睡眠コラム by 石川 恭子2026年5月14日読了目安時間: 4

寝室の湿度、まだ50%を保てている?─ 梅雨入り前に確認したい3つの湿度対策

石川 恭子
リテールスペシャリスト / 上級睡眠健康指導士

コアラマットレス®︎のショールームで、お客様が「運命のマットレス」に巡り合えるようお手伝いしているカリスマコンシェルジュ。お客様の眠りの悩みに耳を傾ける中で、今すぐ活用できる睡眠の知識を届けたいと上級睡眠健康指導士の資格を取得。コアラ®︎のマットレスを通じて、毎日眠ることが待ち遠しくなるワクワク感を提供したい。

ゴールデンウィークが明けて1週間、湘南でも気温が25℃を超える日が増えてきました。「夜中になぜか目が覚める」「朝起きるとなんとなく身体が重い」──そんな感覚はありませんか。

エアコンをつけるほどでもない、扇風機で十分な気もする。でも何かしっくりこない。この時期の寝苦しさの正体は、多くの場合「温度」ではなく「湿度」です。そして湿度は、温度より気づきにくく、対策しにくい厄介な指標でもあります。

この記事では、梅雨入りを2〜3週間後に控えた今、知っておきたい寝室湿度の話を、一次情報に基づいて整理します。

「寝苦しい」の正体は、温度より湿度

まず結論からお伝えします。寝室の温度が同じ25℃でも、湿度が50%か80%かで、睡眠の質はまったく違うものになります。

日本生気象学会の「日常生活における熱中症予防指針」では、同じ「28℃」の室温でも、湿度が「65%」では「熱中症に警戒」が必要な暑さ指数(WBGT)になると示されています。つまり、温度計だけ見ていても、本当の不快さや危険度は見えてこないということです。

なぜそうなるのか。理由は、人間の体温調節の仕組みにあります。眠りに入るとき、人の身体は手足の末梢から熱を逃がして深部体温を下げます。汗をかき、その汗が蒸発するときの気化熱で身体が冷えていく──このプロセスが、自然な眠気を生み出します。

ところが湿度が高い環境では、汗が蒸発しません。スリープラボの解説では、湿度が高いと汗がなかなか乾かず、体温調整が上手くいかないので寝苦しくなるとされています。結果、深部体温が下がらず、寝つきが悪くなる。やっと寝ても、汗で湿った寝具の中で何度も目が覚める。これが、梅雨から夏にかけての睡眠不調のメカニズムです。

寝室湿度と寝床内湿度はどれくらいがベスト?

ここからが、この記事で一番大切なポイントです。

寝室の湿度には、実は2つの指標があります。「寝室の空気の湿度」と「布団の中の湿度(寝床内湿度)」の2つです。

睡眠時に最適な部屋の湿度は50%前後で、雨の日は湿度が80%を超えることもあるので、除湿器などを活用して最適な湿度に調整することがおすすめです。そして同時に、部屋の湿度はもちろんですが、寝床内湿度(布団の中の湿度)も大切で、こちらも最適な寝床内湿度は50±5%。吸放湿性の悪い寝具だと部屋の湿度は適正でも寝床内湿度が高くなりやすいので注意が必要と指摘されています。

つまり、エアコンで部屋の湿度を50%に保っても、布団の中の湿度が80%だと意味がないのです。逆に、布団の中だけ快適でも、部屋全体が高湿度だとカビやダニのリスクが上がります。

厚生労働省の「健康づくりのための睡眠ガイド2023」でも、湿度は40〜60%程度が望ましいとされています。下限の40%も大切で、これを下回ると喉や鼻の粘膜が乾燥して呼吸器に負担がかかります。

理想は、寝室空気50%・寝床内50±5%の二重コントロールです。

温湿度計を置く位置

ここで多くの方が見落としているのが、温湿度計の置き場所です。

寝室にすでに温湿度計を置いている方も、もし壁の高い位置や、ベッドから離れたチェストの上に置いているなら、その数値は「眠っているあなたが感じている湿度」とはかなり違う可能性があります。

正解は、枕元の高さ、ベッドの脇のサイドテーブルの上です。理由は3つあります。

1つ目は、空気は温まると上昇するため、天井近くと床近くでは温度差が出るから。寝ているあなたの位置(床から30〜50cm)の数値こそが、睡眠に影響する数値です。

2つ目は、湿気は床に溜まる性質があるから。特に1階の寝室や、マットレスを直置きしている場合、床近くの湿度は天井近くより10〜20%高いことがあります。

3つ目は、エアコンのセンサーは部屋の上部にあり、エアコンが「快適」と判断している数値と、あなたが寝ている場所の数値は、しばしば大きくズレるからです。

Panasonicの解説でも、エアコンの温度センサーと人が寝ている場所では温度差があるが、そのセンサーを枕元に持ってきたというのも目から鱗のアイデア。人の近くの温湿度を検知することで設定温度と実際の温度の差異を減らすことができると紹介されています。

梅雨入り前にできる3つの湿度対策

「湿度が大事なのはわかった、でも具体的にどうすれば」という方のために、今週末からできる3つの対策をまとめます。

1. 寝室に温湿度計を1個追加する(枕元の高さ)

すでに1個ある方も、今あるものを枕元の位置に移動し、もう1個を別の場所(クローゼットの中など)に置くと、寝室の湿度の偏りが見えてきます。500〜1500円程度で買えるシンプルなものでまずは十分です。

2. エアコンの「除湿モード」を使い慣れておく

エアコンには冷房モードと除湿モードがあり、メーカーによっては「弱冷房除湿」「再熱除湿」など複数の除湿モードを持っています。本格的に必要になる前に、それぞれの動作の違いを試しておくと、梅雨入り後に迷わずに使えます。湿度が60%を超えてきたら除湿モード、温度も高い時は冷房モード、という使い分けがおおまかな目安です。

3. 寝床内湿度を下げる寝具を選ぶ

部屋の湿度を50%に保っても、敷きパッドやシーツが化学繊維100%だと寝床内湿度は80%を超えることがあります。綿パイル・麻混・コットンガーゼなど、吸湿性のある天然素材の敷きパッドを準備しておくことで、寝床内環境が大きく改善します。

それでも下がらない時、除湿機とエアコン除湿モードどちらを使う?

最後に、よく聞かれる質問にお答えします。「梅雨に向けて除湿機を買うべきか、エアコンで足りるか」という問いです。

結論から言うと、寝室の広さが6〜8畳でエアコンが効いていれば、エアコンの除湿モードで多くの場合は対応できます。ただし、以下のいずれかに該当する場合は、除湿機の追加導入を検討する価値があります。

  • 寝室にエアコンがない(または古くて除湿性能が低い)
  • 1階・北向き・浴室や洗濯機が近い、など立地的に湿気が溜まりやすい
  • マットレスや布団を直置きしている
  • 喘息やアレルギーをお持ちで、湿度80%超えが体調に直結する

逆に、エアコンがしっかり効く環境であれば、新たに除湿機を増やすよりも、エアコンの設定を最適化する方が電気代の面でも効率的です。

寝苦しさは、根性で乗り切るものではなく、数値で管理するもの。今夜、まず温湿度計を枕元に置くところから始めてみてください。来月の梅雨入り後に、確実に違いを感じるはずです。

参考文献

  1. 厚生労働省「健康づくりのための睡眠ガイド2023」https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/suimin/index.html
  2. 国立精神・神経医療研究センター「温度、湿度と睡眠」https://www.ncnp.go.jp/hospital/guide/sleep-column21.html
  3. 日本生気象学会「日常生活における熱中症予防指針 Ver.4」http://seikishou.jp/committee/
  4. Yahoo!ニュース エキスパート「梅雨時期は寝室の湿気対策を!」(rina 睡眠インテリア、2024年)https://news.yahoo.co.jp/expert/articles/c2918e7a22b4773561a3fa77a7da24afb5a70ca4
  5. いい眠り.press「梅雨も快適に眠るためにおすすめの方法〜寝室の湿気対策〜」https://ii-nemuri.press/special/tsuyu-shikke/
  6. Sleep Labo「【梅雨の睡眠】ジメジメして眠れない!湿度対策と快眠法」https://somnus.jp/sleep-labo/article/sleep-in-the-rainy-season
  7. Panasonic「夏の寝苦しい夜にぐっすり快眠環境をつくるエアコン活用方法」https://panasonic.jp/aircon/air_letter/news/sleep_well.html
  8. コアラマットレス公式ブログ「梅雨の睡眠を快適に!寝室の湿気を解消するコツ3選」https://koala.com/ja-jp/blog/sleep/rainy-season-sleep-hack/