寝具コラム by 松本 恭2026年8月27日読了目安時間: 5

夏に使うパジャマの生地は何がいい?素材の特徴と選ぶポイントを解説

松本 恭
コピーライター / 上級睡眠健康指導士

「健康の秘訣はぐっすり眠ること」がモットーで、これまでウォーターベッド、ウッドスプリングベッド、西式健康枕、ハンモックなどさまざまな寝具の寝心地を追求してきた睡眠マニア。偶然出会ったコアラマットレス®︎の快適さに感銘を受け、メンバーとして参加。上級睡眠健康指導士としての知識を通して、より多くの人に快眠を届けたいと願っている。

「夏になると寝汗で目が覚めて、朝までぐっすり眠れない」
「綿・麻・シルク、サッカーに楊柳…生地の名前が多すぎて選べない」
「涼しいと書いてあるパジャマを買ったのに、蒸れて眠りにくかった」

夏のパジャマは、素材や織り方によって着心地が大きく変わりますので、自分がどの性能を優先するかを先に決めるほうが選びやすいです。基本的には、通気性・吸湿性・肌ざわりの3軸で考えましょう。

この記事では、夏パジャマに使われる主な生地の特徴と、涼しさを高める織り・加工、選ぶ3つのポイントを解説します。

この夏を快適に過ごせるパジャマを知りたい方は、ぜひ最後までご覧ください。

夏パジャマに使われる主な生地・素材

夏のパジャマ選びで土台になるのは、汗を吸って外へ逃がせるかどうかです。天然素材か化学繊維かという判断よりも、吸湿性の観点で見るほうが適したものを選べます。

代表的な生地・素材は次の5つです。

  1. 綿(コットン・ガーゼ)
  2. 麻(リネン)
  3. シルク(絹)
  4. リヨセル(テンセルなど)
  5. ポリエステルなどの化学繊維

1. 綿(コットン・ガーゼ)

綿は、吸湿性とやわらかな肌ざわりを備えた植物繊維で、パジャマにも広く使われている素材です。※1

空気中の湿気を取り込む性質は「公定水分率」という数値から確認できます。ポリエステルの公定水分率が0.4%なのに対して綿は8.5%とされており、両者の吸湿性の差が大きいことが分かります。※2

また、ガーゼ生地の着心地を左右するのが、織り密度と重ねる枚数です。枚数が多いものは厚みが増してふんわりとした肌ざわりになり、少ないものは軽く通気性のよい着心地に仕上がります。

一方、綿はポリエステルなどに比べて乾くまでに時間がかかりやすいので、寝汗を多くかく方には、薄手のガーゼや吸水速乾性のある素材との混紡生地も選択肢に入るでしょう。

2. 麻(リネン)

麻(リネン)は吸湿・発散性が高く、シャリ感のある肌ざわりが特徴の植物繊維です。吸湿性を表す公定水分率は12.0%で、綿の8.5%より高くなっています。※2

麻のシャリ感のある表面は、肌に触れる面積が少なく、汗ばむ夜でも張り付きにくいのが利点です。熱がこもりにくく、清涼感を求める方に向いています。

また、麻は水に濡れると強くなる性質があり、繰り返しの洗濯にも耐えます。ただし、シワになりやすい点は好み分かれるところです。

3. シルク(絹)

シルク(絹)はなめらかで摩擦が少なく、吸湿・放湿性のある動物繊維です。吸湿性を表す公定水分率は12.0%と定められており、麻と同じ水準です。※2

肌ざわりのなめらかさを重視する方にとって、シルクは有力な選択肢ですが、お手入れに気を遣う必要があるほか、価格がほかの素材よりも高めなのがデメリットです。

注意点として、シルクの衣類に肌トラブルを改善する効果を期待するのは避けましょう。小児のアトピー性皮膚炎を対象にした大規模な研究では、特殊なシルク製衣類を標準治療に追加しても、症状の改善に明確な差は認められていません。※3

4. リヨセル(テンセルなど)

リヨセルとは、木材パルプなどのセルロースを原料とする再生繊維で、なめらかな肌ざわりとゆるやかなたるみが特徴です。吸湿性や乾きやすさ、耐久性は生地の組成や織り方によって変わります。

リヨセルには綿と混紡されている製品も多くあります。品質表示で混用率を確認すると、着心地の予想がつきやすいでしょう。

5. ポリエステルなどの化学繊維

ポリエステルなどの化学繊維は、強度が高く、シワや型崩れを起こしにくいのが魅力です。※4

手ごろな価格帯の製品が多い一方で、吸湿性を示す公定水分率は0.4%と低く、汗を吸わずに蒸れることもあります。吸湿性を重視する方は、吸水速乾の加工が施されたものや、綿との混紡、通気性のよい織りを選ぶと、夏でも使いやすいでしょう。

生地の涼しさを高める織り方・加工

同じ素材でも、織り方や加工で涼しさは変わります。夏物パジャマでよく見かける織り方や加工を一覧にしました。

名称 分類 特徴
サッカー・シアサッカー 織り 表面に部分的な凹凸(しぼ)があり、肌に張り付きにくい
楊柳 織り・加工 主に縦方向の細かいしぼ。さらりとした肌当たり
リップル 加工 薬剤などによる縮みを利用した凹凸加工
しじら 織り 織り方で凹凸を出した生地。通気性が高い
接触冷感 加工・繊維の性質 触れた瞬間にひんやり感じる
吸水速乾 加工・繊維の性質 液体の汗を吸い上げて乾きやすい
吸放湿 繊維の性質 空気中の湿気を吸ったり放したりする

代表的なものを、以下の順に見ていきましょう。

  1. サッカー・シアサッカー
  2. 楊柳・リップル・しじら
  3. 接触冷感・吸水速乾の加工

1. サッカー・シアサッカー

サッカー・シアサッカーは、表面に部分的な凹凸(しぼ)をつくった織物です。肌に触れる面積が少ないため、汗をかいたときの張り付きを抑えやすいうえに、生地と肌のあいだに空気の層があるため風が通りやすいです。

アイロンをかけなくても風合いが保てるため、洗濯後の手間が少ない点も夏向きといえるでしょう。

2. 楊柳・リップル・しじら

楊柳・リップル・しじらは、いずれも表面に凹凸を出した生地ですが、作り方が異なります。

  • 楊柳:主に縦方向の細かいしぼが入った生地
  • リップル:薬剤などによる縮みを利用した凹凸加工
  • しじら:織り方によって凹凸を出した生地

共通するのは、凹凸によって肌との接触面積が減り、べたつきを感じにくい点です。汗をかいても生地が肌に張り付きにくく、寝返りのたびの不快感が軽くなります。

肌に張り付く感覚が苦手な方は、この系統から試すと選びやすいでしょう。

3. 接触冷感・吸水速乾の加工

接触冷感・吸水速乾性は繊維の性質や生地構造、加工などによって生まれます。ただし「接触冷感」という表示があっても、冷たさが一晩中続くとは限りません。肌と生地の温度差がなくなれば、ひんやり感は薄れます。

購入時は表示だけでなく、組成表示と洗濯表示、可能なら実際の肌ざわりを確認してください。繊維製品には組成や取扱い方法の表示が義務づけられているため、品質表示タグが判断材料になります。※5

夏のパジャマ生地を選ぶ3つのポイント

素材と加工を押さえたら、どの軸を優先するかを決めます。素材名にとらわれず、次の3つの軸で自分に合うものを選びましょう。

  1. 吸湿性・放湿性の高さで選ぶ
  2. 通気性と熱のこもりにくさで選ぶ
  3. 肌ざわりと生地の厚みで選ぶ

1. 吸湿性・放湿性の高さで選ぶ

汗をよく吸い、吸った湿気を外へ逃がす生地ほど、肌に張り付きにくくなります。

以下の4項目に当てはまる方は、吸湿性・放湿性を第一に考えましょう。

  • 布団の中が蒸れる
  • 汗による不快感を抑えたい
  • 寝汗が多く出る
  • エアコンをあまり使わない

吸湿性・放湿性を重視する際は、麻や綿のガーゼ、吸水速乾の加工が施された生地が候補になります。

2. 通気性と熱のこもりにくさで選ぶ

生地の織りの粗さや表面の凹凸によって、内側にこもる熱と湿気の抜けやすさが変わります。とくに、部屋の暑さや蒸れが気になる方は通気性を重視しましょう。サッカーや楊柳、しじらのような凹凸のある生地は、空気の通り道ができて熱がこもりにくいです。

ただしエアコンを使う部屋では、涼しさよりも寝冷え対策が必要になることもあるため、寝室の環境と合わせて判断してください。

3. 肌ざわりと生地の厚みで選ぶ

パジャマは肌に直接触れるため、縫い目やごわつきが気にならないことも大切です。

厚みは、寝室の温度や冷房の使い方に合わせましょう。薄すぎると透けやすく、厚すぎると熱がこもるため、夏は薄手から中厚手で肌当たりのよいものを選ぶとちょうどよくなります。

タグの位置や縫い目の処理など、細かい仕様も睡眠の質に影響します。可能なら、実物に触れて確かめてから選んでください。

夏に避けたいパジャマの特徴

夏のパジャマは「スウェットだから暑い」「ジャージだから蒸れる」と名称だけでは判断できません。同じスウェットやジャージでも、薄手の綿混生地や吸水速乾性のある製品なら、夏に使える場合があります。

夏に避けたいのは、次のような特徴を持つパジャマです。

  • 裏起毛など、厚い空気の層を作る加工が施されている
  • 生地が厚く、密度が高いため風を通しにくい
  • 汗を吸いにくく、速乾性も備わっていない
  • 体を締めつけ、寝返りや手足の動きを妨げる

綿100%でも厚手で目の詰まった生地は、熱がこもる可能性があります。名称や素材だけで決めず、生地の厚み・構造・加工の3軸で判断しましょう。

夏のパジャマ生地に関するよくある質問

生地選びとあわせて、よく聞かれる疑問にお答えします。

Q1. 夏のパジャマは何度から着用する?

夏用へ替える気温に、一律の基準はありません。就寝時の室温や冷房の使い方、暑さの感じ方によって適切なタイミングが異なるためです。

現在のパジャマで汗ばむ、布団の中に熱がこもると感じたら、薄手のものへ替えましょう。エアコンを使用する場合は、外気温だけで判断せず、実際の室温や明け方の冷えも考慮してください。

Q2. 夏のパジャマは何日で洗う?

汗で湿ったときや、におい・べたつきが気になるときは、その都度洗いましょう。汗の量が少ない場合も、着用時間や汚れの状態に応じて洗濯します。

夏は洗濯回数が増えやすいため、洗い替えを2〜3枚用意しておくと便利です。素材が異なる洗い替えを準備する場合は、それぞれの適切な洗い方を守りましょう。とくにシルクなどのデリケートな生地は、洗う前に必ず洗濯表示を確認してください。

Q3. リカバリーウェアは夏のパジャマに向いている?

夏向きかどうかは「リカバリーウェア」という名称だけでは判断できません。一般医療機器として届け出られた製品であっても、通気性や速乾性、涼しさが保証されているわけではないためです。

一般医療機器であっても、疾病の治療や体質改善など、認められた範囲を超える効果は表示できません。 厚生労働省の資料では、特定の疾病の治療や体質改善、冷え性・むくみの改善、代謝促進などの表示は認められないとしています。※6

夏用として選ぶときは機能性の名称だけでなく、生地の厚み・通気性・速乾性・肌ざわりを通常のパジャマと同じ基準で比較しましょう。

夏のパジャマ生地は睡眠の質で選ぼう

夏のパジャマは素材名だけでなく、寝ている間に感じる不快感に合わせて選ぶことが大切です。

  • 寝汗やべたつきが気になる:吸湿性・放湿性・速乾性
  • 暑さや蒸れが気になる:通気性と生地の凹凸
  • 肌への刺激が気になる:肌ざわりと縫製
  • 明け方の冷えが気になる:生地の厚み

また、各素材ごとに絶対的な優劣はありません。同じ素材でも、織り方や加工、生地の厚みによって着心地は変わります。

まずは現在使っているパジャマの組成表示を確認し、どの機能が不足しているか考えてみましょう

パジャマを替えても蒸れや寝返りのしにくさが残る場合は、マットレスなどの敷き寝具も見直してみましょう。硬さや沈み込み方は実際に眠らないと判断しにくいため、試用制度のある商品なら自宅で相性を確かめられます。

コアラマットレス公式サイトでは、マットレスなどの対象商品に120日間のトライアル制度を設けています。暑苦しい夏の夜を快適に過ごしたい方は、ぜひ対象商品をチェックしてみてください。

・参考

※1 一般財団法人カケンテストセンター「綿
※2 消費者庁「
繊維製品品質表示規程」(別表に繊維ごとの公定水分率を規定)
※3 Thomas KS, et al.「
Randomised controlled trial of silk therapeutic garments for the management of atopic eczema in children: the CLOTHES trial
※4 一般財団法人日本繊維製品品質技術センター(QTEC)「
繊維の知識|合成繊維
※5 消費者庁「
繊維製品の表示について
※6 厚生労働省「
一般医療機器『家庭用遠赤外線血行促進用衣』の取扱いに係るQ&A