睡眠コラム by 南 茂幸2025年8月19日読了目安時間: 5

【医師監修】寝る前のハーブティーで睡眠の質を改善!効果的な飲み方と注意点を徹底解説

森田 麻里子
Child Health Laboratory 代表 / 医師

医師・小児スリープコンサルタント・睡眠専門家

2012年東京大学医学部医学科卒。
亀田総合病院にて初期研修後、2014年仙台厚生病院、2016年南相馬市立総合病院にて麻酔科医として勤務。2017年の第1子出産をきっかけに、2018年より乳幼児の睡眠問題についてのカウンセリングや講座、企業と連携したアプリ監修など行っている。2019年昭和大学病院附属東病院睡眠医療センター非常勤勤務を経て、現在は大人の睡眠カウンセリングや企業向け睡眠講座も手掛ける。

現代日本では、約4人に1人が慢性的な不眠に悩んでおり、睡眠で休養が取れていないとされています。※1

その原因の多くはストレスや生活習慣の乱れに起因しています。ストレス社会の中で睡眠の質を改善したいと考える人が増え、薬に頼らず自律神経やホルモンバランスを整える自然なアプローチへの関心が高まっている中で注目されているのが「ハーブティー」です。厚生労働省の「健康づくりのための睡眠ガイド2023」では、生活習慣や睡眠環境の見直しが重要とされ、寝る前の習慣のひとつとして温かいハーブティーの活用が推奨されることもあります。※2

ハーブティーはリラックス作用が高く、ノンカフェインである点から人気を集めています。本記事では、厚生労働省のガイドラインや日本国内及び海外の研究データをもとに、ハーブティーの効果的な活用法や注意点を徹底解説します。

なぜ寝る前のハーブティーが睡眠に効果的なのか?科学的な仕組みを解説



まず、ハーブティーが睡眠に与える効果について、科学的なメカニズムを解説します。

ハーブティーは自律神経等へ作用し、睡眠の質を高める効果が期待されているほか、ノンカフェインのため睡眠を邪魔しない効果も注目されています。ハーブティーを飲む行為そのものが入眠の儀式として心理的な落ち着きを得られる効果もあるようです。

カモミールの効果を調査したラットを用いた研究では、カモミールにより抗ストレスの効果が見られたとされています。※3

健常男性12名に対して自律神経への作用を調べた研究では、カモミールティーを飲用する事で副交感神経が優位に働いたと報告されているほか、カモミールゼリーを継続的に摂食することで自覚的睡眠感がよくなる報告もされています。※4・※5

自律神経を整えて副交感神経を優位にする作用

ハーブティーに含まれる成分の中には、鎮静作用を発揮するものがあります。たとえば、カモミールに含まれるアピゲニンは脳のGABA受容体に働きかけ、リラックスを促すことが確認されています。※6

ラベンダーの酢酸リナリルとリナロールは不安緩和や自律神経調整に関与しているとされ、鎮静効果を目的として入眠のサポートに利用されることもあります。※7

ノンカフェインで睡眠を妨げない安心感

多くの人が日常的に飲むコーヒーや緑茶には、覚醒作用を持つカフェインが含まれていることはよく知られている事実です。カフェインの半減期は4~8時間とされ、夕方以降にカフェインを摂取すると就寝を妨げる可能性があります。またカフェインには利尿作用があるため、中途覚醒を起こす可能性も高いです。一方ハーブティーはノンカフェインのため、カフェインの影響で睡眠を妨げることがないため、睡眠前でも安心して飲めます。

入眠儀式としての心理的リラックス効果

毎晩同じ時間にハーブティーを飲む習慣をつけると、心と体が「もうすぐ眠る時間だ」と認識し、スムーズに入眠できるようになります。こうしたルーティンは「入眠儀式」と呼ばれ、睡眠の質向上に役立つとされているのです。香りの効果によるアロマテラピー、温かい飲み物によるリラックス効果など、心理・生理両面に働きかけます。

関連記事:睡眠の質を上げる飲み物なんてあるの?おすすめ10選を紹介

睡眠の質を高める主要なハーブティー5選と効果的な飲み方

では、睡眠の質を高める主なハーブティの効果や特長と飲み方を紹介します。自分に合ったハーブティーはどれか探してみてください。

 

カモミール:最も研究されている安眠ハーブ

アピゲニンを豊富に含むカモミールは、最も研究されている安眠ハーブのひとつです。抗ストレス作用、自律神経を整え副交感神経を優位にさせる作用、自覚的睡眠感の改善など様々な効果が報告されています。※3・※4・※5

カモミールにはジャーマンカモミールとローマンカモミールの2種類があり、前者はティー向け、後者はアロマ向けとして使い分けられています。日本ではGABAを配合したカモミールティーが機能性表示食品として販売されています。

ラベンダー:香りでリラックスを促進

ラベンダーに含まれる酢酸リナリルとリナロールは、不安緩和や自律神経調整に関与しているとされているほか、ラベンダー精油の吸入によるリラックス効果について複数の研究で効果が認められています。ラベンダーティーとして飲むほか、アロマとして枕元に置くのも効果的です。※7・※8

その他の効果的なハーブとブレンドのコツ

上記2つ以外にも、睡眠に効果的と考えられているハーブを紹介します。

  • パッションフラワー:神経の高ぶりを抑える
  • レモンバーム:気分を穏やかにし、不安を軽減
  • リンデン:血流促進とリラックス効果

これらのハーブは単独でも効果がありますが、ブレンドすることで飲みやすくなりますし、相乗効果が期待できるかもしれません。日本人向けにブレンドされた市販のティーバッグも多数販売されています。

 

寝る前のハーブティーを飲む際の注意点と正しい活用法

ハーブティーを活用する際の注意点をまとめます。飲み方や飲むタイミングに注意し、適量を摂取すれば、リラックスして入眠しやすくなります。一方でアレルギーがある方や妊娠・授乳期の方、持病でお薬を服用している方は相互作用に注意しましょう。

就寝前の最適な飲用タイミングと量

ハーブティーを飲む理想的なタイミングは、就寝前の30分〜1時間です。1日1〜2杯が適量で、飲み過ぎると夜間頻尿を引き起こすことがあるため注意してください。なお、効果には個人差があるため、自分に合ったハーブを見つけることも大切です。

体質や健康状態に応じた選び方と注意事項

以下の方は摂取前に医師と相談しましょう。

  • 妊娠中・授乳中の方
  • 特にキク科などのアレルギーのある方(カモミールは要注意)
  • 持病があり、薬を服用している方

ハーブには薬との相互作用がある場合もあるため注意が必要です。薬の成分とハーブの成分が反応して強い薬の作用が出たり、逆に薬の効果が弱まる可能性があります。必ず医師と相談しましょう。

効果を実感するまでの期間と継続のコツ

 ハーブティーは医薬品ではないため、即効性がないことも珍しくありません。最短でも2週間以上は継続して飲み、効果を感じられるか観察しましょう。飽きずに続けるためには、好みにあった味や香りのものを探してみることも大切です。

 

ハーブティーと併せて実践したい総合的な睡眠環境の改善方法

睡眠の質を高めるためにはハーブティーにだけ頼らず総合的にアプローチすることが必要です。寝具やマットレス、温度など睡眠環境を整えること、生活習慣を見直すことなどを合わせて考えると、睡眠の質向上の可能性が大幅に高まります。最適な寝室環境の設定、寝具選びのポイント、生活習慣のポイントを以下に解説します。

寝室環境の整備:温度・湿度・光の管理

理想的な寝室環境の目安をまとめました。安眠できる寝室づくりにお役立てください。

  • 室温:夏は25℃前後、冬は18℃〜22℃が理想
  • 湿度:50〜60%をキープ
  • 照明:少なくとも就寝1時間前は暖色系で間接照明に、就寝時は真っ暗に
  • 音:静かな環境 or ホワイトノイズ

質の高いマットレスで身体をしっかりサポート

科学的な研究でマットレスの性能が睡眠の深さや中途覚醒の頻度に大きく関わっていることが分かっています。例えば、マットレスの硬さは睡眠の快適性、質、脊椎アライメントに影響していると報告されています(※9)。理想的なマットレスの特長は以下の通りです。

  • 体圧分散に優れ、腰や肩が沈みすぎない
  • 寝返りが打ちやすく、姿勢が崩れない
  • 通気性が良く、睡眠中の体温を適切に調整
  • 振動吸収性が高く、パートナーの動きで起きにくい

睡眠中の体圧分散や寝返りのしやすさは、マットレスの質によって大きく左右されます。※9

生活習慣の見直しで睡眠の質を根本改善

厚生労働省の健康づくりのための睡眠ガイド2023では下記のような生活習慣を推奨しています。※2

  • 夕方以降はカフェインを控えめに
  • 晩酌は控えめにし、寝酒はしない
  • 禁煙を目指す
  • 就寝直前の夜食を控える
  • 毎日同じ時間に寝起きする習慣をつける
  • 運動は日中に中強度〜高強度のものを徐々に取り入れる
  • 朝起きたら光を浴びる、また朝食を摂る

ハーブティーはこれらの生活習慣の一部として取り入れると効果的です。

 

まとめ:良質な睡眠は総合的なアプローチで実現できる

ハーブティーは、自律神経を整えリラックス作用が期待できるものもあり、睡眠改善のために薬に頼らずにできる選択肢のひとつです。ただし、真の改善には、寝室環境や生活習慣など総合的なアプローチが欠かせません。まずは2週間、就寝前のハーブティー習慣とマットレスの見直しから始めてみてはいかがでしょうか。きっと、目覚めの心地よさに変化を感じられるはずです。

参考

※1:厚生労働省-令和5年国民健康・栄養調査結果の概要

※2:健康づくりのための睡眠ガイド2023(厚生労働省)

※3:Effect of inhalation of chamomile oil vapour on plasma ACTH level in ovariectomized-rat under restriction stress

※4:Correlation between the indices of autonomic nervous system and mood after drinking chamomile tea

※5:温めたカモミールゼリーの連続摂取が夜間睡眠に及ぼす効果

※6:Enhancement of pentobarbital-induced sleep by apigenin through chloride ion channel activation

※7:Essential oil of lavender in anxiety disorders: Ready for prime time?

※8:Anxiety-Reducing Effects of Lavender Essential Oil Inhalation: A Systematic Review

https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC10671255/

※9:Effect of different mattress designs on promoting sleep quality, pain reduction, and spinal alignment in adults with or without back pain; systematic review of controlled trials