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監修者

森田 麻里子
医師・小児スリープコンサルタント・睡眠専門家
2012年東京大学医学部医学科卒。
亀田総合病院にて初期研修後、2014年仙台厚生病院、2016
「しっかり寝たはずなのに疲れが取れない」「夜中に何度も目が覚める」「朝早く目が覚めてしまう」――。こんな悩みを抱えていませんか? これらは多くの場合、“睡眠が浅い”状態で起こる典型的なサインです。
7時間以上寝ているのに眠れない、日中に眠い、集中力が続かないといった不調は、睡眠の質が低下している可能性を示しています。睡眠が浅くなる原因は一つではなく、生活習慣・ストレス・体内時計の乱れ・環境・身体的な要因などが複雑に関係します。
この記事では、
・自分の状態を整理するセルフチェック
・眠りが浅くなる主な原因
・今夜からできる具体的な対策
・改善しないときの受診目安
までをわかりやすく解説します。
読み終えたら、あなたに合った改善策として実行したくなるはずです。
睡眠が浅いとは?まず確認したい症状とチェック
「睡眠が浅い」と一口に言っても、人によって感じ方はさまざまです。実際には睡眠時間が足りていても、休んだ実感が得られないケースが多くあります。
「ここ1か月間、睡眠で休養が十分にとれていない」と感じている人は20.4%もいます。決して少ないわけではなく、眠りの質に悩むことは特別なことではないのです。※1
あなたの状態はどのタイプに当てはまるのでしょうか。
眠りが浅いサイン(途中覚醒・早朝覚醒・熟睡感)
次のような症状が続いている場合、睡眠が浅くなっている可能性があります。
夜中に何度も目が覚める「途中覚醒」は、最も多いパターンです。目が覚めてもすぐに眠れる場合もありますが、再び寝つくまで時間がかかると翌日に疲れが残りやすくなります。
予定より早く目が覚めてしまう「早朝覚醒」も代表的なサインです。起きた後二度寝ができず、そのまま眠気を抱えて一日を過ごす人も多く見られます。
「十分寝たはずなのに熟睡感がない」「朝起きても体がだるい」と感じる場合も、眠りの質が低下している状態です。日中の眠気や集中力の低下、イライラしやすくなるといった影響が出ることもあります。
こうした症状が週に3日以上、数週間続いて日中にだるさや集中力の低下などが起こる場合は、原因をしっかり見直すことが大切です。
レム睡眠・ノンレム睡眠の超基本と「浅い」と感じる理由
人の睡眠は、大きく「レム睡眠」と「ノンレム睡眠」を繰り返すことで成り立っています。ノンレム睡眠は主に体を休める眠り、レム睡眠は夢を見やすい眠りです。
通常は約90分のサイクルでこれらが交互に現れますが、ストレスや生活習慣の乱れ、環境の影響によって中途覚醒が増えると、特に深いノンレム睡眠が十分に取れなくなります。
その結果、実際の睡眠時間は足りていても「浅い」「眠れていない」と感じやすくなるのです。
関連記事:【医師監修】レム睡眠とノンレム睡眠とは?質の良い眠りのために知っておきたい基礎知識
睡眠が浅くなる原因5つ
眠りが浅い原因は人それぞれですが、大きく次の5つに分けると理解しやすいです。
1. ストレス・自律神経の乱れ
仕事や人間関係の悩み、不安などのストレスが続くと、自律神経のバランスが崩れやすくなります。本来、夜はリラックスをつかさどる副交感神経が優位になるはずですが、緊張状態が続くと交感神経が高ぶったままになり、寝つきが悪くなったり眠りが浅くなったりします。
ベッドに入っても考え事が止まらない、頭が冴えてしまうという人は、このタイプが多い傾向にあります。
2. 生活リズム・体内時計の乱れ
毎日の就寝・起床時間がバラバラだったり、休日に大きく寝だめをしたりすると、体内時計が乱れてしまいます。
体内時計が乱れると、眠くなるタイミングもずれやすくなり、結果として眠りが浅くなる原因になるようです。夜更かしが習慣化している人や、シフト勤務の人にもよく見られる要因です。
3. 就寝前の習慣(スマホ・カフェイン・飲酒など)
寝る直前までスマホを見ている、夕方以降にコーヒーを飲む、寝酒の習慣がある―こうした行動はすべて、睡眠の質を下げる代表的な原因です。
特にブルーライトや強い情報刺激は脳を覚醒させやすく、アルコールは一時的に眠くなっても、睡眠の後半を浅くしてしまいます。
4. 身体の不調・薬・睡眠障害の可能性
頻尿、鼻づまり、痛み、かゆみなどの体の不調があると、夜中に何度も目が覚めやすくなります。 また、いびきや無呼吸、強い日中の眠気がある場合は、睡眠時無呼吸症候群などの睡眠障害が隠れている可能性も捨てきれません。
このタイプは、セルフケアだけでの改善が難しいことがあります。
関連記事:【医師監修】睡眠時無呼吸症候群(SAS)のセルフチェック方法
5. 年代・ホルモン変化(更年期・加齢など)
加齢とともに深い睡眠は減りやすくなります。
女性の場合、更年期にホルモンバランスが変化すると、ほてりや寝汗によって眠りが浅くなることもあります。
「年齢だから仕方ない」と思いがちですが、生活習慣や環境の工夫で改善できる部分も多くあります。
関連記事:【医師監修】更年期で眠れない女性へ|不眠症状の原因と今夜からできる5つの改善法
睡眠の質を上げる習慣5つ
ここからは、原因がはっきりしない場合でも効果を実感しやすい基本対策を紹介します。
1. 起床時刻を固定し、朝の光を浴びる
体内時計を整える最も強力な方法は「毎日同じ時間に起きること」です。起きたらカーテンを開け、できるだけ早く朝の光を浴びましょう。休日も大きくリズムを崩さないことがポイントです。
2. 日中の活動量を上げ、運動は就寝に近づけすぎない
軽いウォーキングや筋トレは、睡眠の質を高めます。ただし就寝直前の激しい運動は逆効果になりやすいため、夕方までに済ませるのがおすすめです。
3. 入浴は「寝る直前」より90分前に
入浴で体温を一度上げ、その後ゆっくり下がる過程で自然な眠気が訪れます。就寝の直前ではなく、就寝90分前に入ると入眠しやすくなります。入浴する時間がない方は、足湯だけでも試してみてください。
4. 就寝前の光・スマホ対策を決め打ちする
寝る前1時間からはスマホやパソコンをなるべく控えましょう。画面を見ることでブルーライト浴びると、睡眠ホルモンであるメラトニンの分泌量が下がってしまいます。また、スマホやパソコンで視聴するコンテンツ自体が刺激が強く、リラックスから離れてしまうことも多いです。
動画視聴の代わりに読書や音楽など、刺激の少ない過ごし方に切り替えるだけでも効果的です。
5. リラックスの型を作る(呼吸・ストレッチ・香り)
ゆっくりした呼吸法、軽いストレッチ、アロマなど、自分が落ち着ける“入眠儀式”を決めておくと、自然に眠りやすくなります。無理に頑張りすぎず、心地よく続けられる方法を選びましょう。
関連記事:【医師監修】睡眠の質を劇的に改善する呼吸法5選!今夜から実践できる入眠テクニック
寝室環境と寝具を整えて中途覚醒を減らす
生活習慣を整えても眠りが浅い場合、寝室環境が原因になっていることがあります。
関連記事:自分に合うマットレスは柔らかめ?硬め?上級睡眠健康指導士がじっくり解説!
温度・湿度・寝具の当たり前をチェックする
暑すぎる・寒すぎる、乾燥しているといった環境は、途中覚醒の大きな原因です。
温度:18-25℃
湿度:40-60%
こちらを目安に、季節に合わせて室温や湿度を調整し、パジャマや掛け布団もこまめに見直しましょう。
関連記事:【医師監修】寝る時の加湿器は必要?睡眠の質を高める湿度管理と正しい使い方
光・音・寝具(枕・マットレス)で覚醒トリガーを減らす
街灯の光や生活音が気になる場合は遮光カーテンや耳栓を活用します。また、枕の高さやマットレスの硬さが合っていないと、体の緊張で目が覚めやすくなりますので、寝返りがしやすいもの、通気性が良いものを選ぶことも重要です。
関連記事:【上級睡眠健康指導士監修】通気性の良いマットレスの素材や特徴とは?今すぐできるカビ対策についても解説
食事・カフェイン・アルコールの見直しポイント
口にするものも、睡眠の質に大きく影響します。
カフェインは「何時まで」を決める
コーヒーや緑茶、エナジードリンクなどのカフェインは覚醒作用があります。カフェインの代謝には個人差がありますが、就寝前の5-6時間は控えるなど、自分なりのルールを作りましょう。※2
※2:厚生労働省 e-ヘルスネット(健康日本21アクション支援システム)「快眠と生活習慣」
アルコールと夜食が「睡眠後半」を壊しやすい
お酒は一見眠りやすく感じますが、睡眠が浅くなったり、中途覚醒が増えたりします。
お酒を飲む場合は、適量にし、就寝4時間前に終わるようにしましょう。
また、遅い時間の食事は胃腸を働かせてしまい、中途覚醒の原因になります。
受診を検討すべきサインと相談先
セルフケアを続けても改善しない場合や、次のような症状があるときは医療機関への相談を検討しましょう。
いびき・無呼吸疑い、強い日中の眠気があるとき
・家族からいびきや無呼吸を指摘される
・起床時に強い口の渇きや頭痛がある
・日中に耐えがたい眠気がある
これらは睡眠時無呼吸症候群の可能性があり、放置すると健康リスクが高まります。かかりつけ医や専門外来への受診を検討しましょう。
受診前にやると役立つ準備(睡眠日誌・セルフチェック)
受診の際は、
・布団に入った時刻とおおよその眠りについた時刻
・おおよその目が覚めた時刻と布団を出た時刻
・途中覚醒のおおよその回数
・飲酒やカフェイン摂取
・日中の眠気
・運動
・寝室環境
などを1~2週間ほど記録した睡眠日誌があると、診察がスムーズになります。
よくある質問(睡眠が浅い人が気になる疑問)
夢をよく見るのは眠りが浅いから?
夢を覚えている回数が多いからといって、必ずしも悪いわけではありません。ただし途中覚醒が多いと夢を強く記憶しやすくなり、「浅い」と感じる原因になります。
関連記事:【医師監修】毎日夢を見るのは睡眠の質が低い?レム睡眠と深い眠りの関係を徹底解説
何時間寝ればいい?寝だめは有効?
必要な睡眠時間には個人差がありますが、おおよそ6時間以上を目安に確保しましょう。※2
20〜30代の方では7時間以上がおすすめです。休日の寝だめは一時的な回復にはなっても、体内時計を乱しやすいため根本解決にはなりにくいのが実情です。
睡眠が浅い悩みは「原因の切り分け」と「1週間の実行」で変えられる
睡眠が浅い状態は、決して珍しい悩みではありません。
まず睡眠日誌をつけて症状を整理する
- 原因を5つの視点で切り分ける
- 基本習慣を1週間続けてみる
- 環境や食習慣を見直す
- 改善しなければ受診を検討する
という順序で取り組むのもおすすめです。
今夜からできる小さな対策を積み重ねれば、眠りの質はきっと変わります。あなたに合った方法を見つけていきましょう。




