目次
監修者
松本 恭
「健康の秘訣はぐっすり眠ること」がモットーで、これまでウォーターベッド、ウッドスプリングベッド、西式健康枕、ハンモックなどさまざまな寝具の寝心地を追求してきた睡眠マニア。偶然出会ったコアラマットレス®︎の快適さに感銘を受け、メンバーとして参加。上級睡眠健康指導士としての知識を通して、より多くの人に快眠を届けたいと願っている。
「夏になると毎年のようにお腹を下してしまう」
「冷たいものの飲みすぎか、それとも食あたりなのか判断がつかない」
「市販の下痢止めを飲んでいいのか迷っている」
夏に下痢をしてしまう方は、まず水分を十分摂ること、そして血便や激しい腹痛などの症状がないか確認することが大切です。下痢をしている原因によって、自宅で様子を見てよい場合と、すぐ受診が必要な場合が分かれます。
この記事では、夏の下痢の原因と症状に応じた対処法を解説します。下痢止めを避けるべき症状や、医療機関へ相談する目安もすべて網羅しているので、ぜひ最後までご覧ください。
夏に下痢が起こりやすい原因
厚生労働省の「抗微生物薬適正使用の手引き 第四版」では、急性下痢症の90%以上は感染性で、その大部分はウイルス性とされています。※1
薬の副作用や基礎疾患など感染以外の原因もあるため、自己判断しないことが大切です。夏の下痢に関する主な原因を、以下の2つに分けて見ていきましょう。
- 冷たいものの取りすぎやおなかの冷え
- 細菌性の食中毒などの感染症
1. 冷たいものの取りすぎやおなかの冷え
冷たい飲み物や食べ物を一度に大量にとると、人によっては腸が刺激され、下痢につながることがあります。※2
ただし、冷たいものだけを原因と決めつけないほうがよいでしょう。直前の食事量や飲酒、普段と違う食品を食べていなかったかも振り返ってみてください。
冷房で体が冷えることも、体調の変化につながります。ただし、暑い時期に冷房を切るのは熱中症の危険があるため、設定温度を上げるなどの方法で対処しましょう。
2. 細菌性の食中毒などの感染症
夏は気温と湿度が高く、食品中で細菌が増えやすいため、細菌性食中毒に注意が必要です。食中毒や感染性胃腸炎では、下痢に加えて次の症状が現れやすい点を覚えておきましょう。
- 腹痛
- 発熱
- 吐き気・嘔吐
- 血便
- 強い倦怠感
農林水産省が厚生労働省の食中毒統計資料をもとに集計したデータでは、令和3〜7年の細菌性食中毒の月平均発生件数は、7月が33.2件でした。※3
原因となる食品を食べてから発症するまでの時間は、病原体によって異なります。直前の食事だけでなく、数日前までさかのぼって確認してください。
夏の下痢の対処法
症状が軽く、自力で水分をとれる場合は、水分補給と休養が基本です。※2
それを踏まえたうえで、以下3つの対処法を試してみてください。
- 水分をこまめに補給する
- 安静にして食べられるものから摂る
- 下痢止めは症状を確認してから使う
ただし、血便や激しい腹痛などがある場合は自宅だけで対処せず、医療機関へ相談してください。
1. 水分をこまめに補給する
下痢が続くと体から水分が失われるので、少量ずつこまめに補給しましょう。一度に大量に飲むと吐き気を催すことがあるため、少しずつ飲み続けるのがポイントです。
脱水症状が疑われる場合は、水よりも経口補水液を表示に従って利用しましょう。経口補水液は成分が体内の水分に近いため、体にとどまりやすいです。※4
ただし、次のようなケースでは、無理に飲まないで救急要請や早急な受診を優先しましょう。
- 嘔吐を繰り返して飲めない
- 受け答えがおかしい、意識がはっきりしない
2. 安静にして食べられるものから摂る
食欲がある場合は、無理のない量から食事を再開してください。おかゆやうどんなど、脂肪分や刺激が少なく、食べやすいものを選びましょう。※2
ただし、食欲がないときは、無理に食べる必要はありません。まず水分補給を優先し、体調が落ち着いてから少しずつ食事を摂取してください。
食事や水分を受け付けない状態が続く場合は、点滴などの処置が必要になる可能性があります。自宅で我慢せず、医療機関を受診しましょう。
3. 下痢止めは症状を確認してから使う
下痢止めは、すべての下痢に使えるわけではありません。とくに次の症状がある場合は、腸の動きを抑えるタイプの薬を自己判断で使わないでください。
- 血便
- 高熱
- 強い腹痛
- 繰り返す嘔吐
- 食中毒が疑われる状況
腸管出血性大腸菌による感染症では、腸の動きを抑える薬が毒素の排出を妨げる場合があります。※5
また、感染性胃腸炎でも、下痢止めによって回復が遅れる可能性があるため注意が必要です。※6
症状が軽い場合でも、薬の使用条件や対象年齢を確認しましょう。判断に迷うときは、購入前に医師や薬剤師へ相談してください。
夏の下痢で注意したい食中毒と脱水の症状
夏の下痢では、食中毒を疑う症状と、脱水や熱中症の症状の両方に注意します。「下痢」の症状のみでは、原因を断定はできません。あくまで、受診の必要性を判断する手がかりとして、次の2つの内容を確認してください。
- 腹痛・発熱・血便は食中毒に注意する
- めまいや強い倦怠感は脱水・熱中症に注意する
1. 腹痛・発熱・血便は食中毒に注意する
下痢に激しい腹痛・発熱・嘔吐・血便などが加わった場合は、食中毒や感染性胃腸炎の可能性があります。注意したいのは、食べてから発症するまでの時間です。たとえばカンピロバクターは、原因となる食品を食べてから症状が現れるまで1〜7日ほどかかることがあります。※7
直前の食事だけで判断せず、数日前までさかのぼり、次の点を確認してください。
- 生または加熱不十分な肉を食べた
- 生ものや作り置きの食品を食べた
- 同じ食品を食べた人にも症状が出ている
- 海外旅行や井戸水の利用など、普段と異なる状況があった
同じ食品を食べた複数人に似た症状が出ているケースは、食中毒を疑う重要な手がかりです。医療機関を受診する際は、食べたものや発症した時刻を伝えましょう。
2. めまいや強い倦怠感は脱水・熱中症に注意する
下痢が続くと体内の水分が失われ、脱水を起こすことがあります。とくに注意したい症状は、以下の6つです。
- 尿の回数や量が減る
- 口の中が強く乾く
- 立ちくらみやめまいがある
- 強い倦怠感を感じる
- 水分を飲んでも吐いてしまう
- 意識がもうろうとする
暑い場所で過ごしたあとに頭痛・吐き気・大量の発汗などが加わった場合は、熱中症の可能性もあります。涼しい場所へ移動し、衣服をゆるめて体を冷やしてください。※4
意識がはっきりしていて自力で飲める場合は、経口補水液などで水分を補います。自力で飲めない、意識がおかしいといった場合は、すぐに救急車を呼びましょう。
夏の下痢で医療機関を受診する目安
下痢の緊急度は、回数だけでは原因を判断できません。症状の度合いによって対応が変わりますので、目安を整理してみました。
| 状態 | 対応の目安 |
| ・意識がおかしい ・けいれんがある ・自力で水を飲めない |
すぐに119番 |
| ・突然または持続する激しい腹痛 ・血便 ・黒い便 |
119番または救急相談 |
| ・嘔吐が続いて水分を保てない ・尿が極端に少ない |
早急に受診 |
| 発熱や腹痛が続く、症状が悪化している | その日のうちに受診 |
| 症状が軽く、水分をとれて改善傾向にある | 水分補給と休養で経過を見る |
特に注意したい以下2つのケースを詳しく解説します。
- 意識がおかしい・水分をとれない場合は救急車を呼ぶ
- 血便・発熱・激しい腹痛がある場合は早めに受診する
1. 意識がおかしい・水分をとれない場合は救急車を呼ぶ
総務省消防庁は、次のような症状を「すぐに119番」を検討する目安として挙げています。※8
- 呼びかけへの反応がおかしい
- 意識がもうろうとしている
- 全身のけいれんがある
- 自力で水分をとれない
意識障害の疑いがある場合は、無理に水分や薬を飲まないでください。熱中症が疑われる状況なら、救急車を待つあいだに涼しい屋内などへ移動し、首の周り・脇の下・足の付け根を重点的に冷やします。
救急車を呼ぶべきか判断しづらいときは、利用できる地域であれば救急相談窓口「#7119」へ相談しましょう。
2. 血便・発熱・激しい腹痛がある場合は早めに受診する
次のような場合は、意識がはっきりしていても、その日のうちに医療機関へ相談してください。
- 嘔吐を繰り返す
- 発熱や腹痛が続いている
- 尿の量が明らかに減っている
- 下痢が改善せず、悪化している
- 同じ食品を食べた人にも症状がある
- 最近、抗菌薬を服用した
- 海外旅行後に下痢が続いている
受診先は、内科または消化器内科が目安です。乳幼児・高齢者・妊娠中の方・基礎疾患のある方は脱水症状や重症化のリスクが高いため、早めに相談しましょう。
子どもの症状について判断に迷う場合は、子ども医療電話相談「#8000」も利用できます。
夏の下痢を繰り返さないための対策
夏の下痢を防ぐには、食事の量や冷房の使い方を調整するとともに、食品の保存と加熱を適切に行うことが大切です。そのための対策について解説します。
- 冷たいものを一度にとりすぎない
- 冷房の風を体に直接当てない
- 食品を適切に保存・加熱する
1. 冷たいものを一度にとりすぎない
冷たい飲み物や食べ物のあとに下痢をしやすい方は、一度に摂る量を減らしてみましょう。冷たいものをすべて避ける必要はありません。飲む速さや量を調整し、食べすぎ・飲みすぎ・過度な飲酒も控えてください。
ただし、暑い時期に水分そのものを制限するのは危険です。冷たさや量を調整しながら、適切に水を飲みましょう。
2. 冷房の風を体に直接当てない
冷房による冷えが気になる方も、暑い日にエアコンを止めるのは避けましょう。下痢によって脱水している状態では、熱中症のリスクも高まります。
冷えを感じる場合は、以下の方法で調整してください。
- 風向きを変え、冷気が体へ直接当たらないようにする
- 薄手の寝具を掛けて、お腹まわりを保護する
- 設定温度を調整し、扇風機で空気を循環させる
冷えによる不快感は、適切に室内環境を整えることで対応可能です。
3. 食品を適切に保存・加熱する
細菌性食中毒を防ぐ基本は、菌を「つけない・増やさない・やっつける」の3原則です。※9
家庭でできる具体的な対策は、次の通りです。
- 生鮮食品や総菜は、購入後できるだけ早く冷蔵する
- 肉や魚は中心部まで十分に加熱する
- 調理済みの食品を室温に長く置かない
- 残った食品は早めに冷やし、適切に保存する
- 調理前後の手洗いと、調理器具の使い分けを徹底する
見た目や臭いに異常がなくても、食中毒菌が増えている場合があります。保存状態に不安がある食品は、無理に食べないでください。
夏の下痢は症状に応じて対処しよう
夏に下痢をしたときは、原因を決めつけるよりも、脱水や重い症状がないかを確認することが先決です。対応の優先順位を把握しておくといざという時慌てません。
- 意識がおかしい、けいれんや激しい腹痛がある場合は119番へ連絡する
- 血便・発熱・繰り返す嘔吐がある場合は早めに受診する
- 症状が軽く水分をとれる場合は、少量ずつ補給して休む
- 下痢止めは症状を確認し、迷ったら医師や薬剤師へ相談する
夏の下痢は、食中毒や感染性胃腸炎のほか、食べすぎ・飲みすぎ、薬の副作用などでも起こります。「お腹が冷えただけ」と軽く見ず、症状の重さや経過を確認しましょう。
予防として冷たいものを一度にとりすぎないのに加えて、期限切れのものや常温で放置した生ものなどは無理に食べないようにしましょう。
症状が改善しない場合や判断に迷うときは、自己判断で様子を見続けず、内科または消化器内科へ相談してください。
また、下痢の症状があるときは、無理をせず横になり、休養を取ることも大事です。症状が落ち着いたあとも夏の暑さで十分に休めない場合は、寝室環境や寝具の通気性も確認してみてください。
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・参考
※1 厚生労働省「抗微生物薬適正使用の手引き 第四版 医科・外来編」
※2 社会福祉法人恩賜財団済生会「下痢」
※3 農林水産省「食中毒は年間を通して発生しています」
※4 厚生労働省「熱中症予防のために」
※5 厚生労働省「腸管出血性大腸菌Q&A」
※6 厚生労働省「ノロウイルスに関するQ&A」
※7 農林水産省「カンピロバクター」
※8 総務省消防庁「救急車利用リーフレット」
※9 厚生労働省「家庭での食中毒予防」











