「急に眠らなくなった」「夜泣きが辛い」「何か私のやり方が間違っていたのかも…」”と思ったことはないでしょうか。赤ちゃんの睡眠は日々変化しており、ある時期になると突然リズムが乱れることがあります。これがいわゆる「睡眠退行」で、夜泣きや寝ぐずりの増加などがみられます。
睡眠退行は多くの赤ちゃんに起こる一時的な睡眠パターンの乱れであり、その背景には成長や環境の変化、分離不安などさまざまな要素が関わっています。
本記事では、睡眠退行の基本から原因、月齢別の特徴、対処法に加えて、よくある疑問点や親が気をつけたいポイントまでを網羅的に解説します。
目次
睡眠退行の基本:どうして起こる?いつまで続くの?
まずは睡眠退行とは何か、その概要と一般的な期間の目安について知りましょう。
睡眠退行とは、一度まとまってきた赤ちゃんの睡眠リズムが再び不安定になり、寝つきが悪くなったり夜泣きが増えたりする状態を指します。
この症状は一時的なもので、多くの場合は数週間から1か月ほど続きます。月齢が上がるにつれ複数回起こる可能性がありますが、長期的に続くわけではなく、赤ちゃんの成長過程のひとつとしてとらえられています。
親の睡眠不足や精神的ストレスにつながりやすいため、早めに睡眠退行についての理解を深め、対処方法を知っておくことが大切です。正しい理解と対応を行えば、安心して睡眠退行の期間を乗り越えやすくなります。一方、睡眠退行についての知識があることによって、まだ起こってもいない睡眠トラブルに対して強い不安を感じるケースもあります。そして親が不安になることで、本当に子どもも不安定になってしまうことがあります。睡眠退行は毎回すべての子どもに起こるわけではありませんから、情報に振り回されるのではなく、眼の前の子どもの様子をよく見ることが大切です。
様子を観察していく中で、睡眠トラブルが起こって原因がわからないときには、「睡眠退行が起こっているのかもしれない」とわかると不安が軽減されることがあると思います。このように知識を使っていただくと、睡眠の乱れを最小限に抑えることができると思います。
睡眠退行が発生しやすい月齢・年齢の目安
赤ちゃんの睡眠退行は、生後3か月から2歳頃にかけて数回発生しやすいと言われています。特に生後4か月頃や8~10か月頃、1歳半くらいでの夜泣きや寝ぐずりのパターンは多くの親が経験するものです。
これらの時期は脳や身体の急激な発達があるため、睡眠のサイクルにも影響が出やすくなります。急に運動機能が発達したり、見聞きできる世界が拡がったりするので、刺激を消化しきれずに睡眠が乱れてしまうことがあります。
また、2歳前後にもイヤイヤ期との関係で再度睡眠退行が見られることがあります。このタイミングで睡眠や生活リズムを崩しやすいと感じる親も少なくありません。
よくある症状と行動パターン
代表的な症状としては、夜泣きの頻度が増える、寝入ってすぐに起きる、日中も機嫌が悪くなるといった行動パターンが挙げられます。他にも、抱っこしないと寝ないこともあります。穏やかに眠っていた赤ちゃんが突然何度も起きて泣くようになるため、親が大きな戸惑いを感じやすいでしょう。
赤ちゃんの機嫌が著しく変化するので、普段と違う対応を求められることも多くなります。
はっきりとした原因が思い当たらない場合には、この段階で無理に泣き止ませようとせず、「今はそういう時期なんだ」という理解をもつことも大切です。赤ちゃんのペースに合わせながら、できる範囲で生活リズムを整えていくことがポイントになります。
睡眠退行を引き起こす主な5つの原因
イメージ画像:https://elements.envato.com/asian-mother-is-touching-her-cute-sleeping-newborn-UV3RES3
睡眠退行にはさまざまな要因が重なっていることが多く、主な原因を整理して理解を深めましょう。
赤ちゃんの睡眠退行は、一つの要素によって起こるのではなく、複数の要因が重なり合って発生することがほとんどです。成長過程での変化と環境要因が同時に起きることで、睡眠のリズムが乱れやすくなります。
例えば、脳の急速な発達により感覚刺激を多く受ける時期と、歯の生え始めなど体調面の変化が重なると、赤ちゃんは睡眠中に何度も目覚めてしまいます。また、生活リズムの変更や引越しなどの環境の変化があれば、一層落ち着いて眠れない状況になりがちです。
これらの要因を知っておくと、赤ちゃんのぐずりや夜泣きの背景が見えやすくなり、必要以上に焦らずに対応策を立てることができます。
1. 成長による脳の変化
赤ちゃんの脳は驚くほど急速に発達します。新しい感覚や運動機能を獲得する時期には、睡眠中にも神経が活発に働くため、浅い眠りになりやすいです。
このため、ちょっとした刺激でも起きやすくなり、夜泣きが増えたり寝ぐずりが長引くことがあります。
2. 歯の生え始め
乳歯が生え始める痛みや違和感は、赤ちゃんの睡眠を妨げる原因になることもあります。夜間にむずがって目を覚ますこともまれにあるようです。
風邪や鼻づまりといった体調不良が重なると、さらに眠りが浅くなりがちです。こうした体調面のトラブルはどうしても睡眠に影響を及ぼします。
3. 分離不安
成長とともに「親と離れる不安」が強くなる時期があります。特に就眠時は独りぼっちになる感覚が大きいので、夜泣きや寝ぐずりとして表面化しやすいです。
生活リズムが不規則になると、さらに睡眠が乱れる原因となります。
4. 栄養状態、外部刺激や環境の変化
離乳食が始まり、昼間の授乳回数が減ってしまうと、夜に目覚める回数が増える赤ちゃんもいます。以前のように夜間のミルクを欲しがることで落ち着くパターンはよく見られます。
また、保育園の開始などで母子分離が多くなると、その不安を夜泣きとして表す場合もあるので注意が必要です。
5. 外部刺激や環境の変化
引越しや部屋の模様替えなど、赤ちゃんにとって大きな環境の変化があると、しばらくの間は眠りが落ち着かなくなることがあります。
また、兄弟姉妹の誕生や家族構成に変化があった場合、赤ちゃんの心の安定が揺らぎやすいため睡眠が乱れる要因になり得ます。このような睡眠トラブルは外部に比較的明確な原因があるものですが、睡眠退行の一部に含める考え方もあるようです。
月齢別・睡眠退行が起こりやすい時期と特徴
月齢に応じた睡眠の乱れ方を知ることで、適切なケアや対策を準備できます。
赤ちゃんの成長スピードには個人差がありますが、一般的には同じような時期に似たような睡眠問題が見られることが多いです。各月齢・年齢に合わせた特徴を把握することで、「今まさに何が起きているのか」を理解しやすくなります。
睡眠退行は決してずっと続くわけではなく、落ち着けばまた一定のリズムに戻ります。とはいえ、どの月齢でどんなアプローチが適切かを知ることは、赤ちゃんと家族の負担を軽減するうえで非常に大切です。
ここでは、新生児期から2歳頃までの代表的な睡眠退行時期をまとめて解説します。
生後4~6か月:睡眠サイクルの確立と突然の夜泣き
生後3~4か月頃には、睡眠サイクルが明確化してきます。それに伴って、夜泣きが突然増えることも珍しくありません。
睡眠がしっかり深くなる一方、浅い睡眠も出てくることが原因のひとつです。今まで夜に寝ていた赤ちゃんが急に何度も起きる場合、睡眠退行を疑ってみても良いでしょう。
時間とともに落ち着くケースもありますが、抱っこや授乳などでの寝かしつけの習慣がついている場合、ここから夜泣きが続くことがあります。
生後7~9か月:運動能力の発達による夜間覚醒や寝ぐずり
ハイハイやおすわりといった運動機能が飛躍的に発達し、赤ちゃんの活動範囲が一気に広がる時期です。人見知りが始まり、社会的な成長がみられます。昼間に得られる刺激が増えるぶん、夜に興奮が醒めず寝ぐずりが起こりやすくなります。夜中に機嫌よく覚醒してハイハイなどを練習しだすこともあります。
分離不安が高まるのもこの頃で、ママやパパの存在が見えなくなると不安で泣き出すことも増えます。夜間の覚醒も多くなることがあります。
対策としては、昼間しっかり遊んで疲れさせつつ、就寝前には静かな環境で落ち着いた時間を過ごすなどの工夫が有効です。
1歳~1歳半:歩行開始や分離不安と寝ぐずり、夜間覚醒
この頃には歩行を始める子も増え、言葉を話し始める子も出てきます。
日中に自分で動き回る楽しさを知ると、身体や脳が興奮モードになりやすく、夜の寝つきが悪くなるケースもあります。自立心が育つ一方、まだ親の助けも必要であるため葛藤が睡眠に影響を及ぼすとも言われています。
寝かしつけに時間がかかってしまう場合もあるので、余裕をもったスケジュールを組み、無理のない範囲で生活リズムを保つように心がけましょう。
2歳前後:自己主張と環境変化によるぐずり
いわゆるイヤイヤ期が始まり、自分の意思を強く示すようになります。寝る時間になっても「もっと遊びたい」と主張したり、パジャマに着替えることを断固拒否するなど、就寝抵抗が強く現れる場合があります。
また、保育園への入園や新しい習い事が始まるなど外部環境の変化が重なると、一時的に睡眠が不安定になりがちです。夜泣きが増えることも少なくありません。
しかしこの段階を過ぎると、再び安定したペースに戻っていくことが多いので、あまり焦らず見守る姿勢を持つことが大切です。
睡眠退行の影響と親が気をつけたいポイント
睡眠退行の影響を正しく理解し、赤ちゃんと家族の負担を軽減するための対応策を考えましょう。
睡眠退行は、赤ちゃんの発達段階としてよくある現象です。しかし、それに伴う夜泣きや昼間の機嫌の悪化などで、親のストレスや寝不足が深刻化しやすいという面もあります。
睡眠退行が与える影響を理解しておくことで、必要以上に不安を感じずに適切なケアと自己管理ができるようになるでしょう。同時に、「睡眠退行が起こるのではないか」のように未来のことを心配しすぎないことが大切です。そのような不安から、実際に子どもの睡眠が乱れることも多いです。
特に長引く夜泣きに対しては、親自身の睡眠やメンタルケアも大切です。周囲のサポートを受けながら乗り切ることが大きなポイントになります。
赤ちゃんの発達へのプラス面と注意点
睡眠退行は、裏を返せば赤ちゃんの身体や脳が一気に成長している証拠でもあります。短時間で多くの刺激を吸収し、高度なスキルを身につけている過程だと考えれば、不安もやわらぐでしょう。
ただし、過剰な刺激にさらされて負担が大きくなると、かえって赤ちゃんが寝つきにくくなる可能性があります。昼間の活動量と休息のバランスをとることが重要です。
また、親が睡眠退行を「大変なこと」とネガティブにとらえすぎると、赤ちゃんにも不安が伝わります。適度にリラックスして向き合うことがプラスに働きます。
睡眠退行になったとしても、赤ちゃんが「成長してるんだね」、「よく頑張ってるね」と我が子を愛してあげましょう。
親の疲労・ストレスを軽減する工夫
赤ちゃんの夜泣きが続くと、どうしても親の睡眠不足は避けられません。昼間に短時間でも交代で仮眠をとる、家事の負担を減らすなど、周囲の協力を積極的に活用しましょう。
赤ちゃんの昼寝のタイミングで親も一緒に寝ることもおすすめです。
気分が落ち込みやすいときには、専門家に相談するのも一つの方法です。地域の保健センターや育児サークルなど、悩みを共有できる場所をうまく利用すると気が楽になります。
赤ちゃんの睡眠退行はほとんどの場合、一時的なものです。だからこそ、長い目で見守ることを意識して、自分自身のケアにも時間を割くように心がけましょう。
睡眠退行への対処法:生活リズムと入眠儀式の整え方
睡眠退行を乗り越えるために、昼夜の生活リズムや就寝前のルーティンを調整してみましょう。
赤ちゃんが睡眠退行を起こしている時期こそ、生活リズムの見直しや寝かしつけの方法の工夫が効果を発揮します。日中の活動量を適度に増やすだけでも、夜の眠りが深まりやすくなる場合があります。
また、就寝前に激しい遊びを避けるなど、赤ちゃんがリラックスできるような時間を作ることも大切です。入浴や絵本の読み聞かせなどで落ち着いた雰囲気を演出し、毎日のルーティンとして定着させるとよいでしょう。
赤ちゃんが落ち着くルーティンを見つけて続けると、睡眠退行の程度が緩和されやすくなります。
昼間によく遊ぶ・十分に身体を動かす
日中に散歩や外遊びなどで太陽の光を浴び、身体をよく動かすと、夜の寝つきが良くなります。外の世界で得られる刺激が脳と身体を程よく疲れさせ、自然な眠気を促します。
特にハイハイを始めたばかりの赤ちゃんや歩き始めの子供は、遊ぶ時間が増えるほど夜の睡眠も安定しやすいです。
就寝前のルーティンと睡眠環境を見直す
毎日同じ時間に決まった流れで寝かしつけを行うことで、赤ちゃんに「そろそろ寝る時間」というサインを伝えやすくなります。入浴後に絵本を読む、部屋を暗くして静かにするなど、一連の流れを習慣づけましょう。
寝室の温度や照明、寝具なども見直してみると、赤ちゃんがよりリラックスできる空間を作れます。香りや音にも配慮してみると良いでしょう。
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分離不安が強い場合の接し方と声かけ
赤ちゃんがどうしても親のそばにいたがる場合は、安心感を与えることが第一です。寝る前にスキンシップを多めにとる、優しく声をかけるなど、少しの気遣いで大きな効果が期待できます。
一般的には、夜泣きしたときに自分で落ち着くことができるようサポートすることが改善への近道です。ただし子どもの不安が強い時には、一時的に親が介入を増やすことが必要な場合もあります。
よくあるQ&A:病気との見分け方や夜泣きが強いときの対応
睡眠退行と病気の違いや、夜泣きが激しいときの応急処置的対策を確認します。
睡眠退行と体調不良は似たような夜泣きや寝ぐずりの症状がみられるため、親としては区別がつきにくいこともあります。実際に熱や咳などの症状がなければ睡眠退行の可能性が高いですが、不安な場合は医師に相談してください。
また、赤ちゃんが激しく泣き続けるときは、まずは安全な場所で抱きしめ、環境を落ち着かせてあげることが大切です。泣き方に明らかな痛みや苦しさを訴える様子がある場合は、早めに医療機関を受診しましょう。
他の赤ちゃんの状況と比べすぎると不安が増すだけなので、わが子の様子に合わせた対策を心がけてください。睡眠退行の時期はあくまで一時的なものという視点を持って乗り切りましょう。
時間が長引く場合は小児科に相談を
赤ちゃんの体調不良が疑われる場合や、明らかな睡眠不足から日中でも元気がないといった兆候が見える場合は小児科で相談してみましょう。
医師による専門的なアドバイスを受けることで、安心して育児を進められるヒントが得られることも多いです。
夜泣き対策:周りとの比較ではなく赤ちゃん自身に合わせて
赤ちゃんが夜泣きしやすいかどうかは個人差が大きいものです。月齢や性格、生活環境も絡んでくるため、一概に「他の子は大丈夫だからうちも大丈夫」と考えない方が良いでしょう。
それぞれの赤ちゃんがリラックスできるパターンは異なるので、抱っこや添い寝、音楽や寝かしつけアイテムなど幅広い手段を試してみるも良いでしょう。
まとめ・総括:睡眠退行は赤ちゃんの成長の証。焦らず向き合おう
睡眠退行は赤ちゃんが大きく成長するために通る道。長い目で見守りながら対応していきましょう。
睡眠退行は、赤ちゃんが心身ともに大きく成長しているサインでもあります。夜泣きや寝ぐずりは一時的なものがほとんどで、環境や対応を見直すことで徐々に落ち着いていくでしょう。
大切なのは、赤ちゃんが成長している証拠と捉え、親が無理をせず、周囲のサポートを受けながら赤ちゃんの欲求や不安に応えてあげることです。いつか必ずこの時期を乗り越えられると理解して、気長に対処してください。
睡眠退行が治まった後は、また一段と成長した赤ちゃんの姿を感じられるはずです。大変な時期ながら、愛情深くサポートすれば、その後の育児にポジティブな効果をもたらすことも多いでしょう。