、決してあなたの意志が弱いからでも、我慢が足りないからでもありません。
その正体は、血糖値・ホルモン・自律神経、そして日々の生活リズムが静かに乱れているサインです。
無理に我慢するよりも、正しく整えることが、結果的に眠りも体調も守ります。
少量の補食、温かい飲み物、軽いストレッチ、そして心地よい睡眠環境、そのどれも今日からできる小さな選択ですが、その積み重ねが「眠れる夜」を取り戻します。
眠りは、気合で勝ち取るものではなく、環境と習慣で育てるもの。今夜はぜひ、空腹と闘うのではなく、自分の体をいたわる選択をしてみてください。その一歩が、明日の軽やかな目覚めにつながります。
寝る前にお腹がすいたときの軽食の選び方
寝る前に軽食をとるなら、食べる量を調整しやすく、手間をかけずに用意できるものが便利です。就寝前の大量の食事は避け、少量にとどめましょう。※4
例えば、次のような食品が候補になります。
- 無糖ヨーグルト:小さな容器の商品や、器に少量を取り分けたもの
- バナナなどの果物:食べたい分だけ切って用意したもの
- 食パンやクラッカー:量を調整して、そのまま、または簡単にトーストしたもの
ヨーグルトや果物、トーストなどは、一般的な軽食の例としても紹介されています。家にあるものや好みに合わせて選び、一度に何種類も追加して食事全体の量が増えすぎないようにしましょう。※8
市販品を選ぶときは、栄養成分表示のエネルギー量や脂質、表示が「1個当たり」なのか「100g当たり」なのかも確認すると、食べる量を考える手がかりになります。パンにバターやクリームをたっぷり加えるなど、トッピングで量や内容が変わる点にも気をつけましょう。
飲み物を添える場合は、水や麦茶など、カフェインを含まないものを選んでください。空腹を満たすためにあれこれ食べ足すよりも、最初に食べるものと量を決めておくと、食べすぎを防ぐ工夫になります。
関連記事:食べてすぐ寝ると太る?様々な健康リスクも増える?睡眠や健康への影響と正しい食後の過ごし方を解説
空腹で眠れない夜を減らすための生活習慣
夜にお腹がすいて眠れない日が続くなら、食事の量や時間に加えて、日中の過ごし方も振り返ってみましょう。ここでは、食事・運動・休息の3つの視点から、眠りやすい生活習慣を紹介します。
1. 食事のリズムを整える
朝・昼・夕の食事をできるだけ規則的にとり、日中に食事を抜いた分を夜にまとめて食べることは避けましょう。朝食をとることは、体内時計を整えるうえでも大切です。※12
帰宅が遅くなる日は、夕方におにぎりなどを食べ、帰宅後はおかずを中心に軽めに食べる「分食」も選択肢です。夕食を2回に分けることで、寝る直前に大量に食べることを避けやすくなります。※1
寝る前の空腹が気になる場合も、夜食だけで調整しようとせず、一日を通した食事量や内容を見直しましょう。主食・主菜・副菜を組み合わせ、特定の食品に偏りすぎない食べ方を意識してください。
2. 日中に体を動かす
日中に適度に体を動かすことは、睡眠を整えるための習慣の一つです。※4 成人では、歩行などの身体活動を1日60分以上(約8,000歩以上)、筋力トレーニングを週2〜3日行うことが推奨されています。体調や体力に合わせ、無理のない範囲で取り入れましょう。※9
運動する時間にも気を配り、寝る直前に息が上がるような激しい運動をすることは避けましょう。日中に散歩をする、移動するときに少し多く歩くなど、続けやすい方法から始めてみてください。※4
激しい運動よりも、リズミカルで続けやすい活動(通勤ウォークや買い物ついでの散歩など)を積み重ねることがポイントです。
3. 心身を休める時間をつくる
仕事や人間関係などのストレスが強い日は、寝つきが悪くなることがあります。
寝る前には、深呼吸やぬるめのお風呂、静かな音楽など、自分が落ち着いて過ごせる時間をつくりましょう。仕事やスマートフォンからいったん離れ、休むための時間を確保することも大切です。※4
腹式呼吸などのリラクゼーション法は入眠を促す可能性がありますが、すべての人に効果が保証されるわけではありません。※1
食事や運動、寝る前の過ごし方を一度に変える必要はありません。できることから少しずつ試し、空腹感や寝つきにどのような変化があるか振り返ってみましょう。
空腹で眠れない症状が続く場合の注意点
食事や寝る前の過ごし方を見直しても、眠れない状態が続く場合は、医療機関への相談を考えましょう。特に、夜中に起きて食べることを繰り返している場合や、眠気・疲れが日中の生活に影響している場合は、その状況を医師に伝えることが大切です。
夜中に起きて食べることが続く場合
「夜中に何度も起きて食べる」「何か食べないと眠れないと感じる」といった状態が続き、困っている場合は、かかりつけ医や睡眠を扱う医療機関に相談してみましょう。
夜間に食事が偏ったり、夜中に目が覚めて食べたりする状態には、「夜間摂食症候群」が関係している場合があります。朝は食欲が乏しく、夕方以降に食べる量が増えることも特徴です。ただし、夜中に食べることがあるだけで、この病気と判断されるわけではありません。※10
受診時には、「いつ頃から」「週に何回くらい」「どのようなものを食べているか」を伝えられると役立ちます。また、夜間摂食症候群とは異なる睡眠の問題を確認するために、食べているときにはっきり目が覚めていたか、翌朝そのことを覚えているかも大切な情報です。服用中の薬や、家族から指摘された夜中の行動についても、あわせて医師に伝えてください。※10
医療機関を受診すべきタイミング
生活習慣を見直しても眠れない状態や日中の集中力低下・強い眠気などが改善しない場合は、医療機関に相談しましょう。※1
特に、次のような場合は専門的な診断が有効です。
- 薬を服用していて、急な強い空腹感や動悸、冷や汗などが現れる※11
- 睡眠で休養がとれず、日中の生活に支障がある
- 生活習慣を見直しても眠れず、疲れが取れない
体のリズムを整えるアドバイスや生活指導を受けることで、根本的な改善につながることがあります。
関連記事:【医師監修】食後の眠気がひどい原因はなに?血糖値スパイクと糖尿病との関係を解説
お腹がすいて眠れない時のよくある質問
ここでは、お腹がすいて眠れない人からよく寄せられる質問に回答します。
ダイエット中でもお腹が空いて眠れない時は食べてもいいですか?
空腹が強くて眠れないときは、少量の軽食をとることも選択肢です。ただし、寝る直前に大量に食べることは避けましょう。※4 ダイエット中も「少量なら必ず太らない」と考えず、一日全体の食事量や内容を見直すことが大切です。
空腹のまま寝ると翌朝に体調不良になるのはなぜですか?
健康な人では、空腹時でも血糖値が70mg/dLより低くなることはほとんどありません。※11 翌朝の不調を空腹や低血糖のせいと決めつけず、続くときは医療機関に相談しましょう。
寝る前にヨーグルトを食べても太りませんか?
無糖ヨーグルトでも、食べれば太らないというわけではありません。栄養成分表示と食べる量を確認し、はちみつやシリアルなどのトッピングも含めて考えましょう。寝る前に食べる場合は、少量にとどめてください。※4
まとめ
空腹で眠れないときは、少量の軽食をとることも選択肢です。空腹が落ち着いても寝つけない場合は、ノンカフェインの飲み物を選ぶ、軽くストレッチをする、寝室環境を整えるなど、無理なく試せることから取り入れましょう。
普段から食事のリズムや日中の活動、心身を休める時間を見直すことも大切です。それでも眠れない状態が続いたり、日中の生活に支障が出たりする場合は、医療機関に相談してください。あわせて、マットレスや首・肩に合う高さの枕など、眠りやすい姿勢を支える寝具も見直してみましょう。
・参考
※1 厚生労働省「健康づくりのための睡眠ガイド2023」
※2 厚生労働省「令和5年 国民健康・栄養調査結果の概要」
※3 University Hospital Southampton NHS Foundation Trust「Sleep hygiene」
※4 米国国立心肺血液研究所(NHLBI)「Healthy Sleep Habits」
※5 米国国立心肺血液研究所(NHLBI)「Your Guide to Healthy Sleep」
※6 Royal National Orthopaedic Hospital NHS Trust「Sleep」
※7 英国国民保健サービス(NHS)「How to fall asleep faster and sleep better」
※8 Cambridge University Hospitals NHS Foundation Trust「Healthy snack and small meal ideas」
※9 厚生労働省「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023」
※10 臨床神経生理学「睡眠時行動異常(睡眠時随伴症)の多様性―睡眠関連摂食障害 Sleep related Eating Disorder について―」
※11 厚生労働省「重篤副作用疾患別対応マニュアル 低血糖」
※12 農研機構「時間栄養学(Chrono-nutrition)」











