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監修者

牧村 さゆり
- 日本大学生物資源科学部 獣医学科 卒業
- 神奈川県、沖縄県、東京都の動物病院に勤務 現在は埼玉県の動物病院に勤務する傍ら、東京都にて往診専門動物病院を開業
くるんと丸まり隣で一緒に寝てくれる愛猫の姿はとても愛おしいですよね。そんな姿を見ながら「どうして私の隣で寝るんだろう?」「これって信頼されているのかな?」なんて思ったことはありませんか?実は、猫が飼い主と一緒に寝る行動には、信頼関係や心理が深く関わっています。
本記事では、猫が飼い主と一緒に寝る7つの理由から、寝る位置別の心理状態、一緒に寝ることで得られるメリット、そして安全に過ごすための注意点まで詳しく解説します。愛猫との絆をより深めながら、安心して快適な睡眠時間を過ごすためのヒントがきっと見つかるはずです。
猫が飼い主と一緒に寝る7つの理由

安心しきった顔で一緒に寝てくれる猫たちは一体どんな気持ちで飼い主のベッドで寝たがるのでしょうか?飼い主への深い「安心」と「信頼」を土台とした、猫が一緒に寝る7つの理由をご紹介します。愛猫が送るサインを一緒に読み解いていきましょう。
1. 飼い主への信頼と安心感
猫にとって、睡眠中は最も無防備な状態です。つまり飼い主の隣で寝るのは深く信頼している証しと言えます。猫は本能的に安全な場所を求める動物ですから、飼い主の存在が大きな安心感を与えているのでしょう。多頭飼いの場合、他の猫と緊張関係があり、飼い主のそばを安全地帯と考えてそばにいるのかもしれません。
2. あたたかさや布団の気持ち良さ
猫の平均体温は人間より高いため、特に寒い時期は暖かい場所を求めます。人間の体温や布団の中は、猫にとって快適な暖かさを提供します。飼い主のベッドの柔らかさや匂いに安心感や安らぎを覚え、一緒に寝るということもあるでしょう。
3. 子猫気分で甘えたい気持ちや母猫への愛着の名残
猫が飼い主と寄り添って眠るのは、子猫が母猫に甘える行動の名残と考えられています。
特に若いうちに去勢・避妊手術をした猫にこの傾向が見られることがあります。飼い主を母猫のように慕い、一緒に寝たがる猫は多いのです。
4. 「飼い主を守りたい」という気持ち
猫にも飼い主を守ろうとする本能が働くことがあります。自分のテリトリーで寝ている無防備な飼い主のそばにいることで、愛猫なりに飼い主を守っているのかもしれません。
5. ご飯をくれる飼い主の近くで安心したい
食事を提供してくれる飼い主は、猫にとって大切な存在です。朝早く活動する習性のある猫は、給餌時間が近づくと飼い主を起こそうとします。お腹が空いたらすぐに朝ご飯を出してもらえるよう、飼い主の近くにいて安心したいのかもしれません。
6. 自分の縄張りにいる安心感
猫は縄張り意識が強い動物で、自分の居場所に自分の匂いをつけることで安心感を得ています。飼い主が休む大切な場所が自分の縄張りだと思えることは、猫にとってとても安心できることだと言えそうですね。
7. 体調不良や病気の可能性
猫は体調が悪い時、信頼する飼い主に寄り添うことがあります。普段と異なり急に甘えん坊になったり、いつも以上に近くで寝るようになったりした場合は、病気のサインかもしれません。筆者の飼い猫も手術をした時に、初めて膝の上に乗ってきたことがありました。食欲不振や元気のなさなどいつもと違う様子が見られたら、獣医師に相談することをおすすめします。
ただし猫にも個性があるため、一緒に寝るのを好まないのであれば、無理強いしないほうがよいですね。
また猫の感染症が人にうつる可能性があるため、猫の健康診断や衛生管理をしっかりと行った上で一緒に寝るようにしましょう。
猫が一緒に寝る場所でわかる心理とは?

猫が選ぶ寝る位置には、飼い主への信頼度や甘えたい気持ちなど、様々な心理が反映されていると考えられます。愛猫がどこで飼い主と一緒に寝るのか観察してみましょう。
枕元や顔の近くで一緒に寝る
飼い主の枕元や顔の近くで寝る猫は、深い信頼と愛情を示していると考えられます。子猫が母猫に甘えるような気持ちや、起きたらすぐに構ってもらいたいという甘えん坊な心理が隠れているかもしれません。
足元や布団の上・股の間で一緒に寝る
暖かく、いざという時に動きやすい足元で寝る猫は、飼い主を信頼しつつも適度な距離を保ちたい心理の表れかもしれません。股の間も飼い主のぬくもりを感じられる場所ですが、囲まれた安心感と身を守りやすさを両立できる場所のようです。
お腹の上や腕枕で一緒に寝る
飼い主のお腹の上や腕枕で寝る猫は、人懐っこい性格なのかもしれません。スキンシップを嫌がらない場合、たっぷりと撫でてあげるときっと喜びますよ。
布団の外や離れた場所で寝る
飼い主から離れて寝る猫は、自立心が強いタイプかもしれません。寝床の環境(暑さ、寝心地など)が合わないなどの理由も考えられます。急に離れて寝るようになったら、体調不良やストレスも疑いましょう。
愛猫が一緒に寝ない理由と対処法

愛猫が一緒に寝てくれないと不安になるかもしれませんが、理由は様々です。猫が一緒に寝ない理由と対処法を解説します。
自立心が強く自分の場所を好む性格なのかも
元々一匹で静かに過ごすのが好きな猫や自立心の強い猫は、気に入った場所で単独で寝たがります。猫は好みがはっきりしている動物なので、無理強いはせず、猫のペースや性格を尊重しながらコミュニケーションを取るとよいでしょう。
布団やベッドの好みが合わない
布団やベッドが猫にとって快適でない場合、他の場所を選びます。猫も人と同じように寝る環境の好みもそれぞれ違います。一緒に寝てもらいたい場合は、猫が好んでいる毛布などを用意したり、寝室の環境を見直したりするのがおすすめです。
子猫と大人の猫、一緒に寝てもいいのはいつから?
子猫と大人猫では、一緒に寝るのに適したタイミングや注意点が異なります。愛猫の成長に合わせて一緒に寝ることを考えましょう。
生まれたばかりの子猫と一緒に寝るのはNG
子猫を迎え入れてすぐに一緒に寝るのは避けましょう。体が小さいため、飼い主が寝返りで押しつぶしてしまうリスク(圧死のリスク)があります。自分でベッドに安全に上がり下りできるようになる生後6か月頃が一緒に寝始める目安です。それまでは専用の安全な寝床を用意しましょう。
成長と共に変わる猫の睡眠リズム
猫の睡眠時間は年齢で大きく変わります。子猫は1日20時間以上寝ることも珍しくありません。健康な成猫になると12〜16時間程度眠り、高齢猫は再び睡眠時間が長くなります。愛猫の年齢や性格に合わせ、無理なく添い寝したり一緒に過ごすタイミングを探してみてください。
猫と一緒に寝るメリット:リラックス効果と健康促進

愛猫と一緒に寝ることは飼い主の睡眠の質向上や健康促進に貢献する可能性がある、そんな近年の研究が注目されています。ペットと同じ部屋で寝ることや猫との愛着関係が飼い主の心身にどのような良い影響を与えるのか、科学的な視点から見ていきましょう。
猫と一緒の睡眠がもたらす良い効果
心理的な安心感が睡眠の質を高める可能性
夜間に漠然とした不安を感じたり、考え事をして眠れくなったりすることはありませんか?不安や悩み事は睡眠の質を低下させる要因の一つです。研究によると、猫がそばにいることでこれらの感覚が和らぎ、特にストレスを感じている方の睡眠の質が向上する可能性が認められています。愛猫の温もりや存在そのものが、心理的な安定をもたらし、安らかな眠りを促すと考えられます。
ストレス軽減が導く健やかな眠り
猫との触れ合いでリラックス効果を高めることが知られており、寝つきが良くなったりより深い睡眠を得られたりする可能性があります。猫特有のゴロゴロという喉の音や、柔らかな毛並みに触れる心地よさが、自然と心身を落ち着かせ、穏やかな眠りへと誘うのかもしれません。※1
猫との暮らしがもたらす健康促進効果
長期的な視点での健康メリット
猫と暮らすことが健康にも良い影響を与える可能性が報告されています。例えば、高齢者の2年後の生存率が向上したというデータや、心血管疾患による死亡リスクが低下したという研究結果があります。特に、愛猫を大切な家族の一員として認識している飼い主ほど、より大きな健康効果を実感しやすいことも分かってきています。
「愛情ホルモン」オキシトシンのリラックス効果
猫との触れ合いやコミュニケーションは、「愛情ホルモン」とも呼ばれるオキシトシンの分泌を促すことが明らかになっています。オキシトシンには、ストレスを和らげたり、免疫機能を高めたりするなど、心身の健康を多角的にサポートする働きが期待されています。飼い主と猫との良好な関係は、猫自身の健康や幸福感を高めるためにも重要であるとされています。※2
猫と安心して一緒に寝るための注意点と安全対策
愛猫と一緒に寝るのはとても幸せな時間ですが、安全と快適さを害わないために注意する点もあります。事前に対策してお互いに安心して眠れる環境を作りましょう。
1. 圧死リスクも?子猫と一緒に寝るための注意点
飼い主の寝返りによる圧死は、特に子猫や体の小さな猫にとって深刻なリスクです。十分な広さのベッドを用意し、猫が自由に動けるスペースを確保しましょう。寝相にあまり自信がない場合は、子猫が成長するまで別々に寝ることや、猫専用の小さなベッドを飼い主のベッドの側に置くなどの対策を検討しましょう。
2. ノミ・ダニ対策と清潔な布団
猫と一緒に寝ることでノミやダニが人に移るリスクが高まりやすくなります。感染症などにならないためにも、定期的な駆虫薬投与や、室内のこまめな清掃が重要です。少しでも不安がある場合、獣医師に相談して対策を取ってください。毛の生え変わる時期や、フケや抜け毛が多い猫種を飼っている場合は、寝具も猫の毛や皮脂で汚れやすいため、シーツ類は頻繁に洗濯し、布団も清潔に保ちましょう。
3. ベッドをトイレと間違えさせない
猫がベッドで粗相するのを防ぐには、まずトイレ環境を見直します。猫は清潔なトイレを好むのでトイレは常に清潔にしてあげましょう。多頭飼いやデリケートな性格の猫には、頭数プラス1個のトイレを用意してあげるという対策もあります。トイレを清潔にしておくことは、ベッドに粗相させないとても有効な対策です。
4. 爪のケアと電源コードの対策
伸びた爪は飼い主や猫自身を傷つける原因になりやすいため、定期的な爪切りを心がけましょう。嫌がる場合は爪とぎを複数用意します。また、猫が噛んでしまう可能性のある電気コードなどは、就寝前に片付けるか保護カバーをつける対策を検討しましょう。
まとめ
この記事では、愛猫が飼い主と一緒に寝たがる様々な理由や、その行動から読み取れる猫の心理、そして共に眠ることで得られるメリットや注意点について、詳しく見てきました。猫と一緒に眠る時間は、お互いに癒やされかけがえのない絆を育んでくれます。この記事でお伝えした一緒に寝る時の注意点や対策などが、飼い主と愛猫との絆をさらに深める参考になれば幸いです。
これからも、愛猫との毎日が温かい信頼と愛情に溢れた素晴らしいものでありますように。
参考
- ※1 ペットとの共同睡眠に関する研究 Scientific Reports(2024)
https://www.nature.com/articles/s41598-024-56055-9
- ※2 猫と飼い主の関係に関する行動生理学的研究」 (2022)










