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監修者
松本 恭
「健康の秘訣はぐっすり眠ること」がモットーで、これまでウォーターベッド、ウッドスプリングベッド、西式健康枕、ハンモックなどさまざまな寝具の寝心地を追求してきた睡眠マニア。偶然出会ったコアラマットレス®︎の快適さに感銘を受け、メンバーとして参加。上級睡眠健康指導士としての知識を通して、より多くの人に快眠を届けたいと願っている。
連日の危険な暑さが続くと、朝から体がずっしりと重く感じられたり、食欲が湧かずに冷たい麺類ばかりを選んでしまったりと、体調のコントロールに苦労されることも多いのではないでしょうか。私自身も以前、猛暑が続いた時期に夜の暑さで寝不足が重なり、日中に強いだるさと集中力低下に見舞われて仕事が手につかなくなった苦い経験があります。
夏場に現れるこうしただるさや食欲不振は、一般的に夏バテとして片付けられがちですが、実は高温多湿による体温調節の負荷や食事の偏り、そして睡眠不足など、複数の要因が複雑に絡み合って起こる症状です。さらに、強い倦怠感や頭痛といった症状の陰には熱中症が潜んでいるリスクもあるため、自身の状態を正しく把握し、適切な対策を講じることが健やかに夏を乗り切るためのポイントです。
本記事では、上級睡眠健康指導士の資格を持つコアラマットレス社員の松本が、夏バテの代表的な症状や熱中症との見分け方、セルフチェック項目から今すぐ試せるやわらげ方、そして注意すべき受診の目安まで分かりやすく解説していきます。
夏バテとは?熱中症との違い
夏バテは医学的な診断名ではありません。済生会今治病院では、熱の産生と放散のずれによって体に熱がこもり、いろいろな症状が出る状態と説明されており、暑気あたり、暑さ負け、夏負けとも呼ばれています。※1
全身のだるさ、食欲低下、睡眠不良、胃腸障害、頭痛、発熱といった体の症状に加えて、意欲の低下といった精神面の変化が挙げられることもあります。※1。
一方の熱中症は、暑い環境によって体温調節がうまく働かなくなって起こる健康障害を指します。日本救急医学会の分類では重症度に応じてⅠ度からⅢ度に分けられ、頭痛や吐き気、倦怠感などがみられるⅡ度以上は医療機関での対応が必要とされています。※2
両者の違いを表で確認してみましょう。
| 夏バテ | 熱中症 | |
| 位置づけ | 病名ではなく、暑い時期の不調をまとめて指す一般的な呼び方です※1 | 暑い環境で体温調節が働きにくくなって起こる健康障害で、重症度が分類されています※2 |
| みられる症状 | だるさ、食欲低下、睡眠不良、胃腸の不調などが、暑い時期を通じて続きます※1 | めまい、立ちくらみ、頭痛、吐き気、嘔吐、倦怠感、意識障害などが比較的急に現れます※2 |
| おもな対処 | 水分、食事、室温、睡眠環境といった生活面を見直しながら様子をみます※1 | 涼しい場所へ移して体を冷やし、水分と塩分を補給します。意識がおかしければ救急要請が必要です※2 |
なお、夏バテは真夏の暑さがピークを迎える時期だけに起こるものではありません。済生会今治病院によると、猛暑期のほか梅雨や初夏、夏の終わりにもみられるのだとか。※1。
実際にどのような症状が現れるのか、具体的に見ていきましょう。
夏バテでみられる主な症状
夏バテと呼ばれる不調には個人差があり、現れ方も人によってさまざまです。また、ここで挙げる症状は夏バテだけに特有のものではなく、熱中症やほかの病気でも同じような症状が起こりますから、あくまでも「暑い時期に感じやすい変化」として、自分の状態と照らし合わせながら読み進めてみてください。
1. 体のだるさ・疲労感
夏の不調としてよく挙げられるのが、体が重い、休んでも疲れが抜けないという感覚です。済生会今治病院でも、夏バテの体の症状として全身のだるさが最初に挙げられています。※1
ここで意識しておきたいのは、だるさの背景にはいくつもの要素が重なっている場合があるという点です。暑い環境で過ごすこと自体が体への負担になるうえに、食事の量が減っていたり、寝苦しさで睡眠時間が足りていなかったりすることも影響します。
どれか一つが原因と決めつけるのではなく、暑さと食事と睡眠をまとめて振り返るほうが、見直せる点を見つけやすいです。だるさが強い場合や、涼しい場所で休んでも改善しない場合は、熱中症の可能性も考えてください。※2
2. 食欲低下・胃腸の不調
だるさと並んで感じやすいのが、食欲の変化です。暑い時期は食欲が落ちやすく、食事の量が減ったり、内容が偏ったりすることがあります。農林水産省も、夏は暑さで食欲が落ちがちで、簡単に済ませようとしてそうめんやうどんなど炭水化物に偏りやすいと指摘しています。※3
人によっては、胃もたれや下痢といった胃腸の不調を伴うこともあります。※1
ただし、こうした症状は感染性胃腸炎や食中毒でも起こります。冷たい飲み物をとったから胃腸の働きが落ちた、と自己判断で結論づけてしまうと、別の原因を見落とすことにつながりかねません。下痢や嘔吐が続く、発熱を伴うといった場合は、夏バテと決めつけずに医療機関へ相談してください。
3. 寝不足・集中しにくさ
3つ目は、眠りに関する変化です。熱帯夜が続くと寝つきにくくなったり、夜中に目が覚めたりして、必要な睡眠時間を確保しにくくなります。厚生労働省の「健康づくりのための睡眠ガイド2023」では、睡眠不足によって日中の眠気や疲労、注意力や判断力の低下による作業効率の低下などが生じると説明されています。※4
夏に「なんとなく調子が出ない」と感じるときは、体調だけでなく、実際に眠った時間と朝起きたときに休養がとれた感覚があるかどうかもあわせて確認しましょう。
なお、頭痛や強い倦怠感は熱中症のⅡ度にあたる症状でもあります。※2
眠りの問題とは切り離して考える必要がありますので、この点は後の章であらためて取り上げます。
関連記事:夏の疲れを乗り切る!快眠のための対策9選
夏バテかも?確認したい体調と生活習慣
症状を知ったら、次は自分や家族の状態に当てはめて確かめてみましょう。以下の表は、暑い時期に見直したい体調と生活習慣をまとめたものです。
| 確認する場面 | 当てはまるかどうかを見たい項目 |
| 体の調子 | 体がだるく、休んでも疲れが抜けない感じが続いています |
| 食欲 | 食欲が落ちていて、食事の量が普段より減っています |
| 食事の内容 | そうめんやうどんなど、麺類や飲み物だけで済ませる日が増えています |
| 眠り | 暑さで寝つけない、夜中に目が覚めるという日が続いています |
| 水分 | のどが渇いてから飲むことが多く、こまめな水分補給ができていません |
| 室内の環境 | 電気代や冷えが気になり、暑くても冷房を我慢しています |
このチェックは、該当した数で夏バテかどうかを判定するためのものではありません。医学的な診断でもありませんので、当てはまった項目を手がかりに「今の生活で見直せるところはどこか」を探すために使ってみてください。
そして何より優先したいのが、頭痛、吐き気、嘔吐、めまい、強い倦怠感がある場合の判断です。暑い環境で過ごしたあとにこうした症状があるときは、チェックの結果にかかわらず熱中症を疑い、涼しい場所へ移動して体を冷やしてください。※2※5
夏の不調が起こりやすくなる原因
夏バテと呼ばれる不調の原因は、一つとは限りません。暑さそのものの負担に加えて食事量の減少や睡眠不足が重なり、全体として調子が落ちていくという流れが考えられます。夏の不調の背景として多い3つの要素について、順に見ていきましょう。
1. 高温多湿による体温調節の負担
1つ目は、暑さと湿気そのものによる負担です。人の体は発汗や皮膚からの放熱によって体温を保っていますが、気温や湿度が高い環境ではこの調節に負荷がかかります。環境省が公開している暑さ指数(WBGT)も、気温だけでなく湿度と、日射や輻射など周辺の熱環境を組み合わせた指標で、暑さ指数が28を超えると熱中症の患者が著しく増加するとされています。※7
ただし、暑い環境で過ごしたあとにだるさや吐き気が出た場合、それを単なる夏バテと考えるのは早計です。室内外の温度差で自律神経が疲れきってしまうといった説明を目にすることもありますが、症状だけからしくみを断定することはできません。まずは熱中症の可能性を確認することを優先してください。
2. 食欲低下による食事量の減少
2つ目は、食事の変化です。暑さで食欲が落ちると、食事を一食抜いたり、そうめんやうどんだけで済ませたりする日が増えがちです。こうして食事の量や内容が偏った状態が続けば、体調に影響が出ても不思議ではありません。
とはいえ、特定の栄養素をとりさえすれば夏バテが治るわけではない点は押さえておきましょう。厚生労働省と農林水産省が策定した「食事バランスガイド」は、主食、副菜、主菜、牛乳・乳製品、果物という区分で1日に何をどれだけ食べるかを考える目安として作られています。※8
食べられる範囲で組み合わせを整えることを出発点にしてみてください。
3. 熱帯夜による睡眠不足
3つ目は、眠りの問題です。寝室が暑いと寝つきにくくなったり途中で目が覚めたりして、必要な睡眠時間を確保しにくくなります。睡眠ガイド2023では、成人はおおよそ6時間以上の睡眠時間を確保することが目安として示されています。※4
そして見過ごせないのが、睡眠不足と暑さの関係です。環境省は、睡眠時間が短い場合には翌日に運動をすると体温が高くなり汗の量も増えて、体温調節の機能が低下すると指摘し、同時に夏の睡眠不足は熱中症のリスクを高くする可能性があると説明しています。※6
つまり、暑さで眠れないことが翌日の暑さへの弱さにつながる可能性があるということです。夏の睡眠は、翌日の体調を支える土台といえます。
関連記事:上級睡眠健康指導士監修|夏の夜に暑くて寝れないときの原因と対策について解説!
夏バテをやわらげ・予防する方法
続いて、暑い時期の体調管理として取り入れたい生活上の工夫を4つ紹介します。
夏バテを治療する方法ではなく、体への負担を減らすための日々の調整として参考にしてください。持病があって水分や塩分、食事の内容に制限がある方は、医師の指示を優先してください。
1. 水分をこまめに補給する
まず取り組みたいのが水分の補給です。のどの渇きを合図にしていると、補給が後手に回りやすくなるため、厚生労働省は、のどの渇きを感じなくてもこまめに水分・塩分、経口補水液などを補給するよう呼びかけています。※9
塩分については、大量に汗をかいた場合に必要ですが、普段どおり食事がとれている人が一律に塩分を足す必要はありません。飲み物は冷たすぎるものより、常温の水や麦茶を少量ずつ何回にも分けて摂る方法が手軽でしょう。※1
2. 食べられる量で食事の偏りを減らす
次に見直したいのが食事です。食欲が落ちているときに無理をして一度で食べようとすると、かえって負担が大きくなります。1回の量を減らして回数を分けるほうが、結果として1日の食事量を確保しやすいです。
意識したいのは、麺類や飲み物だけに偏らせないことです。農林水産省は、豚肉に含まれるビタミンB1やB2、レモンのクエン酸などを夏バテ予防に役立つ成分として紹介しています。※3
もっとも、これらを単体でとれば不調が解消するというわけではありません。食事バランスガイドが示す主食、副菜、主菜、牛乳・乳製品、果物の組み合わせを念頭に置きながら、できる範囲で品数を足していきましょう。※8
3. 冷房を使って室内を涼しく保つ
食事とあわせて整えたいのが、過ごす部屋の環境です。熱中症は屋外だけで起こるものではありません。環境省も予防の基本として室内でも温度を測ることを挙げています。※5
暑さ指数が28以上の厳重警戒にあたる場面では、室内の室温上昇にも注意が必要です。※7
暑いと感じているときは冷房を我慢しないでください。適切な設定温度は部屋の広さや日当たり、住んでいる人の体調によって変わりますので、体感を参考に調整しましょう。冷えが気になる場合でも、冷房を止めてしまうのではなく、風が直接当たらないように風向きを変える、薄手の羽織ものを一枚足すといった方法がおすすめです。
4. 寝室を整えて睡眠時間を確保する
最後に取り上げたいのが、夏の眠りです。前の章で見たとおり、夏の睡眠不足は熱中症のリスクにも関わる可能性があります。※6
だからこそ、寝ている間も暑さを我慢しない環境づくりが欠かせません。エアコンや扇風機を使い、暑すぎず寒すぎない状態を朝まで保てるようにしておきましょう。
睡眠ガイド2023では、良い睡眠のために光、温度、音に配慮した環境を整えることがすすめられており、成人については6時間以上の睡眠時間の確保と、睡眠で休養がとれた感覚である睡眠休養感を高めることが目安として示されています。※4
就寝時刻と起床時刻のずれを小さくすることも、生活のリズムを保つ良い方法です。
併せて見直したいのが寝具です。夏は汗をかきやすく湿気もこもりやすいため、熱や湿気がこもりにくく、自分が心地よいと感じるマットレスや寝具を選びましょう。
眠りが浅いと感じる日が続くなら、寝室の温度と寝具の両面から確認してみてください。
夏バテと決めつけず受診したい症状
ここまで生活面の工夫を見てきましたが、自分で対処してよい範囲を超えているサインを知っておくことも大切です。暑い環境で過ごしたあとに、めまい、頭痛、吐き気や嘔吐、強い倦怠感や虚脱感がある場合は、まず熱中症を疑ってください。
熱中症の重症度分類では、頭痛、気分の不快、吐き気、嘔吐、倦怠感、虚脱感はⅡ度にあたり、病院への搬送を必要とする中等症と位置づけられています。※2
現場で確認すべきことは意識がしっかりしているかどうかであり、少しでも意識がおかしい場合はⅡ度以上と判断して病院へ搬送する必要があります。
とくに急を要するのが、呼びかけへの反応がおかしい、意識がない、けいれんしているという状態です。この場合は迷わず119番へ通報してください。厚生労働省も、意識がない人や自力で水が飲めない人への対応を強く呼びかけています。※9
自力で水分をとれない、涼しい場所で休んで体を冷やしても改善しないときも、速やかに医療機関へつなぎましょう。
また、熱中症以外の可能性にも目を向けておきたいところです。発熱や下痢、嘔吐、食欲不振が続く場合は感染症や別の病気が隠れていることもあります。とくに高齢の方や子どもは、暑さや体調の変化を自分で言葉にしにくく、周囲が気づきにくい傾向があります。
いつもと様子が違うと感じたら、夏バテという言葉で片づけずに医師へ相談してください。
まとめ:夏の不調は夏バテと決めつけず体調を整えよう
夏バテは病名ではなく、暑い時期にみられるだるさ、食欲低下、睡眠不良、胃腸の不調などをまとめて指す一般的な呼び方です※1。原因も一つに絞れるものではなく、暑さによる負担、食事量の減少、熱帯夜による睡眠不足が重なっている場合が少なくありません。
まず取り組みたいのは、のどが渇く前の水分補給、食べられる量で偏りを減らす食事、我慢しない冷房、そして寝室の環境と睡眠時間の見直しという4つです。※4※5※8※9
とくに夏の睡眠不足は熱中症のリスクを高める可能性が指摘されていますので、寝ている間の暑さ対策は後回しにしないでください。
そして、頭痛や吐き気、嘔吐、強い倦怠感があるときは熱中症を疑いましょう。自力で水分を摂れない、意識の様子がおかしいという場合は、ためらわず医療機関や救急へつなぎましょう。暑さと上手に付き合いながら、今日の眠りと明日の体調を整えていってください。
・参考
※1 夏バテ | 済生会今治病院
※2 熱中症になったときには(熱中症環境保健マニュアル2022) | 環境省
※3 旬の食材で夏バテ予防レシピ | 農林水産省
※4 健康づくりのための睡眠ガイド2023 | 厚生労働省
※5 熱中症の予防方法と対処方法 | 環境省
※6 熱中症環境保健マニュアル2022 | 環境省
※7 暑さ指数(WBGT)とは? | 環境省
※8 「食事バランスガイド」について | 農林水産省
※9 熱中症予防のために | 厚生労働省










